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第4話 今日は家に私ひとりよ
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菜乃が教室に来てくれた。
おかげで彼女と一緒に帰ると言う話が、見栄を張るための嘘ではないと証明される。
さらに菜乃のお陰で、俺は好きだったカレンを吹っ切ることもできた。
カレンは三浦とケンカを始めたが、ほったらかして菜乃とふたりで教室を出たのだった。
カバンを持って校舎内を菜乃とふたりで歩く。
教室を出るときにつないだ手はさすがに離した。
だけど、校舎裏から教室に戻ったときと違って、彼女は俺との距離をかなり詰めて並んで歩く。
なので、一緒に歩くだけで緊張することになった。
見かけた奴らがざわざわと騒ぐからだ。
有名人の菜乃が取り巻きの女性ではなく、よく知らない男を連れている。
この事実は周囲に相当な衝撃を与えるようだ。
だが菜乃には少しも周りを気にした様子がない。
菜乃が気にしなくても、俺は気になるんだけどな。
いつもの取り巻きの女性も見かけるが、俺がいるせいか遠慮して近寄ってこない。
「彼女たちはいいの?」
「いいの。だってずっと我慢してきたんだもの」
「我慢?」
「そう。我慢」
どうやら菜乃は、俺がカレンといつも一緒にいたから遠慮して近づかなかったらしい。
学校一の美女が実は俺と歩きたいのを我慢してたなんて、とても信じられやしない。
周りから注目を浴びながら校内を歩くのは、なんだか緊張する。
「姫川さんと一緒に歩いてる奴は誰だ?」
「見たことある奴だけど、名前は分からん」
学校内での俺のポジションは目立たず普通。
だから、俺の名前を知らない奴がいても仕方ない。
「うそー!? まさか姫川さんの彼氏!?」
「うーん。あの人、恋人は作らないハズだけど……」
菜乃は周囲から、恋人を作る気がないと思われているようだ。
さっき三浦が言ったように、彼女が今まで多くの告白を断り続けてきたからだろう。
「じゃあ、委員会か何かかしら?」
「それにしては距離が近くない?」
周りの驚きぶりから、菜乃と俺が並んで歩くのは異常なできごとなんだと実感した。
彼女は校舎裏で俺に告白したけど、やっぱりどう考えてもおかしい。
あり得る訳がない。
また、この状況が信じられなくなってきた。
ウソ告や罰ゲームなら彼女は嫌々やっているハズだと思い、こっそり表情をうかがう。
だが彼女の顔は本当に嬉しそうで楽しそうだった。
笑みを浮かべて歩く彼女はまぶしいほどに美しい。
「なあに? 健太」
「あ、ごめん。何でもないよ」
「そう? 私はね……フフ、嬉しいのっ」
「何が嬉しいの?」
「それはね……健太と歩けるからよっ」
こちらを見た菜乃が頬を染める。
とたん俺は、自分の顔が熱くなるのを感じた。
こんな天使に微笑まれて照れない方がおかしい。
うーん、本当にウソ告でも罰ゲームでもなさそう。
だけど、まだ付き合ってないのに、彼氏づらしてみんなを騙しているようで申し訳ない気がする。
みんなの視線を避けるように菜乃と少し離れて歩くと、それに彼女が気づいたのかドンドン俺との距離を詰めてくる。
ついには密着するように腕を組まれた。
マ、マジ!?
ちょっと積極的過ぎじゃないか?
「そんなに壁際によると危ないよ?」
彼女はそう言ってグイと俺の体を引き寄せる。
お陰で壁際の消火器に激突するのを避けられた。
「あ、ありがと、おおおお⁉」
お礼を言おうとして慌てふためく。
たぶん消火器にぶつかるのを助けようと彼女は必死だったのだろう。
引き寄せられた俺の腕がこれでもかと彼女の胸に密着していた。
制服の上からでも大きいと分かるその胸は想像以上のサイズで、フワフワの感触は体験したことがないほどに、ふにょんとしていた。
「や、柔らかい……」
「え、何?」
彼女が俺の視線に気づいて動きを止める。
そして視線の先が組まれた腕だと気づいた。
やばっ。
あまりにも幸せ過ぎて声に出てしまった。
き、嫌われたか!?
でも彼女の方から俺の腕を胸に当ててるんだし……。
息を止めていると菜乃がゆっくり俺を見上げる。
「こ、これはね、健太がぶつかるのを助けてあげたんだから正当な理由なのっ」
その頬は赤く染まっていて、でもなぜか強く引き寄せた俺の腕を離そうとはしない。
そしてなんと、そのまま歩き出した。
う、腕が胸に当たったままなんですけど!?
