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イメージチェンジ?
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「そうだったんだ。言い出せない雰囲気にしてたかな。ごめん」
蒼士と紅葉も、琥珀の秘密を知ることになった。
「私も。でも、言ってくれてありがと。琥珀。」
衝撃だったけど、意外とすんなりと受け入れることができた。蒼士も似たような感じだろう。それに、紅葉にとっては同性が居る。というのは、心強い。実は、男に囲まれているというのはちょっとストレスだった。琥珀のストレスとは比べ物にならないだろうけど。
「あたし、お風呂行ってくる。覗かないでね!」
琥珀が、「あたし」って言ってる。新鮮だ。琥珀は、船尾の方に足取り軽く向かう。
「なんか、そう言われると覗きたくなるよな。翠」
蒼士が翠の肩を組む。ニカッと笑う蒼士と対照的に、翠は困惑した様子で眉をハの字にする。
「僕に同意を求めないでよ」
「蒼士、翠が困ってるじゃん」
「ジョークだ、翠。ジョーク。ま、紅葉が風呂に入るって言うなら、そんなジョークをいう気も失せるけどな。」
蒼士は、紅葉を見て鼻で笑う。
「はぁ?なにそれ、失礼じゃない?」
「見て欲しいのか?」
「バッカじゃないの!」
「何、本気にしてんだよ。ちょっとした冗談」
「蒼士は冗談禁止!」
この暑い中、ケンカは是非ともやめて欲しい。甲板も、熱くなっている。翠は、たまらずバケツで海水を掬い上げて甲板にかける。
「滑りやすくなったから、気を付けて」
「ありがと」
紅葉の変わり身の早さは素晴らしいと称えたくなるレベルだ。
「はーい、風呂、上がったよ。」
左手を振りながら颯爽と歩いてくる琥珀。短い髪には雫が見えかくれする。
「ヤベー、すっげぇ美人だ。琥珀!」
歯にもの着せず言うタイプの蒼士がハッキリと美人だと言った。納得だ。もともと美形だとは思ってたけど女性だと知ったからか、本人の中で何か弾けたのかいつになく輝いて見える。
「フフ、ありがと 蒼士」
「良い湯加減だった?」
「お風呂にしては、温度低めだけど、こんなに暑いから、いい湯加減だった。次、翠でしょ、自分で確かめたら?」
「そう、だね」
翠は、サーッと速足でお風呂に向かう。
そして、あっという間に上がってきた。大切な食料問題を話し合うために。
「紅葉、野菜がなくなってきたけどどうする?」
「無いものは仕方がないんじゃない?今あるのを大切に使うしか。」
「そうだよなぁ。船上で家庭菜園するわけにもいかないし。」
蒼士がふと漏らした言葉だった。しかし、翠はしっかりと聞いていた。
「あ!いいこと思い出した!確か、缶詰とかレトルト食品のパウチがあったよね。」
翠は珍しく興奮気味に話す。
「うん、とってある」
琥珀が相槌をうち、蒼士がいくつか持ってくる。ナイスコンビネーション!
