108 / 160
友達
しおりを挟む
8月も終わりに近付いていると言うのに、うだる様な暑さの中俊輔は薫の家のチャイムを鳴らした。
バイト先から大した距離でもないのに汗で服が肌に纒わり付く。
「お疲れ」
薫が外の暑さに顔を顰めながらドアを開けてくれた。
「……暑かったぁ……」
俊輔もうんざりするように今年何度言ったか分からない言葉を吐く。
「そろそろだと思ってアイスコーヒー作っといた」
薫が先に歩き部屋に向かう。
「マジで?すげぇ嬉しい」
「もっと褒めて」
薫がニッと笑った。
部屋に入ると驚く程冷房がきいていて汗で湿った身体が一瞬震えた。
「めちゃくちゃ冷房きいてない?」
「そう?18℃だからかな……?」
薫が首を傾げる。
「それ……低すぎだろ」
「俺暑いの本当に無理だから」
いつもの様にくだらない話を交わすと、俊輔は居心地の良さに安心した。
薫の部屋のいつもの場所に座り、入れてくれたアイスコーヒーを飲むと
「昨日玄関で会ったのって松下さん?」
薫が自分はコーラを飲みながら訊ねた。
「え?……ああ、結衣?そうそう。よく分かったね」
「小学校の時から変わってないじゃん」
「そう……かもね」
そう言って俊輔は苦笑いした。
「付き合ってるの?」
「───え?」
「松下さんとさ……」
薫の質問にドキッとして思わず目を伏せた。
「別に……付き合ってない…よ」
結衣に好きだと言われてから、つい甘えてしまっているけど……付き合っているわけじゃない……。
「……好きなの?」
「え?」
「俊……松下さんのこと」
「俺?……俺は……」
俊輔は言葉を詰まらせた。
やっぱり結衣に恋愛感情を持てるかと言われれば……。
「友達としてね……」
俊輔は誤魔化すように笑った。
自分で自分の気持ちが分からない……。
「…………ふぅん……」
薫が意味ありげな返事をして会話は終わった様に思えた。
しかし、しばらくすると
「俺がさ……」
再び薫が話し出した。
俊輔が問題集から顔を上げて薫に視線をむける。
「俊のこと……好きだって言ったら……どうする?」
バイト先から大した距離でもないのに汗で服が肌に纒わり付く。
「お疲れ」
薫が外の暑さに顔を顰めながらドアを開けてくれた。
「……暑かったぁ……」
俊輔もうんざりするように今年何度言ったか分からない言葉を吐く。
「そろそろだと思ってアイスコーヒー作っといた」
薫が先に歩き部屋に向かう。
「マジで?すげぇ嬉しい」
「もっと褒めて」
薫がニッと笑った。
部屋に入ると驚く程冷房がきいていて汗で湿った身体が一瞬震えた。
「めちゃくちゃ冷房きいてない?」
「そう?18℃だからかな……?」
薫が首を傾げる。
「それ……低すぎだろ」
「俺暑いの本当に無理だから」
いつもの様にくだらない話を交わすと、俊輔は居心地の良さに安心した。
薫の部屋のいつもの場所に座り、入れてくれたアイスコーヒーを飲むと
「昨日玄関で会ったのって松下さん?」
薫が自分はコーラを飲みながら訊ねた。
「え?……ああ、結衣?そうそう。よく分かったね」
「小学校の時から変わってないじゃん」
「そう……かもね」
そう言って俊輔は苦笑いした。
「付き合ってるの?」
「───え?」
「松下さんとさ……」
薫の質問にドキッとして思わず目を伏せた。
「別に……付き合ってない…よ」
結衣に好きだと言われてから、つい甘えてしまっているけど……付き合っているわけじゃない……。
「……好きなの?」
「え?」
「俊……松下さんのこと」
「俺?……俺は……」
俊輔は言葉を詰まらせた。
やっぱり結衣に恋愛感情を持てるかと言われれば……。
「友達としてね……」
俊輔は誤魔化すように笑った。
自分で自分の気持ちが分からない……。
「…………ふぅん……」
薫が意味ありげな返事をして会話は終わった様に思えた。
しかし、しばらくすると
「俺がさ……」
再び薫が話し出した。
俊輔が問題集から顔を上げて薫に視線をむける。
「俊のこと……好きだって言ったら……どうする?」
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
弟は僕の名前を知らないらしい。
いちの瀬
BL
ずっと、居ないものとして扱われてきた。
父にも、母にも、弟にさえも。
そう思っていたけど、まず弟は僕の存在を知らなかったみたいだ。
シリアスかと思いきやガチガチのただのほのぼの男子高校生の戯れです。
BLなのかもわからないような男子高校生のふざけあいが苦手な方はご遠慮ください。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる