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72.婚約者の本性は絶倫巨根でした①※
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夜半だろうか。わたしは枕がそっと外されて、目を覚ます。ほのかな灯りのなか、グラシアンが寝台から腕を伸ばして、服を拾おうとしていた。枕だと思い込んでいたものが、実は彼の腕だったようだ。
「……どこへ行くの?」
離れるのは寂しい。一緒に朝を迎えたいと願うのは、わたしの我儘だろうか。
そのとき、布団を軽く引っ張ったつもりが、勢いよくめくれ上がった。なんと現れたのは、グラシアンの股間で硬く勃ちあがったもの。
わたしは驚きのあまり両手で口を覆い、彼は沈鬱な顔を片手で隠した。
「分かってくれ。男の事情というものがある」
――グラシアンは致し足らなかった? だったら、どうしてわたしに言ってくれないの?
疑問と微かな苛立ちを抱いたわたしに気が付いたのか、彼が苦笑交じりに頭を撫でてくる。
「もう忘れたのか? アリス、ひどく痛がっていただろ? ……自分で鎮めようとしただけだ」
説明されてようやく理解したわたしの顔は、火が出るほど熱くなった。『恋は盲目』とよく言ったもので、そんなあたりまえのことすら浮かばない。確かに、わたしは途中から気持ちよくなったけれど、膣に許容範囲を超える物を飲み込んだ感触は今なお色濃く残っていた。
照れ隠しと申し訳なさに、何かできることはないかと頭を巡らしてみる。
――あった、わたしにもできること!
「絶対にこっちを向かないでよ」
「アリス?」
わたしは、そそくさとグラシアンに背を向けた。中腰のまま股を開いて、患部に手をかざす。ちょっと人には見せられない姿だ。
マナを患部に流し込んで自らの治療を終えると、軽い眩暈を感じた。いったん枯渇して戻りかけたマナは、まだまだ本調子とは言えない。キャロルが用意してくれたに違いない、水差しの横にある回復薬を水で流し込んだ。
ふと、視線を感じて振り返ると、グラシアンと目が合う。その途端、わたしは大急ぎで布団に潜り込んだ。
「み、見ないでって言ったでしょ……っ!」
破瓜の傷を早速癒して、またグラシアンに抱いてほしいと考えているみたいで猛烈に恥ずかしい。しかも、回復薬を飲んでいるところまで見られてしまった。
「アリス」
「べ、べつにこれは、もう一度とかじゃなくて……っ。あなたがその、困るだろうと、……わたしは仕方なく……っ」
グラシアンの顔を、まともに見られない。慎みがない、ふしだらと思われたらどうしよう。だが、彼は嘲ることなく、むしろ嬉しそうに顔をほころばせた。
「俺、本当にアリスに愛されているんだな。猛烈に感動した」
「……そういうつもりじゃ……」
どう考えても、そういうつもりにしか見えない。私が自己嫌悪に浸っていると、グラシアンは布団からわたしを出した。
「わかってる。俺もアリスの好意を無駄にしないから」
彼はやたらご機嫌な顔で胡坐を掻くと、わたしの手を引く。どう座っていいかわからず躊躇っていると、勃ちあがったグラシアンのアレのうえに導かれた。
「や……、待って、いきなりは……」
「今度はちゃんと、最初から気持ちよくなれるはずだ」
ウエストを掴む両手の力が、先ほどより強いように感じて、こちらはつい腰が引けてしまう。このままでは、串刺しにされる未来しか浮かばなかった。
「あ……っ、こ……っ」
口のなかが張り付いたように、言葉が出てこない。