「これらの底に穴を数ヵ所開ける。そしたら、そこに土を入れる。ネギとかならできるんじゃないかな?ネギの下の部分を植えたらまた、生えてくるよ。実践したことがあって割りと簡単に採れるよ。」
「豆苗みたいな感じ?」
紅葉が想像を膨らます。
「多分そう」
「ちょっと、大事なことを見失ってる。ネギの旬は冬だ。だから、こんな暑いなかじゃ育ちが悪いよ。」
「言われてみれば、そうだな。琥珀」
操舵室からの琥珀の声でハッとさせられる。蒼士もどうやらそのようだ、翠が見落としとは珍しいこともあるもんだ。
「じゃぁ、どーするの?」
「ってか、なんでもっと野菜を持ってこなかったんだよ。残ってるのってじゃがいもとカボチャと缶詰めのトウモロコシだけだし。」
「野菜には消費期限があるでしょ。それに、500のペットボトルを数本入れるのがやっとな冷蔵庫だよ?」
四人はまたしてもスタートラインに戻ってしまった。
「でも、野菜がなくなったとたん死ぬ訳じゃないし。工夫したら良いんじゃない?例えば、いもだったら、ポテチにして味のマンネリ化を避けたり、食べるシーンを変えたり。食べることを楽しんだ方が、健康に良いと思う」
「確かに、一年とか続く訳じゃないもんね。僕、琥珀の意見に賛成だよ」
「紅葉はどーなんだ?俺も良い案だと思ったけど」
「うん、私も良いと思う」
全員の賛成を得られた琥珀は嬉しそうな顔をする。
「じゃ、俺も頑張っていろんな魚を釣らなくちゃな。いろんな魚を釣ったらそれだけ組み合わせが増えるってことだから。」
「そうだね。僕も頑張らないと!」
「やけにやる気じゃん。翠」
琥珀と紅葉が翠を見る。
「そうかなぁ?」
「良いことじゃん。」
蒼士も翠の肩にポンと手を置く。
それから数時間後一切魚を釣ることはできず、仕方なく、フランスパンを切って、アヒージョを作ることに。
「あたしだったら、アヒージョにしようなんて思わないよ。干物は干物らしく食べちゃう」
「昼間にさ、琥珀がマンネリ化を避けるって言ってたからだよ。そうじゃなきゃ、思い付きもしなかった」
「でもさ、言った本人は思い付けなかった。是非とも、だいどうで働かない?レシピを考える人として」
「うちの近くに出来たら考えても良いかも」
クフッと笑う紅葉。完全に女友達だ。
「しかし、蒼士って一体何者なの?この調味料の多さ。ガーリックチップに鷹の爪、オリーブ油。男子高校生だよね?」
まるで、アヒージョを作ることを見越していたみたいだ。一般的な男子高校生ならば、海のサバイバルにこんなに多くの調味料は持ってこない。
「ま、昔からアイツ変なところがあるからさ。用意周到と言えばそうなんだけどさ。脳内シュミレーションが好きなんだって。」
琥珀は苦笑い。そうこうしているうちに、干物は刻まれ、オリーブ油の中へ。三、四分経ってから、鷹の爪とニンニクを投入。あっという間に完成だ。
「凄いいい香り!」
蒼士が操舵室から降りてくる。
「ちゃんと止めた?」
「音でわかるだろ、さ、ご飯、ご飯」
まったく調子の良い男である。
「これはなんと言う名前なの?」
「アヒージョって言うの。干物を入れてみました!」
いただきますと船内に声が響くと同時に全員の手がパンに伸びる。そして、我先にとアヒージョへ。
「さすがだな、紅葉」
「蒼士がいろんな調味料を持ってきてたし出来たんだよ」
翠は黙々と食べている。
「海に飽きてたところだから、こういうのが食べられて、このメンバーで良かったなって思うわ~」
「琥珀にそう言ってもらえると嬉しい。」
「琥珀、気を付けろよ。紅葉はなおだてるとすぐに調子に乗って羽目外すからな」
蒼士が凄い目力でこちらを見てくる。
「うわー、そんなことばっかり言ってるから、彼女ができないんだよ」
