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第一章
「精霊たちの相手をする」とは
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二階に相談客を案内してからしばらくして、アイリスが文字通り二階から飛んできた。
「アーベル、出番だからヨロシク!」
そう言ってウインクすると、再び二階に向けて飛んで行ってしまった。
仕事での私の出番は一ヶ月ぶりだ。
私はアイリスと違って飛んで移動することはできないので、かつて人間であったときのように歩いて移動する。
階段をゆっくり上がって二階の応接室へと向かう。
コンコン
「失礼します」
ドアを二回ノックして応接室の中に入った。
中にはアイリスと相談客の姿があった。
今回の相談客は男性で、年は青年と中年の間くらいに見える。
疲労した様子で顔色があまり良くないのが気になる。
肉体的にも疲れているように見えるが、それ以上に精神的な疲労がひどいように私には思えた。
「こちらが相談員のアーベルです。彼はこちらに移住してきた者ですので、彼から話を聞くのが良いですよ」
アイリスが相談客に私を紹介した。
「アーベルです。存在界から精霊界に移住してきた者ですので、遠慮なく質問してください」
「あ、よろしくお願いします」
相談客が私に頭を下げた。
「移住の条件として『精霊を伴侶にして相手をし続けること』とあるのですが、精霊を伴侶にするとはどのようなことなのでしょうか?」
いきなりの質問だ。
相談員に課されたルールの主なものとして、
・聞かれたことには知っている範囲で正直に答えるとともに、知らないことには知らないと答えなければならない
・こちらから相談客の素性について聞いてはならない
・精霊界のルールとして定められていることに対しては、所長に回答させる
といったものがある。
今の質問については最後のルールに抵触する部分があるので、これを避けて答える必要がある。
「私なりの解釈になりますが、未来永劫彼女たちと過ごすことを楽しむ、というのが近いと思います」
何か抽象的な回答になってしまった。
もうちょっと具体的に答えたかったが、質問が質問なので答えにくい。
「未来永劫楽しむ、ですか……結婚とは違うのでしょうか?」
「すみません、それは私にはわかりません。存在界に住んでいたときに結婚したことがなかったので……」
私がそう答えると、相談客はしまった、という表情を見せた。
ちょっと悪いことをしてしまったかもしれない。
「ありがとうございます、次の質問よろしいでしょうか?」
「ええ、お願いします」
「伴侶となる精霊ですが、どのようなものなのでしょうか?」
またしても抽象的な質問だ。
自分が答えようとすると、アイリスが割り込んできた。
「基本的にあなたのような人と大きな違いはないわね。人は私たち精霊が存在界にいるときの姿に似せて造ったものだから」
「そうなのですね。言われてみれば、所長さんもアーベルさんも何というか存在がふわっとしている感じがしますけど、自分とあまり違ってないですね!」
相談客は感心したようだ。
ちなみに精霊界での自分の姿は、存在界での二八歳当時の姿になるのだそうだ。
精霊界に移住する際にアイリスの手で現在の姿にされたのだ。
「ちなみに私は精霊だけど、存在界からの移住者は魂霊になるから。アーベルも魂霊だからそこは注意すること。まあ、精霊界ではほとんど違いはないけどね」
相談客はアイリスの言葉をメモし始めた。
そして、少し言いにくそうに尋ねてきた。
「外見とか、性格とかはどんなタイプがいるのでしょうか?」
「そこは、相性があるから私が見て合いそうなタイプを紹介するわ。もちろんあなたの好みは聞くし、私が紹介したのが気に入らなければ断ってくれていいのよ。『契約』さえしなければ問題ないから。そのときは他に合いそうなのを見つけてくるわよ」
アイリスがすごいことを言っているが、内容自体は正しい。
