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第八章
366:足手まとい?
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「しゃーねーな。今そっちはどうなっているんだ?」
仕方なくウォーリーは、タザワと名乗る捕虜にOP社の現在の状況について説明を求めた。
その結果、「サウスセンター」前で戦闘が行われ、一部の味方がOP社の包囲網を突破したらしいことが判明した。
「サウスセンター」を包囲していたOP社側は混乱を見せたが、すぐに陣容を整えたため、包囲網を突破できた味方は多くて一〇〇人程度だろう、ということだった。
タザワが「サウスセンター」の部隊から離れたのは定期的な配置換えのためだということも判明した。
「それだけかよ……まあ、仕方ねえか。じゃ、行くか」
ウォーリーは明らかに落胆した様子を見せたが、すぐに立ち上がった。
そして、タザワの戒めを解き、同行するように命じた。
周りが慌ててそれを制止するが、ウォーリーは気にしない。
しかし、彼の意気込みとは裏腹に、打開策は見えてこない。
どこを見てもOP社治安改革部隊の制服を着た者だらけだ。
街を行き来している者の過半数がOP社の関係者のように見える。
必ずしも秩序だって配置されている、という状況ではないようだが、数が多い。
面が割れているウォーリーが迂闊に姿を現せば、ものの数秒で見つかりそうだ。
OP社側の陣容はそれほどに重厚で、隙がないのだ。
「だったら、どこに仕掛けても同じ、ということだ」
ウォーリーはあえて陣容がもっとも厚い場所を選んで撹乱することを選択した。
「厳しいところで鍛えてこそ、大きい成果が得られるものだからな」
そう言って渋るメンバーを無理やり納得させる。
ウォーリーとて、ここは撹乱にとどめるべきだということを理解している。
人数が二桁違う相手に策もなしに正面からぶつかるような愚かな真似はしない。
その通りウォーリーは強行突破をすると見せかけて、すぐに逃亡を試みた。
釣られてOP社の者が数十名ほど、彼等を追う。
面が割れているから、OP社の者がウォーリーの姿に気付くまで三秒もかからない。
ウォーリーは逃亡しながら余裕を持って相手の動きや陣容の変化を確認している。
さすがに陣容が厚く、敵の隊列が乱れるというところまではいかないようだ。
釣られて動くのは全体から見ればごくわずかの人数でしかないからだ。
それでもウォーリーの名を連呼し、追ってくる者が大勢いる。
「どうもハドリのところは、俺に興味があるみたいだな。男に好かれるなど、吐き気がするがな!」
ウォーリーは真剣に嫌そうな表情を見せた。
追手の数は多いが、ウォーリーたちは路地や建物を巧みに使って、彼等を分散させていく。
追手はインデストの地理には明るくないようで、方向を変えるたびにその人数が減っていっている。
また、「どこへ行った?」「ナントカという建物を知らないか?」といったような声も飛んでいる。これなら、追手をまくのにそれほど苦労することもない。
「とんでもねえことしやがる奴もいたが、まあこんなものか」
ウォーリー達は一時間ほどで追手から完全に逃れ、空き家の地下室へ避難した。
途中、追っ手から投げつけられた石がウォーリーの背中に命中した。
そのときばかりは後ろを振り返って猛然と突進し、相手を殴り倒したのはご愛嬌である。
「おい、タザワ。俺はお前に同行しろ、とは言ったが、無理をしてまでついて来いとは言っていないぞ」
ウォーリーが息を切らせてその場にへたり込んだタザワにそう声をかけた。
「ここで捕まったら自分も同罪です。それは困る」
「じゃ、適当に隠れていろ」
ウォーリーは空き家の一室にタザワを放り込んだ。
メンバーを数えるとタザワを含めて一三名。今日のところは、脱落者はいない。
当分の間はこのメンバーで対応できるだろうが、エリックやアカシの状況がつかめないのが痛い。
傍受防止のため、通信手段を持たずに出たのが完全に裏目に出ている。
