君の手の温もりが…

海花

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デート

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俊輔は結衣のためにジュースとポップコーンを買い、席に戻った。薄っすらと化粧をした結衣がポップコーンを見て嬉しそうに笑う。

———今日見た中で一番いい笑顔かも……。

俊輔もつられて笑顔になりながらジュースを渡した。
二人で映画を見に来ている。前に結衣が見たいと話していた話題の恋愛映画。

———CMでは確か……ヒロインが亡くなる話だったような……。

少し心配そうに結衣を見るが楽しそうな笑顔にホッとしてスクリーンに目を向けた。


そして……映画も終盤になると、隣で結衣が号泣しているのが分かる……。

───やっぱり……。

俊輔が見る限り周りの誰より先に泣き出していた……。


「見ないでよ……」
映画が終わって近くのファミレスに向かい合って座り、結衣がハンカチで顔を隠している。
「隠す必要ないよ…。いつもの結衣に戻っただげじゃん」
俊輔が苦笑いする。化粧が落ちてしまったことを気にしているのだ。
しかもギリギリまで服に悩んでいて時間が無くなり、化粧ポーチを忘れてきていた……。
ファミレスの入り口にある鏡を見た時の結衣の衝撃といったら………そのまま走って逃げたくなったのを堪えるのがどれだけ切なかったか………。
「俺は、いつもの結衣のが好きだけどな……?」
俊輔の言葉にやっと少しずつハンカチの後ろから顔が現れる。真っ赤になったふくれっ面の顔だ。
「……そう言う事…簡単に言わないで………」

———つい……期待してしまう……。

結衣の気持ちに全く気付いていないのか
「ごめん、ごめん」
と、俊輔が笑って答えた。



「今日、一緒に出かけようか?」
フルーツサンドを頬張る葵に藤井が笑いかけた。
「………出かけるんですか?」
「そう。たまにはさ……どこか遊びいかない?」
「………この…格好で?」
葵が首を傾げ上目遣いで藤井を見つめた。結局昨日からずっと裸のままで過ごしている。さすがに二人とも下着は履いているが……。
「まさか」
藤井が笑って「どこか行きたい所ある?」と、自分の朝食のコーヒーを口にした。
「………じゃあ…ゲームセンター行きたい!」
葵が嬉しそうに答えると
「いいね。じゃあ支度して出掛けよう」
藤井も嬉しそうに笑った。


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