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第5章
助けに来たよ!
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「まぁ、とりあえず発声からしてく?」とか「ここじゃちょっと……。廊下でしようか」なんてぼそぼそ話しながら、放送委員の人達は放送室から出て行こうとする。
え、嘘だよね?
出来ればこの先輩と2人きりにしないで欲しいんですけど‼
私が心の中で叫ぶのと放送室のドアが勢いよく外側に開かれたのはほぼ同時だった。
「夏帆ちゃん、無事!? 助けに来たよ!」
「静、うるさい。大丈夫か、夏帆」
現れたのは息を切らせた静先輩とジロー先輩だった。
2人の顔を見たら、急に力が抜けちゃって。
へなへなとその場に座り込む私に静先輩が駆け寄る。
「怖かったね、夏帆ちゃん。平気? 武藤に何もされてない?」
「き……」
「『き』?」
「来てくれなかったらどうしようかと思いました~……」
緊張の糸が切れた私に静先輩が手を貸してくれる。
「大丈夫? 立てそう?」
「は、はい」
静先輩に手伝ってもらいながら立ち上がると、ジロー先輩が放送室を占拠した美人な先輩に向かって、言った。
「職権乱用が過ぎないか? 武藤」
「学年トップの名が泣くわね。谷山くん、どうして私があなた達を呼んだか察しがついてるんでしょ?」
「全く見当がつかないが」
「じゃあ、白石くんは? ……って聞くだけ無駄ね」
「いや、聞こうよ、一応。呼び出したのそっちなんだから。人質までとってさぁ! 卑怯が過ぎるよ。それこそ、生徒会長の名に傷がつくんじゃない?」
へ? 生徒会長?
びっくりして思わず、先輩達の顔を交互に見る私にジロー先輩が教えてくれる。
「コイツは、3年の武藤ゆめ。桜ヶ丘中学校の生徒会長だ」
憤慨する静先輩に美人な先輩が近づいた。
「何」
怪訝な表情を浮かべる静先輩に、武藤生徒会長が一言放つ。
「古書資料室」
ぎくっと静先輩がするのが分かった。
「静先輩?」
先輩を見上げると、硬い笑顔で動揺を隠そうとしているのがひしひし伝わって来る。
「ああ、その事か」
ジロー先輩も生徒会長が言わんとしている事に気づいたみたいで、2人して、何とも言えない表情をしている。
「聞いたわよ。あなた達、無断で古書資料室を部室として使っているそうね?」
「え? 何の事?」
静先輩がわざとらしくしらばっくれた。
「無駄な抵抗はやめなさい、白石くん。あなた達が所属する恋研は部員が白石くんと谷山くんの2名以下。つまり、桜ヶ丘中学校部活動規定第7条により、【校内施設を部室として使用できるのは部員が3名上の部活動に限る】に違反します」
「別にいいじゃん! ちゃんと活動してるんだし、古書資料室は実質物置と化してたんだし!」
「規定は規定です。例外は認められません」
「……歩く生徒手帳なんじゃないの、武藤って」
「年がら年中、校則破り魔にそんな事言われたくないわね」
武藤生徒会長の言葉に、静先輩がきぃ! となる。
「とにかく、部員が3人以上にならない限り、部室は与えられません」
「分かった。分かったよ! ……3人以上ならいいんだね⁉」
静先輩の手が私の手を取る。
あ、あれ? 嫌な予感がするんだけど。
「この子、御手洗夏帆ちゃん。2年で転校生。うちの新入部員!」
「……」
生徒会長がじっと私の目を見つめる。
その目力に屈しそうになりながらも、必死に見つめ返すと武藤生徒会長は、腕を組んで私に尋ねた。
「そうなの?」
「え?」
「白石くんの言うとおり、御手洗さん。あなた、恋研の新入部員なの?」
ええと、この状況。
流石に私でも分かるよ。
一言、はいそうですって言えばいいんだよね。言うべきだよね。
武藤生徒会長と、静先輩の間に挟まって、私は口ごもる。
はいって言うだけ。本当は違うけど、一言、イエスと答えるだけ。
頭では分かってるんだけど、私の口はー……。
「いいえ、部員じゃないです」
嘘がつけなかった。
さっきの私みたいに、がくっとその場に崩れ落ちる静先輩。
武藤生徒会長は、勝ち誇った笑みをその顔に浮かべた。
「恋研メンバー2名は、古書資料室にある漫画と私物、今日から3日以内にすみやかに撤去する事! でなければ全て生徒会が没収します。いいわね?」
え、嘘だよね?
