24 / 28
その二十四 パワハラとセクハラ
しおりを挟む
「司書官のジルベール・バローです。書籍の返却をお願いします!」
ふたりで人事部署へ訪れると、ジルベール様が室内に向けて声を発した。
仕事中の官僚たちがいっせいにこちらを向く。
ジルベール様に対する彼らの視線は、嘲笑するものでも卑下するものでもない。
ただ、心配そうに彼を見やっていた。
そこへ腹の出た中年事務官がやってくる。
「ふん、バローか。もう人事部署とは何の関係もないはずだ。貴様にお似合いの司書官に推薦してやっただろうが!」
「そ、それがその……。今日は貸し出し本の返却をお願いに参りまして……」
「何だと? 貴様、まさかこの俺に要求がある訳じゃないよな?」
「いや、要求というか、本の返却を……」
ただ自分たちが本を返却しないだけ。
なのに、この中年事務官の態度はなんなのか。
「いいか、バロー。本を本棚ごと借りているのも、すぐ返せないのも、全部お前が悪いんだよ」
「な、なぜです?」
「どの本がどこにあるか、探しにくいからだ」
「そんな理由って……」
筋の通らない主張だが、中年事務官は得意げな顔をしてチッチッチと指を振った。
「返却要請書まで送りつけて正当性を主張するつもりだろうが、そもそも本が探しにくいから本棚ごと借りるハメになっている」
「確かに探しにくいですが……」
「そして、必要な本かどうかは中身を確認しないと分からない。いちいち中身を確認するから時間がかかる」
「本棚全部の本ですし、時間はかかると思います」
「だから返却が遅れているんだ! お前は返せ返せと自分の正当性を主張するばかりで、利用者に配慮していない。書庫や本を利用しやすくする努力をしておらんな」
やはりこの元上司の主張はおかしい。
本の探しやすさや書庫の利便性が悪いからと言って、返却期限を過ぎてもいいとはならない。
もっともらしいことを言って、単にこじつけを通そうとしている。
それでも相手は職責、年齢ともに上。
貴族位は不明だけど、この態度と役職からしてジルベール様より上の貴族かもしれない。
過去にジルベール様とは因縁もあったし……。
なら返却の要求は、理不尽といえるこのこじつけを解決してからにすべきだろう。
「で、では私はこれで……」
ジルベール様があっさり引き下がろうとしたので、私が前へ出る。
こんな理不尽にひるむものですか!
私は下位貴族の孫娘でおまけにメイド。
出世も関係ないから引き下がりはしない!
「私はバロー様の下で働く司書官手伝い、マリー・シュバリエです」
「ん? 格好からして、ただのメイドだろう?」
「メイドですけど、いまは司書官手伝いです!」
私が名乗ると、中年事務官は私の体を上から下までじろじろ見てにやりと笑う。
「さては男を漁るため、バローについてきたか?」
気持ちの悪い下種な笑みを浮かべた。
「違いますっ! では早速利用し易くするので本を返却してください!」
身震いしながらも訴えると、男は首を横に振る。
「だめだ。本はいまも使っている。だが、お嬢ちゃんがここで作業するのは許してやるぞ?」
「私がここで、作業すればいいんですね?」
確認すると中年事務官がゲラゲラと笑った。
「ちょうど職場に女っ気が欲しかったんだ。まずは、お茶でも淹れてもらおうか」
要はこの職場でメイドとして働けということだ。
気色悪い人だけど、仕事をやり遂げるためにはそのくらい大したことじゃない。
「お茶を淹れるくらいかまいません。ジルベール様、やりましょう!」
「ええ⁉ あの、本気ですか⁉ ここで給仕するとか、絶対に嫌な思いをしますよ?」
「大丈夫! 仕事のためです!」
「マリー様がよろしいのでしたら……。では、本の中身を分かり易くするため、内容をざっと確認して、本に要約を付けましょう」
「それではまず、この場で本の中身の確認ですね?」
「貸し出し本は二百冊を超えます。毎日ふたりで作業しても十日はかかるでしょう。ですが、マリー様の任期は今日も入れてもあと五日しかありません」
忘れていた。司書官手伝いは今週末までの期間限定だった。
(こうなったら、仕方がないわ。本気を出すしかないようね!)
