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第七話 初夜①※(ヒロイン視点)
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テアヌス侯爵家次期当主の結婚式は、盛大に執り行われた。式は午前中に執り行われたが、王太子夫妻をはじめ各国の大使まで招いた披露宴は夕方まで続き、二人の初夜が行われたのは宵の口だった。
アロイスはルイーザの四歳年上で、初等科のころからの顔見知りである。貴族階級ではない彼は王太子の従者として特例で入学を許された身であるにもかかわらず、その周囲には女子の姿が絶えなかった。キラキラ星のような茶色い髪の王子様。ルイーザは本物の王子であるブレナンには何の興味も湧かなかったけれど、気が付けばアロイスをいつも目で追っていた。
天蓋のついた寝台で、ルイーザは早くもベビードールの紐を解かれている。新郎の手つきは慣れたもので、そこにモヤモヤしないと言えば嘘だった。
――筆頭貴族・次期当主のわたくしに、それが言えて?
彼女はプライドに凝り固まって、自分が嫉妬していることすら認められない難儀な性格なのだ。アロイスはそんな彼女の心情など知らぬがごとく、熱っぽい口調で語りかけてくる。
「ルイーザ様、……今日のあなたの神々しいほどの美しさときたら、言葉には出来ません。あなたの婿になれた俺は、世界で一番幸せな男です」
「……アロイス。あなた、わたしをあんまり買いかぶらないで」
「俺の本心ですよ」
「誰にでも、言っているのではなくて?」
アロイスが、くすりと笑う。
「これからは、あなたにしか言いません」
彼女は覆いかぶさってくる夫のキスに目を閉じた。寝台に唇を合わせる水音が反響する。唇の感触は柔らかく、心なしか甘く感じた。もう何度も口づけを交わしているのに、ドキドキが止まらないのだ。
――この人に惹かれない女の子がいるかしら? 今更、嫉妬しても仕方ないことよ。
ふたなりのせいで閨の講義さえ避けてきた初心なルイーザは、彼の手のひらで転がされるばかり。口づけは小鳥のようなものから、次第に激しいものへと変わっていった。
「んん……っ、はぁ……ぁっ」
「愛しています、ルイーザ様」
「知っているわ、……はぁ……っ」
アロイスの唇が口から離れ、身体へと移っていった。頬、耳、首筋、鎖骨、胸の先。聖なるものでもあるかのように乳房を吸われ揉み込まれると、下腹から亀頭に官能が走る。頭がおかしくなりそうなぐらい気持ちよくて、気がつけば嬌声をあげていた。
「はぁ……っ、ああ……ぁっ!」
「ルイーザ様……っ、女神のように美しいあなたが、まさか男と同じものを持っているとは誰も想像がつきませんよ。俺はこの喜びを独り占めできて、幸せです」
彼の熱っぽく欲情した顔を見上げると『わたくしも、こんな目でアロイスを見ていたのかしら』と、舞踏会の晩をおぼろげに思い出す。ルイーザは頭が正常なうちに、言うべきことを言わなければならなかった。
「わたくしと……結婚したのだから、あなたは、もう騎士階級ではないわ。……ルイーザと呼んで」
「はい、……ルイーザ」
切なく呼ばれて、キュンッと胸が高鳴った。アロイスの顔が降りてきて、またキスを交わす。くちゅッと水音が弾けてそれに煽られ、もっと深く唇を合わせた。
彼は口調や態度こそへりくだっているが、実のところルイーザが彼に敵わないことは厳然たる事実だった。彼女は確かにアロイスに挿したが、自分が彼を抱いたという認識はない。どんな方法であろうと、アロイスは彼女を抱いたのだ。
胸から下腹部へと、ねっとりとした接吻が落ちてくる。やがて、大きな漢の両手で肉棒を擦られ、べろりと裏筋を舐められる。
「んっ、……あっ、ああ、ああぁ……っ」