お陰で昇降口に到着して外履きに履き替えるまでずっと、俺の二の腕は美少女の大きなふにょふにょを堪能しまくってしまった。
校舎を出てから、ふたりで学校近くの駅へ向かう。
俺は二の腕の感触を思い出しながら、彼女にそもそもの疑問をぶつけた。
「あのさ、俺と菜乃って今まで話したことあまりないと思うけど、俺のどこを好きになったの?」
「包容力とか懐の深さかな? あと解決力?」
「包容力? あまり話したことないのに?」
「1年生のころから、たまに話したことあったよ」
「そうだっけ?」
「それで気になってて。でも、凄く好きになったのは2年生になってから」
「去年? ああ同じクラスだったね」
「ええ。よく美崎さんに大声であれこれ言われてるのを見てたわ。無理難題を解決してた」
「見てたんだ」
「彼女がお昼を忘れると、よく自分の分を全部あげてた。あと、彼女が間違って捨てた提出物をゴミ置き場でゴミにまみれて探してあげたり。彼女がズル休みすると、先生に自分が原因だと言ってかばったりとか」
「うーん。日常すぎる」
「何言われても、平気な顔で上手くこなしてた。まるで修羅場をくぐった大人みたいで凄いって驚いたの」
そりゃ超我がままなカレンを毎日相手してるんだ、対応力には自信があるけど。
このまま何も考えずに、菜乃と付き合っちゃえばいいのかな?
教室でカレンと三浦の嘲笑に耐える俺を、すかさずフォローしてくれたし。
菜乃はただ可愛いだけじゃなく優しかった。
こんな美人と付き合うチャンスなんて普通はない。
だけどなあ。
彼女、恋人にならないと迷惑系Vtuberになるとか、訳の分からない脅迫をしてくるんだよ……。
せめて脅迫の真相が分かるまで、告白の返事は保留にしておこう。
ひと駅だけ電車に乗ったが、彼女がそばに居るだけで他人に見られてる気がした。
彼女の家は、駅から徒歩五分のマンションだった。
オートロックの高級マンションである。
「ちゃんと掃除しててよかった!」
「あの、おうちの人は?」
「ママは旅行でいないの。パパは単身赴任ってやつ。だから、今日は家に誰もいないのよ」
「え? 家の人いないの!? それ、俺上がってもいいの!?」
「上がってもらわないと、私のことを知ってもらえないじゃない。っていうか、大好きな人だから家に上がって欲しいの!」
「う、うん。分かった……」
嘘だろおい。
大好きな人だから上がって欲しいって言われた!
大好きな人って俺だよな……。
なんと、今日は家に菜乃ひとりなのに懇願されて上がることになってしまった。
「お、お邪魔しまーす。ちなみに学校の友達は……来たことあるの?」
「いいえ。健太が初めて」
「へ、へえ、そうなんだ……」
リビングに通されて、紅茶をごちそうになる。
うわぁ……部屋からなんかいい匂いがする。
女子の家ってこんな感じなんだぁ。
幻想的な空間にいる俺は意識がぼーっとして、紅茶の味なんか分からなかった。
夢の空間に入り込んでぼんやりとしていた俺に、菜乃が声をかける。
「仕事部屋に案内するわ。こっちよ」
「す、すげー!!」
案内された部屋には、立派なパソコンデスクとガチのゲーミングチェア、ガチの集音マイクなど周辺機器が設置されていた。
ゲーム配信とかで見たことある、ガチのパソコンルームだ。
「ここで何をしているかは内緒だから言えないよ?」
「う、うん」
「言えないけど、健太には内緒で見せてあげる」
「でも、いいの?」
「ホントはよくないけど。健太は特別だから」
「あ、ありがとう」
配信者じゃん。
もろ配信者じゃん。
事務所に所属してるってポロリしてたよね?
未成年でもできるの?
「あのさ、菜乃って何月生まれ?」
「何で? 四月よ」
菜乃は俺と同じ高3でとっくに18歳か。
もう成人だから本人が事務所と契約できる?
高校生でも平気な事務所?
これマジでVtuberの可能性があるぞ。
「じゃあ、これから健太に迷惑系Vtuberのこと、教えてあげるわね!」
い、いよいよだ。
いよいよ、迷惑系Vtuberが何かわかる。
そして、それでなぜ俺が困るのか、その理由が明らかになる!
もし、迷惑系Vtuberが怪しいことじゃないなら、もう俺、菜乃と付き合ってもいいよな?