ウォーリーはエリックやアカシを助けるため、時間をおいて再び外へ出ることを決めた。
仕方なくウォーリーは、タザワと名乗る捕虜にOP社の現在の状況について説明を求めた。
その結果、「サウスセンター」前で戦闘が行われ、一部の味方がOP社の包囲網を突破したらしいことが判明した。
「サウスセンター」を包囲していたOP社側は混乱を見せたが、すぐに陣容を整えたため、包囲網を突破できた味方は多くて一〇〇人程度だろう、ということだった。
タザワが「サウスセンター」の部隊から離れたのは定期的な配置換えのためだということも判明した。
「それだけかよ……まあ、仕方ねえか。じゃ、行くか」
ウォーリーは明らかに落胆した様子を見せたが、すぐに立ち上がった。
そして、タザワの戒めを解き、同行するように命じた。
周りが慌ててそれを制止するが、ウォーリーは気にしない。
しかし、彼の意気込みとは裏腹に、打開策は見えてこない。
どこを見てもOP社治安改革部隊の制服を着た者だらけだ。
街を行き来している者の過半数がOP社の関係者のように見える。
必ずしも秩序だって配置されている、という状況ではないようだが、数が多い。
面が割れているウォーリーが迂闊に姿を現せば、ものの数秒で見つかりそうだ。
OP社側の陣容はそれほどに重厚で、隙がないのだ。
「だったら、どこに仕掛けても同じ、ということだ」
ウォーリーはあえて陣容がもっとも厚い場所を選んで撹乱することを選択した。
「厳しいところで鍛えてこそ、大きい成果が得られるものだからな」
そう言って渋るメンバーを無理やり納得させる。
ウォーリーとて、ここは撹乱にとどめるべきだということを理解している。
人数が二桁違う相手に策もなしに正面からぶつかるような愚かな真似はしない。
その通りウォーリーは強行突破をすると見せかけて、すぐに逃亡を試みた。
釣られてOP社の者が数十名ほど、彼等を追う。
面が割れているから、OP社の者がウォーリーの姿に気付くまで三秒もかからない。
ウォーリーは逃亡しながら余裕を持って相手の動きや陣容の変化を確認している。
さすがに陣容が厚く、敵の隊列が乱れるというところまではいかないようだ。
釣られて動くのは全体から見ればごくわずかの人数でしかないからだ。
それでもウォーリーの名を連呼し、追ってくる者が大勢いる。
「どうもハドリのところは、俺に興味があるみたいだな。男に好かれるなど、吐き気がするがな!」
ウォーリーは真剣に嫌そうな表情を見せた。
追手の数は多いが、ウォーリーたちは路地や建物を巧みに使って、彼等を分散させていく。
追手はインデストの地理には明るくないようで、方向を変えるたびにその人数が減っていっている。
また、「どこへ行った?」「ナントカという建物を知らないか?」といったような声も飛んでいる。これなら、追手をまくのにそれほど苦労することもない。
「とんでもねえことしやがる奴もいたが、まあこんなものか」
ウォーリー達は一時間ほどで追手から完全に逃れ、空き家の地下室へ避難した。
途中、追っ手から投げつけられた石がウォーリーの背中に命中した。
そのときばかりは後ろを振り返って猛然と突進し、相手を殴り倒したのはご愛嬌である。
「おい、タザワ。俺はお前に同行しろ、とは言ったが、無理をしてまでついて来いとは言っていないぞ」
ウォーリーが息を切らせてその場にへたり込んだタザワにそう声をかけた。
「ここで捕まったら自分も同罪です。それは困る」
「じゃ、適当に隠れていろ」
ウォーリーは空き家の一室にタザワを放り込んだ。
メンバーを数えるとタザワを含めて一三名。今日のところは、脱落者はいない。
当分の間はこのメンバーで対応できるだろうが、エリックやアカシの状況がつかめないのが痛い。
傍受防止のため、通信手段を持たずに出たのが完全に裏目に出ている。
ウォーリーはエリックやアカシを助けるため、時間をおいて再び外へ出ることを決めた。
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