私が気合を入れて拳を握ると、中年事務官はそれを見てバカにするような含み笑いを浮かべた。
この男を見ると腹が立つので、視界に入らないようにする。
ジルベール様と使われていない本を集めて、空いている机に積んだ。
「マリー様。目次のある本は多少中身を見れば、すぐ要約を書けそうです」
「ジルベール様。すみませんが、本の内容を把握したらメモを書きますので、それを要約にまとめていただけますか? 私は分かりやすい要約を書ける自信がなくて……」
自分の日記で頭をひねる私に、官僚向けの要約を書くのは難しい。
でも、私にだって読むくらいはできる。
読む方に徹すれば少しは役に立てるはず。
「分かりました。要約は私が書きましょう! そうですね、二部作って一部を本に貼り付け、もう一部を台帳に綴じれば、台帳からも探せるようになります!」
「ジルベール様、それはいいですね! あ、実は私、読むだけならスピードに自信があります。ですから、ジルベール様は、目次のある本だけ担当してください。私は目次のない本の見出しをメモします」
今日はまだ昼まで数時間ある。
早速、全力全開でぶっ飛ばしてやるわ!
私は机に向かうと、目をつむり胸に手を当てる。
「時間よ早まれ。アート!」
たちまち私の体は緋色に輝いて、となりのジルベール様の動きが遅くなった。
少し遅れて彼の驚く様子が見えたが「後で説明します」と伝えて本を手に取る。
全神経を集中してページをめくり、章立てと小見出しを順にメモしていく。
ジルベール様に文章で内容を上手く伝える自信がないので、目次を作って最後に本の結論だけ書いた。
彼がそのメモを見て笑顔でOKサインを出す。
フフフ。
いかに少ない労力で結果を出すか、文章は不得意でも効率的な仕事には自信がある。
「さあ、調子が出てきたわ! あっという間に終わらせてやるんだから!」
意気込んだところで肩に手を掛けられた。
「きゃっ」
触り方に撫でるような気味の悪さを感じて振り返ると、あの中年事務官が後ろに立ってニヤニヤしている。
「さあ、お嬢ちゃん。お茶を淹れておくれ」
そうだった。
こいつの要望にもこたえなきゃダメなんだった。
胸に手を当てて魔法を解除すると、机から離れて急いで茶器を準備する。
幸いにも部屋の薪ストーブで湯を沸かせるので、厨房から湯を持ってこなくていい。
やかんをストーブに載せたところで、お尻に不自然な感触があった。
「きゃあ!」
「ふむ。見た目も結構イイが、尻はさらにイイな!」
あごに手を当てたあの中年事務官が、唇をまくり上げて歯ぐきを見せた。
(いまの何! どういうこと⁉ さ、最悪! お尻を触られたわ! でも、せっかく仕事をこなせるこの状況で、この人の機嫌を損ねて追い出されては困るし……)
恥ずかしさと悔しさで奴をにらむと「恥ずかしがるところがイイ」と言われた。
屈辱でどうにかなりそうになったところで、ジルベール様が立ち上がる。
「マリー様に手を出すのは、おやめください!」
「マリー様? お前ずいぶんこのメイドに馴れ馴れしいな。婚約解消になったと聞いたが、なるほど、もうメイドに手を出したのか」
「違います! そんなことはしません」
「なら、誰が手を出してもいいではないか」
「ダメです! その人に手を出しては! だってその人は――」
「ジルベール様ッ!」
私は貴族子女にはそぐわない大声で彼を制した。
ジルベール様に視線を合わせて首を横に振る。
