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第13章
最初で最後の嘘
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とっさに1歩、2人に近づく私を静先輩が制した。
「静先輩……」
「待って、夏帆ちゃん。見守ろう」
「けど、このままじゃ」
「うん。気持ちは分かる。でも、俺を信じて」
静先輩が間山さんと岩切さんを見据えて、囁く。
面と向かって『嫌い』と言われた間山さんはひどく傷ついた顔をした。
そんな間山さんに向かって、岩切さんは言葉を重ねた。
「私なんかの為に、あんな昔の怪我の事気にして、好きな人を譲ろうとする莉理ちゃんなんか嫌いだ!」
大粒の涙がポロポロと岩切さんの目からこぼれ落ちる。
驚きで、目を見開く間山さんが、「でも……」と呟いた。
「でも、じゃないよ、莉理ちゃん。そもそも莉理ちゃんは何も悪くないのに! 私がブランコを皆みたいに高くこぎたいって言ったからなのに。なんで莉理ちゃんがそんなに気にするの。あの時の罪悪感から私と友達してくれてるなら、私そんな優しさ、ちっとも嬉しくないよ!」
「違うよ!」
間山さんが顔を赤くして、震える声で言った。
「違うよ、結。私、罪悪感とかで、友達選んだりしないよ。まさか、ずっとそういう風に思ってたの?」
「だって、そう考えたら納得いくもん。莉理ちゃんは、友達多くて、部活の先輩とかとも自然に話せて好かれてて、陽人くんとも喧嘩出来るくらい仲良くて。団地の皆と遊ぶ時もいつも莉理ちゃんが私に声かけてくれた。そもそも、莉理ちゃんみたいな人が、こんなに鈍くさい私なんかと仲良くしてくれてる事がおかしいんだもん!」
「―結っ!」
間山さんがひゅっと手を持ち上げる。
かまえる様に岩切さんが身体をすくめる。
けれど。
上がったその手が、岩切さんを傷つける訳がなくて。
「……ひどいよ、結。ひどすぎるよ」
岩切さんに負けないくらい、目に涙をいっぱい湛えて、間山さんが岩切さんを抱きしめる。
「私は結が大好きなのに! だから友達になったのに。大好きな親友が自分の事を『私なんか』って言うのは、いくら結本人でも、許さない!」
「莉理ちゃん……」
「鈍いよ、結は。本当に鈍感! どう見たって陽人、結の事好きじゃん。両想いじゃん! 大好きな親友の恋を応援させてよ。結こそ、私に陽人を譲ろうとしないでよ!」
「そんなの……。莉理ちゃんの気持ちはどうなるの? 莉理ちゃんはいつも私に優しいから。こんな時くらい、自分の気持ちを優先させてよっ」
はぁ、と間山さんが肩で大きくため息をつく。
「分かってないなぁ、結は」
「え?」
「私は陽人が好きだよ。でも、その『好き』は結を好きなのと同じ『好き』だから! 早とちりもいいとこだよ、結」
「え、え? でも……」
岩切さんが困惑気味に、私達の方へ目を向ける。
「静先輩……」
「待って、夏帆ちゃん。見守ろう」
「けど、このままじゃ」
「うん。気持ちは分かる。でも、俺を信じて」
静先輩が間山さんと岩切さんを見据えて、囁く。
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そんな間山さんに向かって、岩切さんは言葉を重ねた。
「私なんかの為に、あんな昔の怪我の事気にして、好きな人を譲ろうとする莉理ちゃんなんか嫌いだ!」
大粒の涙がポロポロと岩切さんの目からこぼれ落ちる。
驚きで、目を見開く間山さんが、「でも……」と呟いた。
「でも、じゃないよ、莉理ちゃん。そもそも莉理ちゃんは何も悪くないのに! 私がブランコを皆みたいに高くこぎたいって言ったからなのに。なんで莉理ちゃんがそんなに気にするの。あの時の罪悪感から私と友達してくれてるなら、私そんな優しさ、ちっとも嬉しくないよ!」
「違うよ!」
間山さんが顔を赤くして、震える声で言った。
「違うよ、結。私、罪悪感とかで、友達選んだりしないよ。まさか、ずっとそういう風に思ってたの?」
「だって、そう考えたら納得いくもん。莉理ちゃんは、友達多くて、部活の先輩とかとも自然に話せて好かれてて、陽人くんとも喧嘩出来るくらい仲良くて。団地の皆と遊ぶ時もいつも莉理ちゃんが私に声かけてくれた。そもそも、莉理ちゃんみたいな人が、こんなに鈍くさい私なんかと仲良くしてくれてる事がおかしいんだもん!」
「―結っ!」
間山さんがひゅっと手を持ち上げる。
かまえる様に岩切さんが身体をすくめる。
けれど。
上がったその手が、岩切さんを傷つける訳がなくて。
「……ひどいよ、結。ひどすぎるよ」
岩切さんに負けないくらい、目に涙をいっぱい湛えて、間山さんが岩切さんを抱きしめる。
「私は結が大好きなのに! だから友達になったのに。大好きな親友が自分の事を『私なんか』って言うのは、いくら結本人でも、許さない!」
「莉理ちゃん……」
「鈍いよ、結は。本当に鈍感! どう見たって陽人、結の事好きじゃん。両想いじゃん! 大好きな親友の恋を応援させてよ。結こそ、私に陽人を譲ろうとしないでよ!」
「そんなの……。莉理ちゃんの気持ちはどうなるの? 莉理ちゃんはいつも私に優しいから。こんな時くらい、自分の気持ちを優先させてよっ」
はぁ、と間山さんが肩で大きくため息をつく。
「分かってないなぁ、結は」
「え?」
「私は陽人が好きだよ。でも、その『好き』は結を好きなのと同じ『好き』だから! 早とちりもいいとこだよ、結」
「え、え? でも……」
岩切さんが困惑気味に、私達の方へ目を向ける。
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