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クロックムッシュ
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「はい!おまたせ!」
結衣がキッチンに入って1時間近く経っただろうか、得意気に俊輔の前に皿を置いた。
「美味そう……。これ何?」
俊輔が素直に驚いている。
「クロックムッシュ。どうせなら俊輔が作ったこと無さそうなのにしようと思って」
結衣が嬉しそうに笑った。
葵はソファーで寝転がっている。
「葵!出来たって!早く来いよ」
俊輔が声を掛けると、面倒臭そうに起き上がった。
まさか結衣が自分の分まで作ってくれているとは思わなかった。
そばまでくると焼けたチーズの香りと、皿の上にはキツネ色に焼けたチーズがパンの上だけでは収まらず皿にまで垂れていて、見るからに食欲を煽る。
「……文句言ったら殺すからね」
結衣がいつもの如く悪態をついてから、フォークとナイフを渡した。
「…………美味い……」
先に食べ始めた俊輔がびっくりしたように結衣を見た。
自分の手伝いをしていた時の、見ているこっちが怖くなってしまうような包丁使いをしていた結衣の料理とは思えなかった。
結衣が頬を染めて「へへ…」と笑う。
上手く作れるようになるまで3日間、結衣の両親はクロックムッシュとはいえない物をどれだけ食べさせられたか分からない…。
「………ホントだ…美味い……」
葵も思わず口から漏れる。
結衣がドヤ顔で葵を見下ろした。
結衣も食事に加わるり、俊輔と葵はあっという間に平らげた。
葵がいつもの様に食べ終えた皿を持ってキッチンへ向かうと
「……何だこれ……」
思わず声を上げた。
ホワイトソースを作った為か、床には小麦粉がこぼれ、IHにはあちらこちらにソースがとんで白い水玉模様を作り出していた。
まだ食べていた結衣が
「……あっ!……忘れてた……」
慌てて立ち上がる。
俊輔がキッチンを覗き込み
「……あぁ…」
と、一言漏らしてから
「大丈夫だよ。こんなの直ぐにキレイになるから」
と結衣に笑いかけた。
「ごめぇん……すぐやっちゃう」
と言う結衣に
「大丈夫だから、食べちゃえよ」
俊輔が改めて座りなおす。
「じゃあさ……」
葵が皿を持ったまま
「俊、コンビ行ってきてよ。そいつと俺で片付けとくから」
提案すると、2人同時に「え!?」と声を上げ顔を見合わせた。
結衣がキッチンに入って1時間近く経っただろうか、得意気に俊輔の前に皿を置いた。
「美味そう……。これ何?」
俊輔が素直に驚いている。
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結衣が嬉しそうに笑った。
葵はソファーで寝転がっている。
「葵!出来たって!早く来いよ」
俊輔が声を掛けると、面倒臭そうに起き上がった。
まさか結衣が自分の分まで作ってくれているとは思わなかった。
そばまでくると焼けたチーズの香りと、皿の上にはキツネ色に焼けたチーズがパンの上だけでは収まらず皿にまで垂れていて、見るからに食欲を煽る。
「……文句言ったら殺すからね」
結衣がいつもの如く悪態をついてから、フォークとナイフを渡した。
「…………美味い……」
先に食べ始めた俊輔がびっくりしたように結衣を見た。
自分の手伝いをしていた時の、見ているこっちが怖くなってしまうような包丁使いをしていた結衣の料理とは思えなかった。
結衣が頬を染めて「へへ…」と笑う。
上手く作れるようになるまで3日間、結衣の両親はクロックムッシュとはいえない物をどれだけ食べさせられたか分からない…。
「………ホントだ…美味い……」
葵も思わず口から漏れる。
結衣がドヤ顔で葵を見下ろした。
結衣も食事に加わるり、俊輔と葵はあっという間に平らげた。
葵がいつもの様に食べ終えた皿を持ってキッチンへ向かうと
「……何だこれ……」
思わず声を上げた。
ホワイトソースを作った為か、床には小麦粉がこぼれ、IHにはあちらこちらにソースがとんで白い水玉模様を作り出していた。
まだ食べていた結衣が
「……あっ!……忘れてた……」
慌てて立ち上がる。
俊輔がキッチンを覗き込み
「……あぁ…」
と、一言漏らしてから
「大丈夫だよ。こんなの直ぐにキレイになるから」
と結衣に笑いかけた。
「ごめぇん……すぐやっちゃう」
と言う結衣に
「大丈夫だから、食べちゃえよ」
俊輔が改めて座りなおす。
「じゃあさ……」
葵が皿を持ったまま
「俊、コンビ行ってきてよ。そいつと俺で片付けとくから」
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