こいつの機嫌を損ねて私たちがここから追い出されれば、本棚ごと借りられた二百冊を超える本の返却が叶わなくなる。
それにジルベール様が言おうとしたのは、きっと「殿下の特別な人」だと思う。
でも本当はただの幼馴染み。
第一王子様の幼馴染みはそれなりに凄いことだけど、私自身に爵位がある訳でもなんでもない。
ばかな貴族が「私は王様と懇意にしている」と自分からアピールするのと変わらない。
「ほうほう、威勢がいいな。この娘は世の中の仕組みを分かっているようだ。ほれ」
「きゃあ」
直後、またも中年事務官にお尻を触られた。
(もう! どうしてお尻を触るの? みんなの前で恥ずかしすぎるよ。ウィルにすら触られたことはないのに……)
もう触られないように、大急ぎでジルベール様の横に戻って椅子に座る。
奴を横目でひとにらみしてから、自分に魔法をかけて作業を再開した。
時間が無いので一分も無駄にできない。
お尻の件は悔しいけど気にする余裕なんていないのだ。
それからは連日、お茶の準備やあと片付けで立ち上がるたびにお尻を触られるという、私史上最悪な職場体験をして最後の五日目を迎えた。
ふたりで人事部署へ訪れると、ジルベール様が室内に向けて声を発した。
仕事中の官僚たちがいっせいにこちらを向く。
ジルベール様に対する彼らの視線は、嘲笑するものでも卑下するものでもない。
ただ、心配そうに彼を見やっていた。
そこへ腹の出た中年事務官がやってくる。
「ふん、バローか。もう人事部署とは何の関係もないはずだ。貴様にお似合いの司書官に推薦してやっただろうが!」
「そ、それがその……。今日は貸し出し本の返却をお願いに参りまして……」
「何だと? 貴様、まさかこの俺に要求がある訳じゃないよな?」
「いや、要求というか、本の返却を……」
ただ自分たちが本を返却しないだけ。
なのに、この中年事務官の態度はなんなのか。
「いいか、バロー。本を本棚ごと借りているのも、すぐ返せないのも、全部お前が悪いんだよ」
「な、なぜです?」
「どの本がどこにあるか、探しにくいからだ」
「そんな理由って……」
筋の通らない主張だが、中年事務官は得意げな顔をしてチッチッチと指を振った。
「返却要請書まで送りつけて正当性を主張するつもりだろうが、そもそも本が探しにくいから本棚ごと借りるハメになっている」
「確かに探しにくいですが……」
「そして、必要な本かどうかは中身を確認しないと分からない。いちいち中身を確認するから時間がかかる」
「本棚全部の本ですし、時間はかかると思います」
「だから返却が遅れているんだ! お前は返せ返せと自分の正当性を主張するばかりで、利用者に配慮していない。書庫や本を利用しやすくする努力をしておらんな」
やはりこの元上司の主張はおかしい。
本の探しやすさや書庫の利便性が悪いからと言って、返却期限を過ぎてもいいとはならない。
もっともらしいことを言って、単にこじつけを通そうとしている。
それでも相手は職責、年齢ともに上。
貴族位は不明だけど、この態度と役職からしてジルベール様より上の貴族かもしれない。
過去にジルベール様とは因縁もあったし……。
なら返却の要求は、理不尽といえるこのこじつけを解決してからにすべきだろう。
「で、では私はこれで……」
ジルベール様があっさり引き下がろうとしたので、私が前へ出る。
こんな理不尽にひるむものですか!
私は下位貴族の孫娘でおまけにメイド。
出世も関係ないから引き下がりはしない!
「私はバロー様の下で働く司書官手伝い、マリー・シュバリエです」
「ん? 格好からして、ただのメイドだろう?」
「メイドですけど、いまは司書官手伝いです!」
私が名乗ると、中年事務官は私の体を上から下までじろじろ見てにやりと笑う。
「さては男を漁るため、バローについてきたか?」
気持ちの悪い下種な笑みを浮かべた。
「違いますっ! では早速利用し易くするので本を返却してください!」
身震いしながらも訴えると、男は首を横に振る。
「だめだ。本はいまも使っている。だが、お嬢ちゃんがここで作業するのは許してやるぞ?」
「私がここで、作業すればいいんですね?」
確認すると中年事務官がゲラゲラと笑った。
「ちょうど職場に女っ気が欲しかったんだ。まずは、お茶でも淹れてもらおうか」
要はこの職場でメイドとして働けということだ。
気色悪い人だけど、仕事をやり遂げるためにはそのくらい大したことじゃない。
「お茶を淹れるくらいかまいません。ジルベール様、やりましょう!」
「ええ⁉ あの、本気ですか⁉ ここで給仕するとか、絶対に嫌な思いをしますよ?」
「大丈夫! 仕事のためです!」
「マリー様がよろしいのでしたら……。では、本の中身を分かり易くするため、内容をざっと確認して、本に要約を付けましょう」
「それではまず、この場で本の中身の確認ですね?」
「貸し出し本は二百冊を超えます。毎日ふたりで作業しても十日はかかるでしょう。ですが、マリー様の任期は今日も入れてもあと五日しかありません」
忘れていた。司書官手伝いは今週末までの期間限定だった。
(こうなったら、仕方がないわ。本気を出すしかないようね!)
私が気合を入れて拳を握ると、中年事務官はそれを見てバカにするような含み笑いを浮かべた。
この男を見ると腹が立つので、視界に入らないようにする。
ジルベール様と使われていない本を集めて、空いている机に積んだ。
「マリー様。目次のある本は多少中身を見れば、すぐ要約を書けそうです」
「ジルベール様。すみませんが、本の内容を把握したらメモを書きますので、それを要約にまとめていただけますか? 私は分かりやすい要約を書ける自信がなくて……」
自分の日記で頭をひねる私に、官僚向けの要約を書くのは難しい。
でも、私にだって読むくらいはできる。
読む方に徹すれば少しは役に立てるはず。
「分かりました。要約は私が書きましょう! そうですね、二部作って一部を本に貼り付け、もう一部を台帳に綴じれば、台帳からも探せるようになります!」
「ジルベール様、それはいいですね! あ、実は私、読むだけならスピードに自信があります。ですから、ジルベール様は、目次のある本だけ担当してください。私は目次のない本の見出しをメモします」
今日はまだ昼まで数時間ある。
早速、全力全開でぶっ飛ばしてやるわ!
私は机に向かうと、目をつむり胸に手を当てる。
「時間よ早まれ。アート!」
たちまち私の体は緋色に輝いて、となりのジルベール様の動きが遅くなった。
少し遅れて彼の驚く様子が見えたが「後で説明します」と伝えて本を手に取る。
全神経を集中してページをめくり、章立てと小見出しを順にメモしていく。
ジルベール様に文章で内容を上手く伝える自信がないので、目次を作って最後に本の結論だけ書いた。
彼がそのメモを見て笑顔でOKサインを出す。
フフフ。
いかに少ない労力で結果を出すか、文章は不得意でも効率的な仕事には自信がある。
「さあ、調子が出てきたわ! あっという間に終わらせてやるんだから!」