哀れみの眼差しをお返しする。
「紅葉だってまだじゃんか」
「少なくとも、私は出来ないんじゃなくて、作ってないだけだから!誤解はごめんだわ」
琥珀が紅葉の横で笑う。
「な、琥珀は好きな人っているのか?」
急な飛び火に一瞬戸惑う。
「別に、好きって訳じゃないけど彼女はいるよ。彼氏じゃなくて彼女ね。ほら、一応、学校では男で通ってるから。」
男の振りをするのに、彼女が居るというのは武器だから。彼女には口が裂けても言えないけど。
「やっぱ、モテるよなぁ。だって、琥珀って男でも憧れるほどのイケメン顔だもん」
「そうそう、どっかの誰かさんとは違って。ねぇ、翠は?翠は好きな人っているの?」
翠は一瞬、戸惑った様子を見せる。
「好きな人?」
「うん、そう」
翠は15秒ほど頭を悩ませる。その間、琥珀たちは固唾を飲んで見守る。
「う~ん、居ないかな」
「怪しい」
紅葉がジリジリと翠に近づくと、翠の顔が沸騰寸前のやかんみたいになった。その姿が、面白くて、3人は腹を抱えて笑った。
翠がこんな表情を見せるとは、イメージがちょっと変わったかも。
蒼士と紅葉も、琥珀の秘密を知ることになった。
「私も。でも、言ってくれてありがと。琥珀。」
衝撃だったけど、意外とすんなりと受け入れることができた。蒼士も似たような感じだろう。それに、紅葉にとっては同性が居る。というのは、心強い。実は、男に囲まれているというのはちょっとストレスだった。琥珀のストレスとは比べ物にならないだろうけど。
「あたし、お風呂行ってくる。覗かないでね!」
琥珀が、「あたし」って言ってる。新鮮だ。琥珀は、船尾の方に足取り軽く向かう。
「なんか、そう言われると覗きたくなるよな。翠」
蒼士が翠の肩を組む。ニカッと笑う蒼士と対照的に、翠は困惑した様子で眉をハの字にする。
「僕に同意を求めないでよ」
「蒼士、翠が困ってるじゃん」
「ジョークだ、翠。ジョーク。ま、紅葉が風呂に入るって言うなら、そんなジョークをいう気も失せるけどな。」
蒼士は、紅葉を見て鼻で笑う。
「はぁ?なにそれ、失礼じゃない?」
「見て欲しいのか?」
「バッカじゃないの!」
「何、本気にしてんだよ。ちょっとした冗談」
「蒼士は冗談禁止!」
この暑い中、ケンカは是非ともやめて欲しい。甲板も、熱くなっている。翠は、たまらずバケツで海水を掬い上げて甲板にかける。
「滑りやすくなったから、気を付けて」
「ありがと」
紅葉の変わり身の早さは素晴らしいと称えたくなるレベルだ。
「はーい、風呂、上がったよ。」
左手を振りながら颯爽と歩いてくる琥珀。短い髪には雫が見えかくれする。
「ヤベー、すっげぇ美人だ。琥珀!」
歯にもの着せず言うタイプの蒼士がハッキリと美人だと言った。納得だ。もともと美形だとは思ってたけど女性だと知ったからか、本人の中で何か弾けたのかいつになく輝いて見える。
「フフ、ありがと 蒼士」
「良い湯加減だった?」
「お風呂にしては、温度低めだけど、こんなに暑いから、いい湯加減だった。次、翠でしょ、自分で確かめたら?」
「そう、だね」
翠は、サーッと速足でお風呂に向かう。
そして、あっという間に上がってきた。大切な食料問題を話し合うために。
「紅葉、野菜がなくなってきたけどどうする?」
「無いものは仕方がないんじゃない?今あるのを大切に使うしか。」
「そうだよなぁ。船上で家庭菜園するわけにもいかないし。」
蒼士がふと漏らした言葉だった。しかし、翠はしっかりと聞いていた。
「あ!いいこと思い出した!確か、缶詰とかレトルト食品のパウチがあったよね。」
翠は珍しく興奮気味に話す。
「うん、とってある」
琥珀が相槌をうち、蒼士がいくつか持ってくる。ナイスコンビネーション!
