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第8章
一緒に帰れない
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「そう、ですか。でも、莉理ちゃんの性格を考えると大体分かります。自分も陽人くんの事が好きになって、その罪悪感から相談しに来たんだろうな……」
間山さんが元気ではっきりものを言うタイプだとしたら、岩切さんは彼女よりも控えめな感じだ。
言葉の1つ、1つをよく考えてから丁寧に紡ぐ、そんな印象を受けた。
岩切さんが視線を落とす。
私達は待っていた。
彼女が何を言うかを。どんな思いを持って、ここに来たのか話してくれるのを。
「莉理ちゃんと陽人くんをくっつけて欲しいんです」
顔を上げて、そう私達に訴える岩切さんは思いつめた顔をしていた。
「私は、莉理ちゃんの気持ちを知っています。小さい頃は2人とも姉弟みたいだったけど、徐々に莉理ちゃんが陽人くんの事、好きになっていったの見てきました。だから、お願いです。莉理ちゃんが諦める前に、2人をくっつけてください!」
「……岩切さん」
意思の強い目をした岩切さんの名前を呼ぶくらいしか、私は出来ない。
ジロー先輩は即答を避け、判断を仰ぐみたいに静先輩に視線を向けた。
静先輩がゆっくりと自分のティーカップを口に運ぶ。
それから、2つ目の質問を岩切さんにした。
「君が急ぐ理由は?」
「え?」
「岩切さんは間山さんの気持ちに気づいていたんだね。でも、今、2人をくっつけなきゃ! って思った理由は何だろう?」
「それは……莉理ちゃんが」
「間山さんが?」
「もう、3人で一緒に帰れないって言ったから」
岩切さんが辛そうに眉をひそめた。
「言ったんです。莉理ちゃん。『これからは結と陽人2人で帰って』って。自分も陽人くんの事が好きなのに、『もどかしいから早くくっついて私を喜ばせてよ』って笑って言ったんです」
その言葉で間山さんが、『岩切さんから甘粕くんを奪う』つもりなんて全くなかった事を知る。
そっか。間山さんは最初からそのつもりだったんだ。
恋を諦めたくて、恋研にやって来たんだ。
「私、嫌です。莉理ちゃんが、なんでも私に譲ろうとするの、昔からなんです。私が、怪我なんかしなければ……!」
「怪我?」
首を傾げた私に、岩切さんは頷く。
間山さんが元気ではっきりものを言うタイプだとしたら、岩切さんは彼女よりも控えめな感じだ。
言葉の1つ、1つをよく考えてから丁寧に紡ぐ、そんな印象を受けた。
岩切さんが視線を落とす。
私達は待っていた。
彼女が何を言うかを。どんな思いを持って、ここに来たのか話してくれるのを。
「莉理ちゃんと陽人くんをくっつけて欲しいんです」
顔を上げて、そう私達に訴える岩切さんは思いつめた顔をしていた。
「私は、莉理ちゃんの気持ちを知っています。小さい頃は2人とも姉弟みたいだったけど、徐々に莉理ちゃんが陽人くんの事、好きになっていったの見てきました。だから、お願いです。莉理ちゃんが諦める前に、2人をくっつけてください!」
「……岩切さん」
意思の強い目をした岩切さんの名前を呼ぶくらいしか、私は出来ない。
ジロー先輩は即答を避け、判断を仰ぐみたいに静先輩に視線を向けた。
静先輩がゆっくりと自分のティーカップを口に運ぶ。
それから、2つ目の質問を岩切さんにした。
「君が急ぐ理由は?」
「え?」
「岩切さんは間山さんの気持ちに気づいていたんだね。でも、今、2人をくっつけなきゃ! って思った理由は何だろう?」
「それは……莉理ちゃんが」
「間山さんが?」
「もう、3人で一緒に帰れないって言ったから」
岩切さんが辛そうに眉をひそめた。
「言ったんです。莉理ちゃん。『これからは結と陽人2人で帰って』って。自分も陽人くんの事が好きなのに、『もどかしいから早くくっついて私を喜ばせてよ』って笑って言ったんです」
その言葉で間山さんが、『岩切さんから甘粕くんを奪う』つもりなんて全くなかった事を知る。
そっか。間山さんは最初からそのつもりだったんだ。
恋を諦めたくて、恋研にやって来たんだ。
「私、嫌です。莉理ちゃんが、なんでも私に譲ろうとするの、昔からなんです。私が、怪我なんかしなければ……!」
「怪我?」
首を傾げた私に、岩切さんは頷く。
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