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二章 討伐戦
第45話 ヌルヌルのべったべた
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叫び声が聞こえた森の奥の方へ、僕を先頭にして慎重に進んでいく。
男の叫び声だったけど一体何があったんだろうか?
緊張しながら進んでいくと、森の奥からピチャピチャという水音が聞こえてきた。
どうやら近くに水場があるらしい。
となると叫び声の主はそこにいるのかもしれない。
「気をつけて、あそこで森が途切れてる!」
僕の声に後ろの三人が気を引き締めるのを感じた。
途切れた森の奥では四人の男——おそらく冒険者が倒れていた。
立っているのは一人だけでその四人を守るように剣を振っているようだ。
その相手は粘液状の魔獣……スライムだった。
一般的には弱いとされている魔獣相手に冒険者が苦戦するのだろうか?
それよりそのスライムと戦っていたのは……。
「ハルト……?」
僕は思わず声を出してしまった。
不意に名前を呼ばれた冒険者の少年はこちらに気を取られてしまい、スライムの伸ばした触手のようなもので吹き飛ばされてしまった。
ゴロゴロとこちらに転がってきたその顔を見ると、やっぱりハルトだった。
「ご、ごめんなさい」
僕は状況も考えずに名前を呼んでしまった事を素直に謝った。
「ぐっ……いいん、だ。油断した俺が悪い。ん、君たちは冒険者か……なら、すまないが街に行って魔女を呼んできてもらえないか?」
「魔女を? それはどうしてですの? あんなスライムくらいなら魔女がいなくても……」
「あれは魔獣じゃない、モンスターなんだッ! 体の中をよく見てくれ!」
マルグリッドさんの問いかけに叫ぶように答えているところをみるにかなり状況は悪いのだろう。
ハルトの言葉に従うようにスライムの透き通った体の中を見ると確かに赤黒い光が明滅しているのが分かった。
「あれ、スライムのモンスターなんていましたっけ?」
確かに授業ではそんなのがいるなんて聞いていないような。
もしかしたら寝ていたのかなとも思ったけど、真面目なセイラさんが覚えていないならきっとそうなんだろう。
「現にいるんだからそんな事言っても仕方ないだろっ! 早く行ってくれ! 俺はここであいつらを守る!」
「無茶しないで下さいね、あなたはもうボロボロじゃないですか」
セイラさんがそういうとハルトは顔を歪めて「それでも、だ」と剣を握り直した。
「いや、僕が守る。だからセイラさんはハルトをっ!」
「っ!? あ、そういえば君はあの時の……」
どうやらハルトは僕があの時に魔女と戦っていた人物だという事を思い出してくれたらしい。
それなら話が早いね。
「僕は魔法騎士だから! 心配しないで?」
僕はボロボロのハルトを安心させるために殊更ゆっくりと、力強くそう伝えた。
自分でいうのはちょっと恥ずかしいけど、そうすれば少しは安心させられるだろうから。
「じゃあみんな、僕が先に行くから援護をッ!」
「分かりましたわ!」
「やっちゃうよー」
了解を貰った僕は、スライムに向けて一気に駆け出した。
どうやらハルトを吹っ飛ばしたあとに倒れている冒険者を捕食しに向かっていたらしい。
動きが遅かったから助かったね。
「お前の相手はこの僕だぁ!」
槍を魔法で包みこんで、体の中に薄っすらと見える赤い宝石に向けて突き込んだ。
しかしスライムはそんな僕の行動などお見通し、とでもいうような行動を取った。
「何っ!?」
完全に捉えた、と思ったその攻撃はスライムが核となる宝石を体の中でぐるりと動かす事で回避されたのだ。
粘体の体は槍の攻撃で少しは吹き飛んだものの、ノーダメージといったところだろうか。
お返しとばかりに振るわれた触手は、僕のアイギスに触れると衝撃だけを残して弾け飛んだ。
僕はその衝撃に逆らわないように、自分から飛ぶことで横にズレると、そこに後ろの二人から援護射撃が殺到した。
「……!!」
スライムは突然の魔法攻撃に身を捩っている。どうやら効いているようだ。
後ろではセイラさんがハルトに回復魔法をかけてくれているだろうから、このまま少しずつ削っていけば……ってなんだか異常に体が萎んでいないか!?