「これらの底に穴を数ヵ所開ける。そしたら、そこに土を入れる。ネギとかならできるんじゃないかな?ネギの下の部分を植えたらまた、生えてくるよ。実践したことがあって割りと簡単に採れるよ。」
「豆苗みたいな感じ?」
紅葉が想像を膨らます。
「多分そう」
「ちょっと、大事なことを見失ってる。ネギの旬は冬だ。だから、こんな暑いなかじゃ育ちが悪いよ。」
「言われてみれば、そうだな。琥珀」
操舵室からの琥珀の声でハッとさせられる。蒼士もどうやらそのようだ、翠が見落としとは珍しいこともあるもんだ。
「じゃぁ、どーするの?」
「ってか、なんでもっと野菜を持ってこなかったんだよ。残ってるのってじゃがいもとカボチャと缶詰めのトウモロコシだけだし。」
「野菜には消費期限があるでしょ。それに、500のペットボトルを数本入れるのがやっとな冷蔵庫だよ?」
四人はまたしてもスタートラインに戻ってしまった。
「でも、野菜がなくなったとたん死ぬ訳じゃないし。工夫したら良いんじゃない?例えば、いもだったら、ポテチにして味のマンネリ化を避けたり、食べるシーンを変えたり。食べることを楽しんだ方が、健康に良いと思う」
「確かに、一年とか続く訳じゃないもんね。僕、琥珀の意見に賛成だよ」
「紅葉はどーなんだ?俺も良い案だと思ったけど」
「うん、私も良いと思う」
全員の賛成を得られた琥珀は嬉しそうな顔をする。
「じゃ、俺も頑張っていろんな魚を釣らなくちゃな。いろんな魚を釣ったらそれだけ組み合わせが増えるってことだから。」
「そうだね。僕も頑張らないと!」
「やけにやる気じゃん。翠」
琥珀と紅葉が翠を見る。
「そうかなぁ?」
「良いことじゃん。」
蒼士も翠の肩にポンと手を置く。
それから数時間後一切魚を釣ることはできず、仕方なく、フランスパンを切って、アヒージョを作ることに。
「あたしだったら、アヒージョにしようなんて思わないよ。干物は干物らしく食べちゃう」
「昼間にさ、琥珀がマンネリ化を避けるって言ってたからだよ。そうじゃなきゃ、思い付きもしなかった」
「でもさ、言った本人は思い付けなかった。是非とも、だいどうで働かない?レシピを考える人として」
「うちの近くに出来たら考えても良いかも」
クフッと笑う紅葉。完全に女友達だ。
「しかし、蒼士って一体何者なの?この調味料の多さ。ガーリックチップに鷹の爪、オリーブ油。男子高校生だよね?」
まるで、アヒージョを作ることを見越していたみたいだ。一般的な男子高校生ならば、海のサバイバルにこんなに多くの調味料は持ってこない。
「ま、昔からアイツ変なところがあるからさ。用意周到と言えばそうなんだけどさ。脳内シュミレーションが好きなんだって。」
琥珀は苦笑い。そうこうしているうちに、干物は刻まれ、オリーブ油の中へ。三、四分経ってから、鷹の爪とニンニクを投入。あっという間に完成だ。
「凄いいい香り!」
蒼士が操舵室から降りてくる。
「ちゃんと止めた?」
「音でわかるだろ、さ、ご飯、ご飯」
まったく調子の良い男である。
「これはなんと言う名前なの?」
「アヒージョって言うの。干物を入れてみました!」
いただきますと船内に声が響くと同時に全員の手がパンに伸びる。そして、我先にとアヒージョへ。
「さすがだな、紅葉」
「蒼士がいろんな調味料を持ってきてたし出来たんだよ」
翠は黙々と食べている。
「海に飽きてたところだから、こういうのが食べられて、このメンバーで良かったなって思うわ~」
「琥珀にそう言ってもらえると嬉しい。」
「琥珀、気を付けろよ。紅葉はなおだてるとすぐに調子に乗って羽目外すからな」
蒼士が凄い目力でこちらを見てくる。
「うわー、そんなことばっかり言ってるから、彼女ができないんだよ」
哀れみの眼差しをお返しする。
「紅葉だってまだじゃんか」
「少なくとも、私は出来ないんじゃなくて、作ってないだけだから!誤解はごめんだわ」
琥珀が紅葉の横で笑う。
「な、琥珀は好きな人っているのか?」
急な飛び火に一瞬戸惑う。
「別に、好きって訳じゃないけど彼女はいるよ。彼氏じゃなくて彼女ね。ほら、一応、学校では男で通ってるから。」
男の振りをするのに、彼女が居るというのは武器だから。彼女には口が裂けても言えないけど。
「やっぱ、モテるよなぁ。だって、琥珀って男でも憧れるほどのイケメン顔だもん」
「そうそう、どっかの誰かさんとは違って。ねぇ、翠は?翠は好きな人っているの?」
翠は一瞬、戸惑った様子を見せる。
「好きな人?」
「うん、そう」
翠は15秒ほど頭を悩ませる。その間、琥珀たちは固唾を飲んで見守る。
「う~ん、居ないかな」
「怪しい」
紅葉がジリジリと翠に近づくと、翠の顔が沸騰寸前のやかんみたいになった。その姿が、面白くて、3人は腹を抱えて笑った。
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