君の手の温もりが…

海花

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「何か…あったんだね」
藤井の冷静な声が耳に届き何故か少しイラつきながら葵が目を伏せた。
「俊が……さっき話した友達の家に泊まりに行ったみたいで……。ただ…それだけです」
「心配なんだね?」
藤井の問いかけに
「当たり前じゃないですか!俊があいつに何か……」
思わず声を上げ、しかしそこで言葉を切った。藤井にイラつきをぶつけているのも分かっていたし、ただ嫉妬してるだけで…本当に何も無いのかもしれないと頭の隅にあったからだ。
「……葵、落ち着きなさい。その友達の家は分かるの?」
「さっき電話で教わったから……」
「それなら迎えに行こう。俺が車を出すから…。走っていくより少しは早いハズだ」
そう言って藤井が車の鍵をカバンから取り出す。
「いいです!藤井さん……怪我してるのに……。これは俺の問題だから……おれ一人で行きます」
藤井は葵の側まで来ると
「何度も言わせないで。葵はまだ子供だ、大人が必要になる時があるかもしれない。だから俺が車を出すよ」
そう言って玄関へ向かった。
「すみません……。また…迷惑掛けて」
葵が追いかけながら謝ると
「葵のことなら別に迷惑とは思わないよ」
いつもの様に優しく微笑んだ。
しかし、実際『葵の兄』に会うのは初めてだったし、葵の慌てようを見たら正直穏やかではいられなかった。葵の中にずっと兄がいることは分かってたが、いざ目の当たりにするとさすがに堪える。
だいたいの場所を聞いて車を走らせると、葵が不安そうに窓の外をじっと見つめている。
「大丈夫…。きっと何も無い…」
藤井の言葉が聞こえたのか聞こえていないのか……葵はただひたすらに窓の外を見つめていた。


「……………ん…………」
俊輔の喉から声にならない声が漏れる。
「俊………愛してるよ……」
唇を離すと薫が耳元で囁く。そしてそのまま俊輔の耳に歯を立て首筋へ舌を這わせる。
「───あっ………」
俊輔が薫の首に腕を回し物欲しそうにキスをねだった。
───なんで……俺は葵が好きなのに……止められない…………
薫が再び俊輔にキスをして激しく舌を絡ませる。その激しさに俊輔の身体が熱くなり応え始めている。
「俊……」
何度も名前を呼ばれながら唇に首に胸に…薫がキスをしていく。時には噛み付くようなキスをされ、その度に俊輔は身体を仰け反らせた。
「……薫…………」
俊輔の口から自分の名前が漏れ、驚くような快感が身体を走った。
───ずっと…夢に見てた……。
「俊……」
名前を呼びながら薫は俊輔のパンツのボタンを外し中に手を滑り込ませた……。
机の上で俊輔のスマホが葵からの着信を知らせている。
しかし快感に捉えられた俊輔の耳には届くことは無かった。

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