おかげで彼女と一緒に帰ると言う話が、見栄を張るための嘘ではないと証明される。
さらに菜乃のお陰で、俺は好きだったカレンを吹っ切ることもできた。
カレンは三浦とケンカを始めたが、ほったらかして菜乃とふたりで教室を出たのだった。
カバンを持って校舎内を菜乃とふたりで歩く。
教室を出るときにつないだ手はさすがに離した。
だけど、校舎裏から教室に戻ったときと違って、彼女は俺との距離をかなり詰めて並んで歩く。
なので、一緒に歩くだけで緊張することになった。
見かけた奴らがざわざわと騒ぐからだ。
有名人の菜乃が取り巻きの女性ではなく、よく知らない男を連れている。
この事実は周囲に相当な衝撃を与えるようだ。
だが菜乃には少しも周りを気にした様子がない。
菜乃が気にしなくても、俺は気になるんだけどな。
いつもの取り巻きの女性も見かけるが、俺がいるせいか遠慮して近寄ってこない。
「彼女たちはいいの?」
「いいの。だってずっと我慢してきたんだもの」
「我慢?」
「そう。我慢」
どうやら菜乃は、俺がカレンといつも一緒にいたから遠慮して近づかなかったらしい。
学校一の美女が実は俺と歩きたいのを我慢してたなんて、とても信じられやしない。
周りから注目を浴びながら校内を歩くのは、なんだか緊張する。
「姫川さんと一緒に歩いてる奴は誰だ?」
「見たことある奴だけど、名前は分からん」
学校内での俺のポジションは目立たず普通。
だから、俺の名前を知らない奴がいても仕方ない。
「うそー!? まさか姫川さんの彼氏!?」
「うーん。あの人、恋人は作らないハズだけど……」
菜乃は周囲から、恋人を作る気がないと思われているようだ。
さっき三浦が言ったように、彼女が今まで多くの告白を断り続けてきたからだろう。
「じゃあ、委員会か何かかしら?」
「それにしては距離が近くない?」
周りの驚きぶりから、菜乃と俺が並んで歩くのは異常なできごとなんだと実感した。
彼女は校舎裏で俺に告白したけど、やっぱりどう考えてもおかしい。
あり得る訳がない。
また、この状況が信じられなくなってきた。
ウソ告や罰ゲームなら彼女は嫌々やっているハズだと思い、こっそり表情をうかがう。
だが彼女の顔は本当に嬉しそうで楽しそうだった。
笑みを浮かべて歩く彼女はまぶしいほどに美しい。
「なあに? 健太」
「あ、ごめん。何でもないよ」
「そう? 私はね……フフ、嬉しいのっ」
「何が嬉しいの?」
「それはね……健太と歩けるからよっ」
こちらを見た菜乃が頬を染める。
とたん俺は、自分の顔が熱くなるのを感じた。
こんな天使に微笑まれて照れない方がおかしい。
うーん、本当にウソ告でも罰ゲームでもなさそう。
だけど、まだ付き合ってないのに、彼氏づらしてみんなを騙しているようで申し訳ない気がする。
みんなの視線を避けるように菜乃と少し離れて歩くと、それに彼女が気づいたのかドンドン俺との距離を詰めてくる。
ついには密着するように腕を組まれた。
マ、マジ!?
ちょっと積極的過ぎじゃないか?
「そんなに壁際によると危ないよ?」
彼女はそう言ってグイと俺の体を引き寄せる。
お陰で壁際の消火器に激突するのを避けられた。
「あ、ありがと、おおおお⁉」
お礼を言おうとして慌てふためく。
たぶん消火器にぶつかるのを助けようと彼女は必死だったのだろう。
引き寄せられた俺の腕がこれでもかと彼女の胸に密着していた。
制服の上からでも大きいと分かるその胸は想像以上のサイズで、フワフワの感触は体験したことがないほどに、ふにょんとしていた。
「や、柔らかい……」
「え、何?」
彼女が俺の視線に気づいて動きを止める。
そして視線の先が組まれた腕だと気づいた。
やばっ。
あまりにも幸せ過ぎて声に出てしまった。
き、嫌われたか!?
でも彼女の方から俺の腕を胸に当ててるんだし……。
息を止めていると菜乃がゆっくり俺を見上げる。
「こ、これはね、健太がぶつかるのを助けてあげたんだから正当な理由なのっ」
その頬は赤く染まっていて、でもなぜか強く引き寄せた俺の腕を離そうとはしない。
そしてなんと、そのまま歩き出した。
う、腕が胸に当たったままなんですけど!?
