君の手の温もりが…

海花

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友達

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8月も終わりに近付いていると言うのに、うだる様な暑さの中俊輔は薫の家のチャイムを鳴らした。
バイト先から大した距離でもないのに汗で服が肌に纒わり付く。
「お疲れ」
薫が外の暑さに顔を顰めながらドアを開けてくれた。
「……暑かったぁ……」
俊輔もうんざりするように今年何度言ったか分からない言葉を吐く。
「そろそろだと思ってアイスコーヒー作っといた」
薫が先に歩き部屋に向かう。
「マジで?すげぇ嬉しい」
「もっと褒めて」
薫がニッと笑った。
部屋に入ると驚く程冷房がきいていて汗で湿った身体が一瞬震えた。
「めちゃくちゃ冷房きいてない?」
「そう?18℃だからかな……?」
薫が首を傾げる。
「それ……低すぎだろ」
「俺暑いの本当に無理だから」
いつもの様にくだらない話を交わすと、俊輔は居心地の良さに安心した。
薫の部屋のいつもの場所に座り、入れてくれたアイスコーヒーを飲むと
「昨日玄関で会ったのって松下さん?」
薫が自分はコーラを飲みながら訊ねた。
「え?……ああ、結衣?そうそう。よく分かったね」
「小学校の時から変わってないじゃん」
「そう……かもね」
そう言って俊輔は苦笑いした。
「付き合ってるの?」
「───え?」
「松下さんとさ……」
薫の質問にドキッとして思わず目を伏せた。
「別に……付き合ってない…よ」
結衣に好きだと言われてから、つい甘えてしまっているけど……付き合っているわけじゃない……。
「……好きなの?」
「え?」
「俊……松下さんのこと」
「俺?……俺は……」
俊輔は言葉を詰まらせた。
やっぱり結衣に恋愛感情を持てるかと言われれば……。
「友達としてね……」
俊輔は誤魔化すように笑った。
自分で自分の気持ちが分からない……。
「…………ふぅん……」
薫が意味ありげな返事をして会話は終わった様に思えた。
しかし、しばらくすると
「俺がさ……」
再び薫が話し出した。
俊輔が問題集から顔を上げて薫に視線をむける。
「俊のこと……好きだって言ったら……どうする?」


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