私のときも「アーベルは水系の精霊と相性が良さそうね。女性型の精霊から合いそうなのを見繕っておくから」と言って、候補となる精霊を連れてきたのだ。
「はぁ……こちらの好みとかは聞いてくれるのですね」
「当り前じゃない。未来永劫付き合う相手だよ? 『契約』したら別れられないんだよ? 相性が悪い相手なんて拷問でしかないじゃない!」
「なるほど……でも、相手の精霊とずっと仲良くしないといけないんですよね? こっちが飽きられそうな気もするし、何をすればいいのか……ふぅ」
相談客がため息をついた。
「飽きられる心配は無用! 精霊は『契約』した相手と離れるのを一番嫌がるから!」
アイリスが立ち上がった。
「はぁ……」
相談客はぽかんと口を開けている。
「精霊と仲よくするには、彼女らとコミュニケーションを取ること!」
「なるほど、コミュニケーションですね。一緒に遊んだり食事したりすればいいですか?」
「それも結構! あなたが楽しいことは精霊も楽しい!」
「それはいいですね」
「そして、精霊たちが一番好むコミュニケーションは、あなたも嫌いじゃないはず」
「そうなのですか?」
いつの間にかアイリスは身を乗り出すようにして相談客の方に顔を近づけてきている。
相談客の方は若干引き気味だ。
また始まった。
アイリスの悪い癖だと思うのだが、相談客をからかっているのだ。
「一番のコミュニケーションは、存在界でいうところの生殖行為! あ、精霊はこれ以上増えることがないから『生殖』じゃないけどね。これなら文字に起こしても問題ないでしょう?」
最後の言葉は誰に向かって言っているのかわからないが、アイリスがこちらに向けて片目をつぶってみせた。
もちろん、私は今回の相談の記録など取っていない。
文字に起こしても問題ないとは、一体どこに対する問題なのだろう?
「はぁ……って、精霊たちもセッ……」
「そこ! 文字に起こすと問題だから『生殖行為』と言いなさい。それから、あなたたち人間の『生殖行為』は精霊にとっての最高のコミュニケーションを模したものだから! そこのところ間違えちゃダメよ」
アイリスがビシッと人差し指を突き出した。
「……」
相談客は何と答えてよいか迷っているらしく、その場で固まってしまった。
ちなみに、このアイリスの言葉はすべて事実……だと思う。
人間という存在は確かに精霊を慰めるために精霊によって造られたのだ。
しかし、造られた人間の数はあまりに少なかったし、造るための手間は相当なものだったらしい。
そこで、精霊たちは人間の数を増やすための手段を「精霊たちにとって一番のコミュニケーション」を模したものとしたのだ。
精霊たちにとって好ましいことは人間たちにとっても好ましいはず。
だから、人間たちは望んで「精霊たちにとって一番のコミュニケーション」を行うようになる。
そうすれば、人間の数を一気に増やすことができる。
というように考えたらしい。
アイリス一人の話であれば疑わしく思うが、他の精霊たちも同じことを言うので、恐らくこれが真相なのだろう。
私の伴侶となっている精霊たちも同じような感覚を持っているようだ。
私に存在界にいたときの感覚が完全に残っていれば呆れて頭がクラクラしただろうが、幸か不幸か現在の私は存在界にいたときの感覚の一部が抜けてしまったようだ。
特に「恥ずかしい」という感覚の薄れ方が顕著なような気がする。
話が逸れてしまった。
とにかく精霊とのコミュニケーションには色々な手段がある。
単に雑談をしても良いし、実のところ存在界で行われていた遊びで精霊界に持ち込むことができるものもある。
こうした遊びを一緒に楽しんでも良いのだ。
これについては後で詳しく話す機会があるかも知れない。
「所長、そろそろ話を戻してあげないと時間が来てしまうのでは?」
さすがにこの状況を見かねて私がアイリスに声をかけた。
確かこの相談客は、今回が初めての相談だったはずだ。
初めての相談の場合、時間は最長二時間までだ。