目の前にいるスライムはさっきまでの半分くらいの大きさになっていた。
もしかしてすぐに削り切れるんじゃ?なんて思った僕の耳に可愛らしい悲鳴が届いた。
「キャッ」
「やだッ」
そんな二つの悲鳴はマルグリッドさんとアイヴィのものだった。
何が……と振り返ると二人はスライムの触手に捕まっているようだった。
よく見ると、僕の視界に入らないように地面に触手を薄く伸ばしていたらしい。
先に魔法を使う二人を始末しようとしたのかもしれない。
「くそっ、二人を離せッ」
僕は後方の二人のところまで駆けると、二人を拘束していた触手を一息で断ち切った。
「二人とも大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですわ」
「うん、ありがとう……ってイニスッ!」
振り返った時にはもう遅かった。
僕の体はアイギスごとスライムの体に飲まれてしまったのだ。
このまま僕を消化するつもりか!?
「ぐッ……息が……」
スライムの粘液ごしに見える二人は、僕が中に飲まれた事で魔法攻撃が出来ないでいる。
このままだと僕は息が出来なくて死んでしまうかもしれない。
そんな状況に動揺して、僕は上手く魔力を練ることが出来なかった。
本当にこのままでは……少しずつ目の前が白くなっていくのを感じた。
——その時だった。
「うおぉぉぉらぁぁぁ!!」
そんな激烈な叫び声がスライムの中からも聞こえた。
諦めかけていた僕はその声で引き戻されるようにして意識を覚醒させる。
どうやら誰かが……いや、ハルトが回復して戦線に戻ってきたようだった。
「疾風連牙ッ!!」
ハルトはそんな叫びとともにスキルを発動させたようだった。
あいつ、そんなスキルも使えるようになっていたのか。
そのスキルは少しずつ確実にスライムの体を削っていっているようだ。
そして最後の一振りで僕の周囲が一瞬スライムから開放された。
「掴まれッ!」
そんなハルトの声に僕は手を動かした。
まるで恋する姫のようにその手をただひたすらに求めた。
「よし、引っ張るぞッ!」
ハルトが力任せに引っ張ると、僕はなんとかスライムの中から脱出する事が出来た。
「魔女さん、今のうちに頼む!」
ハルトが振り返ってそういうと、マルグリッドさんとアイヴィの魔法が飛んできた。
その魔法はハルトがたった今、むき出しにしたその赤い宝石を見事に砕いた。
そしてそれはスライムにとっての致命傷となった。
「大丈夫だったか!? 確かイニス、だったっけ?」
「う、うん。僕は……大丈夫。助けてくれてありがとう」
「いやそれはこちらこそ……ッ!? ごめんっ! ちょっと仲間の様子、見てくるわ」
そういうとハルトは顔を赤くすると、僕から目を逸しながら離れていった。
どうしたんだろう、と自分を見てみると僕の服、というか全身はスライムの粘液でヌルヌルのべったべたになっていた。
なるほど、扇情的な見た目だったからハルトは直視できなかったんだね。
ふふ、中身は僕だってのに。うい奴よ。
結局、ハルトの冒険者仲間も意識を失っているだけだったようで、なんとか全員無事だったようだ。よかった。
帰り道でさっき倒したゴブリンの耳を誰が削ぐか相談していると、ハルトと意識が戻った仲間達がやってきて、ささっと切り取って渡してくれた。
街に戻ったら今日のお礼をするっていっていたけど、僕たちにとってのお礼はこれで十分すぎるくらいだった。
むしろこっちがお礼をしたいくらいだよ。
こうしてはじめての校外実戦はなんとか依頼達成という事になった。
ちなみに水場の音だと思っていたのはスライムの移動音だったらしく、実は水場が近くになかったから、僕はヌルヌルべたべたしたままで王都まで戻る事になってしまった。
とっても気持ちが悪かったよ、特に街の人の視線がね。
男の叫び声だったけど一体何があったんだろうか?
