50 / 102
二年目 二〇五八年
49:第四九回 二月九日 担当選手が出場する日のマネージャーの一日
しおりを挟む
こんにちは、レスコス・テラーサです。
今日は担当選手が試合に出場する日の私の動きについてお話ししたいと思います。
今週の水曜二月六日は二人の担当選手が出場する日でした。
ノイテス選手が第四競技、ライズ選手が第八競技です。
この日の第四競技は一〇時五〇分開始なので、選手とマネージャーは四〇分前の一〇時一〇分までに選手控室に入って、三〇分前の一〇時二〇分までに受付を済ませる必要があります。
事前にノイテス選手と相談して、九時四五分に選手控室の入口前に集まることにしました。
この日、私は八時半から勤務でした。
ひと仕事済ませてから来週分の出場申請を提出し、その足で選手控室へと移動しました。
九時四五分に選手控室の前でノイテス選手と一緒になって選手控室入りと受付を済ませました。
ノイテス選手は七時半からひと仕事してこちらに来たそうで、競技終了後に職場に戻って一四時から一六時までまた仕事をするそうです。働き者だ。
一〇分前の一〇時四〇分になると出場選手が呼ばれるのですが、それまでは時間があります。
ノイテス選手の場合は、モニタで現在行われている競技を見るのが習慣です。
一〇時一〇分からひとつ前の第三競技が行われていますので、モニタで観戦します。
この競技はスピードでしたので、一五分もしないうちに終了しました。
第一テイクで大きいスコアを獲得した選手の第二テイクが軒並み不調で、目まぐるしく順位が変わる観戦側からすれば面白い展開でした。
私とノイテス選手は雑談も忘れてモニタに見入っていました。
一〇時四〇分になったところでノイテス選手が呼び出されました。
マネージャーの私も移動します。
ノイテス選手は競技が行われるステージに、私はステージ脇にあるマネージャー用のブースへ向かいます。
会社派遣マネージャーだけではなく、登録している選手のマネージャーもマネージャー用ブースに入ることができます。
多くのマネージャーは、担当している選手が出場する際、マネージャー用のブースにいることが多いです。
これもIlasの考え方で、マネージャーは担当している選手のIlasが良くなる手伝いをする存在です。
マネージャーも選手ほどでないにしろ良いIlasを持っているケースが多いので、選手に良いIlasを送るという役割を担うこともあります。
私にもその役割が期待されているので、今回はノイテス選手に良いIlasを送るようにします。
といっても、近くで競技を観戦するだけなのですけどね。
ノイテス選手が今回出場するのはクロス競技。
奇数テイクのスコアが加算、偶数テイクのスコアが減算されるので、奇数テイクに大きい数字、偶数テイクに低い数字を引く必要があります。
ノイテス選手は今回一〇番ブースでの出場。出場者は一三名です。
ノイテス選手の第一テイクは七八。一三名中四位で第一テイクを終えました。トップとは一二スコア差、悪くない位置です。
ノイテス選手の表情も幾分柔らかくなったような気がします。Ilasにとっても良いことだと思いました。
ですが、第二、第三テイクがあまりよくありませんでした。第二テイクが五七、第三テイクが二一と、この時点のスコアが四二。
順位も一三名中九位に後退しました。
まだノイテス選手の表情には余裕があるのが救いですが、厳しい位置ではあります。
スコアがマイナスとなる第四テイクは六八と大きめの数字を引いてしまい、更に順位が後退、一一位となります。
流れが変わったのは第五テイク。ここでノイテス選手は八八を引き当て、六位に浮上します。
そして最終テイク。ノイテス選手は一六と一三人中二番目に低い数字を引き当て合計スコア四六の三位で試合を終えることができました。
この競技で四ポイントを獲得し、ランキングポイントを一〇に伸ばしました。この調子でポイントを積み重ねたいところです。
表彰式と競技後の一連の手続きを終えてノイテス選手と選手控室を後にしたのが一一時半。
ここでノイテス選手に誘われたので、近くのショッピングモールにある食堂でランチをご一緒することになりました。
ランチの場で土曜日からドス・イラス・エラ、すなわちゲン担ぎができる環境が整うと教えてくれました。
これで更に勢いに乗れればいいと思います。
さて、この日はライズ選手も出場します。こちらは第八競技で一四時半スタート。
ライズ選手は早めに会場入りすることが多く、この日は一三時一〇分に選手控室の前で待ち合わせていました。
ノイテス選手とのランチを終えて、一三時過ぎに選手控室の前に到着。ほぼ同時にライズ選手も到着しました。
控室に入って受付を済ませるのはノイテス選手のときと同じ。
ライズ選手は音楽を聞いて出番を待つのがルーティーンです。
私は近くのモニタで先に行われている競技を観戦しました。
ライズ選手が出場するのはBランク競技のエドラ市長賞で、上位に入れば多くのポイントが得られます。
そのため、出場者は最大の一六名となりました。実際は前日に病気で出場辞退した選手がいたのですが、当番選手が代理出場しています。
当番選手はクラスⅣで、Bランク競技には滅多に出られないですから、貴重なチャンスを得たといえます。
こちらはスピード競技ですから、勝負は短時間で決着します。
ライズ選手は一テイク目で二五の一二位と出遅れましたが、第二テイクで巻き返して五位。二ポイントを獲得しました。
スピードスターズ出場権ゲットにまた一歩近づきました。
表彰式と手続き関連を終えて、ライズ選手と別れたのが一五時四五分。ライズ選手はそのまま帰宅、私もこれで業務終了です。
二選手が同じ日に出場するとなかなか忙しいのですが、少しでも上位になるためのお手伝いができればいいなと思っています。
最後に今週の出場結果と、来週の出場予定です。
【結果】
オルト・ノイテス選手 (〇五二-一一)
二月六日 (水)第四競技 (Eランク競技・クロス) 三位/一三名 四ポイント
二月八日 (金)第九競技 (Cランク競技・バーサス)八位/一六名 〇ポイント
二月八日現在ランキングポイント 一〇 二七二位/六〇四名
ナルティス・ライズ選手 (〇四九-〇三)
二月六日 (水)第八競技エドラ市長賞 (Bランク競技・スピード) 五位/一六名 二ポイント
二月八日現在ランキングポイント 四〇 二九位/六〇四名
【来週の出場予定】
ノイテス選手ですが、来週の出場予定は二回です。
二月一二日 (火)第六競技 (Dランク競技・スピード)
二月一四日 (木)第八競技 (Eランク競技・ストレート)
ライズ選手の来週の出場予定も二回です。
二月一一日 (月)第七競技 (Eランク競技・ストレート)
二月一五日 (金)第八競技 (Cランク競技・クロス)
では、また来週!
今日は担当選手が試合に出場する日の私の動きについてお話ししたいと思います。
今週の水曜二月六日は二人の担当選手が出場する日でした。
ノイテス選手が第四競技、ライズ選手が第八競技です。
この日の第四競技は一〇時五〇分開始なので、選手とマネージャーは四〇分前の一〇時一〇分までに選手控室に入って、三〇分前の一〇時二〇分までに受付を済ませる必要があります。
事前にノイテス選手と相談して、九時四五分に選手控室の入口前に集まることにしました。
この日、私は八時半から勤務でした。
ひと仕事済ませてから来週分の出場申請を提出し、その足で選手控室へと移動しました。
九時四五分に選手控室の前でノイテス選手と一緒になって選手控室入りと受付を済ませました。
ノイテス選手は七時半からひと仕事してこちらに来たそうで、競技終了後に職場に戻って一四時から一六時までまた仕事をするそうです。働き者だ。
一〇分前の一〇時四〇分になると出場選手が呼ばれるのですが、それまでは時間があります。
ノイテス選手の場合は、モニタで現在行われている競技を見るのが習慣です。
一〇時一〇分からひとつ前の第三競技が行われていますので、モニタで観戦します。
この競技はスピードでしたので、一五分もしないうちに終了しました。
第一テイクで大きいスコアを獲得した選手の第二テイクが軒並み不調で、目まぐるしく順位が変わる観戦側からすれば面白い展開でした。
私とノイテス選手は雑談も忘れてモニタに見入っていました。
一〇時四〇分になったところでノイテス選手が呼び出されました。
マネージャーの私も移動します。
ノイテス選手は競技が行われるステージに、私はステージ脇にあるマネージャー用のブースへ向かいます。
会社派遣マネージャーだけではなく、登録している選手のマネージャーもマネージャー用ブースに入ることができます。
多くのマネージャーは、担当している選手が出場する際、マネージャー用のブースにいることが多いです。
これもIlasの考え方で、マネージャーは担当している選手のIlasが良くなる手伝いをする存在です。
マネージャーも選手ほどでないにしろ良いIlasを持っているケースが多いので、選手に良いIlasを送るという役割を担うこともあります。
私にもその役割が期待されているので、今回はノイテス選手に良いIlasを送るようにします。
といっても、近くで競技を観戦するだけなのですけどね。
ノイテス選手が今回出場するのはクロス競技。
奇数テイクのスコアが加算、偶数テイクのスコアが減算されるので、奇数テイクに大きい数字、偶数テイクに低い数字を引く必要があります。
ノイテス選手は今回一〇番ブースでの出場。出場者は一三名です。
ノイテス選手の第一テイクは七八。一三名中四位で第一テイクを終えました。トップとは一二スコア差、悪くない位置です。
ノイテス選手の表情も幾分柔らかくなったような気がします。Ilasにとっても良いことだと思いました。
ですが、第二、第三テイクがあまりよくありませんでした。第二テイクが五七、第三テイクが二一と、この時点のスコアが四二。
順位も一三名中九位に後退しました。
まだノイテス選手の表情には余裕があるのが救いですが、厳しい位置ではあります。
スコアがマイナスとなる第四テイクは六八と大きめの数字を引いてしまい、更に順位が後退、一一位となります。
流れが変わったのは第五テイク。ここでノイテス選手は八八を引き当て、六位に浮上します。
そして最終テイク。ノイテス選手は一六と一三人中二番目に低い数字を引き当て合計スコア四六の三位で試合を終えることができました。
この競技で四ポイントを獲得し、ランキングポイントを一〇に伸ばしました。この調子でポイントを積み重ねたいところです。
表彰式と競技後の一連の手続きを終えてノイテス選手と選手控室を後にしたのが一一時半。
ここでノイテス選手に誘われたので、近くのショッピングモールにある食堂でランチをご一緒することになりました。
ランチの場で土曜日からドス・イラス・エラ、すなわちゲン担ぎができる環境が整うと教えてくれました。
これで更に勢いに乗れればいいと思います。
さて、この日はライズ選手も出場します。こちらは第八競技で一四時半スタート。
ライズ選手は早めに会場入りすることが多く、この日は一三時一〇分に選手控室の前で待ち合わせていました。
ノイテス選手とのランチを終えて、一三時過ぎに選手控室の前に到着。ほぼ同時にライズ選手も到着しました。
控室に入って受付を済ませるのはノイテス選手のときと同じ。
ライズ選手は音楽を聞いて出番を待つのがルーティーンです。
私は近くのモニタで先に行われている競技を観戦しました。
ライズ選手が出場するのはBランク競技のエドラ市長賞で、上位に入れば多くのポイントが得られます。
そのため、出場者は最大の一六名となりました。実際は前日に病気で出場辞退した選手がいたのですが、当番選手が代理出場しています。
当番選手はクラスⅣで、Bランク競技には滅多に出られないですから、貴重なチャンスを得たといえます。
こちらはスピード競技ですから、勝負は短時間で決着します。
ライズ選手は一テイク目で二五の一二位と出遅れましたが、第二テイクで巻き返して五位。二ポイントを獲得しました。
スピードスターズ出場権ゲットにまた一歩近づきました。
表彰式と手続き関連を終えて、ライズ選手と別れたのが一五時四五分。ライズ選手はそのまま帰宅、私もこれで業務終了です。
二選手が同じ日に出場するとなかなか忙しいのですが、少しでも上位になるためのお手伝いができればいいなと思っています。
最後に今週の出場結果と、来週の出場予定です。
【結果】
オルト・ノイテス選手 (〇五二-一一)
二月六日 (水)第四競技 (Eランク競技・クロス) 三位/一三名 四ポイント
二月八日 (金)第九競技 (Cランク競技・バーサス)八位/一六名 〇ポイント
二月八日現在ランキングポイント 一〇 二七二位/六〇四名
ナルティス・ライズ選手 (〇四九-〇三)
二月六日 (水)第八競技エドラ市長賞 (Bランク競技・スピード) 五位/一六名 二ポイント
二月八日現在ランキングポイント 四〇 二九位/六〇四名
【来週の出場予定】
ノイテス選手ですが、来週の出場予定は二回です。
二月一二日 (火)第六競技 (Dランク競技・スピード)
二月一四日 (木)第八競技 (Eランク競技・ストレート)
ライズ選手の来週の出場予定も二回です。
二月一一日 (月)第七競技 (Eランク競技・ストレート)
二月一五日 (金)第八競技 (Cランク競技・クロス)
では、また来週!
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
姫騎士様と二人旅、何も起きないはずもなく……
踊りまんぼう
ファンタジー
主人公であるセイは異世界転生者であるが、地味な生活を送っていた。 そんな中、昔パーティを組んだことのある仲間に誘われてとある依頼に参加したのだが……。 *表題の二人旅は第09話からです
(カクヨム、小説家になろうでも公開中です)

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる