君の手の温もりが…

海花

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薫 2

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「この後って……?」
結衣の瞳に不安が影を差す。
「今日、薫の家で一晩中映画観ようって約束しててさ。もう夏休みも終わるし……たまにはいいかなって」

───きっと葵も帰ってこないし……。

「───!?…薫って……望月くんでしょ!?」
結衣がつい過剰に反応すると
「また。そういう顔する……」
俊輔が笑った。
「だって!……」
「変な心配し過ぎだって」
「でも……!」
少なくとも子供の頃の薫は異常に見えた。
「……じゃあ!私も行く!」
結衣が必死の形相でコーヒーを持ってきた俊輔の腕を掴むと
「ちょっ!……」
コーヒーをこぼしそうになって俊輔が慌てて机に置いた。
「ごめんっ!」
慌てて謝る結衣に
「何言ってるの……。俺も薫も一応男だからね?」
俊輔が呆れてため息をつく。
「全く……。結衣にはいつも驚かされるよ。まぁ、おかげで目は覚めたけど」
結衣の頭を撫でると俊輔も元の場所に座った。
「結衣も葵も……変な心配し過ぎだって…」
「だって……」
結衣が俊輔を見つめ
「……望月くん……俊輔のことそういう目で見てると思う」
意を決した様に告げた。
「なに?そういう目って……」
「だから……!その……恋愛対象とか……性的な対象とか……」
つい口篭る。
「あー……」
思わず俊輔が目を逸らすと
「なに!?その反応!」
再び結衣が俊輔の腕を掴んだ。
「なにって……昨日…ちょうどそんな話したからさ」
「そんな話ってどんな話!?」
掴む腕につい力が入る。
「あー……んー……」
俊輔が言い淀むと
「私には言えない話!?」
結衣が興奮気味に顔を近づけた。
「別に……そういう訳じゃ……」
「じゃあ教えてよ!」
結衣の勢いに負け俊輔がため息をついた。
「昨日……薫に好きだって言われたからさ……」
「───それで………泊まりに行くの!?」
「え?」
「それ……解ってて泊まりに行くことにしたの!?」
結衣の顔がみるみる赤くなる。
「え!?──違う!違う!映画の話は前から決まってて!だから……」
俊輔もつられて顔を赤くしながら
「結衣の思ってる様なことは全然無いから!ただの友達だし、それは薫も解ってくれてるから!」
必死で言い訳をしている。
「……でも、俊輔がそのつもりでも……望月くんは分からないじゃん……」
結衣の言葉に再び俊輔がため息をついた。
「俺…男だよ?もし、結衣が心配するような事があったとしても……自分でどうとでも出来るから……」
納得出来ないでいる結衣の顔を俊輔が覗き込み
「本当に……心配しなくて大丈夫だから」
困った様に微笑んだ。


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