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65.バーソロミューの愛②
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十一歳の時、アリスの父親であるルワンド王国の王配フィリップが亡くなった。もうずっと長いこと患っていたらしいが、バルが知っているフィリップは若々しく身のこなしも軽かったので、少しも気が付かなかったのだ。
歳の離れた一番上の兄が国の代表として葬儀に参列するというので、バーソロミューも急ぎ用意をはじめる。そのときだった。外から侍女たちのただならぬ叫び声がして、窓から身を乗り出す。石畳に立ちすくむ侍女たちの中心には、母の服を着た壊れた人形が落ちていた。バーソロミューは、飛び出す。次第に見えてくる景色は、とうてい受け入れがたいものだったのだ。
――人形じゃない。
赤く染まった石畳。歪に曲がった手脚。涙と血に塗れた顔には絶望が張り付いていた。バーソロミューは到底受け入れられず、母の遺体に泣き縋ることしかできなかったのだ。
バルは結局フィリップの葬儀には参列しなかったし、それ以降はルワンドの王宮に招かれることはなくなった。招待されても、とても行く気にならなかったろうが。明るく暖かい日常は崩れ去り、あとには深い孤独と母親に捨てられた悲しみと答えの返らない疑問ばかりが頭を占めた。
十八歳の成人になったとき、ついに母の遺品の中から日記帳を見つけた。そこには、バロモンテの王宮に来るまえの母の生活が、詳しく記してあった。幻獣の殺害という大罪を犯してまで救いたかった、従兄の病。母が祖国を追われてまで残したグレードサラマンダーの心臓石を飲まずに、長い闘病生活の果てに亡くなった。フィリップの病が癒えることだけが生きる支えだったのにと、母の筆跡で綴られていた。
バーソロミューは愛されていなかったわけではないが、母をこの世に留まらせるほどの重しにはなれなかったのだ。その従兄の正体がルワンドの亡き王配フィリップだと知って、バーソロミューの復讐は始まった。
母のノートの内容をすべて頭に入れて、遊学に出た。諸国を周る振りをして、ルワンド王国でグレードサラマンダーの密猟を始めたのだ。
――母を追放し、王配に心臓石を飲ませなかった女王よ、後生大事にしてきた幻獣をどこの誰とも知れない輩に殺され、心臓石を搾取されるがいい。
遊学の許可に立ち寄ったルワンドの王宮。十年ぶりに会ったアリスは、背筋を伸ばした細い身体に国を統べる者の気概を備え、美しく成長していた。公の場では完璧に振る舞えるのに、プライベートだと昔と変わらぬ無邪気な笑顔で、少しばかり抜けているのがまた愛らしい。
――あの肩、折ってしまいたいな。
バーソロミューは、突然沸いた自分の考えにびっくりしてしまった。
だが、柔らかくて細い身体も高い志も、何もかもめちゃくちゃにしたい。支配して閉じ込めて、バーソロミュー以外は誰にも会えないようにしてやりたい。彼女は何故か、バーソロミューに嗜虐的な気持ちを抱かせる。昔はこんなこと思わなかったし、他の人にも感じたことがないのに。人として恐ろしい欲求が、アリスを前にすると倫理観を無視して叶えたくなってしまうのだ。何度かアリスと会うたびに、バーソロミューは自分の欲求を正当化してしまった。
アリスが物理的に壊れたとしても、癒しのマナがあるから元通りにできる。そのことがまた、彼にはこれ以上もなく魅力的に映った。気丈なアリスは簡単には、母のように壊れた人形にはならない。母のように、自分を捨てない。
彼女を意のままにするには、強大な地のマナがいる。それを手に入れるためには、バーソロミュー自身がグレードサラマンダーの心臓石を飲む必要があった。
だが、計画通りに事は進まなかった。金で人と物資を調達し、最初の数回はうまく仕事をこなしていた密猟団が、グラシアン・オブ・カニアが率いる騎士団によって捕縛されてしまった。あげくに、北の保護区で回収した卵すら道中落としてしまい、見つけたときには卵はとうに孵化して、何の因果かグラシアンと主従の関係を結んでいたのだ。その男、侯爵家の次男でアリスの婚約者とか。バーソロミューにとって、何が何でも消さなければならない存在だった。