緊張しながら進んでいくと、森の奥からピチャピチャという水音が聞こえてきた。
どうやら近くに水場があるらしい。
となると叫び声の主はそこにいるのかもしれない。
「気をつけて、あそこで森が途切れてる!」
僕の声に後ろの三人が気を引き締めるのを感じた。
途切れた森の奥では四人の男——おそらく冒険者が倒れていた。
立っているのは一人だけでその四人を守るように剣を振っているようだ。
その相手は粘液状の魔獣……スライムだった。
一般的には弱いとされている魔獣相手に冒険者が苦戦するのだろうか?
それよりそのスライムと戦っていたのは……。
「ハルト……?」
僕は思わず声を出してしまった。
不意に名前を呼ばれた冒険者の少年はこちらに気を取られてしまい、スライムの伸ばした触手のようなもので吹き飛ばされてしまった。
ゴロゴロとこちらに転がってきたその顔を見ると、やっぱりハルトだった。
「ご、ごめんなさい」
僕は状況も考えずに名前を呼んでしまった事を素直に謝った。
「ぐっ……いいん、だ。油断した俺が悪い。ん、君たちは冒険者か……なら、すまないが街に行って魔女を呼んできてもらえないか?」
「魔女を? それはどうしてですの? あんなスライムくらいなら魔女がいなくても……」
「あれは魔獣じゃない、モンスターなんだッ! 体の中をよく見てくれ!」
マルグリッドさんの問いかけに叫ぶように答えているところをみるにかなり状況は悪いのだろう。
ハルトの言葉に従うようにスライムの透き通った体の中を見ると確かに赤黒い光が明滅しているのが分かった。
「あれ、スライムのモンスターなんていましたっけ?」
確かに授業ではそんなのがいるなんて聞いていないような。
もしかしたら寝ていたのかなとも思ったけど、真面目なセイラさんが覚えていないならきっとそうなんだろう。
「現にいるんだからそんな事言っても仕方ないだろっ! 早く行ってくれ! 俺はここであいつらを守る!」
「無茶しないで下さいね、あなたはもうボロボロじゃないですか」
セイラさんがそういうとハルトは顔を歪めて「それでも、だ」と剣を握り直した。
「いや、僕が守る。だからセイラさんはハルトをっ!」
「っ!? あ、そういえば君はあの時の……」
どうやらハルトは僕があの時に魔女と戦っていた人物だという事を思い出してくれたらしい。
それなら話が早いね。
「僕は魔法騎士だから! 心配しないで?」
僕はボロボロのハルトを安心させるために殊更ゆっくりと、力強くそう伝えた。
自分でいうのはちょっと恥ずかしいけど、そうすれば少しは安心させられるだろうから。
「じゃあみんな、僕が先に行くから援護をッ!」
「分かりましたわ!」
「やっちゃうよー」
了解を貰った僕は、スライムに向けて一気に駆け出した。
どうやらハルトを吹っ飛ばしたあとに倒れている冒険者を捕食しに向かっていたらしい。
動きが遅かったから助かったね。
「お前の相手はこの僕だぁ!」
槍を魔法で包みこんで、体の中に薄っすらと見える赤い宝石に向けて突き込んだ。
しかしスライムはそんな僕の行動などお見通し、とでもいうような行動を取った。
「何っ!?」
完全に捉えた、と思ったその攻撃はスライムが核となる宝石を体の中でぐるりと動かす事で回避されたのだ。
粘体の体は槍の攻撃で少しは吹き飛んだものの、ノーダメージといったところだろうか。
お返しとばかりに振るわれた触手は、僕のアイギスに触れると衝撃だけを残して弾け飛んだ。
僕はその衝撃に逆らわないように、自分から飛ぶことで横にズレると、そこに後ろの二人から援護射撃が殺到した。
「……!!」
スライムは突然の魔法攻撃に身を捩っている。どうやら効いているようだ。
後ろではセイラさんがハルトに回復魔法をかけてくれているだろうから、このまま少しずつ削っていけば……ってなんだか異常に体が萎んでいないか!?
