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第6章
ジロー先輩の夢
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「夏帆。お前は少女漫画は読まない派か?」
私は首を振った。
「好きな方ですけど……。ジロー先輩や静先輩みたいに熱く語れるかといえばそれほどでもないというか」
「俺らを基準にしなくていいよー。自分の好きなものは自分の好きなペースで楽しむのが1番なんだから!」
「他人に合わせたり、人と比べたりすると本当は好きなものが嫌いになったりするしな」
てっきり先輩達はお気に入りの少女漫画を絶対読んで! と人に勧めてくるタイプだと思っていたから、意外だった。
本当は好きなものが嫌いになったりする、か。
なんだか昨日から気になっていた事を聞いてみたくなった。
「先輩達は、少女漫画のどういうところが好きなんですか?」
「その質問はやめといたほうがいいと思うぞ、夏帆。静に語らせると夜までかかる」
「止めないでよ、ジローちゃん。俺は語りたいよ。武藤みたいに放送室を乗っ取って、桜ヶ丘中学校の全生徒に聞いてもらいたいよ」
「生徒会だけじゃなく、全生徒からクレーム出るぞ」
「ジロー先輩、少女漫画家になるのが夢って話。本当ですか?」
先輩達が会話を止めて、顔を見合わせる。
答えたのは静先輩だった。
「本当だよ。俺が漫画家になってって言ったの。ジローちゃん、絵、めちゃくちゃ上手なんだよ~」
「それだったら少年漫画でもいいんじゃないかなって。なんであえて少女漫画なんだろうって不思議で。だってー……」
「俺は男なのに?」
ジロー先輩が真っすぐ私を見つめていた。
心の中を見透かされた気がして、顔が熱くなる。
私、すごく言っちゃいけないことを口走った気がする!
「あ、違うんです。あの……。ご、ごめんなさい。そういうんじゃなくて」
しどろもどろになる私にジロー先輩は怒らなかった。
それどころか、穏やかに言った。
「夏帆みたいにそうやって1対1で聞いてくれると助かる」
「え?」
「ジローちゃん下手に勉強できちゃうからなぁ。進学校に行って、大学まで行くの当たり前って思われてるとこあるし。先生とか周りの皆に将来の夢を聞かれて『少女漫画家になりたい』って答えたら、えー? って顔されちゃうんだよね」
―学年トップの名が泣くわね。
さっきの武藤生徒会長のセリフを思い出して、私は口元を押さえる。
将来の夢を否定されるなんて、嫌だよね。
ジロー先輩を傷つけたかな。
「ごめー……」
口が勝手にまた謝ろうとして、続きを咄嗟に飲み込んだ。
私は首を振った。
「好きな方ですけど……。ジロー先輩や静先輩みたいに熱く語れるかといえばそれほどでもないというか」
「俺らを基準にしなくていいよー。自分の好きなものは自分の好きなペースで楽しむのが1番なんだから!」
「他人に合わせたり、人と比べたりすると本当は好きなものが嫌いになったりするしな」
てっきり先輩達はお気に入りの少女漫画を絶対読んで! と人に勧めてくるタイプだと思っていたから、意外だった。
本当は好きなものが嫌いになったりする、か。
なんだか昨日から気になっていた事を聞いてみたくなった。
「先輩達は、少女漫画のどういうところが好きなんですか?」
「その質問はやめといたほうがいいと思うぞ、夏帆。静に語らせると夜までかかる」
「止めないでよ、ジローちゃん。俺は語りたいよ。武藤みたいに放送室を乗っ取って、桜ヶ丘中学校の全生徒に聞いてもらいたいよ」
「生徒会だけじゃなく、全生徒からクレーム出るぞ」
「ジロー先輩、少女漫画家になるのが夢って話。本当ですか?」
先輩達が会話を止めて、顔を見合わせる。
答えたのは静先輩だった。
「本当だよ。俺が漫画家になってって言ったの。ジローちゃん、絵、めちゃくちゃ上手なんだよ~」
「それだったら少年漫画でもいいんじゃないかなって。なんであえて少女漫画なんだろうって不思議で。だってー……」
「俺は男なのに?」
ジロー先輩が真っすぐ私を見つめていた。
心の中を見透かされた気がして、顔が熱くなる。
私、すごく言っちゃいけないことを口走った気がする!
「あ、違うんです。あの……。ご、ごめんなさい。そういうんじゃなくて」
しどろもどろになる私にジロー先輩は怒らなかった。
それどころか、穏やかに言った。
「夏帆みたいにそうやって1対1で聞いてくれると助かる」
「え?」
「ジローちゃん下手に勉強できちゃうからなぁ。進学校に行って、大学まで行くの当たり前って思われてるとこあるし。先生とか周りの皆に将来の夢を聞かれて『少女漫画家になりたい』って答えたら、えー? って顔されちゃうんだよね」
―学年トップの名が泣くわね。
さっきの武藤生徒会長のセリフを思い出して、私は口元を押さえる。
将来の夢を否定されるなんて、嫌だよね。
ジロー先輩を傷つけたかな。
「ごめー……」
口が勝手にまた謝ろうとして、続きを咄嗟に飲み込んだ。
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