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第七章
291:更なる監視のターゲット
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ユニヴァースの拘束を一時的に断念した直後、ハドリはセキュリティ・センターのセンター長、ミツハル・オオカワと連絡を取った。
彼はフジミ・タウンの再建作業に当たっている。
賊どもが支配していた間、フジミ・タウンは荒れに荒れた。
街のメンテナンスを行おうと考える者もなく、その能力を有した者もなかったからだ。
ハドリはフジミ・タウンに可能性を見出し、その再建を部下に命じた。
ポータル・シティとインデストを結ぶ街道上の重要な物流拠点になると考えたのだ。
それとは別にハドリは一切口にしなかったが、母親が眠る地として、フジミ。タウンがみすぼらしい姿を晒すことは絶対に許容出来なかった。
ハドリの意思が伝わったのか、フジミ・タウンの再建は急ピッチで進んでいた。
ハドリはフジミ・タウンの再建作業に目処がつき次第、駐留している職員の大部分をインデストへと移動させるつもりであった。
彼らを「タブーなきエンジニア集団」とOP社グループ労働者組合とに対峙させるためだ。
ハドリから再建の目途を尋ねられたオオカワは、四月一〇日にインデストへ向けて部隊を出発させられる、と答えた。彼は次にすべきことを理解しているようであった。
だが、ハドリにとってはそれでは不足であった。そもそも四月一〇日では遅すぎる。
ハドリは四月四日に出発させろ、と命じて通信を切った。
次にハドリはオイゲンと連絡を取った。ECN社を通さず直接である。
これは、オイゲンにその場で判断を迫ることで、OP社の要求をそのまま飲ませるためであった。
ハドリはオイゲン本人に直接三月三〇日にOP社へ出頭しろ、と命じた。
当然、ハドリに同行させて「タブーなきエンジニア集団」とOP社グループ労働者組合攻略の場に彼の身柄を置くためである。
ハドリから見れば、オイゲンは腹心のヤマガタの次くらいにコントロールしやすい人物だ。それにECN社の社長という立場は利用価値がある。
「タブーなきエンジニア集団」の中心メンバーの多くはECN社の元従業員であるから、社長のオイゲンは彼らについて多くの情報を持っているはずだ。
場合によってはオイゲンを人質として利用することもできる。
これなら「タブーなきエンジニア集団」だけではなく、ハドリのやり方に不満を持つECN社の関係者にも睨みをきかせることができる。
ここでいう「ECN社の関係者」は現在のそれだけではなく、過去のそれも含まれる。
ハドリが見る限り、オイゲンには反抗の意思も能力も欠けているから、好きなように扱うことができるはずだ。
ハドリは、もう一つECN社の元従業員が関与している組織に考えを巡らせた。自分に反抗する者は芽のうちにすべて摘み取っておこうと考えたのだ。
対象はニジョウにある「リスク管理研究所」である。
ECN社の経営企画室から職業学校に転じ、その後この研究所を立ち上げたトニー・シヴァの存在が気にかかる。
今のところOP社の調査網に「リスク管理研究所」と「タブーなきエンジニア集団」の関係を示す情報は引っかかっていない。
猜疑心の強いトニーが「タブーなきエンジニア集団」との接触を可能な限り回避した結果なのだが、現在はこの両者の間に友好関係もない。
「リスク管理研究所」はECN社と取引があるが、その関係はあまり密ではないようだ。
内情を確かめる必要があるな、とハドリは考えた。
事前にハドリは部下に命じて「リスク管理研究所」の関係者がECN社を去った理由については調べさせていた。
オイゲンのやり方に納得できなかった、というのが表向きの理由だが、ハドリはその点を重視した。
「タブーなきエンジニア集団」を立ち上げたウォーリー・トワも同じような理由でECN社を去ったからだ。
「オイゲンのやり方」が「ECN社がOP社と結んだこと」を意味しているのならば、「リスク管理研究所」が「タブーなきエンジニア集団」と同じ態度をとる可能性が考えられる。
調査で得られた情報では、「リスク管理研究所」を構成しているメンバーが多く所属していたECN社経営企画室はOP社との連携には賛成の立場であった。
だが、その後急に態度を変えたことから、連携に賛成したこと自体がカモフラージュだった可能性は考えられる。
そこでハドリは一計を案じて「リスク管理研究所」の内情を調べ上げることにした。
ヤマガタに命じて、「タブーなきエンジニア集団」の活動によるOP社のリスク分析を発注させたのである。
普段はしまり屋のハドリであるが、この調査には通常の倍近い費用を提示した。
ハドリが巧妙だったのは、ECN社を介して発注を行ったことだった。
こうすることで「リスク管理研究所」に何かあれば尻尾をつかむことができるし、最悪でも牽制にはなる。OP社のリソースを使う訳ではないので、「タブーなきエンジニア集団」に向ける戦力を減らすこともない。