このままでは彼が必要なことを聞き終える前に時間になってしまう。
「そうねぇ……他に聞きたいことはあるかしら?」
アイリスは何事もなかったかのように相談客に尋ねた。
「アーベル、出番だからヨロシク!」
そう言ってウインクすると、再び二階に向けて飛んで行ってしまった。
仕事での私の出番は一ヶ月ぶりだ。
私はアイリスと違って飛んで移動することはできないので、かつて人間であったときのように歩いて移動する。
階段をゆっくり上がって二階の応接室へと向かう。
コンコン
「失礼します」
ドアを二回ノックして応接室の中に入った。
中にはアイリスと相談客の姿があった。
今回の相談客は男性で、年は青年と中年の間くらいに見える。
疲労した様子で顔色があまり良くないのが気になる。
肉体的にも疲れているように見えるが、それ以上に精神的な疲労がひどいように私には思えた。
「こちらが相談員のアーベルです。彼はこちらに移住してきた者ですので、彼から話を聞くのが良いですよ」
アイリスが相談客に私を紹介した。
「アーベルです。存在界から精霊界に移住してきた者ですので、遠慮なく質問してください」
「あ、よろしくお願いします」
相談客が私に頭を下げた。
「移住の条件として『精霊を伴侶にして相手をし続けること』とあるのですが、精霊を伴侶にするとはどのようなことなのでしょうか?」
いきなりの質問だ。
相談員に課されたルールの主なものとして、
・聞かれたことには知っている範囲で正直に答えるとともに、知らないことには知らないと答えなければならない
・こちらから相談客の素性について聞いてはならない
・精霊界のルールとして定められていることに対しては、所長に回答させる
といったものがある。
今の質問については最後のルールに抵触する部分があるので、これを避けて答える必要がある。
「私なりの解釈になりますが、未来永劫彼女たちと過ごすことを楽しむ、というのが近いと思います」
何か抽象的な回答になってしまった。
もうちょっと具体的に答えたかったが、質問が質問なので答えにくい。
「未来永劫楽しむ、ですか……結婚とは違うのでしょうか?」
「すみません、それは私にはわかりません。存在界に住んでいたときに結婚したことがなかったので……」
私がそう答えると、相談客はしまった、という表情を見せた。
ちょっと悪いことをしてしまったかもしれない。
「ありがとうございます、次の質問よろしいでしょうか?」
「ええ、お願いします」
「伴侶となる精霊ですが、どのようなものなのでしょうか?」
またしても抽象的な質問だ。
自分が答えようとすると、アイリスが割り込んできた。
「基本的にあなたのような人と大きな違いはないわね。人は私たち精霊が存在界にいるときの姿に似せて造ったものだから」
「そうなのですね。言われてみれば、所長さんもアーベルさんも何というか存在がふわっとしている感じがしますけど、自分とあまり違ってないですね!」
相談客は感心したようだ。
ちなみに精霊界での自分の姿は、存在界での二八歳当時の姿になるのだそうだ。
精霊界に移住する際にアイリスの手で現在の姿にされたのだ。
「ちなみに私は精霊だけど、存在界からの移住者は魂霊になるから。アーベルも魂霊だからそこは注意すること。まあ、精霊界ではほとんど違いはないけどね」
相談客はアイリスの言葉をメモし始めた。
そして、少し言いにくそうに尋ねてきた。
「外見とか、性格とかはどんなタイプがいるのでしょうか?」
「そこは、相性があるから私が見て合いそうなタイプを紹介するわ。もちろんあなたの好みは聞くし、私が紹介したのが気に入らなければ断ってくれていいのよ。『契約』さえしなければ問題ないから。そのときは他に合いそうなのを見つけてくるわよ」
アイリスがすごいことを言っているが、内容自体は正しい。
私のときも「アーベルは水系の精霊と相性が良さそうね。女性型の精霊から合いそうなのを見繕っておくから」と言って、候補となる精霊を連れてきたのだ。
