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第4章
部長の意見
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ジロー先輩が握っていたペンをテーブルに置いた。
「なるほどな」
それから一瞬何かを考える様に目を伏せてー……。
「静」
ロイヤルミルクティー作りにいそしむ絶賛いじけモード発動中の相棒を呼んだ。
「お前、どう思う?」
「どうもこうも」
ティースプーンで茶葉の量をはかっていた静先輩は語気を荒げた。
「あり得ないよ!」
「……ですよね。私、最低ですよね」
間山さんが、しゅんとして顔を覆う。
そんな。間山さんは自分でもそれがいけない事じゃないかって悩んで、どうしうようもなくて、私達に気持ちを打ち明けてくれたのに。
静先輩の言葉は、その間山さんの気持ちを一瞬で否定してしまうものなんじゃないかな。
それってなんか違うと思った。
いけない事の様な気がしたんだ。
「そんな言い方ってないと思います!」
「え?」
間山さんが驚いて、顔を上げた。
ジロー先輩も静先輩も会話を止めてこちらを見ている。
「静先輩は、間山さんがどういった経緯で親友と同じ人を好きになってしまったのか、まだ全然知らないのに話のさわりだけ聞いて、そんな事言うのすごくおかしいと思います」
じつはまだ私、本気で恋した事ないんだ。
だから、間山さんの気持ちを完全には分かってあげられないかもしれない。
でもね、想像する事だったらいくらでも出来るよ。
「考えましょう! 一緒に。間山さんにとって、もっともいい方法を。大切な気持ちをどう扱ったらいいかを」
間山さんがソファーから立ち上がった私を見上げた。
ジロー先輩が1度置いたペンに再び手を伸ばす。
ぽかんと口を開けた静先輩の顔に、じわじわと笑みが広がっていってー……。
そこではっとした。
わぁ! 私、今、恋研の部員じゃないのにメンバーの一員みたいな言い方しちゃった⁉
「夏帆、間山さん。1つ、誤解を解かせてもらうと」
短く嘆息して、ジロー先輩が左手で握るペンを静先輩に向けた。
「アイツの言った『あり得ない!』は間山さんの気持ちを否定したわけじゃない」
「え?」
間山さんと私は2人で静先輩を見遣る。
さっきまで拗ねていた筈の静先輩は上機嫌で、へんてこな鼻歌を歌いながらこちらへ笑いかけた。
「甘くておいしいロイヤルミルクティーを作ろうと思ったのに、そもそもミルクのストックが切れてるの忘れてたよ~」
「……え?」
「ミルクなしのロイヤルミルクティーなんてあり得ないよね。紅茶好きとしてはもう、絶対あり得ないよ!」
「……」
「……」
無言で間山さんを見つめると、間山さんが気の抜けたようにふふっと笑った。
恋研の部室に来て間山さんが初めて見せてくれた本当にリラックスしている顔だった。
もしかして静先輩、緊張している間山さんを和ませようとしてわざとあんな言い方をしたの?
……なーんて。
思える程、私は大人じゃなくて。
「し、し、静先輩―――――――ッ‼」
自分の早とちりに、顔から火が吹き出そうなくらい恥ずかしくなって、恋研の部室で絶叫したんだ。
「なるほどな」
それから一瞬何かを考える様に目を伏せてー……。
「静」
ロイヤルミルクティー作りにいそしむ絶賛いじけモード発動中の相棒を呼んだ。
「お前、どう思う?」
「どうもこうも」
ティースプーンで茶葉の量をはかっていた静先輩は語気を荒げた。
「あり得ないよ!」
「……ですよね。私、最低ですよね」
間山さんが、しゅんとして顔を覆う。
そんな。間山さんは自分でもそれがいけない事じゃないかって悩んで、どうしうようもなくて、私達に気持ちを打ち明けてくれたのに。
静先輩の言葉は、その間山さんの気持ちを一瞬で否定してしまうものなんじゃないかな。
それってなんか違うと思った。
いけない事の様な気がしたんだ。
「そんな言い方ってないと思います!」
「え?」
間山さんが驚いて、顔を上げた。
ジロー先輩も静先輩も会話を止めてこちらを見ている。
「静先輩は、間山さんがどういった経緯で親友と同じ人を好きになってしまったのか、まだ全然知らないのに話のさわりだけ聞いて、そんな事言うのすごくおかしいと思います」
じつはまだ私、本気で恋した事ないんだ。
だから、間山さんの気持ちを完全には分かってあげられないかもしれない。
でもね、想像する事だったらいくらでも出来るよ。
「考えましょう! 一緒に。間山さんにとって、もっともいい方法を。大切な気持ちをどう扱ったらいいかを」
間山さんがソファーから立ち上がった私を見上げた。
ジロー先輩が1度置いたペンに再び手を伸ばす。
ぽかんと口を開けた静先輩の顔に、じわじわと笑みが広がっていってー……。
そこではっとした。
わぁ! 私、今、恋研の部員じゃないのにメンバーの一員みたいな言い方しちゃった⁉
「夏帆、間山さん。1つ、誤解を解かせてもらうと」
短く嘆息して、ジロー先輩が左手で握るペンを静先輩に向けた。
「アイツの言った『あり得ない!』は間山さんの気持ちを否定したわけじゃない」
「え?」
間山さんと私は2人で静先輩を見遣る。
さっきまで拗ねていた筈の静先輩は上機嫌で、へんてこな鼻歌を歌いながらこちらへ笑いかけた。
「甘くておいしいロイヤルミルクティーを作ろうと思ったのに、そもそもミルクのストックが切れてるの忘れてたよ~」
「……え?」
「ミルクなしのロイヤルミルクティーなんてあり得ないよね。紅茶好きとしてはもう、絶対あり得ないよ!」
「……」
「……」
無言で間山さんを見つめると、間山さんが気の抜けたようにふふっと笑った。
恋研の部室に来て間山さんが初めて見せてくれた本当にリラックスしている顔だった。
もしかして静先輩、緊張している間山さんを和ませようとしてわざとあんな言い方をしたの?
……なーんて。
思える程、私は大人じゃなくて。
「し、し、静先輩―――――――ッ‼」
自分の早とちりに、顔から火が吹き出そうなくらい恥ずかしくなって、恋研の部室で絶叫したんだ。
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