金でリスクを軽減できるのであればそのための投資を惜しむ理由はないのだ。
この点に関してハドリと「リスク管理研究所」所長のトニー・ソヴァの考え方は一致している。
彼はフジミ・タウンの再建作業に当たっている。
賊どもが支配していた間、フジミ・タウンは荒れに荒れた。
街のメンテナンスを行おうと考える者もなく、その能力を有した者もなかったからだ。
ハドリはフジミ・タウンに可能性を見出し、その再建を部下に命じた。
ポータル・シティとインデストを結ぶ街道上の重要な物流拠点になると考えたのだ。
それとは別にハドリは一切口にしなかったが、母親が眠る地として、フジミ。タウンがみすぼらしい姿を晒すことは絶対に許容出来なかった。
ハドリの意思が伝わったのか、フジミ・タウンの再建は急ピッチで進んでいた。
ハドリはフジミ・タウンの再建作業に目処がつき次第、駐留している職員の大部分をインデストへと移動させるつもりであった。
彼らを「タブーなきエンジニア集団」とOP社グループ労働者組合とに対峙させるためだ。
ハドリから再建の目途を尋ねられたオオカワは、四月一〇日にインデストへ向けて部隊を出発させられる、と答えた。彼は次にすべきことを理解しているようであった。
だが、ハドリにとってはそれでは不足であった。そもそも四月一〇日では遅すぎる。
ハドリは四月四日に出発させろ、と命じて通信を切った。
次にハドリはオイゲンと連絡を取った。ECN社を通さず直接である。
これは、オイゲンにその場で判断を迫ることで、OP社の要求をそのまま飲ませるためであった。
ハドリはオイゲン本人に直接三月三〇日にOP社へ出頭しろ、と命じた。
当然、ハドリに同行させて「タブーなきエンジニア集団」とOP社グループ労働者組合攻略の場に彼の身柄を置くためである。
ハドリから見れば、オイゲンは腹心のヤマガタの次くらいにコントロールしやすい人物だ。それにECN社の社長という立場は利用価値がある。
「タブーなきエンジニア集団」の中心メンバーの多くはECN社の元従業員であるから、社長のオイゲンは彼らについて多くの情報を持っているはずだ。
場合によってはオイゲンを人質として利用することもできる。
これなら「タブーなきエンジニア集団」だけではなく、ハドリのやり方に不満を持つECN社の関係者にも睨みをきかせることができる。
ここでいう「ECN社の関係者」は現在のそれだけではなく、過去のそれも含まれる。
ハドリが見る限り、オイゲンには反抗の意思も能力も欠けているから、好きなように扱うことができるはずだ。
ハドリは、もう一つECN社の元従業員が関与している組織に考えを巡らせた。自分に反抗する者は芽のうちにすべて摘み取っておこうと考えたのだ。
対象はニジョウにある「リスク管理研究所」である。
ECN社の経営企画室から職業学校に転じ、その後この研究所を立ち上げたトニー・シヴァの存在が気にかかる。
今のところOP社の調査網に「リスク管理研究所」と「タブーなきエンジニア集団」の関係を示す情報は引っかかっていない。
猜疑心の強いトニーが「タブーなきエンジニア集団」との接触を可能な限り回避した結果なのだが、現在はこの両者の間に友好関係もない。
「リスク管理研究所」はECN社と取引があるが、その関係はあまり密ではないようだ。
内情を確かめる必要があるな、とハドリは考えた。
事前にハドリは部下に命じて「リスク管理研究所」の関係者がECN社を去った理由については調べさせていた。
オイゲンのやり方に納得できなかった、というのが表向きの理由だが、ハドリはその点を重視した。
「タブーなきエンジニア集団」を立ち上げたウォーリー・トワも同じような理由でECN社を去ったからだ。
「オイゲンのやり方」が「ECN社がOP社と結んだこと」を意味しているのならば、「リスク管理研究所」が「タブーなきエンジニア集団」と同じ態度をとる可能性が考えられる。
調査で得られた情報では、「リスク管理研究所」を構成しているメンバーが多く所属していたECN社経営企画室はOP社との連携には賛成の立場であった。
だが、その後急に態度を変えたことから、連携に賛成したこと自体がカモフラージュだった可能性は考えられる。
そこでハドリは一計を案じて「リスク管理研究所」の内情を調べ上げることにした。
ヤマガタに命じて、「タブーなきエンジニア集団」の活動によるOP社のリスク分析を発注させたのである。
普段はしまり屋のハドリであるが、この調査には通常の倍近い費用を提示した。
ハドリが巧妙だったのは、ECN社を介して発注を行ったことだった。
こうすることで「リスク管理研究所」に何かあれば尻尾をつかむことができるし、最悪でも牽制にはなる。OP社のリソースを使う訳ではないので、「タブーなきエンジニア集団」に向ける戦力を減らすこともない。
金でリスクを軽減できるのであればそのための投資を惜しむ理由はないのだ。
この点に関してハドリと「リスク管理研究所」所長のトニー・ソヴァの考え方は一致している。
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