意気込んだところで肩に手を掛けられた。
「きゃっ」
触り方に撫でるような気味の悪さを感じて振り返ると、あの中年事務官が後ろに立ってニヤニヤしている。
「さあ、お嬢ちゃん。お茶を淹れておくれ」
そうだった。
こいつの要望にもこたえなきゃダメなんだった。
胸に手を当てて魔法を解除すると、机から離れて急いで茶器を準備する。
幸いにも部屋の薪ストーブで湯を沸かせるので、厨房から湯を持ってこなくていい。
やかんをストーブに載せたところで、お尻に不自然な感触があった。
「きゃあ!」
「ふむ。見た目も結構イイが、尻はさらにイイな!」
あごに手を当てたあの中年事務官が、唇をまくり上げて歯ぐきを見せた。
(いまの何! どういうこと⁉ さ、最悪! お尻を触られたわ! でも、せっかく仕事をこなせるこの状況で、この人の機嫌を損ねて追い出されては困るし……)
恥ずかしさと悔しさで奴をにらむと「恥ずかしがるところがイイ」と言われた。
屈辱でどうにかなりそうになったところで、ジルベール様が立ち上がる。
「マリー様に手を出すのは、おやめください!」
「マリー様? お前ずいぶんこのメイドに馴れ馴れしいな。婚約解消になったと聞いたが、なるほど、もうメイドに手を出したのか」
「違います! そんなことはしません」
「なら、誰が手を出してもいいではないか」
「ダメです! その人に手を出しては! だってその人は――」
「ジルベール様ッ!」
私は貴族子女にはそぐわない大声で彼を制した。
ジルベール様に視線を合わせて首を横に振る。
こいつの機嫌を損ねて私たちがここから追い出されれば、本棚ごと借りられた二百冊を超える本の返却が叶わなくなる。
それにジルベール様が言おうとしたのは、きっと「殿下の特別な人」だと思う。
でも本当はただの幼馴染み。
第一王子様の幼馴染みはそれなりに凄いことだけど、私自身に爵位がある訳でもなんでもない。
ばかな貴族が「私は王様と懇意にしている」と自分からアピールするのと変わらない。
「ほうほう、威勢がいいな。この娘は世の中の仕組みを分かっているようだ。ほれ」
「きゃあ」
直後、またも中年事務官にお尻を触られた。
(もう! どうしてお尻を触るの? みんなの前で恥ずかしすぎるよ。ウィルにすら触られたことはないのに……)
もう触られないように、大急ぎでジルベール様の横に戻って椅子に座る。
奴を横目でひとにらみしてから、自分に魔法をかけて作業を再開した。
時間が無いので一分も無駄にできない。
お尻の件は悔しいけど気にする余裕なんていないのだ。
それからは連日、お茶の準備やあと片付けで立ち上がるたびにお尻を触られるという、私史上最悪な職場体験をして最後の五日目を迎えた。
7
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
白い結婚がいたたまれないので離縁を申し出たのですが……。
蓮実 アラタ
恋愛
その日、ティアラは夫に告げた。
「旦那様、私と離縁してくださいませんか?」
王命により政略結婚をしたティアラとオルドフ。
形だけの夫婦となった二人は互いに交わることはなかった。
お飾りの妻でいることに疲れてしまったティアラは、この関係を終わらせることを決意し、夫に離縁を申し出た。
しかしオルドフは、それを絶対に了承しないと言い出して……。
純情拗らせ夫と比較的クール妻のすれ違い純愛物語……のはず。
※小説家になろう様にも掲載しています。
貴方を捨てるのにこれ以上の理由が必要ですか?