「大丈夫だ、怖くないから。――もう二度と傷つけないと約束する、アリス」
お尻にあたる亀頭の熱さが怖い。眼を閉じたグラシアンはわたしの尻を掴んで、長大なものを膣に飲み込ませていく。燃えるような熱さに、わたしの身体はまた捕らわれ支配されようとしていた。
「ああ、ああ……っ、ん、うん――っ!」
破瓜の傷は癒したものの、その圧迫感は変わらない。太く硬いそれはわたしの道を今一度押し開き、ずんっと最奥まで突き進んできた。
「ふぅ……っ、う……ぅっ!」
自分の体重も掛かって、さっきよりも深く刺さっている気がする。筋肉質な太ももとお腹に挟まれて動けず、投げ出された足にも力が入らない。彼の肩に縋ることしかできず、わたしはなされるままだ。
「アリス」
グラシアンは片手で難なく、わたしのお尻を抱えた。触られたところが熱くて、それだけで背中がむずむずする。
「ああ……あんっ!」
息つく暇もなく、下からの突きあげに無意識に喉をそらした。天蓋の刺繍が涙でぼやけて、良く見えない。自分がこんなに泣き虫だったのかと、改めて気づかされた。上下に揺さぶるように動かされ、膣壁を力強く擦られる。ばちゅん、ばちゅんと淫らな音が寝台に響いた。
「ああ……っ、グラシ……っ、んんっ」
「可愛い、アリス」
ぐりぐりと腰を回されながら、空いた左手で顎を取られる。飲み込まれるようなキスをされ、わたしの頭から一切の言葉が消えうせる。
「あああ、……あっ、あ……っ」
一回目より強引に扱われているのに、わたしは痛みどころか気持ちいいとしか感じられなくて、それがかえって怖くなる。抱かれて揺さぶられ、グラシアンという海に堕とされる。これ以上もなく密着しているせいか、彼とわたしの境界線がどこかわからなくなった。
――どうしよう。気持ちよすぎておかしくなりそう。
グラシアンが、わたしの顔を覗き込む。
「泣いてるな。まだ、痛むか?」
「違うの、これは。気持ちよすぎて、……こわい、だけ」
その瞬間、彼はわたしの膣壁をアレでぐるりとかき回す。お腹側の気持ちいいところが当たって、脚の指先まで甘く痺れて、前後不覚になって目を閉じた。
「あぁ……っ、あ、んっ、グラシ、アン……それ……いやぁ……っ」
もう自分の声と思えないぐらい全身が蕩けている。何かに縋りたくて、グラシアンの頭を抱え込んだ。その途端、グラシアンがぎゅっとわたしを抱きしめて、動かなくなる。
「どう、……したの?」
「……どこへ行くの?」
離れるのは寂しい。一緒に朝を迎えたいと願うのは、わたしの我儘だろうか。
そのとき、布団を軽く引っ張ったつもりが、勢いよくめくれ上がった。なんと現れたのは、グラシアンの股間で硬く勃ちあがったもの。
わたしは驚きのあまり両手で口を覆い、彼は沈鬱な顔を片手で隠した。
「分かってくれ。男の事情というものがある」
――グラシアンは致し足らなかった? だったら、どうしてわたしに言ってくれないの?
疑問と微かな苛立ちを抱いたわたしに気が付いたのか、彼が苦笑交じりに頭を撫でてくる。
「もう忘れたのか? アリス、ひどく痛がっていただろ? ……自分で鎮めようとしただけだ」
説明されてようやく理解したわたしの顔は、火が出るほど熱くなった。『恋は盲目』とよく言ったもので、そんなあたりまえのことすら浮かばない。確かに、わたしは途中から気持ちよくなったけれど、膣に許容範囲を超える物を飲み込んだ感触は今なお色濃く残っていた。
照れ隠しと申し訳なさに、何かできることはないかと頭を巡らしてみる。
――あった、わたしにもできること!
「絶対にこっちを向かないでよ」
「アリス?」
わたしは、そそくさとグラシアンに背を向けた。中腰のまま股を開いて、患部に手をかざす。ちょっと人には見せられない姿だ。
マナを患部に流し込んで自らの治療を終えると、軽い眩暈を感じた。いったん枯渇して戻りかけたマナは、まだまだ本調子とは言えない。キャロルが用意してくれたに違いない、水差しの横にある回復薬を水で流し込んだ。
ふと、視線を感じて振り返ると、グラシアンと目が合う。その途端、わたしは大急ぎで布団に潜り込んだ。
「み、見ないでって言ったでしょ……っ!」
破瓜の傷を早速癒して、またグラシアンに抱いてほしいと考えているみたいで猛烈に恥ずかしい。しかも、回復薬を飲んでいるところまで見られてしまった。
「アリス」
「べ、べつにこれは、もう一度とかじゃなくて……っ。あなたがその、困るだろうと、……わたしは仕方なく……っ」
グラシアンの顔を、まともに見られない。慎みがない、ふしだらと思われたらどうしよう。だが、彼は嘲ることなく、むしろ嬉しそうに顔をほころばせた。
「俺、本当にアリスに愛されているんだな。猛烈に感動した」
「……そういうつもりじゃ……」
どう考えても、そういうつもりにしか見えない。私が自己嫌悪に浸っていると、グラシアンは布団からわたしを出した。
「わかってる。俺もアリスの好意を無駄にしないから」
彼はやたらご機嫌な顔で胡坐を掻くと、わたしの手を引く。どう座っていいかわからず躊躇っていると、勃ちあがったグラシアンのアレのうえに導かれた。
「や……、待って、いきなりは……」
「今度はちゃんと、最初から気持ちよくなれるはずだ」
ウエストを掴む両手の力が、先ほどより強いように感じて、こちらはつい腰が引けてしまう。このままでは、串刺しにされる未来しか浮かばなかった。
「あ……っ、こ……っ」
口のなかが張り付いたように、言葉が出てこない。
「大丈夫だ、怖くないから。――もう二度と傷つけないと約束する、アリス」
お尻にあたる亀頭の熱さが怖い。眼を閉じたグラシアンはわたしの尻を掴んで、長大なものを膣に飲み込ませていく。燃えるような熱さに、わたしの身体はまた捕らわれ支配されようとしていた。
「ああ、ああ……っ、ん、うん――っ!」
破瓜の傷は癒したものの、その圧迫感は変わらない。太く硬いそれはわたしの道を今一度押し開き、ずんっと最奥まで突き進んできた。
「ふぅ……っ、う……ぅっ!」
自分の体重も掛かって、さっきよりも深く刺さっている気がする。筋肉質な太ももとお腹に挟まれて動けず、投げ出された足にも力が入らない。彼の肩に縋ることしかできず、わたしはなされるままだ。
「アリス」
グラシアンは片手で難なく、わたしのお尻を抱えた。触られたところが熱くて、それだけで背中がむずむずする。
「ああ……あんっ!」
息つく暇もなく、下からの突きあげに無意識に喉をそらした。天蓋の刺繍が涙でぼやけて、良く見えない。自分がこんなに泣き虫だったのかと、改めて気づかされた。上下に揺さぶるように動かされ、膣壁を力強く擦られる。ばちゅん、ばちゅんと淫らな音が寝台に響いた。
「ああ……っ、グラシ……っ、んんっ」
「可愛い、アリス」
ぐりぐりと腰を回されながら、空いた左手で顎を取られる。飲み込まれるようなキスをされ、わたしの頭から一切の言葉が消えうせる。
「あああ、……あっ、あ……っ」
一回目より強引に扱われているのに、わたしは痛みどころか気持ちいいとしか感じられなくて、それがかえって怖くなる。抱かれて揺さぶられ、グラシアンという海に堕とされる。これ以上もなく密着しているせいか、彼とわたしの境界線がどこかわからなくなった。
――どうしよう。気持ちよすぎておかしくなりそう。
グラシアンが、わたしの顔を覗き込む。
「泣いてるな。まだ、痛むか?」
「違うの、これは。気持ちよすぎて、……こわい、だけ」
その瞬間、彼はわたしの膣壁をアレでぐるりとかき回す。お腹側の気持ちいいところが当たって、脚の指先まで甘く痺れて、前後不覚になって目を閉じた。
「あぁ……っ、あ、んっ、グラシ、アン……それ……いやぁ……っ」
もう自分の声と思えないぐらい全身が蕩けている。何かに縋りたくて、グラシアンの頭を抱え込んだ。その途端、グラシアンがぎゅっとわたしを抱きしめて、動かなくなる。
「どう、……したの?」
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