ルイーザの雄茎が彼の口に含まれ、寝台に嬌声が広がった。アロイスの喉奥に亀頭が当たり、柔らかい頬の肉で怒張した棒を摩擦されると気持ちよくてたまらない。ちらりと見下ろすと、彼女のもので頬を限界まで膨らませ、苦しそうに眼のふちを涙を浮かべた美しい顔が映る。ルイーザの息子のふくらみは最高潮となり、そして弾けた。
「あああああっ――っ!」
彼女は全身を貫く快楽に、シーツを握り込む。四肢がピンッと突っ張り、頭が真っ白になった。その瞬間は自分が何者かであることをすべて忘れ、甘い痺れを全身で感じる。
「はぁ……。ルイーザ、上手にイけましたね」
誉め言葉に顔をあげると、欲情で目の下を赤くした彼が唇の端に着いた白い液を親指で拭っているところだった。綺麗な顔で汚いものを飲んだかと考えると、ものすごくいやらしい。
「いきますよ」
「……ええ」
アロイスは彼女の両腰を持ち上げ、自分のモノで照準を定める。熱くて硬い先端の感触に、彼女はごくりと唾を飲んだ。怖いけれど、ドキドキする。
「愛しています。俺のこれからの人生をすべて、ルイーザに捧げます」
声とともに、彼女の膣に挿ってくる。みちみちと隘路を拓き、奥へ奥へと進んでいく。ルイーザは股が裂けそうな衝撃を受けた。
「あっ、ひ……ぃ、ぐぅ……っ」
「唇を噛みしめないでください。力を抜いて感じるままに」
アロイスに耳元で囁かれると、ルイーザは言われた通り身体の力を抜く。それでも感じる痛みに紛らわせようと、目の前にあった夫の首に両手を回した。
――痛いけれど、嬉しい。
自分が挿入するときとは違う喜びが存在する。彼が今、あの喜びをあじわっていると思えばなおのこと嬉しかった。
アロイスが、彼女の額にキスを落とす。
「ルイーザが痛がるのは、……もちろん可哀そうですが、一生に一度しかない痛みを、俺が与えていることが嬉しい……」
彼の舌が口のなかに入ってきて、ルイーザをあれよあれよと翻弄していく。アロイスは彼女の男根を左手で握ると、優しくこすりあげた。
「あ……んっ」
自分の声が鼻にかかって、まるで猫みたいな鳴き声だった。前を触られると気持ち良くて、膣の痛みが気にならない。というか、だんだん気持ちよくなってきた気がする。
「あまり、締め付けないで」
アロイスはルイーザの四歳年上で、初等科のころからの顔見知りである。貴族階級ではない彼は王太子の従者として特例で入学を許された身であるにもかかわらず、その周囲には女子の姿が絶えなかった。キラキラ星のような茶色い髪の王子様。ルイーザは本物の王子であるブレナンには何の興味も湧かなかったけれど、気が付けばアロイスをいつも目で追っていた。
天蓋のついた寝台で、ルイーザは早くもベビードールの紐を解かれている。新郎の手つきは慣れたもので、そこにモヤモヤしないと言えば嘘だった。
――筆頭貴族・次期当主のわたくしに、それが言えて?
彼女はプライドに凝り固まって、自分が嫉妬していることすら認められない難儀な性格なのだ。アロイスはそんな彼女の心情など知らぬがごとく、熱っぽい口調で語りかけてくる。
「ルイーザ様、……今日のあなたの神々しいほどの美しさときたら、言葉には出来ません。あなたの婿になれた俺は、世界で一番幸せな男です」
「……アロイス。あなた、わたしをあんまり買いかぶらないで」
「俺の本心ですよ」
「誰にでも、言っているのではなくて?」
アロイスが、くすりと笑う。
「これからは、あなたにしか言いません」
彼女は覆いかぶさってくる夫のキスに目を閉じた。寝台に唇を合わせる水音が反響する。唇の感触は柔らかく、心なしか甘く感じた。もう何度も口づけを交わしているのに、ドキドキが止まらないのだ。
――この人に惹かれない女の子がいるかしら? 今更、嫉妬しても仕方ないことよ。
ふたなりのせいで閨の講義さえ避けてきた初心なルイーザは、彼の手のひらで転がされるばかり。口づけは小鳥のようなものから、次第に激しいものへと変わっていった。
「んん……っ、はぁ……ぁっ」
「愛しています、ルイーザ様」