出来ればこの先輩と2人きりにしないで欲しいんですけど‼
私が心の中で叫ぶのと放送室のドアが勢いよく外側に開かれたのはほぼ同時だった。
「夏帆ちゃん、無事!? 助けに来たよ!」
「静、うるさい。大丈夫か、夏帆」
現れたのは息を切らせた静先輩とジロー先輩だった。
2人の顔を見たら、急に力が抜けちゃって。
へなへなとその場に座り込む私に静先輩が駆け寄る。
「怖かったね、夏帆ちゃん。平気? 武藤に何もされてない?」
「き……」
「『き』?」
「来てくれなかったらどうしようかと思いました~……」
緊張の糸が切れた私に静先輩が手を貸してくれる。
「大丈夫? 立てそう?」
「は、はい」
静先輩に手伝ってもらいながら立ち上がると、ジロー先輩が放送室を占拠した美人な先輩に向かって、言った。
「職権乱用が過ぎないか? 武藤」
「学年トップの名が泣くわね。谷山くん、どうして私があなた達を呼んだか察しがついてるんでしょ?」
「全く見当がつかないが」
「じゃあ、白石くんは? ……って聞くだけ無駄ね」
「いや、聞こうよ、一応。呼び出したのそっちなんだから。人質までとってさぁ! 卑怯が過ぎるよ。それこそ、生徒会長の名に傷がつくんじゃない?」
へ? 生徒会長?
びっくりして思わず、先輩達の顔を交互に見る私にジロー先輩が教えてくれる。
「コイツは、3年の武藤ゆめ。桜ヶ丘中学校の生徒会長だ」
憤慨する静先輩に美人な先輩が近づいた。
「何」
怪訝な表情を浮かべる静先輩に、武藤生徒会長が一言放つ。
「古書資料室」
ぎくっと静先輩がするのが分かった。
「静先輩?」
先輩を見上げると、硬い笑顔で動揺を隠そうとしているのがひしひし伝わって来る。
「ああ、その事か」
ジロー先輩も生徒会長が言わんとしている事に気づいたみたいで、2人して、何とも言えない表情をしている。
「聞いたわよ。あなた達、無断で古書資料室を部室として使っているそうね?」
「え? 何の事?」
静先輩がわざとらしくしらばっくれた。
「無駄な抵抗はやめなさい、白石くん。あなた達が所属する恋研は部員が白石くんと谷山くんの2名以下。つまり、桜ヶ丘中学校部活動規定第7条により、【校内施設を部室として使用できるのは部員が3名上の部活動に限る】に違反します」
「別にいいじゃん! ちゃんと活動してるんだし、古書資料室は実質物置と化してたんだし!」
「規定は規定です。例外は認められません」
「……歩く生徒手帳なんじゃないの、武藤って」
「年がら年中、校則破り魔にそんな事言われたくないわね」
武藤生徒会長の言葉に、静先輩がきぃ! となる。
「とにかく、部員が3人以上にならない限り、部室は与えられません」
「分かった。分かったよ! ……3人以上ならいいんだね⁉」
静先輩の手が私の手を取る。
あ、あれ? 嫌な予感がするんだけど。
「この子、御手洗夏帆ちゃん。2年で転校生。うちの新入部員!」
「……」
生徒会長がじっと私の目を見つめる。
その目力に屈しそうになりながらも、必死に見つめ返すと武藤生徒会長は、腕を組んで私に尋ねた。
「そうなの?」
「え?」
「白石くんの言うとおり、御手洗さん。あなた、恋研の新入部員なの?」
ええと、この状況。
流石に私でも分かるよ。
一言、はいそうですって言えばいいんだよね。言うべきだよね。
武藤生徒会長と、静先輩の間に挟まって、私は口ごもる。
はいって言うだけ。本当は違うけど、一言、イエスと答えるだけ。
頭では分かってるんだけど、私の口はー……。
「いいえ、部員じゃないです」
嘘がつけなかった。
さっきの私みたいに、がくっとその場に崩れ落ちる静先輩。
武藤生徒会長は、勝ち誇った笑みをその顔に浮かべた。
「恋研メンバー2名は、古書資料室にある漫画と私物、今日から3日以内にすみやかに撤去する事! でなければ全て生徒会が没収します。いいわね?」
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