目の前にいるスライムはさっきまでの半分くらいの大きさになっていた。
もしかしてすぐに削り切れるんじゃ?なんて思った僕の耳に可愛らしい悲鳴が届いた。
「キャッ」
「やだッ」
そんな二つの悲鳴はマルグリッドさんとアイヴィのものだった。
何が……と振り返ると二人はスライムの触手に捕まっているようだった。
よく見ると、僕の視界に入らないように地面に触手を薄く伸ばしていたらしい。
先に魔法を使う二人を始末しようとしたのかもしれない。
「くそっ、二人を離せッ」
僕は後方の二人のところまで駆けると、二人を拘束していた触手を一息で断ち切った。
「二人とも大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですわ」
「うん、ありがとう……ってイニスッ!」
振り返った時にはもう遅かった。
僕の体はアイギスごとスライムの体に飲まれてしまったのだ。
このまま僕を消化するつもりか!?
「ぐッ……息が……」
スライムの粘液ごしに見える二人は、僕が中に飲まれた事で魔法攻撃が出来ないでいる。
このままだと僕は息が出来なくて死んでしまうかもしれない。
そんな状況に動揺して、僕は上手く魔力を練ることが出来なかった。
本当にこのままでは……少しずつ目の前が白くなっていくのを感じた。
——その時だった。
「うおぉぉぉらぁぁぁ!!」
そんな激烈な叫び声がスライムの中からも聞こえた。
諦めかけていた僕はその声で引き戻されるようにして意識を覚醒させる。
どうやら誰かが……いや、ハルトが回復して戦線に戻ってきたようだった。
「疾風連牙ッ!!」
ハルトはそんな叫びとともにスキルを発動させたようだった。
あいつ、そんなスキルも使えるようになっていたのか。
そのスキルは少しずつ確実にスライムの体を削っていっているようだ。
そして最後の一振りで僕の周囲が一瞬スライムから開放された。
「掴まれッ!」
そんなハルトの声に僕は手を動かした。
まるで恋する姫のようにその手をただひたすらに求めた。
「よし、引っ張るぞッ!」
ハルトが力任せに引っ張ると、僕はなんとかスライムの中から脱出する事が出来た。
「魔女さん、今のうちに頼む!」
ハルトが振り返ってそういうと、マルグリッドさんとアイヴィの魔法が飛んできた。
その魔法はハルトがたった今、むき出しにしたその赤い宝石を見事に砕いた。
そしてそれはスライムにとっての致命傷となった。
「大丈夫だったか!? 確かイニス、だったっけ?」
「う、うん。僕は……大丈夫。助けてくれてありがとう」
「いやそれはこちらこそ……ッ!? ごめんっ! ちょっと仲間の様子、見てくるわ」
そういうとハルトは顔を赤くすると、僕から目を逸しながら離れていった。
どうしたんだろう、と自分を見てみると僕の服、というか全身はスライムの粘液でヌルヌルのべったべたになっていた。
なるほど、扇情的な見た目だったからハルトは直視できなかったんだね。
ふふ、中身は僕だってのに。うい奴よ。
結局、ハルトの冒険者仲間も意識を失っているだけだったようで、なんとか全員無事だったようだ。よかった。
帰り道でさっき倒したゴブリンの耳を誰が削ぐか相談していると、ハルトと意識が戻った仲間達がやってきて、ささっと切り取って渡してくれた。
街に戻ったら今日のお礼をするっていっていたけど、僕たちにとってのお礼はこれで十分すぎるくらいだった。
むしろこっちがお礼をしたいくらいだよ。
こうしてはじめての校外実戦はなんとか依頼達成という事になった。
ちなみに水場の音だと思っていたのはスライムの移動音だったらしく、実は水場が近くになかったから、僕はヌルヌルべたべたしたままで王都まで戻る事になってしまった。
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