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第一章
24:ECN社経営企画室の決断
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トニーがホルツに送ったメッセージは次の通りだ。
「すぐに引き返せと、ボンクラ社長に伝えろ。そして、社長には俺の携帯端末に連絡を入れろと言っておけ」
表面上はあまり上品とは言えない話を仲間や店の女性としながらのことだ。
(まったく、競合が被害を受けて弱体化しているところにノコノコと相手の所に出向く馬鹿がどこにいる? こちらに呼びつければ有利に交渉が進められるものを……)
しばらくして、オイゲンからトニーの携帯端末に直接連絡が入った。
「あ、シヴァさんか。申し訳無い。OP社の社長と今後の対応を話し合うことになったので、そっちに行けなくなったんだよね」
オイゲンの言葉は軽いが口調は重い。
ボンクラでもそれなりに事の重大さは理解しているようだ、とトニーは判断した。
「社長がわざわざOP社に出向く必要がある? 向こうが苦しいんだから、相手を呼びつけないでどうする?」
「とは言ってもね、OP社は対応に追われているのだから、こっちが出向いた方が助かるだろう。それに、私はOP社に着いてしまっているしね」
「……何だって! それで何をしているの?」
オイゲンの答えに、しまったとトニーは後悔した。
オイゲンはフットワークが軽いのが取り柄であるが、それが完全に裏目に出たといってよい。
エクザロームナンバーワンの地位を譲ったとはいえ、ECN社は十万人を超える従業員を抱える大企業である。
オイゲンはそのトップの地位の重さをまるで理解していない!
トニーの後悔はいつの間にか怒りへと変貌を遂げていた。
「応接室に通されて、相手の社長を待っているところさ。そろそろ相手が来るだろうから切るよ」
オイゲンの言葉通り、直後にオイゲンの方から通話が切られた。
通話を終えると、トニーは隣に座っている経営企画室長に耳打ちした。
「社長が我々に相談無しでOP社に出向いたようだけど、経営企画室に相談無く、勝手に行動させていいものですか?」
それを聞いた経営企画室長は、やおら立ち上がって、
「何だって! あのバカ社長が勝手にOP社に行った?!」
と大声を出す。
それを聞いた他の社員も何事かと身を乗り出す。
トニーが内容を説明した上で、
「社内の意向も確認しないでこうした勝手な行動を取るのは社長として問題だ。オーナー会社ならともかく、うちは一〇万人を超える大組織なんだから。明日、社長には厳しく責任を問う必要がある」
と付け加えた。
トニーの話を聞いていた社員の一人から、
「確かに問題があるかもしれないが、そこまで厳しい対応をするのはどうか?」
という声があがった。
しかしトニーは、
「いや、社のトップだからこそ、厳しく責任を問う必要がある。社長は全従業員に対して責任を負うものだ。ただ、事態が事態だからこちらも策を考える必要がある」
と答えた。この言葉に反論する者は無かった。
「すぐに引き返せと、ボンクラ社長に伝えろ。そして、社長には俺の携帯端末に連絡を入れろと言っておけ」
表面上はあまり上品とは言えない話を仲間や店の女性としながらのことだ。
(まったく、競合が被害を受けて弱体化しているところにノコノコと相手の所に出向く馬鹿がどこにいる? こちらに呼びつければ有利に交渉が進められるものを……)
しばらくして、オイゲンからトニーの携帯端末に直接連絡が入った。
「あ、シヴァさんか。申し訳無い。OP社の社長と今後の対応を話し合うことになったので、そっちに行けなくなったんだよね」
オイゲンの言葉は軽いが口調は重い。
ボンクラでもそれなりに事の重大さは理解しているようだ、とトニーは判断した。
「社長がわざわざOP社に出向く必要がある? 向こうが苦しいんだから、相手を呼びつけないでどうする?」
「とは言ってもね、OP社は対応に追われているのだから、こっちが出向いた方が助かるだろう。それに、私はOP社に着いてしまっているしね」
「……何だって! それで何をしているの?」
オイゲンの答えに、しまったとトニーは後悔した。
オイゲンはフットワークが軽いのが取り柄であるが、それが完全に裏目に出たといってよい。
エクザロームナンバーワンの地位を譲ったとはいえ、ECN社は十万人を超える従業員を抱える大企業である。
オイゲンはそのトップの地位の重さをまるで理解していない!
トニーの後悔はいつの間にか怒りへと変貌を遂げていた。
「応接室に通されて、相手の社長を待っているところさ。そろそろ相手が来るだろうから切るよ」
オイゲンの言葉通り、直後にオイゲンの方から通話が切られた。
通話を終えると、トニーは隣に座っている経営企画室長に耳打ちした。
「社長が我々に相談無しでOP社に出向いたようだけど、経営企画室に相談無く、勝手に行動させていいものですか?」
それを聞いた経営企画室長は、やおら立ち上がって、
「何だって! あのバカ社長が勝手にOP社に行った?!」
と大声を出す。
それを聞いた他の社員も何事かと身を乗り出す。
トニーが内容を説明した上で、
「社内の意向も確認しないでこうした勝手な行動を取るのは社長として問題だ。オーナー会社ならともかく、うちは一〇万人を超える大組織なんだから。明日、社長には厳しく責任を問う必要がある」
と付け加えた。
トニーの話を聞いていた社員の一人から、
「確かに問題があるかもしれないが、そこまで厳しい対応をするのはどうか?」
という声があがった。
しかしトニーは、
「いや、社のトップだからこそ、厳しく責任を問う必要がある。社長は全従業員に対して責任を負うものだ。ただ、事態が事態だからこちらも策を考える必要がある」
と答えた。この言葉に反論する者は無かった。
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