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番外編1 ――伝えたかった、あの言葉

兄との再会と、そして

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 ――――

 気が付くと、一面真っ白な空間に、クレイはいた。
 
 ――ここは? さっきまで狭い部屋にいたはずなのに――

 白い空間に、ぽつりとある自分の身体。
 まるで夢の、中にでもいるような不思議な気分だ。



 この場にいるのはクレイ一人、そう彼自身も、思っていた。
 ……しかし。
 
 ふと彼の目の前に、ぼうっと輝く、光の玉が姿を現す。
 いきなりの事に、驚くクレイ。


 
 光の玉は彼の目の前で、人型へと姿を変える。
 クレイよりもやや背の高く、シルエットも似ている、後ろ姿。
 そう、それは……

「……兄さん!」

 その呼びかけが聞こえたのか、人影はクレイに振り返る。

「やぁ……クレイ」

 とてもやさしそうな、長身の青年――それは、昔に亡くなった、クレイの兄であった。
 その姿を見たクレイは、感極まったように、彼のもとへと駆ける。
 
「やっと会えた! 僕はずっと、そのために……」

 兄は、わかっているとも……と、言うかのように、頷く。

「そうか。それは、よく頑張ったな」 

 と、クレイに対して、優しく声をかけて、そして。

「一人にして、悪かった。あれからずっとクレイのことを、思っていたんだ。
 たとえ、どれだけ離れていようとも」


 昔から兄は、クレイにとても優しかった。
 だから彼もまた、兄をとても、とても慕っていた。大好きだったのだ。
 


 昔と何も変わらない、兄の様子。
 クレイは嬉しかった。
 だけど、彼にはまた別の、感情が沸き上がる。

「……兄さん」

「どうしたんだい?」

 クレイは悲しげな、また自責の念に苛まれた顔で、言った。

「僕が兄さんに会いたかったのは……兄さんの死について、謝りたかったんだ。
 だって、僕のせいで、兄さんは」
 
 兄はクレイを守って、犠牲になった。
 それをずっと、彼は気に病み、苦しんでいた。

 
 だが、目の前の兄はその言葉に、首を横に振る。

「そんな事、全く気にしてなんていないさ」

「……けど! 僕がいなかったら兄さんが死ぬことなかったんだ。なのに……」



 それでも自分を責め続ける、クレイ。
 だが兄は、そんな彼の頭を、優しく撫でた。

「……!」

「こっちこそ、クレイにそんな思いをさせて苦しませていたなんて。……謝るのは、俺だ」

 兄は決して、クレイを責めることは、ない。

「クレイにまた会えて、本当に良かった。
 どうしても最後に、伝えたいことが、伝えられるのだから」

 そう、なぜならば――――

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