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第一章
19:実力行使……ならず
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OP社セキュリティ・センターの警備員が「エクザローム防衛隊」なるテロリストと戦いを繰り広げていた頃、セスとロビーは作業服姿の男たちに囲まれていた。
ロビーがダッシュをかけると、ターゲットとなった作業服姿の男が一瞬ひるむ。
しかし、作業服姿の男は自分の手に武器があり、相手が丸腰であることを思い出した。
彼は手に持った武器を振り下ろそうとしたが、そのときにはロビーは彼の懐に潜り込んでいた。
「ぐはっ!」
作業服姿の男はロビーのタックルにより跳ね上げられ、派手に一回転して道路に転がった。
手に持っていた武器は数メートル先に転がり、ロビーに拾い上げられていた。鉄パイプった。
そして、ロビーが作業服姿の男達に向かって言い放つ。
「俺達の邪魔をするなら、実力行使させてもらうぜ」
ロビーの言葉に作業服姿の男達の歩みが止まる。
セスをおぶっているとはいえ、エクザロームの住人の中でもロビーは長身で筋肉質な身体だ。かなり腕っぷしが強く見える。
実際にロビーは職業学校でも有名なケンカ屋であった。
彼は自分からケンカを仕掛けることはほとんど無かったが、売られたケンカは積極的に買った。そして、買ったケンカにはことごとく勝利してきたのだ。
セスがロビーに近づいたのも、実はロビーの腕っぷしの強さがあったからなのである。
(腕が立つ奴と仲間になっておくと、何かと助かるからね……こういうとき、ロビーと仲良くなっておいて得したと実感するよ)
セスはロビーの背中の上でこう考えていたのであった。
その対価として、職業学校時代のセスは朝の弱いロビーに代わって出席の代返をしたり、課題を手伝ったりしていたからお互い様なのだが。
(俺一人なら何とかなるが……セスがいるからな。適当にあしらって、ずらかるか)
ロビーは冷静に相手とこちらの戦力を比較している。
一方のセスは……
(相手は五人……素手ならロビーで十分相手できると思うけど、武器を持っているし……
この道はまっすぐ行けばポータルの中央駅に行ける。駅まで行けば人が多いから……
いや、ダメだ。僕がいるから逃げても追いつかれる
だったら……)
考えた末にポケットから携帯端末を取り出し、通信を開く。
そして、携帯端末に向かって大声で叫んだ。
「もしもし、医療センター? 急患だよっ! 海岸沿いのレストランで集団食中毒だってば! そう! ビルが大騒ぎになっているって!」
セスの大声に作業服の男達もロビーも呆気に取られている。
先に冷静さを取り戻したのはロビーで、近くにいた二人の頭を鉄パイプで殴りつけ、道路に転がす。
「急患ですっ! 急患!道をあけてっ!」
セスはロビーの背中で叫び続けている。しかし、このあたりはオフィス街で声を聞いて飛び出してくる住民はいない。
セスは一人で叫んでいたが、ロビーと作業服姿の男のうち無事な三人は動くに動けず、睨み合いになっている。
睨み合いは長く続くかと思われたが、意外なところからセスたちにとっての救世主が現れた。
「おい、何をしている? 作戦の第二段階が始まるぞっ! 早く位置に戻れっ!」
作業服姿の男達の上位者と思われる人物の声だった。
「早くしろっ! そろそろ合図があるぞっ!」
その声を受けて作業服姿の男達が後退を始めた。
直後、街頭スピーカーから声が流れ出す。
「我々は、ここ、惑星エクザロームを愛する『エクザローム防衛隊』である……」
ハドリがOP社本社ビルで聞いたメッセージであった。
作業服姿の男達はセスやロビーの方を振り返ることなく、駆け足でその場を立ち去ったのであった。
「……何だ、あいつら?」
「さあ……何をしに行ったのだか……」
ロビーとセスは、作業服姿の男達の姿を茫然と見送っていた。
ロビーがダッシュをかけると、ターゲットとなった作業服姿の男が一瞬ひるむ。
しかし、作業服姿の男は自分の手に武器があり、相手が丸腰であることを思い出した。
彼は手に持った武器を振り下ろそうとしたが、そのときにはロビーは彼の懐に潜り込んでいた。
「ぐはっ!」
作業服姿の男はロビーのタックルにより跳ね上げられ、派手に一回転して道路に転がった。
手に持っていた武器は数メートル先に転がり、ロビーに拾い上げられていた。鉄パイプった。
そして、ロビーが作業服姿の男達に向かって言い放つ。
「俺達の邪魔をするなら、実力行使させてもらうぜ」
ロビーの言葉に作業服姿の男達の歩みが止まる。
セスをおぶっているとはいえ、エクザロームの住人の中でもロビーは長身で筋肉質な身体だ。かなり腕っぷしが強く見える。
実際にロビーは職業学校でも有名なケンカ屋であった。
彼は自分からケンカを仕掛けることはほとんど無かったが、売られたケンカは積極的に買った。そして、買ったケンカにはことごとく勝利してきたのだ。
セスがロビーに近づいたのも、実はロビーの腕っぷしの強さがあったからなのである。
(腕が立つ奴と仲間になっておくと、何かと助かるからね……こういうとき、ロビーと仲良くなっておいて得したと実感するよ)
セスはロビーの背中の上でこう考えていたのであった。
その対価として、職業学校時代のセスは朝の弱いロビーに代わって出席の代返をしたり、課題を手伝ったりしていたからお互い様なのだが。
(俺一人なら何とかなるが……セスがいるからな。適当にあしらって、ずらかるか)
ロビーは冷静に相手とこちらの戦力を比較している。
一方のセスは……
(相手は五人……素手ならロビーで十分相手できると思うけど、武器を持っているし……
この道はまっすぐ行けばポータルの中央駅に行ける。駅まで行けば人が多いから……
いや、ダメだ。僕がいるから逃げても追いつかれる
だったら……)
考えた末にポケットから携帯端末を取り出し、通信を開く。
そして、携帯端末に向かって大声で叫んだ。
「もしもし、医療センター? 急患だよっ! 海岸沿いのレストランで集団食中毒だってば! そう! ビルが大騒ぎになっているって!」
セスの大声に作業服の男達もロビーも呆気に取られている。
先に冷静さを取り戻したのはロビーで、近くにいた二人の頭を鉄パイプで殴りつけ、道路に転がす。
「急患ですっ! 急患!道をあけてっ!」
セスはロビーの背中で叫び続けている。しかし、このあたりはオフィス街で声を聞いて飛び出してくる住民はいない。
セスは一人で叫んでいたが、ロビーと作業服姿の男のうち無事な三人は動くに動けず、睨み合いになっている。
睨み合いは長く続くかと思われたが、意外なところからセスたちにとっての救世主が現れた。
「おい、何をしている? 作戦の第二段階が始まるぞっ! 早く位置に戻れっ!」
作業服姿の男達の上位者と思われる人物の声だった。
「早くしろっ! そろそろ合図があるぞっ!」
その声を受けて作業服姿の男達が後退を始めた。
直後、街頭スピーカーから声が流れ出す。
「我々は、ここ、惑星エクザロームを愛する『エクザローム防衛隊』である……」
ハドリがOP社本社ビルで聞いたメッセージであった。
作業服姿の男達はセスやロビーの方を振り返ることなく、駆け足でその場を立ち去ったのであった。
「……何だ、あいつら?」
「さあ……何をしに行ったのだか……」
ロビーとセスは、作業服姿の男達の姿を茫然と見送っていた。
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