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五大厄災編
第18話 : 遭遇、ダソク
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「みんな、動くな」
突然ピタリと足を止めたルハンが、低く小さな声で警告してきた。
前を見ると、何やら巨大な斑模様の物体が蠢いている。
――ダソクだ!
それはすぐに全員が理解した。
十メートルほど先にあるやや開けた場所で、噂に違わぬ巨体をくねらせていた。
そして、短いものの、本当に無数の足が生えていた。
「でけぇ……。予想してたより倍くらいでかく感じるぜ……」
全長五十メートル、胴回り三メートルという前情報はあったものの、ただ耳にした情報と実際目に飛び込んできた映像ではインパクトが違う。
自然と、マホロの足が震え出す。
するとダソクは、ゆっくりと、ゆっくりと体を動かしながら、鎌首を持ち上げた。
こちらの存在に気付いているようだ。
「(マジででかすぎる……頭部だけでも、ゾウの体まるまる一体分くらいのサイズがありやがる……)」
ヘビ特有のダソクの冷血な目が、こちらを舐め回すように見ている。
長い巨体は、常に何かしらの動きをしていた。
「おいマホロ。何をしている。さっさとこっちに来るんだ」
ルハンからお呼びがかかったが、すぐに足が動かせない。
「聞いてるのかマホロ! ダソクはもう、いつ仕掛けてくるかわからないぞ」
怒声にも近い要求に、やむなく重い足取りで前進した。
前にいるファミルとネルフィンが道を空ける。
「無理はしないでね」
ファミルの横を通りすぎる時、ルハンとは真逆の柔らかなトーンで一言もらうことができた。
マホロはファミルの方へ首を向け、口を真一文字に結んでから、力強く頷いた。
そして一言だけ、小さく、ありがとう、とだけ返した。
すぐにダソクの方へ向き直り、歩を進める。
ダソクは、チョロチョロと舌を出しながら、じっとこちらを見つめている。
まばたきをしない、というヘビの特徴も、さらに恐怖を搔き立てる。
「ホント、やたらと生えてる短い足を除けば、ただのデカいヘビだよな。仕草も特徴もよ。ヘビなら何匹も飼ってんのに、ただデケぇってだけでこんなに怖くなるんだな。大発見だぜ。ってかさ、ヘビってのは本来臆病な生き物なんだから、さっさと逃げろよな」
口を動かすことでなんとか恐怖と緊張から解放されようと試みるが、あまり良い成果は得られず、鼓動はどんどん早くなっていった。
ルハンの横も通り過ぎ、さらにダソクへ接近する。
ダソクの様子は変わらず、マホロから目を切らずに舌をチョロチョロと出している。
ダソクまであと五メートル、というところまで近づき、ある異様さに気付く。
トカゲにそっくりな無数の足が、移動しているわけでもないのに小刻みに忙しく動いているのだ。
その動きがやけに不気味だった。
警戒態勢、ということか。
「蛇足とはよく言ったもんだぜ。マジ、ヘビに足なんていらねぇな。――さてと、どういう攻撃をしてくるんだ? 足を使ってジャンプしてドーン! か? それとも、お口でパクリ、か? ……ん?」
ここでふと疑問が浮かぶ。
もし「お口でパクリ」を選択された場合、自分はどうすればいいのだろう、と。
「ル、ルハーン!」
慌てて振り返り、ルハンの名を叫ぶ。
「なんだ、マホロ」
「あ、あのさぁ! いっこ聞きたいことがあるんだけどぉ! ヘビってやつは、ただ獲物を丸飲みにしちまうだけなんだけど、そん時俺はどうすれば――」
その瞬間だった。
ダソクの巨大な頭部が、まるで隕石が命中するかのごとくマホロにぶつかった。
突然ピタリと足を止めたルハンが、低く小さな声で警告してきた。
前を見ると、何やら巨大な斑模様の物体が蠢いている。
――ダソクだ!
それはすぐに全員が理解した。
十メートルほど先にあるやや開けた場所で、噂に違わぬ巨体をくねらせていた。
そして、短いものの、本当に無数の足が生えていた。
「でけぇ……。予想してたより倍くらいでかく感じるぜ……」
全長五十メートル、胴回り三メートルという前情報はあったものの、ただ耳にした情報と実際目に飛び込んできた映像ではインパクトが違う。
自然と、マホロの足が震え出す。
するとダソクは、ゆっくりと、ゆっくりと体を動かしながら、鎌首を持ち上げた。
こちらの存在に気付いているようだ。
「(マジででかすぎる……頭部だけでも、ゾウの体まるまる一体分くらいのサイズがありやがる……)」
ヘビ特有のダソクの冷血な目が、こちらを舐め回すように見ている。
長い巨体は、常に何かしらの動きをしていた。
「おいマホロ。何をしている。さっさとこっちに来るんだ」
ルハンからお呼びがかかったが、すぐに足が動かせない。
「聞いてるのかマホロ! ダソクはもう、いつ仕掛けてくるかわからないぞ」
怒声にも近い要求に、やむなく重い足取りで前進した。
前にいるファミルとネルフィンが道を空ける。
「無理はしないでね」
ファミルの横を通りすぎる時、ルハンとは真逆の柔らかなトーンで一言もらうことができた。
マホロはファミルの方へ首を向け、口を真一文字に結んでから、力強く頷いた。
そして一言だけ、小さく、ありがとう、とだけ返した。
すぐにダソクの方へ向き直り、歩を進める。
ダソクは、チョロチョロと舌を出しながら、じっとこちらを見つめている。
まばたきをしない、というヘビの特徴も、さらに恐怖を搔き立てる。
「ホント、やたらと生えてる短い足を除けば、ただのデカいヘビだよな。仕草も特徴もよ。ヘビなら何匹も飼ってんのに、ただデケぇってだけでこんなに怖くなるんだな。大発見だぜ。ってかさ、ヘビってのは本来臆病な生き物なんだから、さっさと逃げろよな」
口を動かすことでなんとか恐怖と緊張から解放されようと試みるが、あまり良い成果は得られず、鼓動はどんどん早くなっていった。
ルハンの横も通り過ぎ、さらにダソクへ接近する。
ダソクの様子は変わらず、マホロから目を切らずに舌をチョロチョロと出している。
ダソクまであと五メートル、というところまで近づき、ある異様さに気付く。
トカゲにそっくりな無数の足が、移動しているわけでもないのに小刻みに忙しく動いているのだ。
その動きがやけに不気味だった。
警戒態勢、ということか。
「蛇足とはよく言ったもんだぜ。マジ、ヘビに足なんていらねぇな。――さてと、どういう攻撃をしてくるんだ? 足を使ってジャンプしてドーン! か? それとも、お口でパクリ、か? ……ん?」
ここでふと疑問が浮かぶ。
もし「お口でパクリ」を選択された場合、自分はどうすればいいのだろう、と。
「ル、ルハーン!」
慌てて振り返り、ルハンの名を叫ぶ。
「なんだ、マホロ」
「あ、あのさぁ! いっこ聞きたいことがあるんだけどぉ! ヘビってやつは、ただ獲物を丸飲みにしちまうだけなんだけど、そん時俺はどうすれば――」
その瞬間だった。
ダソクの巨大な頭部が、まるで隕石が命中するかのごとくマホロにぶつかった。
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