グラシアンは、一見して嫌な男だった。バーソロミューと同じような欲望を持ちながら、アリスの前では無害な紳士のように振る舞う男。狼が羊の皮を被っていても、同じ狼にはすぐわかる。新鮮で柔らかい餌を目の前に、鼻をひくつかせている様子は目を疑うほど自分に似ていた。
――そうはさせるか。
新たに仲間にしたエアロン・オブ・ウィントレッドたちを引き連れて、グレードサラマンダーの幼獣を回収するため、グラシアンが行くであろう火祭りに向かった。そこで、眼鏡におさげの田舎臭い少女を連れて歩く姿を見かけたときは、バーソロミューは驚いたし、それが収まった直後は笑いが止まらなかった。アリスに夢中のはずの男が、こんな幼稚なミスをするなんて。これは、バルには好都合だった。
だが、意外なことに水の精霊魔法で攻撃してくる少女を見て、バーソロミューは妙に心をざわつかせた。恐れを知らぬ、強気な瞳。グラシアンと自分の趣味は、つくづく良く似ている。バーソロミューは、向かってくる少女の肩を容赦なく蹴りつけた。小さな顔を苦悶に歪ませ、それでも諦めない姿には喜びで胸が震えた。頭巾の下で彼が満面の笑みを浮かべていたことを少女は知っているだろうか。
グレードサラマンダーの捕獲がうまくいかないうえに、エアロンたちを始末せざるを得なかったが、おかげでいい情報が得られた。バーソロミューはグラシアンが屋敷のメイドと浮気したという噂を広め、カニア侯爵家と肩を並べるグーデン侯爵家の当主を言葉巧みにそそのかした。バーソロミューを王太女の新たな婚約者として推すように。
――そうだ。あの娘も欲しい。
グラシアンが火祭りの日に連れていた少女。結婚式直前に浮気して、王太女の顔に泥を塗った男は職を解かれ、二度と表舞台に立つことはない。あのメイドの少女は自分が奪ってしまえばいいのだ。
準備は万全だった。
「痛……っ!」
ルワンドの王宮の客間の風呂床に、血のついた歯が転がる。口から血がこぼれたが、風呂のなかなので全く構わなかった。
バーソロミューは決戦のときを前にして、健康な奥歯を抜いた。心臓石を差し歯に加工して、その穴に埋めるためだ。だが、これは保険のため、使うつもりは全くなかった。何故なら、彼は一つ目の心臓石を飲み込んでしまっているから。人間の身体は二つ目のグレードサラマンダーの心臓石を抱え込むほど、丈夫にできていないのだ。
飲んだら、おそらく自爆する。
「アリス、待っていて。僕はきみときみの国を手に入れるよ。一生大切にしてあげる」
バーソロミューは来るべきを想像して、にんまりと笑った。
歳の離れた一番上の兄が国の代表として葬儀に参列するというので、バーソロミューも急ぎ用意をはじめる。そのときだった。外から侍女たちのただならぬ叫び声がして、窓から身を乗り出す。石畳に立ちすくむ侍女たちの中心には、母の服を着た壊れた人形が落ちていた。バーソロミューは、飛び出す。次第に見えてくる景色は、とうてい受け入れがたいものだったのだ。
――人形じゃない。
赤く染まった石畳。歪に曲がった手脚。涙と血に塗れた顔には絶望が張り付いていた。バーソロミューは到底受け入れられず、母の遺体に泣き縋ることしかできなかったのだ。
バルは結局フィリップの葬儀には参列しなかったし、それ以降はルワンドの王宮に招かれることはなくなった。招待されても、とても行く気にならなかったろうが。明るく暖かい日常は崩れ去り、あとには深い孤独と母親に捨てられた悲しみと答えの返らない疑問ばかりが頭を占めた。
十八歳の成人になったとき、ついに母の遺品の中から日記帳を見つけた。そこには、バロモンテの王宮に来るまえの母の生活が、詳しく記してあった。幻獣の殺害という大罪を犯してまで救いたかった、従兄の病。母が祖国を追われてまで残したグレードサラマンダーの心臓石を飲まずに、長い闘病生活の果てに亡くなった。フィリップの病が癒えることだけが生きる支えだったのにと、母の筆跡で綴られていた。
バーソロミューは愛されていなかったわけではないが、母をこの世に留まらせるほどの重しにはなれなかったのだ。その従兄の正体がルワンドの亡き王配フィリップだと知って、バーソロミューの復讐は始まった。
母のノートの内容をすべて頭に入れて、遊学に出た。諸国を周る振りをして、ルワンド王国でグレードサラマンダーの密猟を始めたのだ。
――母を追放し、王配に心臓石を飲ませなかった女王よ、後生大事にしてきた幻獣をどこの誰とも知れない輩に殺され、心臓石を搾取されるがいい。
