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若いけど

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神様はななを不憫に思ったから

自分の国、つまりめぐの国に連れていって
すこし、加藤から距離を置こうと思った。


恋愛って、どうしようもないところもある。


好みとか、生き方とか。



生まれ育った環境に合わせて生きるから
ひとそれぞれ。




面白い事に、ふつうの動物の多くは
雌が選択し、雄は選ばれる。


それが、霊長類あたりになると
猿くらいからだろうか、雄は好みを主張する。

勿論、主導権は雌にあるのだけれども
雄一頭に雌複数、そんな状況でも
雄は好みで雌を選ぶと観察されている。



人間も、ごく一部そんな人もいるようで
加藤などは、そうらしい。



加藤自身も不思議に思っている。



「別に、どうでもいいのだけれども」


取り立てて時間掛けて、女の子の機嫌を取るなんて面倒なだけだ(笑)と



そう思っているだけで、ななが格別嫌な訳でもないけど、好きでもない(笑)。




ななに出会う前にも、いろいろな女の子が
加藤の周囲にはいて

そんな記憶の中の彼女たちは、好ましかったような


そんな気もする、と
加藤は思っていたりするし



音楽の中のイメージ、例えば


「そよ風の誘惑」を歌っている
Oliviaの声は、とても愛しいと思ったり。





抽象的なものだから、現実の人間が
敵うはずもない。




わりと、特殊な人間の加藤に出逢ったのは
ななにとって不幸なのかもしれないけれど


容易く終わらない恋の思いに浸れるので
それは、幸せなのかもしれなかったり。


加藤にも、恋について
思い当たる事がある。


それは10年ほども前の事だったろうか。

一時的に仕事が途切れ、加藤は
研究所から離れてアルバイトをしていた。


そこで、バイト仲間だった少女は17歳、
何か理由があったのか、高校ではなく
専門学校に行っている、小柄な子だった。



ひどく幼いようで、大人のような
奇妙な子だったけれど


そのアンバランスなところ、それと
甘えてくるところが、どことなく

守ってあげたくなるような感じだった。



恋、と言うより支えてあげているうちに


なんとなく信頼しあう仲になり


寄り添うようになった。



恋はそういうものかもしれない。


そう、加藤は思ったのは


その子となら、苦労しても一緒でいたいと
思うような気持ちになったりもしたからだった。



ひたむきに恋する子で、愛が得られないと
思い込むと、瞼が腫れるほど泣きはらすようで
真っすぐで、痛々しくて。


クリスマスには、手作りのマフラーを編んだりする、そんな彼女は



ふと、気づくと



今、ななと同じ年齢になっているはずだった。




今の彼女は、ななのように
それなりに大人になっているのだろうか、と
思うと



その、17歳の頃に出会えて良かったと
思ったりする加藤だった。




その思い出があるから、今も
加藤は穏やかに幸せでいられるのだと
思ったりもする。

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