Lilus(リーラス) ~意志によらぬ力を競え!~

空乃参三

文字の大きさ
上 下
97 / 102
二年目 二〇五八年

96:第九六回 一二月二〇日 決戦! グランド・ファイナル・グランプリ その1

しおりを挟む
 さて、次は年末の大一番・グランド・ファイナル・グランプリです!
 我らがライズ選手は年間ランキング一位の可能性を残して出場します!

 まずは出場者リストです。



 先にランキングでの出場選手から紹介します。

 一番ブースのピト選手は、現在のランキング一位。Sランク競技のタイトルは六年前のトライアスロンのみですが、今年も三位に入っています。
 トライアスロンでは四回三位以内がある選手で、ストレートとクロス競技に強いです。
 過去の年間ランキングの最高は三位。今年は初の戴冠を狙います。

 二番ブースのラト選手は、今年の建国杯を勝利したベテラン。他にSランク競技は一八年前に新年杯を勝利しています。
 グランド・ファイナル・グランプリへの出場は四度目。過去は三回は五位、一〇位、六位でした。
 新年杯を勝った二〇四〇年に年間ランキング一位を獲得しています。
 過去五年はクラスⅢ~Ⅳを行ったり来たりと低迷していましたが、今年鮮やかに復活しました。

 三番ブースのトハルト選手は二〇四五年のフレッシャーズカップの勝者。
 クラスⅠの常連で、年間ランキングトップテンに五回入っている選手です。
 年間ランキングの最高は二位ですが、年間最多勝を二〇四九年と二〇五一年の二回獲得しています。

 四番ブースのレック選手はデビュー一七年目で、スピード競技に強い選手です。
 Sランク競技の勝利はありませんが、Aランク競技を通算七勝している強豪です。

 五番ブースのウルル選手は二年連続のランキングによる出場。
 Sランク競技の勝利はありませんが、昨年からSランク競技の常連となっているので知名度も上がっていると思います。
 自身初のSランク競技勝利と年間ランキング一位を狙います。

 六番ブースは「ラメミリアの至宝」ディフェンディングチャンピオンのアークトゥース選手。
 一昨年昨年と不調でしたが、ここで帰ってきました。私やライズ選手にとっては一番嫌なタイミングでの復調かも知れません。
 今年はクレスラーメモリアルを勝利しています。

 七番ブースからは投票での出場選手です。

 七番ブースは大物食いで知られるマナマ選手。
 今年はSランク競技の勝利がありませんが、通算二勝している強豪です。
 これまで通算三一勝のうち二七勝がBランク以上の競技という「名前のある競技」に強い選手。
 昨年三位の雪辱に燃えています。

 八番ブースのノーラ選手は二年連続の投票での出場。
 Sランク競技は昨年のクロス・スペシャリストを勝利しています。今年は三位でした。
 二世選手ですがクロス競技に強い実力派。グランド・ファイナル・グランプリはステップ三がクロス競技ですので、そこまで進んでくると怖い存在です。

 九番ブースのミラー選手はこれが最終出場となります。
 Sランク競技は運輸局杯二回、サマー・トーナメント一回、そして二〇三五年のグランド・ファイナル・グランプリを勝利しています。
 二〇三五年、二〇四二年の年間ランキング一位、二〇四二年には年間最多勝も獲得しています。
 通算一九五勝の大ベテランの引退試合、油断できない相手です。

 一〇番ブースのツェ・クラド選手は昨年の年間ランキング一位の選手。
 ムンダス出身としては初の快挙を成し遂げました。
 今年はSランク競技の勝利がありませんが、昨年の観光局杯を制しています。

 一一番ブースは我らがライズ選手!
 先月のSランク競技スピード・スターズを制しています。
 グランド・ファイナル・グランプリのステップ一、二はそれぞれ一テイク、二テイクの短期決戦ですので、スピード競技に強いライズ選手には有利だと思います。

 一二番ブースはリンツ選手。
 二〇四八年の新年杯、二〇四九年のグランド・ファイナル・グランプリの勝者です。
 今年は建国杯、クレスラー・メモリアルともに三位とSランク競技で好成績を収めています。
 年間ランキングの最高位は四位。ここでは自己最高位の更新を目指します。

 どの選手もかなりの強豪ですが、ライズ選手も負けてはいません。

 競技開始五分前の一八時三五分、出場選手に集合の合図がかかりました。
 同時にマネージャーは、ステージ脇にあるマネージャー用のスペースへの移動を命じられます。

 私がライズ選手に「ステージで」と声をかけると、ライズ選手は手を挙げて応えてくれました。落ち着いた様子です。
 むしろ私の方が舞い上がってしまっているかもしれません。
 それではいけないので、軽く深呼吸してから他の選手のマネージャーたちと一緒に移動します。

 会場に入ると選手の登場を待ちきれないファンの皆様の歓声に迎えられました。
 我々マネージャーの登場を選手登場と勘違いされたのかもしれません。
 アリーナの床が波打っているような感覚を覚えながら、マネージャー用のスペースへと移動しました。

 観客席を見ると人がぎっしりで身動きが取れないほどです。
 ライズ選手の応援がないかと会場を見回すと……ありました!
 ライズ選手を応援する横断幕が、一、二……私が見つけたのは全部で七つ。応援してくださるファンの皆様に感謝です。

 横断幕を数え終わったところで、ステージ上にサンタラという弦楽器を抱えたがロロハ姿の女性が現れました。
 ロロハというのはラメミリアの伝統衣装でワンピースみたいなひざ丈の貫頭衣です。
 この女性ですがラメミリアでは有名な演奏家のシエル・ラオイさんです。
 グランド・ファイナル・グランプリのファンファーレを担当します。

 ラオイさんがステージの中央に立ち、サンタラを構えました。
 いよいよ年末の大一番、グランド・ファイナル・グランプリの開幕です!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

姫騎士様と二人旅、何も起きないはずもなく……

踊りまんぼう
ファンタジー
主人公であるセイは異世界転生者であるが、地味な生活を送っていた。 そんな中、昔パーティを組んだことのある仲間に誘われてとある依頼に参加したのだが……。 *表題の二人旅は第09話からです (カクヨム、小説家になろうでも公開中です)

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

処理中です...