科学は、如何にしてヒトを幸せにするか~ななの例~

深町珠

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音楽

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ギターを弾きながら歌ってた
その女の子は、小柄で愛らしくて

ななくらいの背丈なんだけど
歌ってたら、堂々として大きく見える。


ななは、声をかけた。


「その曲、荒井由美さんでしょ」と


ななは、アニメ映画で聞いたような記憶を
辿りながら。


その女の子は、ギターを抱えたまま

「そう。いい曲だよね」と

さっぱりとした口調でそう言う。


真っすぐの黒髪、前髪もさっぱりと
切り揃えられて。



はっきりとした目鼻立ちで、ちょっと
華やかな感じ。



「歌、すごく上手」 ジョナサンは素直。




「ありがとうー。わたし、インディーズには
出してるの」と、その女の子は
普通にそういうので

ななは、すごい、と思う。


自然に、自慢でもなく
誇るでもなくそういうのは

本当に気負いがないのだろうな、と


なな自身より少し若いかな、その小柄な
女の子が
とっても綺麗に見えた。




インディーズ、って言葉に
加藤の事を思い出して

少し胸が痛いなな、でもあったけど。



そういえば、加藤さんも
自慢なんて感じと全然無縁なひとだった。


インディーズデビューはしてたし

本も出してる、科学者。


でも、全然自然で。




どうしたら、そんなに
ふんわりとしていられるのだろうと

思い返しても、そう感じる。



それで、ななは

ギタリストの女の子に「すごいのね。
とってもかわいいのに」と、言うと

女の子は「あたしなんて。あなたの方がかわーいよ。アメリカンのボーイフレンドがいるしー」と、おもしろい口調。


「ボーイフレンドね」と、ジョナサンもにこにこ。





「それなら、あなたも今から僕がボーイフレンド」と、女の子にそう言うジョナサン。



女の子は、ころころと笑う「そだね」



科学の子、ジョナサンは
気負いがないので、誰とでも友達になれる。



そのギタリストの女の子は、たぶん
自然の子供だろうけど


音楽があるから、なのかな?
幸せそうだ、と

ななは思う。




そういえば、加藤さんも音楽が好きで

いつも、イヤホンをつけていたっけ、

なんて、また思い出してる

なな、だった。




交差点になっている、区役所の前の通りは


横断歩道。



点滅の青信号が、ちかちか。
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