「はぁ……こちらの好みとかは聞いてくれるのですね」
「当り前じゃない。未来永劫付き合う相手だよ? 『契約』したら別れられないんだよ? 相性が悪い相手なんて拷問でしかないじゃない!」
「なるほど……でも、相手の精霊とずっと仲良くしないといけないんですよね? こっちが飽きられそうな気もするし、何をすればいいのか……ふぅ」
相談客がため息をついた。
「飽きられる心配は無用! 精霊は『契約』した相手と離れるのを一番嫌がるから!」
アイリスが立ち上がった。
「はぁ……」
相談客はぽかんと口を開けている。
「精霊と仲よくするには、彼女らとコミュニケーションを取ること!」
「なるほど、コミュニケーションですね。一緒に遊んだり食事したりすればいいですか?」
「それも結構! あなたが楽しいことは精霊も楽しい!」
「それはいいですね」
「そして、精霊たちが一番好むコミュニケーションは、あなたも嫌いじゃないはず」
「そうなのですか?」
いつの間にかアイリスは身を乗り出すようにして相談客の方に顔を近づけてきている。
相談客の方は若干引き気味だ。
また始まった。
アイリスの悪い癖だと思うのだが、相談客をからかっているのだ。
「一番のコミュニケーションは、存在界でいうところの生殖行為! あ、精霊はこれ以上増えることがないから『生殖』じゃないけどね。これなら文字に起こしても問題ないでしょう?」
最後の言葉は誰に向かって言っているのかわからないが、アイリスがこちらに向けて片目をつぶってみせた。
もちろん、私は今回の相談の記録など取っていない。
文字に起こしても問題ないとは、一体どこに対する問題なのだろう?
「はぁ……って、精霊たちもセッ……」
「そこ! 文字に起こすと問題だから『生殖行為』と言いなさい。それから、あなたたち人間の『生殖行為』は精霊にとっての最高のコミュニケーションを模したものだから! そこのところ間違えちゃダメよ」
アイリスがビシッと人差し指を突き出した。
「……」
相談客は何と答えてよいか迷っているらしく、その場で固まってしまった。
ちなみに、このアイリスの言葉はすべて事実……だと思う。
人間という存在は確かに精霊を慰めるために精霊によって造られたのだ。
しかし、造られた人間の数はあまりに少なかったし、造るための手間は相当なものだったらしい。
そこで、精霊たちは人間の数を増やすための手段を「精霊たちにとって一番のコミュニケーション」を模したものとしたのだ。
精霊たちにとって好ましいことは人間たちにとっても好ましいはず。
だから、人間たちは望んで「精霊たちにとって一番のコミュニケーション」を行うようになる。
そうすれば、人間の数を一気に増やすことができる。
というように考えたらしい。
アイリス一人の話であれば疑わしく思うが、他の精霊たちも同じことを言うので、恐らくこれが真相なのだろう。
私の伴侶となっている精霊たちも同じような感覚を持っているようだ。
私に存在界にいたときの感覚が完全に残っていれば呆れて頭がクラクラしただろうが、幸か不幸か現在の私は存在界にいたときの感覚の一部が抜けてしまったようだ。
特に「恥ずかしい」という感覚の薄れ方が顕著なような気がする。
話が逸れてしまった。
とにかく精霊とのコミュニケーションには色々な手段がある。
単に雑談をしても良いし、実のところ存在界で行われていた遊びで精霊界に持ち込むことができるものもある。
こうした遊びを一緒に楽しんでも良いのだ。
これについては後で詳しく話す機会があるかも知れない。
「所長、そろそろ話を戻してあげないと時間が来てしまうのでは?」
さすがにこの状況を見かねて私がアイリスに声をかけた。
確かこの相談客は、今回が初めての相談だったはずだ。
初めての相談の場合、時間は最長二時間までだ。
このままでは彼が必要なことを聞き終える前に時間になってしまう。
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