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その二十七 断罪
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ジルベール様がウィルの前に歩み出る。
「君は確か……」
「はい、司書官のジルベール・バローです。この女性、マリー・シュバリエ様は書庫利用者のため、本当に一生懸命頑張ってくださいました!」
「それは司書官である君を支え、ともに国家のために働いたということで間違いないか?」
「はい、そうです!」
「うむ。書庫での最近の取り組みは、執事から詳しく聞いている」
「私から執事のロラン・ギャフシャ様に、逐次ご報告させていただきました」
ロラン様は私を司書官手伝いとして手配されただけでなく、その後の様子まで細かく報告を受けていたようだ。
ウィルが腹の出た中年事務官に冷たい視線を送る。
「司書官が本の返却促進と国家業務の効率化に取り組んでいる、そう執事から報告を受けた。それは詳しく聞かねばと書庫へ行くと、この部署で作業中とメモがあったのだ。だがだ! 来てみれば一体どうだッ⁉」
「ひぃッ!」
ウィルの叱責に、中年事務官の悲鳴にも似た声が漏れる。
未来の国王、第一王子様であるウィルからの叱責、しかも彼は長身で体格もよく威圧感も凄い。
ふてぶてしかった中年事務官が、ガタガタと震えだした。
「ロラン! 実際のふたりの仕事ぶりはどうか?」
「はい、要約を作成して本に付随させ、内容把握を容易にするとともに、目録を作成して本棚から探しやすくする、いずれも素晴らしい対処です。現物を拝見しましたが、非常によい仕事だと感じました」
ウィルがロラン様の説明に小さくうなずくと、私の肩に手をかける。
「マリー、君はバロー司書官とともに良い仕事をした。国家業務の改善に尽力してくれた。礼を言う」
「は、はい。王子殿下、ありがとう存じます」
「さあ、マリー。これで涙を拭いて」
「すみません。お借りします」
もうすでに涙は止まっていたけど、ウィルの優しさがとても嬉しくて、ありがたくハンカチーフを受け取る。
様子を見ていた中年事務官は、私と彼を交互に見てから何かを悟ったのか顔色を真っ青にした。
きっとウィルが人目も気にせず、私を下の名前で呼び捨てしていると気づいたからだろう。
「人事部署長。本の返却を願うふたりに改善を要請しておきながら、その仕事を認めず一向に本を返却しないのは、一体どういうことか?」
「わ、私だって仕事が完了したら、主張を認めるつもりだったんですよ? だ、だけど急にマチルド・デハンジェ様がやって来て、言う通りにしないと酷い目にあわせると脅すから……」
なぜここでマチルド様の名前が出るのか。
「ふう。また彼女か。彼女の主張は私の意に沿わない。彼女は婚約者候補であってまだ何の立場にもないし、そもそも、それが借りた本を返さない理由にはならない」
「すすす、すみません。すぐ本を返却します!」
「それだけじゃない。仕事に励む女性に対し、人の上に立つ者としてあるまじき行為をしていないか?」
「へ? んん? あっ! い、いやそんなことは……」
ウィルが問い詰めると、中年事務官が必死の形相で否定した。
彼が私のそばにしゃがんで優しく聞いてくれる。
「マリー、彼に嫌なことをされていないか?」
……された。
凄くされた。
仕事でおとしめられたのも嫌だったけど、もっと女性の尊厳を傷つけることをされた。
でも私の口から何をされたかなんて、ウィルに告白したくない。
下位でも私は貴族の子女。どんな性的な行為をされたのか、みんなの前で説明するなど恥ずかしくてできない。
また悔しい想いがよみがえり、じわりと視界が涙でにじむ。
私が黙り込むと、急にこちらを伺う事務官のひとりが声をあげる。
「部署長はマリーちゃんのお尻を触っていました!」
誰かの声を皮切りに次々と声が上がる。
「ここで作業するのを条件に給仕を要求して、彼女が給仕で席を立つたびにお尻を触っていました!」
「片づけのときもお尻を触っていました!」
「毎日毎日、何回も彼女のお尻を触っていました!」
私は自分では言えないことをみんなが言ってくれたと感謝する一方、お尻を触られたと連呼されて異常なほどの羞恥を感じた。おかげで涙は止まったけど、今度は有り得ないほど顔が熱くなって両手で顔を覆う。
きっと事務官の男性たちは、私を思って言ってくれているのだろう。
だけど、正直もうこれ以上は勘弁して欲しい。
「お、お前ら、やめろっ!」
中年事務官が大声を出して部下の声をかき消す。
それをひとにらみしたウィルはもう一度私に聞く。
「うなずくだけでいい。マリー、されたのか?」
優しく問いかけられて、顔を隠していた両手を下にずらし、目だけ彼に見せてから小さくうなずいた。
私の目を見たウィルも小さくうなずいてくれた。
彼は立ち上がると、中年事務官に向かって軽蔑した眼差しを向ける。
「部署長、貴殿の職を解く。いますぐ出て行け! 女性を恥ずかしめて尊厳を傷つけ、まともに仕事の評価もせずに嫌がらせをする奴は不要だ。まだ働きたいなら門番に推薦してやる。嫌なら退官しろッ!」
ウィルが冷たく吐き捨てると、震え続けた中年事務官はついに限界が来たのか、床へガクンとひざを突いた。
ロラン様がウィルに近寄る。
「ウィリアム様、今後の書庫の扱いも」
「そうだな。みな聞いてくれ。追って通達するが、今後は書庫をこの人事部署の管理下におく。ジルベール・バロー、人事部署の所属に戻って書庫の統括管理をせよ」
「わ、私は人事部署に戻ってもよいのでしょうか?」
「うむ。働きはロランから聞いている。君に司書を数人つけるから、人事部署の所属として今後も本の要約作成を続けて欲しい。資料提供の観点から、国家業務の効率化に貢献することを期待する」
「あ、あ……ありがとう……ございます!」
それまで黙っていたロラン様が動き出す。
「部署長はウィリアム様の指示に従い、早く退出するように。さあ、みなさんは業務に戻ってください」
ロラン様は腹の出た中年事務官を部屋から追い出すと、ほかの事務官たちに新たな役職を指示して仕事を再開するようにうながす。
ウィルはジルベール様としばらく何か話したあと、表情を緩めてこちらへやってきた。
「マリー、少し話そう。来て欲しい」
さっと私の腕を掴まれ、部屋の外へ連れ出された。
ロラン様が部屋にいたまま扉を閉めたので、廊下にはウィルと私のふたりだけになる。
「マリー、ごめん。来るのが遅れてすまなかった」
「いいえ、ウィル! 来てくれて……嬉しかった」
私が感極まって再び涙を流すと、彼は黙って優しく抱きしめてくれた。
大好きな彼が私を助けに来てくれて。
ロラン様がみんなの前で仕事の評価をしてくれて。
みんなが私の受けた屈辱を告げてくれて。
そして、バロー様が認められて元の部署に戻れて。
これ以上ない喜びに、私は彼の胸で泣いた。
ウィルは泣きじゃくる私を優しく抱きしめてくれた。
しばらくして落ち着いて、彼の胸から離れたときだった。
「ちょっと、あなた! マリー・シュバリエですね! いまウィリアム様と一体何を⁉」
声がして振り向くと、廊下の先には険しい表情のマチルド様が立っていた。
「君は確か……」
「はい、司書官のジルベール・バローです。この女性、マリー・シュバリエ様は書庫利用者のため、本当に一生懸命頑張ってくださいました!」
「それは司書官である君を支え、ともに国家のために働いたということで間違いないか?」
「はい、そうです!」
「うむ。書庫での最近の取り組みは、執事から詳しく聞いている」
「私から執事のロラン・ギャフシャ様に、逐次ご報告させていただきました」
ロラン様は私を司書官手伝いとして手配されただけでなく、その後の様子まで細かく報告を受けていたようだ。
ウィルが腹の出た中年事務官に冷たい視線を送る。
「司書官が本の返却促進と国家業務の効率化に取り組んでいる、そう執事から報告を受けた。それは詳しく聞かねばと書庫へ行くと、この部署で作業中とメモがあったのだ。だがだ! 来てみれば一体どうだッ⁉」
「ひぃッ!」
ウィルの叱責に、中年事務官の悲鳴にも似た声が漏れる。
未来の国王、第一王子様であるウィルからの叱責、しかも彼は長身で体格もよく威圧感も凄い。
ふてぶてしかった中年事務官が、ガタガタと震えだした。
「ロラン! 実際のふたりの仕事ぶりはどうか?」
「はい、要約を作成して本に付随させ、内容把握を容易にするとともに、目録を作成して本棚から探しやすくする、いずれも素晴らしい対処です。現物を拝見しましたが、非常によい仕事だと感じました」
ウィルがロラン様の説明に小さくうなずくと、私の肩に手をかける。
「マリー、君はバロー司書官とともに良い仕事をした。国家業務の改善に尽力してくれた。礼を言う」
「は、はい。王子殿下、ありがとう存じます」
「さあ、マリー。これで涙を拭いて」
「すみません。お借りします」
もうすでに涙は止まっていたけど、ウィルの優しさがとても嬉しくて、ありがたくハンカチーフを受け取る。
様子を見ていた中年事務官は、私と彼を交互に見てから何かを悟ったのか顔色を真っ青にした。
きっとウィルが人目も気にせず、私を下の名前で呼び捨てしていると気づいたからだろう。
「人事部署長。本の返却を願うふたりに改善を要請しておきながら、その仕事を認めず一向に本を返却しないのは、一体どういうことか?」
