常世の守り主  ―異説冥界神話談―

双子烏丸

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番外編 その4 それから……

そして、ルーフェとエディアは……

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 ――――

「あはははははっ!」

「……まってー、まってよー」

 小さな村の、一つの家。
 その庭で三歳くらいの、男の子と女の子が追いかけっこをしていた。
 快活で元気な長い茶髪の子と、おかっぱ頭で内気そうな、灰色髪の男の子。
 
「おそいよー、ルイ。つまんないー」

 ルイと呼ばれた男の子はヘトヘトで、地面に座り込み、女の子は不満そうに、ふくれっ面をしている。

「エリナの……いじわる」

 女の子の方は、エリナと言うらしい。
 ルイはエリナに、へそを曲げた感じだ。

「えー! もっと遊ぼう! そんなこと言わないでよ」



「りゅいー、えいなー」

 すると、玄関からとことこと、二人よりも小さい女の子が、おぼつかない足取りで、歩いて来た。
 年は二歳くらいか、灰色の髪をポニーテールを左右に振りながら……。
 
「あっ、リリアも、外に出てきたんだ。良かったら、一緒に遊ぶ?」

 エリナの言葉に、リリアはにぱっと笑って、両手を向ける。

「えいなー! えいなー!」

 年相応の片言の言葉を話しながら、彼女はエリナに近づくも……


 どてっ!
 
 すると歩いている途中、つまづいて転んでしまった!
 すぐにリリアは起き上がるものの、目はうるうるとしていて。

「ううううっ! ひっぐ……えぐっ!」

 あっと言うまに、半泣きになる彼女。これはすぐに、大泣きしそうだ。

「どうしよう、エリナ?」

「えっと、私に、言われたって」

 ルイもエリナも、これには困り果てる。

「ひっ、う、うわぁぁぁん!」

 そして……ついに大泣きしようとした、その時。



「あらあら。どうしたの、リリア?」

 玄関からまた現れる、二人の人影。
 
「どうやら転んだみたいだね、怪我……していないかな」

 それはエディアと、ルーフェだった。
 二人は今もこうして夫婦として、そして子供も三人も、いや……。

「うー、うー!」

 エディアが両手で抱いていたのは、四人目の子供であるリース。今年生まれたばかりの男の子、二人の子供だ。


 
「ルーフェ、お願い。少しリースを預かっていて?」 
    
「ああ、分かったよ」

 エディアはリースをルーフェに預けると、転んで泣き出しそうなリリアに駆け寄る。

「うう……、ママぁ……!」

 リリアは涙で顔をクシャクシャにして、エディアに抱きついた。

「大丈夫、大丈夫。怪我はしてないし、きっと、驚いちゃったんだね。
 好きなだけ一緒にいてあげるから、ゆっくりおちついて、ねっ?」

 優しくそう言う彼女、これにリリアは目をごしごしこすって、涙を拭いた。

「……うん!」

「いい子ですね、よしよし。
 今日は楽しい、パーティなのよ。リリアの好きなショートケーキも用意しているから、楽しみにしてください」

「けーき、けーき!」

 これに元気を取り戻した、リリア。
 これにはエディアも、一安心だ。



「びぇええええっ!」

 すると、別の所から激しい泣き声が聞こえてきた。

「あああっ……えっと、よしよし……」

 それはルーフェが抱いていた赤ちゃん、リースが大泣きしている声だ。
 ルーフェは頑張ってあやしているけれど、それでも効果は全くない。

「どうしよう、ぜんぜん、泣き止まないよ」
 
 困った表情でエディアに目を向ける、ルーフェ。
 そんな彼に、彼女は少し可笑しそうにしていた。

「あらら、巨大なドラゴンとも戦った、さすがのルーフェも、リースにはかたなしですね。
 どれどれ、私にまかせて下さい」

 そう言うと、エディアはルーフェから、リースを受け取ると代わりにあやしだした。
 するとさっきまで泣いてばかりだったリースは、みるみるうちに大人しくなり、泣き止んだ。

「……ねっ? 私も、なかなかのものでしょ?」

「助かったよ。やっぱりエディアは、さすがだな」

「ルーフェも、いつも頑張ってくれて、ありがとうね。いつもとっても、助かってますよ」

 ルーフェとエディア、二人は仲睦まじく、にこやかに笑い合っていた。
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