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第一章
21:崩壊
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「ポータル・シティで発生したビル襲撃事件の続報です……」
モリタの家のリビングにセス、ロビー、モリタの三人の姿があった。
テレビから三人がいたレストランの襲撃事件がニュースで流れている。
事件の発生したビルではOP社の新人歓迎会が行われており、新入社員ら三千名以上が人質として閉じ込められていると報じられた。
また、「犯人達には断固とした処置を取る」というOP社の発表があり、その模様も映し出された。
「お袋と親父、巻き込まれてないかなぁ……」
モリタが心配した様子で言ったが、その心配は杞憂だったようだ。すぐにモリタの両親が帰宅したからだ。
セスがそれに気づいて立ち上がった。
「列車が止まってしまったので、お邪魔しています。あと、これ、つまらない物ですがどうぞ」
そう挨拶して、先程マーケットで購入したと思われる菓子の包みを手渡した。
「そんなに気を遣わなくていいのに。何か事件が起きているみたいだし、外は危ないから今日は泊まっていきなさい」
モリタの母親がそう言うと、すかさずセスが、
「ありがとうございます、おばさん。何か家のこととか手伝えることがあったら遠慮なく言ってください」
と返した。
(相変わらずそつの無いやつだなぁ……)
ロビーはそう思ったが、口には出さずにテレビに見入っていた。
テレビは他の番組の放送を休止して、ビルの襲撃事件を報じ続けていたからだ。
「あら、このビルは……」
モリタの母親がテレビの画面を見て絶句した。
モリタの両親はこのビルの近所に買い物に出ていたのだった。
息子の方は事件が起きたビルにいたのだが、モリタは両親にこのことを話していない。
両親を心配させないためにはその方がいいだろうとセスが提案しており、モリタもそれに同意したためだ。
「OP社の関係者の動きに変化がありました! 危険なので我々報道陣も含めて離れるよう指示がありましたので、指示に従い安全な間所まで移動します!」
テレビから聞こえる声が急に切羽詰まったものとなった。
上下左右に揺れる映像の中で、現場レポーターらしき女性が走っている姿が映し出されている。
カチャカチャ音を立てているのは、機材を引きずっているからだろう。
「無理してこんなものを映さなくてもいいだろう。急いで安全な場所に移動すればいいじゃないか」
ロビーがテレビに向かって文句を言った。
「それもそうだけど、どうしてOP社は他の人を避難させたのだろう? さっきの場所でも十分距離があったように見えたけど……」
セスが首を傾げている。
「テロリストが飛び道具を持っているからじゃないかな?」
モリタがそう答えたが、本人もどこか納得していないらしくセス同様首を傾げている。
「飛び道具、って画面に映っていなかったよね?」
セスもモリタの答えには納得していないようだ。
セスとロビーは事件を引き起こしたテロリストと思われる作業服姿の男達に襲われている。
彼らの獲物は鉄パイプだった。
隠していたのかもしれないが、彼らの姿を見る限り、とても飛び道具を持っているようには見えなかった。セスが違和感を覚えたのはその点であった。
「安全な場所まで移動できましたので、中継を再開いたします」
テレビからの絵が、揺れていたそれではなく女性レポーターが正面を向いた絵に切り替わった
事件が起きているビルからは少し離れた場所のようで、OP社の関係者と思われる者達がロープを張って「ここから先は危険ですから入らないでください!」と声をあげている。
「伏せろ!」
不意にOP社の関係者と思われる者の怒鳴り声が聞こえてきた。もちろん、テレビの画面からだ。
しかし、テレビの画面はレポーターを映したままであった。
「伏せろとの指示がありましたっ! きゃぁぁぁっ!」
レポーターは興奮気味にまくし立てた後、悲鳴をあげて耳をふさいだ。
というのも、不意に轟音が発せられたからだ。
