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一年目 二〇五七年
12:第一二回 六月一六日 リーラスの有名選手 現役編
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おはようございます、レスコス・テラーサです!
今日は変則開催の日で、競技は午後からスタートです。
ですので、朝イチに出勤してこの記事を書いています。
前回予告した通り、今回は現役の史上最強候補の選手の紹介です。
第九回でクレスラーがキサデア王国占領下のアネン地区から、エア・セルの子孫をラメミリアに呼び戻した話をしたのを覚えているでしょうか?
クレスラーがエア・セルの血統にこだわったのは、Ilasの象徴であると考えていたのが理由の一つです。
それ以外にもラメミリアではエア・セルの一族や、彼が属するキーベリ族はIlasに愛されていると考えられていて、ラメミリア全土で大切にされています。
ラメミリアの法律でもエア・セルの一族だけは彼の姓名から取った三文字 (アルファベットで書くとerc)を頭に付けた姓を名乗ることを許されています。
ちなみにエア・セルの名前をアルファベットで表記するとEr Celになります。
第一〇回で書きましたが、この時クレスラーが熱心にリーラスの選手になるよう勧誘した少年がいます。
彼の名はゼリオン・アークトゥース。アルファベット表記だとXellion Erctoothです。
姓が示す通り、エア・セルの一族になります。
ちなみにエア・セル自身は子供を残していないので、正確には彼のお姉さんの子孫です。
アークトゥース選手は一九歳で新人選手選抜競技を一位で通過し、翌年にプロのリーラスの選手となりました。
四年目にクラスⅠに昇格し、その年にSランク競技を二勝して年間ランキング一位を獲得します。
その後も順調に勝ち星を重ね、二二年目の現在Sランク競技一八勝、通算勝利数は一五七勝を数えます。
トゥーレイラ選手やアキナダ選手をも遥かに上回るペースです。
現在、通算勝利のトップは二〇六勝なのですが、これを上回るのも時間の問題とされています。
残念ながら昨年と今年のアークトゥース選手はあまり調子が良くないようです。
昨年はランキング三〇三位で今年はデビュー年以来のクラスⅣとなっています。
今年もこれまでランキング二〇〇位前後を行ったり来たりしていました。
ですが、三日前に行われたSランクの「クレスラー・メモリアル」に勝利し、ランキングも一〇〇位台前半に急上昇しています。
昨年に行われた「クレスラー・メモリアル」もアークトゥース選手が勝利していますので、競技名が今の名前になってからずっと彼が勝利していることになります。
今後も目が離せない選手といえるでしょう。
アークトゥース選手といえば、クレスラーが亡くなったときの国葬で葬儀委員長を務めたことでも知られています。
クレスラーに見出された恩は生涯忘れることはないと、リーラスに関するイベントにも積極的に参加していますので、彼を目にする機会も多いのではないかと思います。
「リーラスの申し子」「ラメミリアの至宝」とも称されるアークトゥース選手を是非見に来てください!
ちょっとスペースが余ってしまいましたね。
引退した選手をもう一人紹介することにします。
先ほど、通算勝利数の最多記録は二〇六勝と書きました。
この選手が史上最強候補に挙がってこないのは何故か? と疑問に思われる方もいるかもしれません。
この選手、名前をロドキ・ナカリと言います。
史上最強候補に名前が挙がらないのは、本人も常々口にしていますが「タイトルにまるで縁がない」からだと思われます。
Sランク競技には多数出場していますが、最高が三位で、後は四位が五回あるだけです。
また年間ランキングの最高位も四位、年間最多勝も獲得したことがありません。
ナカリの特徴は「とにかく安定している」「競技の種類に関係なく何でもそこそこ得意」ということに尽きます。 (こんなこと書いて大丈夫かな……?)
有名選手は割と得意な競技の種類が決まっていることが多いのです。
アキナダ選手はストレート競技に強かったですし、トゥーライラ選手はクロス競技の勝率が群を抜いていました。
アークトゥース選手はまんべんなく強いタイプですが、特に強いのがカット競技です。
しかし、ナカリの場合はそういった傾向がまるで見受けられません。
今でもナカリは時々スタジアムに姿を見せるのですが、そのときに「次のバーゲンはいつだ?」というような声がかかることがあります。
現役時代のあだ名が「バーゲンセールのナカリ」「よろず屋ナカリ」というもので、ランクの低い競技で勝利してポイントを稼ぐのでそう呼ばれていたようです。 (あ、一応本人に許可取って書いています)
「図抜けたIlasを持っていなくても、Ilasを大事にすれば報われる」
ナカリの言葉です。こつこつ勝利を積み上げて通算最多勝利という記録を得た選手です。
ナカリだけ何故末尾に「選手」とつけないのか? と疑問に思われた方もいるでしょう。
実はナカリは選手引退後、「リーラス運営会社」の社員として勤務するようになり、現在でも現役の社員です。
現在の役職は競技管理部審判課長兼記録班長……すなわち私レコの直属の上司です。
実はこのコラムも原稿を書いた後、ナカリのチェックを受けて掲載しているものです。
無事ナカリの記事が載ったかは……これを読んでみて判断してくださいね。では!
