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塔 戦闘1

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アジトに到着した。ただし、どこに捕らわれた動物がいるのか分かっていない。なので、それぞれ各方面に分かれて捜索する。今回はルーンも一緒だ。ルーンは鼻が効く。匂いで動物の居場所が分かるので、捜索に協力してもらうことになった。

「突入!!」
その掛け声とともに、捜索が開始した。
アジトの中に入り、しばらくすると左手にある木々や草が生い茂っている林のようなところに塔が見えた。
「あそこにいるみたい!!」
「!!」
塔の前には誰もいない。簡単に入れるかと思ったが、入口には魔法が掛かっているようだ。
「ルーン、どうしたら入れるんだ?」
「ん?壊しちゃえば?」
「壊すってどうやって……」
「どんな魔法で塞いでたって、その魔法の魔力量を超える魔法をぶつけたら簡単に壊れるよ」
割と物理的だな。
魔法を普通にぶつけたら、塔ごと壊しかねないからな。今回は魔力だけを流そう。
体内にある魔力をイメージで変化させたものが魔法である。つまりイメージをせずにそのまま体内で練り上げたものがただの魔力だ。

強く魔力を練る!!
「よし!!」
その魔力をぶつける。
バキッ パリンッ
無事に壊せたようだな。

よし、中に入るぞ!!

その塔の中には様々な動物がいた。犬、猫からホーンラビットやホワイトウルフのような魔物まで多種多様な動物が檻の中に閉じ込められている。
「!! ドラゴンか!?」
そこにはなんとドラゴンもいたのだ。ドラゴンは希少で、そもそも強いので捕らえることは難しい。ここにいるのは、子供のドラゴンだ。子供ドラゴンは火を吐くことが出来ないのでまだ捕らえやすかったのだろう。

ここにいる動物のほとんどがまともな食事が与えられていないのか身体が痩せ細っており、皆かなり弱っているようだ。
なんという酷いことを……。

檻を全て片っ端から開けていく。そしてまとめて治癒魔法を掛ける。
パアッ
光が出て、すぐに収まった。たくさんの動物が次々と起き上がっていく。無事に皆治療することができた。

「さて、ここを出るか」
その時だった。
ドンッ!!
いきなりどこからか魔法が飛んできた。物凄い音が鳴り響き、レオンが立っていた付近の塔の壁が欠けている。
一体何事だ!?

魔法が飛んできた方向を見ると1人の男が立っていた。その男は、レオンが先程治療した青いドラゴンを抱えている。

「いつの間に…。ん?お前はっ!!」
そう。よく見ると、その男はこの前会ったコウモリのボスだったのだ。

「なぜここに!!」
「……ルークを頼む」
ボスは背後に控えていた組織の者にドラゴンを渡す。
「ルーク?」
「このドラゴンの名前だ。ルークは俺の仲間だ。返してもらう。……まあ治癒してくれたことには感謝する」
なるほど……。それでコウモリが現れたわけか。
どういう理由があれど会った以上、
「俺はお前をこのまま逃がす気はない」
コウモリは犯罪組織だ。前回は戦う時間すらなく逃げられてしまったが、また逃がすわけにはいかない。
「ああ。そう言われると思っていた」
そして、レオンとコウモリのボスとの激しい戦闘が幕を開けたのだ。
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