遊学の許可に立ち寄ったルワンドの王宮。十年ぶりに会ったアリスは、背筋を伸ばした細い身体に国を統べる者の気概を備え、美しく成長していた。公の場では完璧に振る舞えるのに、プライベートだと昔と変わらぬ無邪気な笑顔で、少しばかり抜けているのがまた愛らしい。
――あの肩、折ってしまいたいな。
バーソロミューは、突然沸いた自分の考えにびっくりしてしまった。
だが、柔らかくて細い身体も高い志も、何もかもめちゃくちゃにしたい。支配して閉じ込めて、バーソロミュー以外は誰にも会えないようにしてやりたい。彼女は何故か、バーソロミューに嗜虐的な気持ちを抱かせる。昔はこんなこと思わなかったし、他の人にも感じたことがないのに。人として恐ろしい欲求が、アリスを前にすると倫理観を無視して叶えたくなってしまうのだ。何度かアリスと会うたびに、バーソロミューは自分の欲求を正当化してしまった。
アリスが物理的に壊れたとしても、癒しのマナがあるから元通りにできる。そのことがまた、彼にはこれ以上もなく魅力的に映った。気丈なアリスは簡単には、母のように壊れた人形にはならない。母のように、自分を捨てない。
彼女を意のままにするには、強大な地のマナがいる。それを手に入れるためには、バーソロミュー自身がグレードサラマンダーの心臓石を飲む必要があった。
だが、計画通りに事は進まなかった。金で人と物資を調達し、最初の数回はうまく仕事をこなしていた密猟団が、グラシアン・オブ・カニアが率いる騎士団によって捕縛されてしまった。あげくに、北の保護区で回収した卵すら道中落としてしまい、見つけたときには卵はとうに孵化して、何の因果かグラシアンと主従の関係を結んでいたのだ。その男、侯爵家の次男でアリスの婚約者とか。バーソロミューにとって、何が何でも消さなければならない存在だった。
グラシアンは、一見して嫌な男だった。バーソロミューと同じような欲望を持ちながら、アリスの前では無害な紳士のように振る舞う男。狼が羊の皮を被っていても、同じ狼にはすぐわかる。新鮮で柔らかい餌を目の前に、鼻をひくつかせている様子は目を疑うほど自分に似ていた。
――そうはさせるか。
新たに仲間にしたエアロン・オブ・ウィントレッドたちを引き連れて、グレードサラマンダーの幼獣を回収するため、グラシアンが行くであろう火祭りに向かった。そこで、眼鏡におさげの田舎臭い少女を連れて歩く姿を見かけたときは、バーソロミューは驚いたし、それが収まった直後は笑いが止まらなかった。アリスに夢中のはずの男が、こんな幼稚なミスをするなんて。これは、バルには好都合だった。
だが、意外なことに水の精霊魔法で攻撃してくる少女を見て、バーソロミューは妙に心をざわつかせた。恐れを知らぬ、強気な瞳。グラシアンと自分の趣味は、つくづく良く似ている。バーソロミューは、向かってくる少女の肩を容赦なく蹴りつけた。小さな顔を苦悶に歪ませ、それでも諦めない姿には喜びで胸が震えた。頭巾の下で彼が満面の笑みを浮かべていたことを少女は知っているだろうか。
グレードサラマンダーの捕獲がうまくいかないうえに、エアロンたちを始末せざるを得なかったが、おかげでいい情報が得られた。バーソロミューはグラシアンが屋敷のメイドと浮気したという噂を広め、カニア侯爵家と肩を並べるグーデン侯爵家の当主を言葉巧みにそそのかした。バーソロミューを王太女の新たな婚約者として推すように。
――そうだ。あの娘も欲しい。
グラシアンが火祭りの日に連れていた少女。結婚式直前に浮気して、王太女の顔に泥を塗った男は職を解かれ、二度と表舞台に立つことはない。あのメイドの少女は自分が奪ってしまえばいいのだ。
準備は万全だった。
「痛……っ!」
ルワンドの王宮の客間の風呂床に、血のついた歯が転がる。口から血がこぼれたが、風呂のなかなので全く構わなかった。
バーソロミューは決戦のときを前にして、健康な奥歯を抜いた。心臓石を差し歯に加工して、その穴に埋めるためだ。だが、これは保険のため、使うつもりは全くなかった。何故なら、彼は一つ目の心臓石を飲み込んでしまっているから。人間の身体は二つ目のグレードサラマンダーの心臓石を抱え込むほど、丈夫にできていないのだ。
飲んだら、おそらく自爆する。
「アリス、待っていて。僕はきみときみの国を手に入れるよ。一生大切にしてあげる」
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