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第二章
51:治安改革活動の成果
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OP社による治安改革活動が開始されてから一ヶ月が経過しようとしていた。
当初、サブマリン島の市民の反応はとりあえず様子見、というところであったが、次第に好意的なものへと変化してきていた。
犯罪が激減したのである。
武装したOP社従業員による巡回は、それだけで犯罪の抑止効果があったようだ。
OP社を率いるハドリは容赦がないことで知られている。
そしてその通り、OP社の従業員はどんな小さな犯罪でも見逃さず、犯人を拘束し、罰を与えたのである。
この治安改革活動がOP社という一私企業、というよりもトップのハドリの独断で行われている点について、危惧を抱く者もいたのだが、それは次第に少数派となった。
犯罪が激減するという実績を示されては、反対派も大きな声で反対を唱えるわけにいかなくなったのである。また、苛烈なことで知られるハドリが恐れられていた、というのも影響していた。
市民が味方すればOP社としても仕事がしやすい。
ハドリはともかく、末端で治安改革活動に当たっているセキュリティ・センターやパトロール・チームの従業員にとっては市民の目線はそれなりのプレッシャーになっていたからだ。
現在は多くの市民がOP社の活動を好意的に評価しており、市民からの通報や情報提供が増えてきた。
このような状況の中、医療施設メディットのある都市ジンに程近い治安改革センターへ市民から数件の情報が寄せられていた。
「メディット近くのアパートに、『エクザローム防衛隊』の残党が潜伏している」
寄せられた情報は全てこの内容であった。
この治安改革センターで市民からの情報を受けたOP社の女性従業員はセキュリティ・センターに所属していた。彼女は所属する部署の上司に連絡を取った。
連絡からほどなくしてセキュリティ・センターから一〇名ばかりの警備員が現地へ向かった。
警備員が現地を調査したところ、どうやら市民からの通報は正しいようだと確認できた。
念のため、この建物からの通信記録も確認してみる。
通信記録はECN社が持っているものを引っ張り出した。
ECN社は事実上OP社の傘下にあるので、支障はない。
また、治安改革活動に用いる限り、通信記録の閲覧はほぼ無制限に認められるとされていた。
これはOP社が勝手に定めたルールではあったが、徹底して守られていた。
ルール違反が発覚すれば、ハドリは容赦なくそれを罰したからだ。
自ら定めたルールを厳しく守っていたことはむしろ市民からのOP社の評価を上げることに寄与していた。
通信記録を確認した結果、このアパートに「エクザローム防衛隊」の残党が潜伏していることはほぼ間違いないことが確認できた。
「エクザローム防衛隊」のメンバーも傍受を警戒して通信を暗号で行っていたのだが、OP社の調査力の前には無力だった。
OP社は通信の相手先を見ていたのである。
通信を暗号で行っていても、通信の相手を偽装することは難しい。
調査には通信のインフラを担っているECN社の技術も利用されている。偽装したところで、それを見抜く手立てを十分に有しているのだ。
「エクザローム防衛隊」潜伏の報はハドリにも伝わった。遅れようものなら容赦なくハドリから処罰されるからだ。
ハドリはすぐに指示を出した、「殲滅せよ」と。
指示を受けたセキュリティ・センターのセンター長オオカワは震える声で「投降を勧告する必要はありますか?」と問うた。
しかし、ハドリは「無用だ。先手を打て」と命じたのだった。
LH四八年一一月一八日、午後二時のことである。
当初、サブマリン島の市民の反応はとりあえず様子見、というところであったが、次第に好意的なものへと変化してきていた。
犯罪が激減したのである。
武装したOP社従業員による巡回は、それだけで犯罪の抑止効果があったようだ。
OP社を率いるハドリは容赦がないことで知られている。
そしてその通り、OP社の従業員はどんな小さな犯罪でも見逃さず、犯人を拘束し、罰を与えたのである。
この治安改革活動がOP社という一私企業、というよりもトップのハドリの独断で行われている点について、危惧を抱く者もいたのだが、それは次第に少数派となった。
犯罪が激減するという実績を示されては、反対派も大きな声で反対を唱えるわけにいかなくなったのである。また、苛烈なことで知られるハドリが恐れられていた、というのも影響していた。
市民が味方すればOP社としても仕事がしやすい。
ハドリはともかく、末端で治安改革活動に当たっているセキュリティ・センターやパトロール・チームの従業員にとっては市民の目線はそれなりのプレッシャーになっていたからだ。
現在は多くの市民がOP社の活動を好意的に評価しており、市民からの通報や情報提供が増えてきた。
このような状況の中、医療施設メディットのある都市ジンに程近い治安改革センターへ市民から数件の情報が寄せられていた。
「メディット近くのアパートに、『エクザローム防衛隊』の残党が潜伏している」
寄せられた情報は全てこの内容であった。
この治安改革センターで市民からの情報を受けたOP社の女性従業員はセキュリティ・センターに所属していた。彼女は所属する部署の上司に連絡を取った。
連絡からほどなくしてセキュリティ・センターから一〇名ばかりの警備員が現地へ向かった。
警備員が現地を調査したところ、どうやら市民からの通報は正しいようだと確認できた。
念のため、この建物からの通信記録も確認してみる。
通信記録はECN社が持っているものを引っ張り出した。
ECN社は事実上OP社の傘下にあるので、支障はない。
また、治安改革活動に用いる限り、通信記録の閲覧はほぼ無制限に認められるとされていた。
これはOP社が勝手に定めたルールではあったが、徹底して守られていた。
ルール違反が発覚すれば、ハドリは容赦なくそれを罰したからだ。
自ら定めたルールを厳しく守っていたことはむしろ市民からのOP社の評価を上げることに寄与していた。
通信記録を確認した結果、このアパートに「エクザローム防衛隊」の残党が潜伏していることはほぼ間違いないことが確認できた。
「エクザローム防衛隊」のメンバーも傍受を警戒して通信を暗号で行っていたのだが、OP社の調査力の前には無力だった。
OP社は通信の相手先を見ていたのである。
通信を暗号で行っていても、通信の相手を偽装することは難しい。
調査には通信のインフラを担っているECN社の技術も利用されている。偽装したところで、それを見抜く手立てを十分に有しているのだ。
「エクザローム防衛隊」潜伏の報はハドリにも伝わった。遅れようものなら容赦なくハドリから処罰されるからだ。
ハドリはすぐに指示を出した、「殲滅せよ」と。
指示を受けたセキュリティ・センターのセンター長オオカワは震える声で「投降を勧告する必要はありますか?」と問うた。
しかし、ハドリは「無用だ。先手を打て」と命じたのだった。
LH四八年一一月一八日、午後二時のことである。
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