轟音にも負けず、テレビは揺れながらもビルが崩れる瞬間を映し出していた。
「ひでぇ……」
思わずロビーがつぶやいた。
モリタの家のリビングにセス、ロビー、モリタの三人の姿があった。
テレビから三人がいたレストランの襲撃事件がニュースで流れている。
事件の発生したビルではOP社の新人歓迎会が行われており、新入社員ら三千名以上が人質として閉じ込められていると報じられた。
また、「犯人達には断固とした処置を取る」というOP社の発表があり、その模様も映し出された。
「お袋と親父、巻き込まれてないかなぁ……」
モリタが心配した様子で言ったが、その心配は杞憂だったようだ。すぐにモリタの両親が帰宅したからだ。
セスがそれに気づいて立ち上がった。
「列車が止まってしまったので、お邪魔しています。あと、これ、つまらない物ですがどうぞ」
そう挨拶して、先程マーケットで購入したと思われる菓子の包みを手渡した。
「そんなに気を遣わなくていいのに。何か事件が起きているみたいだし、外は危ないから今日は泊まっていきなさい」
モリタの母親がそう言うと、すかさずセスが、
「ありがとうございます、おばさん。何か家のこととか手伝えることがあったら遠慮なく言ってください」
と返した。
(相変わらずそつの無いやつだなぁ……)
ロビーはそう思ったが、口には出さずにテレビに見入っていた。
テレビは他の番組の放送を休止して、ビルの襲撃事件を報じ続けていたからだ。
「あら、このビルは……」
モリタの母親がテレビの画面を見て絶句した。
モリタの両親はこのビルの近所に買い物に出ていたのだった。
息子の方は事件が起きたビルにいたのだが、モリタは両親にこのことを話していない。
両親を心配させないためにはその方がいいだろうとセスが提案しており、モリタもそれに同意したためだ。
「OP社の関係者の動きに変化がありました! 危険なので我々報道陣も含めて離れるよう指示がありましたので、指示に従い安全な間所まで移動します!」
テレビから聞こえる声が急に切羽詰まったものとなった。
上下左右に揺れる映像の中で、現場レポーターらしき女性が走っている姿が映し出されている。
カチャカチャ音を立てているのは、機材を引きずっているからだろう。
「無理してこんなものを映さなくてもいいだろう。急いで安全な場所に移動すればいいじゃないか」
ロビーがテレビに向かって文句を言った。
「それもそうだけど、どうしてOP社は他の人を避難させたのだろう? さっきの場所でも十分距離があったように見えたけど……」
セスが首を傾げている。
「テロリストが飛び道具を持っているからじゃないかな?」
モリタがそう答えたが、本人もどこか納得していないらしくセス同様首を傾げている。
「飛び道具、って画面に映っていなかったよね?」
セスもモリタの答えには納得していないようだ。
セスとロビーは事件を引き起こしたテロリストと思われる作業服姿の男達に襲われている。
彼らの獲物は鉄パイプだった。
隠していたのかもしれないが、彼らの姿を見る限り、とても飛び道具を持っているようには見えなかった。セスが違和感を覚えたのはその点であった。
「安全な場所まで移動できましたので、中継を再開いたします」
テレビからの絵が、揺れていたそれではなく女性レポーターが正面を向いた絵に切り替わった
事件が起きているビルからは少し離れた場所のようで、OP社の関係者と思われる者達がロープを張って「ここから先は危険ですから入らないでください!」と声をあげている。
「伏せろ!」
不意にOP社の関係者と思われる者の怒鳴り声が聞こえてきた。もちろん、テレビの画面からだ。
しかし、テレビの画面はレポーターを映したままであった。
「伏せろとの指示がありましたっ! きゃぁぁぁっ!」
レポーターは興奮気味にまくし立てた後、悲鳴をあげて耳をふさいだ。
というのも、不意に轟音が発せられたからだ。
轟音にも負けず、テレビは揺れながらもビルが崩れる瞬間を映し出していた。
「ひでぇ……」
思わずロビーがつぶやいた。
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