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第11章
多少の無理はきけるよ?
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「どうして夏帆ちゃん、そんなに一生懸命になるの? 自分の事じゃないのに」
静先輩にそう聞かれて、私はとっさに言葉を返せなかった。
どうしてだろう。
言われてみると確かに、これって私の事じゃない。
そもそも私は恋研のメンバーでもない。
他人事でしょと言われてしまえば、そのとおりなんだけど。
こんなにも胸がちりっとするのは、何をしてても間山さんや岩切さんや甘粕くんの顔が浮かんできて消えてくれないのは。
多分、きっと。
「知ってしまったから、かも……」
こちらに向けられた眼差しを、受け止める。
問いかけの答えを心の奥から拾い出す。
「本気で誰かを好きになって、本気で誰かのためを思って、本気で自分の気持ちと折り合いをつけようって戦ってる女の子の気持ちを、知ってしまったからかもしれません」
この恋の主人公は私じゃない。
私が時々読む、少女漫画みたいにハッピーエンドにはならないかもしない。
でも、と心の中の私が叫ぶ。
もっと、もがこうよ! って。
間山さんも、岩切さんもどっちもひとりぼっちにしちゃだめだって。
「どちらか一方の応援は私には出来ないけど、このままじゃいけないって思うんです。間山さん達が打ち明けてくれた気持ちをちゃんと大切にしてあげなきゃって。じゃあ、私に何が出来るのかって聞かれちゃうと、まだ何も思い浮かばないんですけど」
「……そっかぁ。それも立派な恋に関する悩みだね」
私の話を聞き終えた静先輩は何かとてもいいアイディアを思いついたとばかり、ニッと口角を上げた。
「静先輩?」
「俺もジローちゃんも夏帆ちゃんが桜ヶ丘中学校に転校してきてからの友達1号と2号だからね。『多少の無理』はきけるんだけどなぁ」
静先輩の含みのある言い方に、私は小首を傾げる。
「えっと、それはどういう……」
「そうだな。『多少の無理』はきけるな」
「ジロー先輩?」
ジロー先輩が口元を緩める。
「間山さんも岩切さんも依頼を取り下げてしまったからな。こればかりはどうしようもない。本人達の同意がなければ、まず俺達は動きようがない。でも、もし他の第3者からの依頼があれば話は変わってくるな、静」
「そうだね、ジローちゃん」
2人が、いたずらっ子の様な顔で私を見ている。
本人達の依頼がなければ、恋研メンバーは動けない。
間山さんと岩切さんの事情を知っているのは静先輩とジロー先輩。
そしてもう1人ー……。
ゆっくりと、先輩達のくれた『ヒント』に気づいて私は、今度こそ本当に泣きそうになったんだ。
「静先輩、ジロー先輩」
私は2人の先輩達に向かって正式に『依頼』した。
「お願いします。間山さんと、岩切さんを、2人の気持ちを大事にしたいです、壊したくないです。私に、力を貸してください!」
静先輩にそう聞かれて、私はとっさに言葉を返せなかった。
どうしてだろう。
言われてみると確かに、これって私の事じゃない。
そもそも私は恋研のメンバーでもない。
他人事でしょと言われてしまえば、そのとおりなんだけど。
こんなにも胸がちりっとするのは、何をしてても間山さんや岩切さんや甘粕くんの顔が浮かんできて消えてくれないのは。
多分、きっと。
「知ってしまったから、かも……」
こちらに向けられた眼差しを、受け止める。
問いかけの答えを心の奥から拾い出す。
「本気で誰かを好きになって、本気で誰かのためを思って、本気で自分の気持ちと折り合いをつけようって戦ってる女の子の気持ちを、知ってしまったからかもしれません」
この恋の主人公は私じゃない。
私が時々読む、少女漫画みたいにハッピーエンドにはならないかもしない。
でも、と心の中の私が叫ぶ。
もっと、もがこうよ! って。
間山さんも、岩切さんもどっちもひとりぼっちにしちゃだめだって。
「どちらか一方の応援は私には出来ないけど、このままじゃいけないって思うんです。間山さん達が打ち明けてくれた気持ちをちゃんと大切にしてあげなきゃって。じゃあ、私に何が出来るのかって聞かれちゃうと、まだ何も思い浮かばないんですけど」
「……そっかぁ。それも立派な恋に関する悩みだね」
私の話を聞き終えた静先輩は何かとてもいいアイディアを思いついたとばかり、ニッと口角を上げた。
「静先輩?」
「俺もジローちゃんも夏帆ちゃんが桜ヶ丘中学校に転校してきてからの友達1号と2号だからね。『多少の無理』はきけるんだけどなぁ」
静先輩の含みのある言い方に、私は小首を傾げる。
「えっと、それはどういう……」
「そうだな。『多少の無理』はきけるな」
「ジロー先輩?」
ジロー先輩が口元を緩める。
「間山さんも岩切さんも依頼を取り下げてしまったからな。こればかりはどうしようもない。本人達の同意がなければ、まず俺達は動きようがない。でも、もし他の第3者からの依頼があれば話は変わってくるな、静」
「そうだね、ジローちゃん」
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そしてもう1人ー……。
ゆっくりと、先輩達のくれた『ヒント』に気づいて私は、今度こそ本当に泣きそうになったんだ。
「静先輩、ジロー先輩」
私は2人の先輩達に向かって正式に『依頼』した。
「お願いします。間山さんと、岩切さんを、2人の気持ちを大事にしたいです、壊したくないです。私に、力を貸してください!」
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