「わ、私だって仕事が完了したら、主張を認めるつもりだったんですよ? だ、だけど急にマチルド・デハンジェ様がやって来て、言う通りにしないと酷い目にあわせると脅すから……」
なぜここでマチルド様の名前が出るのか。
「ふう。また彼女か。彼女の主張は私の意に沿わない。彼女は婚約者候補であってまだ何の立場にもないし、そもそも、それが借りた本を返さない理由にはならない」
「すすす、すみません。すぐ本を返却します!」
「それだけじゃない。仕事に励む女性に対し、人の上に立つ者としてあるまじき行為をしていないか?」
「へ? んん? あっ! い、いやそんなことは……」
ウィルが問い詰めると、中年事務官が必死の形相で否定した。
彼が私のそばにしゃがんで優しく聞いてくれる。
「マリー、彼に嫌なことをされていないか?」
……された。
凄くされた。
仕事でおとしめられたのも嫌だったけど、もっと女性の尊厳を傷つけることをされた。
でも私の口から何をされたかなんて、ウィルに告白したくない。
下位でも私は貴族の子女。どんな性的な行為をされたのか、みんなの前で説明するなど恥ずかしくてできない。
また悔しい想いがよみがえり、じわりと視界が涙でにじむ。
私が黙り込むと、急にこちらを伺う事務官のひとりが声をあげる。
「部署長はマリーちゃんのお尻を触っていました!」
誰かの声を皮切りに次々と声が上がる。
「ここで作業するのを条件に給仕を要求して、彼女が給仕で席を立つたびにお尻を触っていました!」
「片づけのときもお尻を触っていました!」
「毎日毎日、何回も彼女のお尻を触っていました!」
私は自分では言えないことをみんなが言ってくれたと感謝する一方、お尻を触られたと連呼されて異常なほどの羞恥を感じた。おかげで涙は止まったけど、今度は有り得ないほど顔が熱くなって両手で顔を覆う。
きっと事務官の男性たちは、私を思って言ってくれているのだろう。
だけど、正直もうこれ以上は勘弁して欲しい。
「お、お前ら、やめろっ!」
中年事務官が大声を出して部下の声をかき消す。
それをひとにらみしたウィルはもう一度私に聞く。
「うなずくだけでいい。マリー、されたのか?」
優しく問いかけられて、顔を隠していた両手を下にずらし、目だけ彼に見せてから小さくうなずいた。
私の目を見たウィルも小さくうなずいてくれた。
彼は立ち上がると、中年事務官に向かって軽蔑した眼差しを向ける。
「部署長、貴殿の職を解く。いますぐ出て行け! 女性を恥ずかしめて尊厳を傷つけ、まともに仕事の評価もせずに嫌がらせをする奴は不要だ。まだ働きたいなら門番に推薦してやる。嫌なら退官しろッ!」
ウィルが冷たく吐き捨てると、震え続けた中年事務官はついに限界が来たのか、床へガクンとひざを突いた。
ロラン様がウィルに近寄る。
「ウィリアム様、今後の書庫の扱いも」
「そうだな。みな聞いてくれ。追って通達するが、今後は書庫をこの人事部署の管理下におく。ジルベール・バロー、人事部署の所属に戻って書庫の統括管理をせよ」
「わ、私は人事部署に戻ってもよいのでしょうか?」
「うむ。働きはロランから聞いている。君に司書を数人つけるから、人事部署の所属として今後も本の要約作成を続けて欲しい。資料提供の観点から、国家業務の効率化に貢献することを期待する」
「あ、あ……ありがとう……ございます!」
それまで黙っていたロラン様が動き出す。
「部署長はウィリアム様の指示に従い、早く退出するように。さあ、みなさんは業務に戻ってください」
ロラン様は腹の出た中年事務官を部屋から追い出すと、ほかの事務官たちに新たな役職を指示して仕事を再開するようにうながす。
ウィルはジルベール様としばらく何か話したあと、表情を緩めてこちらへやってきた。
「マリー、少し話そう。来て欲しい」
さっと私の腕を掴まれ、部屋の外へ連れ出された。
ロラン様が部屋にいたまま扉を閉めたので、廊下にはウィルと私のふたりだけになる。
「マリー、ごめん。来るのが遅れてすまなかった」
「いいえ、ウィル! 来てくれて……嬉しかった」
私が感極まって再び涙を流すと、彼は黙って優しく抱きしめてくれた。
大好きな彼が私を助けに来てくれて。
ロラン様がみんなの前で仕事の評価をしてくれて。
みんなが私の受けた屈辱を告げてくれて。
そして、バロー様が認められて元の部署に戻れて。
これ以上ない喜びに、私は彼の胸で泣いた。
ウィルは泣きじゃくる私を優しく抱きしめてくれた。
しばらくして落ち着いて、彼の胸から離れたときだった。
「ちょっと、あなた! マリー・シュバリエですね! いまウィリアム様と一体何を⁉」
声がして振り向くと、廊下の先には険しい表情のマチルド様が立っていた。
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