俊輔くんと葵くんの甘々な日常

海花

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中学生な2人

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☆これは2人がまだ中学生だった時のお話☆


「葵、お風呂入っちゃいなさい」
俊がシャワーを浴びて出てくるのを確認すると夕食の後片付けをしていた母さんが俺に声を掛ける。
───今…手が離せないのに……。
ただでさえ虫の居所が悪い俺は余計イラついて聞こえないフリをした。
「…………葵、風呂入れって…母さん言ってるぞ」
濡れた髪を拭きながら俊が俺に告げる。
「……聞こえてる」
「聞こえてるなら返事くらいしろよ」
母さんの代わりに俊が俺を叱る。
俺はゲームをしていた手を止め俊を睨んだ。
俊はそれに気付かず相変わらずタオルで髪を拭いている。
首が広く開いた部屋着が隠しきれず俊の首筋の赤い『独占欲の印』を余計目立たせる……。
「部屋で勉強してる」
俊が母さんにそう言うとさっさと2階へ上がって行った。
「葵も早くお風呂入っちゃいなさいよ。それと、後で俊ちゃんに夜食届けてあげて」
───なんで俺が…………。
俺は黙ったままゲームの電源を切り風呂場へ向かった。
───あいつ……最近やりすぎだろ!受験生のくせに……!
イライラするままに蛇口を捻ると熱めのお湯を頭から浴びた。
俺の周りでも付き合ってるヤツも普通にいるし、俊が特別だとは思わないけど……。

───やっぱりムカつく……──

『俊が好きだ』と気付いたのは一体いつだっただろう……。
多分出会った時から好きだった。
それがいつの間にか自分だけの物にしたいと思うようになって……。
それが所謂『恋愛感情』なんだと気付いた。
正直、俺だってモテないことない。
今までに告白された事だって何回もある。
けど……全く興味が持てない……。
俊以外……誰も……いらない……。


ダイニングテーブルに大好きなケーキが箱の中に所狭しと並んでいる。
飲んで帰ってきた父さんがお土産に買ってきてくれたらしい。
───先ずは……ショートケーキから食べようかな……。
「俊輔は?」
「部屋で勉強するって」
そう言って母さんも嬉しそうにケーキを選びだす。
「俊輔には、たこ焼き買ってきたけど……夜食に食べるかな?」
父さんが俺に尋ねる。
「…………食べんじゃない?」
俺は口に入れたケーキを飲み込んでから答えた。
これは俺に持っていけと言ってるのだ…。
「これ食べたら持ってくよ」
俺はショートケーキを食べ終わるとモンブランとチョコレートケーキは食べないように母さんに釘をさして2階へ向かった。
「───俊?」
俺がいつもの様にノックもせずにドアを開けると、俊が机の上で腕を枕に眠っていた。
───寝ちゃったんだ…………。
俺は静かに机のそばに行くと、俊の寝顔をそっと覗き込んだ……。
キレイな形の唇が寝息を立てている……。
柔らかい頬にそっと指で触ると、心臓が高鳴るのが判る……。
───この寝顔は……今は…俺だけのものだ……。
頬に触れていた指を、そっと唇に這わせる。
俺は…………吸い寄せられるように俊の頬にキスをした…………。

───大好きだよ………………。

しかし……その時……ふと目の端にあの『赤い印』が入った。
気が付いた時には───思い切り俊の頭をひっぱたいていた……。
「──いってぇぇ!!!」
俊が慌てて飛び起きて叩いた所を押さえた。
「──葵!?なに!?───なんで叩くの!?」
俊が俺を見つけると泣きそうな顔で声を上げた。
「お前……勉強すんだろ?」
俺が無表情で告げると
「……そうだけどさ……。何も叩くことないじゃん……」
「これ、父さんのお土産。たこ焼きだって、夜食に食えってさ」
不機嫌に渡す俺に、俊は上目遣いで
「…………ありがとう……」
と返した。

「1個食べる?」
「んー……いらない」
再び勉強しだした俊をよそに俺は俊のベットに寝転がり漫画を読んでいる。
そして……いつもの様に時々俊の背中を見る……。
俊の匂いがする大好きな場所で……。
俺しか見られない俊だ…………。
そして俺は……大概いつも大好きな人のそばでいつの間にか眠ってしまう……。


「葵?」
振り返ると葵はいつの間にか眠っていた。
───いつもこうなんだから……。
こんな時俺は下からクッションを持ってきて床で眠ることになる。
───まったく………………。
俺は苦笑いして勉強を再開した。






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