「知っているわ、……はぁ……っ」
アロイスの唇が口から離れ、身体へと移っていった。頬、耳、首筋、鎖骨、胸の先。聖なるものでもあるかのように乳房を吸われ揉み込まれると、下腹から亀頭に官能が走る。頭がおかしくなりそうなぐらい気持ちよくて、気がつけば嬌声をあげていた。
「はぁ……っ、ああ……ぁっ!」
「ルイーザ様……っ、女神のように美しいあなたが、まさか男と同じものを持っているとは誰も想像がつきませんよ。俺はこの喜びを独り占めできて、幸せです」
彼の熱っぽく欲情した顔を見上げると『わたくしも、こんな目でアロイスを見ていたのかしら』と、舞踏会の晩をおぼろげに思い出す。ルイーザは頭が正常なうちに、言うべきことを言わなければならなかった。
「わたくしと……結婚したのだから、あなたは、もう騎士階級ではないわ。……ルイーザと呼んで」
「はい、……ルイーザ」
切なく呼ばれて、キュンッと胸が高鳴った。アロイスの顔が降りてきて、またキスを交わす。くちゅッと水音が弾けてそれに煽られ、もっと深く唇を合わせた。
彼は口調や態度こそへりくだっているが、実のところルイーザが彼に敵わないことは厳然たる事実だった。彼女は確かにアロイスに挿したが、自分が彼を抱いたという認識はない。どんな方法であろうと、アロイスは彼女を抱いたのだ。
胸から下腹部へと、ねっとりとした接吻が落ちてくる。やがて、大きな漢の両手で肉棒を擦られ、べろりと裏筋を舐められる。
「んっ、……あっ、ああ、ああぁ……っ」
ルイーザの雄茎が彼の口に含まれ、寝台に嬌声が広がった。アロイスの喉奥に亀頭が当たり、柔らかい頬の肉で怒張した棒を摩擦されると気持ちよくてたまらない。ちらりと見下ろすと、彼女のもので頬を限界まで膨らませ、苦しそうに眼のふちを涙を浮かべた美しい顔が映る。ルイーザの息子のふくらみは最高潮となり、そして弾けた。
「あああああっ――っ!」
彼女は全身を貫く快楽に、シーツを握り込む。四肢がピンッと突っ張り、頭が真っ白になった。その瞬間は自分が何者かであることをすべて忘れ、甘い痺れを全身で感じる。
「はぁ……。ルイーザ、上手にイけましたね」
誉め言葉に顔をあげると、欲情で目の下を赤くした彼が唇の端に着いた白い液を親指で拭っているところだった。綺麗な顔で汚いものを飲んだかと考えると、ものすごくいやらしい。
「いきますよ」
「……ええ」
アロイスは彼女の両腰を持ち上げ、自分のモノで照準を定める。熱くて硬い先端の感触に、彼女はごくりと唾を飲んだ。怖いけれど、ドキドキする。
「愛しています。俺のこれからの人生をすべて、ルイーザに捧げます」
声とともに、彼女の膣に挿ってくる。みちみちと隘路を拓き、奥へ奥へと進んでいく。ルイーザは股が裂けそうな衝撃を受けた。
「あっ、ひ……ぃ、ぐぅ……っ」
「唇を噛みしめないでください。力を抜いて感じるままに」
アロイスに耳元で囁かれると、ルイーザは言われた通り身体の力を抜く。それでも感じる痛みに紛らわせようと、目の前にあった夫の首に両手を回した。
――痛いけれど、嬉しい。
自分が挿入するときとは違う喜びが存在する。彼が今、あの喜びをあじわっていると思えばなおのこと嬉しかった。
アロイスが、彼女の額にキスを落とす。
「ルイーザが痛がるのは、……もちろん可哀そうですが、一生に一度しかない痛みを、俺が与えていることが嬉しい……」
彼の舌が口のなかに入ってきて、ルイーザをあれよあれよと翻弄していく。アロイスは彼女の男根を左手で握ると、優しくこすりあげた。
「あ……んっ」
自分の声が鼻にかかって、まるで猫みたいな鳴き声だった。前を触られると気持ち良くて、膣の痛みが気にならない。というか、だんだん気持ちよくなってきた気がする。
「あまり、締め付けないで」
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