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3話「エルフって枯れるんだ......」
しおりを挟む「いや、ほらほら。エルフだよ!長生きなの!こう見えて君らの数百万倍生きてるから!」
「へぇ、そりゃずいぶんと徳の高いエルフ様って訳かい。......ところでなぁ、嬢ちゃん。老年のエルフは人間の生存域には入れない、って知ってるか?」
人間の生存域には入れない......だって?そんなの聞いたことないし、王宮でも教えられなかったぞ?
「──マジで?」
「ああ、マジで。もし嬢ちゃんが年だけ食ったババアだったらな、山を下りた辺りで気分が悪くなって、しばらくは大丈夫だが町に入った瞬間に枯れてるんだぜ?それはそれはもう、カラッカラにな」
「カラッ、カラ──」
まだ人間だったころ、何度か枯れた木を見たことがある。
灰になるかのように、風前の灯をも感じさせない純然たる白が幹を染め上げ。かつては新緑に溢れていた枝は項垂れるかのように下を向き。
やがて来る完全なる沈黙を求めて、それだけが残された最後の希望と言わんばかりに眠るようにしてそびえ立つ。
寂しそうに、ただ、森の未来を憂うように、見守るように、そびえ立つ。
と、まぁそんな光景が脳裏に過った。それはそれでなんだかハッピーエンドのような、有意義な死にかたのような。不思議な気分になった。エルフになった影響だろうか。
「だがまぁ......それでも、っつーんならギルドとしても条件がある」
「しゃっ!なんでも来い!」
「ん?今なんでもって──いや、スマン冗談だ。睨むな睨むな、おお怖い。それで条件なんだが......」
ニヤリ、と三日月に口を歪ませ意地汚くこう言ってきた。
「試験官とバトルして見事勝利して見せたら──年齢制限と身長制限を、うっかり見逃してしまうかもしれねぇな~?」
...ハッ。本当にいい性格してやがるぜ、このおっさん。
「ああ......その条件、受けて立つ!」
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