今日は変則開催の日で、競技は午後からスタートです。
ですので、朝イチに出勤してこの記事を書いています。
前回予告した通り、今回は現役の史上最強候補の選手の紹介です。
第九回でクレスラーがキサデア王国占領下のアネン地区から、エア・セルの子孫をラメミリアに呼び戻した話をしたのを覚えているでしょうか?
クレスラーがエア・セルの血統にこだわったのは、Ilasの象徴であると考えていたのが理由の一つです。
それ以外にもラメミリアではエア・セルの一族や、彼が属するキーベリ族はIlasに愛されていると考えられていて、ラメミリア全土で大切にされています。
ラメミリアの法律でもエア・セルの一族だけは彼の姓名から取った三文字 (アルファベットで書くとerc)を頭に付けた姓を名乗ることを許されています。
ちなみにエア・セルの名前をアルファベットで表記するとEr Celになります。
第一〇回で書きましたが、この時クレスラーが熱心にリーラスの選手になるよう勧誘した少年がいます。
彼の名はゼリオン・アークトゥース。アルファベット表記だとXellion Erctoothです。
姓が示す通り、エア・セルの一族になります。
ちなみにエア・セル自身は子供を残していないので、正確には彼のお姉さんの子孫です。
アークトゥース選手は一九歳で新人選手選抜競技を一位で通過し、翌年にプロのリーラスの選手となりました。
四年目にクラスⅠに昇格し、その年にSランク競技を二勝して年間ランキング一位を獲得します。
その後も順調に勝ち星を重ね、二二年目の現在Sランク競技一八勝、通算勝利数は一五七勝を数えます。
トゥーレイラ選手やアキナダ選手をも遥かに上回るペースです。
現在、通算勝利のトップは二〇六勝なのですが、これを上回るのも時間の問題とされています。
残念ながら昨年と今年のアークトゥース選手はあまり調子が良くないようです。
昨年はランキング三〇三位で今年はデビュー年以来のクラスⅣとなっています。
今年もこれまでランキング二〇〇位前後を行ったり来たりしていました。
ですが、三日前に行われたSランクの「クレスラー・メモリアル」に勝利し、ランキングも一〇〇位台前半に急上昇しています。
昨年に行われた「クレスラー・メモリアル」もアークトゥース選手が勝利していますので、競技名が今の名前になってからずっと彼が勝利していることになります。
今後も目が離せない選手といえるでしょう。
アークトゥース選手といえば、クレスラーが亡くなったときの国葬で葬儀委員長を務めたことでも知られています。
クレスラーに見出された恩は生涯忘れることはないと、リーラスに関するイベントにも積極的に参加していますので、彼を目にする機会も多いのではないかと思います。
「リーラスの申し子」「ラメミリアの至宝」とも称されるアークトゥース選手を是非見に来てください!
ちょっとスペースが余ってしまいましたね。
引退した選手をもう一人紹介することにします。
先ほど、通算勝利数の最多記録は二〇六勝と書きました。
この選手が史上最強候補に挙がってこないのは何故か? と疑問に思われる方もいるかもしれません。
この選手、名前をロドキ・ナカリと言います。
史上最強候補に名前が挙がらないのは、本人も常々口にしていますが「タイトルにまるで縁がない」からだと思われます。
Sランク競技には多数出場していますが、最高が三位で、後は四位が五回あるだけです。
また年間ランキングの最高位も四位、年間最多勝も獲得したことがありません。
ナカリの特徴は「とにかく安定している」「競技の種類に関係なく何でもそこそこ得意」ということに尽きます。 (こんなこと書いて大丈夫かな……?)
有名選手は割と得意な競技の種類が決まっていることが多いのです。
アキナダ選手はストレート競技に強かったですし、トゥーライラ選手はクロス競技の勝率が群を抜いていました。
アークトゥース選手はまんべんなく強いタイプですが、特に強いのがカット競技です。
しかし、ナカリの場合はそういった傾向がまるで見受けられません。
今でもナカリは時々スタジアムに姿を見せるのですが、そのときに「次のバーゲンはいつだ?」というような声がかかることがあります。
現役時代のあだ名が「バーゲンセールのナカリ」「よろず屋ナカリ」というもので、ランクの低い競技で勝利してポイントを稼ぐのでそう呼ばれていたようです。 (あ、一応本人に許可取って書いています)
「図抜けたIlasを持っていなくても、Ilasを大事にすれば報われる」
ナカリの言葉です。こつこつ勝利を積み上げて通算最多勝利という記録を得た選手です。
ナカリだけ何故末尾に「選手」とつけないのか? と疑問に思われた方もいるでしょう。
実はナカリは選手引退後、「リーラス運営会社」の社員として勤務するようになり、現在でも現役の社員です。
現在の役職は競技管理部審判課長兼記録班長……すなわち私レコの直属の上司です。
実はこのコラムも原稿を書いた後、ナカリのチェックを受けて掲載しているものです。
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