13 / 26
ビール
しおりを挟む
賢太郎が作ったチキンステーキがメインの晩御飯を食べ終わると、二人はソファに腰を掛けて映画を見る。部屋の照明を落とす。
「なんだか、部屋の中なのにデートをしているみたい」
怜がボソッと言った一言を逃さなかった。
「デート?怜さん、今、デートって言ったやんな!」
怜は、賢太郎と同じ家に住むことを同居、外に出て二人で何かすることを、記憶探し。そう言っていた。デート との認識があることは前進なのだ。
「気のせいです」
赤くなっているのは、酔っているのか、思わず口走った言葉が恥ずかしかったのか、微妙だ。口調は何時ものごとく、冷静だった。
「はは、そうやんな」
乾いた笑いが部屋にこだまする。テレビ画面では、恐竜たちがこっそりと主人公を追い詰めている。おそらく、あのちょっと性格に難ありの弁護士は最初の餌食になるんだろうな。
「この映画、面白い。有名で、見てみたかったんだけど、なかなか見れなくて」
怜は食い入るように画面を見る。制作から結構経っているだろうけど、名作はいつまでも色褪せない。その意味がわかる。
「僕が好きな映画やねん。気に入って貰えて良かったわ」
賢太郎は、ビールに手を伸ばす。思わず、グラスに入ったビールを倒してしまう。暗くして、映画館の雰囲気を出そうとした部屋が仇となった。二人は、薄手の掛け布団をそれぞれ自室から持ってきて、掛け布団を肩から下にかけて見ていた。想像はつくだろう。こぼれたビールは瞬く間に賢太郎の布団に広がる。
「わ!」
「どうしたの?」
「布団にビールこぼした!」
賢太郎は急いで布団カバーを外す。不幸にも、中までしっかりしみている。
「布団、洗ってくるわ」
布団を持って、洗面所へ。急いで洗う。ビールの臭いが、色が、ついた布団では寝たくない。賢太郎は、手際よく、布団を洗うと、洗濯機に入れる。夜の間に干すしかないか…
「あ、映画、止めてたん?」
「布団は大丈夫だった?」
「多分、はやく洗ったし、大丈夫。問題は、今晩やなさすがに、濡れた布団では寝れへんからな」
賢太郎は、苦笑いを浮かべる。季節的にはギリギリ布団なしで耐えられるだろうが、賢太郎自身が何にもかけないで寝られない性分であった。
「厚着して寝よ」
怜は夏用のタオルケットを持っているが、賢太郎は引っ越しのタイミングでそれを捨てて、今はまだ買っていない。
怜は、トントンとソファーを叩く。
「えっと?」
「せめて、この時間は」
怜は、布団を横向きにして、賢太郎が座っていた方向の布団を半分ほどめくりあげる。視線は、賢太郎を見つめる感じだ。
「し、失礼します。」
賢太郎は怜の布団にスルスルと足を滑り込ませる。
2分後
「い、嫌じゃないですか?」←緊張で敬語
「嫌、、じゃないです。」←緊張で敬語
照れ臭いやら、恥ずかしいやら、気をまぎらわすために映画をガン見。
賢太郎は、大判のバスタオルでその夜は眠った。ちょっとでも、一緒に寝る期待をした自分は、愚かしかった。
「なんだか、部屋の中なのにデートをしているみたい」
怜がボソッと言った一言を逃さなかった。
「デート?怜さん、今、デートって言ったやんな!」
怜は、賢太郎と同じ家に住むことを同居、外に出て二人で何かすることを、記憶探し。そう言っていた。デート との認識があることは前進なのだ。
「気のせいです」
赤くなっているのは、酔っているのか、思わず口走った言葉が恥ずかしかったのか、微妙だ。口調は何時ものごとく、冷静だった。
「はは、そうやんな」
乾いた笑いが部屋にこだまする。テレビ画面では、恐竜たちがこっそりと主人公を追い詰めている。おそらく、あのちょっと性格に難ありの弁護士は最初の餌食になるんだろうな。
「この映画、面白い。有名で、見てみたかったんだけど、なかなか見れなくて」
怜は食い入るように画面を見る。制作から結構経っているだろうけど、名作はいつまでも色褪せない。その意味がわかる。
「僕が好きな映画やねん。気に入って貰えて良かったわ」
賢太郎は、ビールに手を伸ばす。思わず、グラスに入ったビールを倒してしまう。暗くして、映画館の雰囲気を出そうとした部屋が仇となった。二人は、薄手の掛け布団をそれぞれ自室から持ってきて、掛け布団を肩から下にかけて見ていた。想像はつくだろう。こぼれたビールは瞬く間に賢太郎の布団に広がる。
「わ!」
「どうしたの?」
「布団にビールこぼした!」
賢太郎は急いで布団カバーを外す。不幸にも、中までしっかりしみている。
「布団、洗ってくるわ」
布団を持って、洗面所へ。急いで洗う。ビールの臭いが、色が、ついた布団では寝たくない。賢太郎は、手際よく、布団を洗うと、洗濯機に入れる。夜の間に干すしかないか…
「あ、映画、止めてたん?」
「布団は大丈夫だった?」
「多分、はやく洗ったし、大丈夫。問題は、今晩やなさすがに、濡れた布団では寝れへんからな」
賢太郎は、苦笑いを浮かべる。季節的にはギリギリ布団なしで耐えられるだろうが、賢太郎自身が何にもかけないで寝られない性分であった。
「厚着して寝よ」
怜は夏用のタオルケットを持っているが、賢太郎は引っ越しのタイミングでそれを捨てて、今はまだ買っていない。
怜は、トントンとソファーを叩く。
「えっと?」
「せめて、この時間は」
怜は、布団を横向きにして、賢太郎が座っていた方向の布団を半分ほどめくりあげる。視線は、賢太郎を見つめる感じだ。
「し、失礼します。」
賢太郎は怜の布団にスルスルと足を滑り込ませる。
2分後
「い、嫌じゃないですか?」←緊張で敬語
「嫌、、じゃないです。」←緊張で敬語
照れ臭いやら、恥ずかしいやら、気をまぎらわすために映画をガン見。
賢太郎は、大判のバスタオルでその夜は眠った。ちょっとでも、一緒に寝る期待をした自分は、愚かしかった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

記憶がないなら私は……
しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。 *全4話
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
その出会い、運命につき。
あさの紅茶
恋愛
背が高いことがコンプレックスの平野つばさが働く薬局に、つばさよりも背の高い胡桃洋平がやってきた。かっこよかったなと思っていたところ、雨の日にまさかの再会。そしてご飯を食べに行くことに。知れば知るほど彼を好きになってしまうつばさ。そんなある日、洋平と背の低い可愛らしい女性が歩いているところを偶然目撃。しかもその女性の名字も“胡桃”だった。つばさの恋はまさか不倫?!悩むつばさに洋平から次のお誘いが……。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる