Lilus(リーラス) ~意志によらぬ力を競え!~

空乃参三

文字の大きさ
上 下
14 / 102
一年目 二〇五七年

13:第一三回 六月二三日 日本の皆様に知ってほしいリーラスやラメミリアのこと

しおりを挟む
 こんにちは、レスコス・テラーサです。
 前回の記事は無事、上司の承認を得て掲載することができました。何ヶ所か修正させられましたが、こちらの伝えたいことは伝わったのではないかと思います。

 さて、今回は何故わが社が日本に向けてリーラスを紹介しているのか、そのあたりの事情についてお話しします。
 私が過去に日本に住んでいたことがあって、日本語が読み書きできるからということもあるのですが、それはあまり重要ではありません。

 理由の一つはラメミリアに日本人のお客さんを呼びこみたい、ということです。
 ドラリス国際空港には日本との定期便が就航していますし、移動時間も六時間程度と日本からだとヨーロッパやアメリカよりも近いです。
 また、私たちの世界シャンロスは、日本でよく読まれている「現代の技術を持ち込んだファンタジー世界」にかなり近い世界だと言われています。
 首都のラメーリやドラリス・リーラス・アリーナのあるドラリスを除いた各地は、ムンダスでいうところの中世的な風景が広がっています。
 魔法は一般的ではありませんが、野生動物はムンダスでいうところのモンスターのような風貌のものが少なくありません。
 何という名前かは知らないのですが、実際にシャンロスをモデルにした作品もあるそうですよ。

 という訳で観光でラメミリアを訪れたい方も潜在的には結構いらっしゃるのではないかと思います。
 物価もそれほど高くないはずなので、日本の方には来やすいかと思います。
 ちなみにドラリスやラメーリ郊外の三ツ星ホテルが一泊七百~千五百ミリパくらいだと思います。
 食事は星付きのレストランでディナーのコースとお酒を頼んで千~二千ミリパ、大衆食堂なら二〇〇ミリパもあれば豪遊できます。
 一ミリパは大体一〇円くらいだと思ってください。

 観光のオススメは勿論リーラスで遊ぶこと、ですが他にもあります。
 ドラリスではドラーという生物に乗ってコルメ湖の上空や湖を回るというツアーが人気です。
 ドラーは、ムンダスでいうところの東洋風の竜に近い生物で、二〇メートルを超える長い胴体に四本の手足と翼を持っています。
 人間並みの知能もあり、シャンロス共通語限定ですが会話も可能です。
 このドラーの背中に設けられた座席に乗ることができるのがツアーのウリです。
 ちなみに地名のドラリスは、「ドラーの住処」という意味を持っています。

 他にはマナ石の精製や野営の体験なども人気です。

 もう一つの理由は、日本はリーラスのようなギャンブルを運営する最先端の国だとされているからです。
 「リーラス運営会社」はラメミリアだけではなくシャンロス全体で最大の売上を誇る組織だとされています。
 ですが、日本には「リーラス運営会社」に匹敵する売上を誇る組織がいくつもあるだけではなく、最大のものは数十倍の売上があります。
 私もそうした組織がどのように運営されているかを学ぶために、日本に勉強に行ったことがあります。
 かつてはこのような業界の印象が良くなかったこともあったと聞きましたが、現在は市民権を得て多くの人が楽しんでいるように感じました。
 そこに至るまでには関係者の方の並々ならぬ努力があったのではないかと思われます。

 これは私の勝手な想像ですが、日本の文化や人のものの考え方はIlasを受け入れやすいのではないかと思っています。
 わが社と似たような事業を行っている組織が多数あるのも、それを物語っているのではないでしょうか?
 また、日本では「くじ」というものを多数見ましたが、これはIlasを試すのに適した手段です。
 日本にはIlasを試す機会が多くあり、Ilasの多さを示した人が重要視される社会だなと感じたことが多々ありました。
 このあたりは文化的にラメミリアに近いように思いました。

 リーラスはIlasを競う競技ですから、日本の文化やものの考え方にも合うのではないでしょうか?

 スペースが少し余っているのでおまけの話を。
 ラメミリアではリーラスを日本でいうところのスポーツに分類していますが、このコラムでは「競技」とか「試合」という表現をしています。
 これは敢えてそういう表現にしています。

 わが社では日本以外のムンダスの国に向けてもリーラスの情報を発信しています。
 ところが「リーラスのどこがスポーツだ?」というクレームが何件も入りました。
 クレームを入れた方たちに話を聞くとIlasの概念がスポーツという言葉に合わないのではないか、ということが浮かび上がってきました。
 そこで上司 (前回も登場したナカリです)と相談して日本向けの記事については「競技」「試合」と書くようにすると決めたのです。

 日本の方には我々ラメミリア人がリーラスをスポーツの一つである、と考えていると理解してもらえると嬉しいです。
 Ilasの考え方を受け入れやすい素地のある日本ならば、きっと大丈夫。そう信じてやみません。

 今日のところはこのくらいで、では!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

<番外編>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
< 嫁ぎ先の王国を崩壊させたヒロインと仲間たちの始まりとその後の物語 > 前作のヒロイン、レベッカは大暴れして嫁ぎ先の国を崩壊させた後、結婚相手のクズ皇子に別れを告げた。そして生き別れとなった母を探す為の旅に出ることを決意する。そんな彼女のお供をするのが侍女でドラゴンのミラージュ。皇子でありながら国を捨ててレベッカたちについてきたサミュエル皇子。これはそんな3人の始まりと、その後の物語―。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...