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メグの異変
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年末年始は家族でのイベントも多く、思った以上に過ぎるのが早い。
大学の授業再開が迫り、メグはソワソワしていた。
そんな時ルミコからメールが届いた。
「いつ帰ってくるとー?
京橋駅まで迎えに行くけん」
メグはゾッとしてしまった。
前回の、ホスト男事件を思い出していた。
「お金もかかるしお迎え無しでいいよー」
やんわり断るも、ルミコには響かない。
結局、マンション最寄り駅でのお出迎えという形に落ち着いた。
駅からマンションまで、ルミコと話しながら歩いた。
内容はもちろんカイトのこと。
冬休みはルミコも地元に戻っていたこともあり、カイトには会えず、メールだけのやり取りだったよう。
メグがいない間に、カイトとのことで相当話したいことが溜まっていたようで、ルミコはいつも以上によく喋った。
メグは相槌を打ちながらも、ルミコの話を軽く聞き流していた。
頭では、今は広島で過ごした冬休みの余韻に浸っていたい、と思っていた。
最近はルミコの部屋に行くこともなくなっていた。
メグが大学から帰ると、ドアの開け閉めする音を聞いてメグの帰宅を察知したルミコが、メグの部屋のドアをトンっトンっと叩きに来る。
メグが出ると
「ねぇ~聞いて、聞いて~」
とカイトの話が始まる。
ルミコがバイトの日は、バイト帰りに必ずメグの部屋のドアを叩く。
一通り話すと満足して帰って行く。
カイトが猫派か犬派か、朝ごはんはパン派か米派かなんて、メグには今までもこれからも一生必要のない情報だった。
ルミコとカイトの仲はなかなか縮まらない。
メグは進展のなさにだんだんイライラしてきた。
二人が付き合えば、ルミコも満足してメールの文面を逐一報告することもなくなるだろう。
ルミコの恋の成就を願うというよりは、少しでも解放されたい気持ちが強かった。
自分の心にもやっとしたどす黒い何かがあることに、メグは気がついていた。
メグはついにルミコに革新を提案した。
「告白してみれば?」
ルミコは驚いたようだった。
そもそもルミコは告白待ちの姿勢だった。
なかなか進展しないあたり、ルミコが一方的に盛り上がっているだけで、カイトはルミコのことを好きではないかもしれない。
それならいっそのことはっきりしてほしい。
「え~でもぉ~」
ルミコは渋っている。
この期に及んで、新しい男の出現もあった。
カイトとのことを相談していたというバイト先の男もいいかも~と突然ルミコが言い出したのだ。
メグは更にイライラを募らせた。
カイトに加えて、他の男の話まで増えてしまってはたまったもんじゃない。
メグはスーパーへの買い出しの帰り、マンションの近くにある誰もいない公園で一人静かに過ごしていた。
なかなか帰る気になれず、足取りが重かった。
そろそろ日も暮れるという頃、思い切って立ち上がったメグは、心臓がドクンとなるのを感じてその場にしゃがみ込んだ。
苦しい、息ができない。
帰りたくない。
帰ったらまた男の話を聞かされる。
メグはその時初めて、ストレスが溜まっていることに気がついた。
大学の授業再開が迫り、メグはソワソワしていた。
そんな時ルミコからメールが届いた。
「いつ帰ってくるとー?
京橋駅まで迎えに行くけん」
メグはゾッとしてしまった。
前回の、ホスト男事件を思い出していた。
「お金もかかるしお迎え無しでいいよー」
やんわり断るも、ルミコには響かない。
結局、マンション最寄り駅でのお出迎えという形に落ち着いた。
駅からマンションまで、ルミコと話しながら歩いた。
内容はもちろんカイトのこと。
冬休みはルミコも地元に戻っていたこともあり、カイトには会えず、メールだけのやり取りだったよう。
メグがいない間に、カイトとのことで相当話したいことが溜まっていたようで、ルミコはいつも以上によく喋った。
メグは相槌を打ちながらも、ルミコの話を軽く聞き流していた。
頭では、今は広島で過ごした冬休みの余韻に浸っていたい、と思っていた。
最近はルミコの部屋に行くこともなくなっていた。
メグが大学から帰ると、ドアの開け閉めする音を聞いてメグの帰宅を察知したルミコが、メグの部屋のドアをトンっトンっと叩きに来る。
メグが出ると
「ねぇ~聞いて、聞いて~」
とカイトの話が始まる。
ルミコがバイトの日は、バイト帰りに必ずメグの部屋のドアを叩く。
一通り話すと満足して帰って行く。
カイトが猫派か犬派か、朝ごはんはパン派か米派かなんて、メグには今までもこれからも一生必要のない情報だった。
ルミコとカイトの仲はなかなか縮まらない。
メグは進展のなさにだんだんイライラしてきた。
二人が付き合えば、ルミコも満足してメールの文面を逐一報告することもなくなるだろう。
ルミコの恋の成就を願うというよりは、少しでも解放されたい気持ちが強かった。
自分の心にもやっとしたどす黒い何かがあることに、メグは気がついていた。
メグはついにルミコに革新を提案した。
「告白してみれば?」
ルミコは驚いたようだった。
そもそもルミコは告白待ちの姿勢だった。
なかなか進展しないあたり、ルミコが一方的に盛り上がっているだけで、カイトはルミコのことを好きではないかもしれない。
それならいっそのことはっきりしてほしい。
「え~でもぉ~」
ルミコは渋っている。
この期に及んで、新しい男の出現もあった。
カイトとのことを相談していたというバイト先の男もいいかも~と突然ルミコが言い出したのだ。
メグは更にイライラを募らせた。
カイトに加えて、他の男の話まで増えてしまってはたまったもんじゃない。
メグはスーパーへの買い出しの帰り、マンションの近くにある誰もいない公園で一人静かに過ごしていた。
なかなか帰る気になれず、足取りが重かった。
そろそろ日も暮れるという頃、思い切って立ち上がったメグは、心臓がドクンとなるのを感じてその場にしゃがみ込んだ。
苦しい、息ができない。
帰りたくない。
帰ったらまた男の話を聞かされる。
メグはその時初めて、ストレスが溜まっていることに気がついた。
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