お陰で昇降口に到着して外履きに履き替えるまでずっと、俺の二の腕は美少女の大きなふにょふにょを堪能しまくってしまった。
校舎を出てから、ふたりで学校近くの駅へ向かう。
俺は二の腕の感触を思い出しながら、彼女にそもそもの疑問をぶつけた。
「あのさ、俺と菜乃って今まで話したことあまりないと思うけど、俺のどこを好きになったの?」
「包容力とか懐の深さかな? あと解決力?」
「包容力? あまり話したことないのに?」
「1年生のころから、たまに話したことあったよ」
「そうだっけ?」
「それで気になってて。でも、凄く好きになったのは2年生になってから」
「去年? ああ同じクラスだったね」
「ええ。よく美崎さんに大声であれこれ言われてるのを見てたわ。無理難題を解決してた」
「見てたんだ」
「彼女がお昼を忘れると、よく自分の分を全部あげてた。あと、彼女が間違って捨てた提出物をゴミ置き場でゴミにまみれて探してあげたり。彼女がズル休みすると、先生に自分が原因だと言ってかばったりとか」
「うーん。日常すぎる」
「何言われても、平気な顔で上手くこなしてた。まるで修羅場をくぐった大人みたいで凄いって驚いたの」
そりゃ超我がままなカレンを毎日相手してるんだ、対応力には自信があるけど。
このまま何も考えずに、菜乃と付き合っちゃえばいいのかな?
教室でカレンと三浦の嘲笑に耐える俺を、すかさずフォローしてくれたし。
菜乃はただ可愛いだけじゃなく優しかった。
こんな美人と付き合うチャンスなんて普通はない。
だけどなあ。
彼女、恋人にならないと迷惑系Vtuberになるとか、訳の分からない脅迫をしてくるんだよ……。
せめて脅迫の真相が分かるまで、告白の返事は保留にしておこう。
ひと駅だけ電車に乗ったが、彼女がそばに居るだけで他人に見られてる気がした。
彼女の家は、駅から徒歩五分のマンションだった。
オートロックの高級マンションである。
「ちゃんと掃除しててよかった!」
「あの、おうちの人は?」
「ママは旅行でいないの。パパは単身赴任ってやつ。だから、今日は家に誰もいないのよ」
「え? 家の人いないの!? それ、俺上がってもいいの!?」
「上がってもらわないと、私のことを知ってもらえないじゃない。っていうか、大好きな人だから家に上がって欲しいの!」
「う、うん。分かった……」
嘘だろおい。
大好きな人だから上がって欲しいって言われた!
大好きな人って俺だよな……。
なんと、今日は家に菜乃ひとりなのに懇願されて上がることになってしまった。
「お、お邪魔しまーす。ちなみに学校の友達は……来たことあるの?」
「いいえ。健太が初めて」
「へ、へえ、そうなんだ……」
リビングに通されて、紅茶をごちそうになる。
うわぁ……部屋からなんかいい匂いがする。
女子の家ってこんな感じなんだぁ。
幻想的な空間にいる俺は意識がぼーっとして、紅茶の味なんか分からなかった。
夢の空間に入り込んでぼんやりとしていた俺に、菜乃が声をかける。
「仕事部屋に案内するわ。こっちよ」
「す、すげー!!」
案内された部屋には、立派なパソコンデスクとガチのゲーミングチェア、ガチの集音マイクなど周辺機器が設置されていた。
ゲーム配信とかで見たことある、ガチのパソコンルームだ。
「ここで何をしているかは内緒だから言えないよ?」
「う、うん」
「言えないけど、健太には内緒で見せてあげる」
「でも、いいの?」
「ホントはよくないけど。健太は特別だから」
「あ、ありがとう」
配信者じゃん。
もろ配信者じゃん。
事務所に所属してるってポロリしてたよね?
未成年でもできるの?
「あのさ、菜乃って何月生まれ?」
「何で? 四月よ」
菜乃は俺と同じ高3でとっくに18歳か。
もう成人だから本人が事務所と契約できる?
高校生でも平気な事務所?
これマジでVtuberの可能性があるぞ。
「じゃあ、これから健太に迷惑系Vtuberのこと、教えてあげるわね!」
い、いよいよだ。
いよいよ、迷惑系Vtuberが何かわかる。
そして、それでなぜ俺が困るのか、その理由が明らかになる!
もし、迷惑系Vtuberが怪しいことじゃないなら、もう俺、菜乃と付き合ってもいいよな?
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