蓮実 アラタ
恋愛
「リズが俺の子を身ごもった」
ある日、夫であるレンヴォルトにそう告げられたリディス。
リズは彼女の一番の親友で、その親友と夫が関係を持っていたことも十分ショックだったが、レンヴォルトはさらに衝撃的な言葉を放つ。
「できれば子どもを産ませて、引き取りたい」
結婚して五年、二人の間に子どもは生まれておらず、伯爵家当主であるレンヴォルトにはいずれ後継者が必要だった。
愛していた相手から裏切り同然の仕打ちを受けたリディスはこの瞬間からレンヴォルトとの離縁を決意。
これからは自分の幸せのために生きると決意した。
そんなリディスの元に隣国からの使者が訪れる。
「迎えに来たよ、リディス」
交わされた幼い日の約束を果たしに来たという幼馴染のユルドは隣国で騎士になっていた。
裏切られ傷ついたリディスが幼馴染の騎士に溺愛されていくまでのお話。
※完結まで書いた短編集消化のための投稿。
小説家になろう様にも掲載しています。アルファポリス先行。
大嫌いな幼馴染の皇太子殿下と婚姻させられたので、白い結婚をお願いいたしました
柴野
恋愛
「これは白い結婚ということにいたしましょう」
結婚初夜、そうお願いしたジェシカに、夫となる人は眉を顰めて答えた。
「……ああ、お前の好きにしろ」
婚約者だった隣国の王弟に別れを切り出され嫁ぎ先を失った公爵令嬢ジェシカ・スタンナードは、幼馴染でありながら、たいへん仲の悪かった皇太子ヒューパートと王命で婚姻させられた。
ヒューパート皇太子には陰ながら想っていた令嬢がいたのに、彼女は第二王子の婚約者になってしまったので長年婚約者を作っていなかったという噂がある。それだというのに王命で大嫌いなジェシカを娶ることになったのだ。
いくら政略結婚とはいえ、ヒューパートに抱かれるのは嫌だ。子供ができないという理由があれば離縁できると考えたジェシカは白い結婚を望み、ヒューパートもそれを受け入れた。
そのはず、だったのだが……?
離縁を望みながらも徐々に絆されていく公爵令嬢と、実は彼女のことが大好きで仕方ないツンデレ皇太子によるじれじれラブストーリー。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
愛されていたのだと知りました。それは、あなたの愛をなくした時の事でした。
桗梛葉 (たなは)
恋愛
リリナシスと王太子ヴィルトスが婚約をしたのは、2人がまだ幼い頃だった。
それから、ずっと2人は一緒に過ごしていた。
一緒に駆け回って、悪戯をして、叱られる事もあったのに。
いつの間にか、そんな2人の関係は、ひどく冷たくなっていた。
変わってしまったのは、いつだろう。
分からないままリリナシスは、想いを反転させる禁忌薬に手を出してしまう。
******************************************
こちらは、全19話(修正したら予定より6話伸びました🙏)
7/22~7/25の4日間は、1日2話の投稿予定です。以降は、1日1話になります。
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
その手は離したはずだったのに
MOMO-tank
恋愛
4歳年上の婚約者が幼馴染を好きなのは知っていた。
だから、きっとこの婚約はいつか解消される。そう思っていた。
なのに、そんな日は訪れることなく、私ミラ・スタンリーは学園卒業後にマーク・エヴァンス公爵令息と結婚した。
結婚後は旦那様に優しく大切にされ、子宝にも恵まれた。
いつしか愛されていると勘違いしていた私は、ある日、残酷な現実を突きつけられる。
※ヒロインが不憫、不遇の状態が続きます。
※ざまぁはありません。
※作者の想像上のお話となります。
【本編完結】私たち2人で幸せになりますので、どうかお気になさらずお幸せに。
綺咲 潔
恋愛
10歳で政略結婚させられたレオニーは、2歳年上の夫であるカシアスを愛していた。
しかし、結婚して7年後のある日、カシアスがレオニーの元に自身の子どもを妊娠しているという令嬢を連れてきたことによって、彼への愛情と恋心は木っ端みじんに砕け散る。
皮肉にも、それは結婚時に決められた初夜の前日。
レオニーはすぐに離婚を決心し、父から離婚承認を得るため実家に戻った。
だが、父親は離婚に反対して離婚承認のサインをしてくれない。すると、日が経つにつれ最初は味方だった母や兄まで反対派に。
いよいよ困ったと追い詰められるレオニー。そんな時、彼女の元にある1通の手紙が届く。
その手紙の主は、なんとカシアスの不倫相手の婚約者。氷の公爵の通り名を持つ、シャルリー・クローディアだった。
果たして、彼がレオニーに手紙を送った目的とは……?
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる