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北東のダンジョン

ダンジョンからの帰還

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 俺は、ダンジョン最奥の脱出用の魔法陣に乗って外へと出た。
転移して待ち受けていたのは冒険者と騎士たちが目の前にいた。
なぜ彼らがいるのだろうか?
周りを見回すと何かが吹き飛ばされた跡のように見えた。ここでいったい何が起きたのだろうか。

「戻ってきたぞ」
「ファイナ・ルアイスレ・オーを単騎撃破した猛者が戻ってきたぞ!」

いきなりなんだ!?
それどころかなんで俺がファイナ・ルアイスレ・オーを倒したこと知っているんだ。
そう思っていると、ライラたちがこちらにやってきたのを見かけた。

「ライラ、いったいこれはなんだ」
「騎士たちの簡易詰所の所にダンジョンからの脱出用の魔法陣が現れて、周辺を吹き飛ばしたの」
「魔法陣の近くに人がいる理由はわかった。それで俺が戦っていたのを知っているのはなぜだ」

ライラに指を指された方を見る。
そこには一枚のスクリーンがあった。
ダンジョンの出入り口の上にスクリーンが置いてあり、何も映っていない。
あれがどうかしたのだろうか?

「あそこにあなたの戦いっぷりが放送されていたわ」
「ハァ?なんで?」
「さぁ?」

つい「なんで」と言ってしまったが、これに答えられる人はいなさそうだ。
答えられる奴どこ探してもいないだろう。ただそういうダンジョンだったと思うしかないだろう。

 魔法陣から出てから冒険者たちからあの部屋にはどういったか聞かれた。
多くの冒険者が地図を出されて書き写そうとされる。
このダンジョンの本気で殺しにかかるルートを話した。
ダンジョン第2階層からの別れ道、トラップを発動後にできる道を教えた。
トラップを発動した時に現れるトラップを聞いて冒険者たちは戦慄した。

「本当かよ。あのトラップを発動させるとこれだけのトラップ出るのかよ」
「嬢ちゃん、これらすべて交わして行ったのかい」
なら可能だろう」

誰かが俺のことを転生者と言った。
子供なのに強力な敵を撃破すれば、簡単にいきつくだろう。

「なるほど転生者か・・・、ベカズさんと同じか」
「そうだな。前世のことは後で詳しく教えてくれ」
「OK.後でな。トラップを抜けた後だけど」

それから説明を続けた。
説明している際に第2階層の坂を下りた際に右側ってどうなってたかな?俺は左によけるように左に行ったけど思い出すと右側に道が無くなっていたような。
それからまっすぐ行って昇降機がある部屋にたどり着き下に降りた。
昇降機が下りた先はカルムナバッシュの巣であることを話すと冒険者たちは全員嫌な顔した。

「カルムナバッシュの巣かよ」
「1匹だけでも強い奴らが相手か、ファイナ・ルアイスレ・オーの前にあいつらと戦っていたのか」
「あいつらの大群なんて相手なんてしたくねぇ」

人それぞれに感想を言っていた。異世界化してもカルムナバッシュは誰も相手したくないか。
一応、大量の氾濫素材が手に入ったからよしとしている。

カルムナバッシュの巣を制圧してから床に回路があって正しく設置して部屋全体にエネルギーを送ることで開く扉がある。
その後は、狭い通路でカルムナバッシュたちとひたすら戦いながら進む必要がある。
この階層はカルムナバッシュしかいなかった。他のモンスター見ていたない。
通路を抜けると溶岩地帯がレバーを操作することで見えたり見えなくなったりする足場が現れる。
ベカズは転生者だからかこの話を聞いたらある言葉出て来た。

「オレが知る限り、アイテム2号をドロップするモンスターは知らないぜ」
「俺もそう思った」
「やっぱりか~」
「あの歌と違うところは実際に消えているのではなくて透明化しているといった方が正しい」
「そのようだな」
「攻略方法は足場を何かしらの方法で見えるようにすること、俺は凍らせてクリアした」

攻略方法を伝えると歓声が上がった。
さらにこの足場は時限式で急がないと本当に消えてしまうことも、横の壁から矢が出てくることを話した。
誰もが嫌な顔をした。
それから進んでいくと降りて来た時と同じ部屋にたどり着き、そこを降りるとファイナ・ルアイスレ・オーがいた雪原にたどり着く。
さらに俺は最初からファイナ・ルアイスレ・オーと戦ったわけではないことを言った。

「どういうことだ?ファイナ・ルアイスレ・オーと最初から戦っていなければ何と戦っていたんだ」
「最初に戦ったのはアイスレオ、倒したことで変身してアイスレ・オーになり、瀕死状態にしてからファイナ・ルアイスレ・オーになった」

順に追ってファイナ・ルアイスレ・オーが出現した経緯を話した。
誰も口を開かなかった。
驚きのあまり開いた口が塞がらないといったところだろうか。

「驚くわよね。普通、モンスターの生態なんて誰もわからないだろうし」

ああ、そういうことか。
アイスレオ→アイスレ・オー→ファイナ・ルアイスレ・オーの順に変身することは誰も知らなかったんだ。
おお、これは新発見だったのか。
どこからスクリーンに映っていたんだ?
そのことを聞くと俺とファイナ・ルアイスレ・オーとの戦いが始まったところから映ったようだ。
スクリーンの映像が消えたのは《ホイールストライク》の縦回転中に消えた。
つまり4回目ではなくその間にファイナ・ルアイスレ・オーは死んでいたのか。
俺の戦いは参考にならないといわれた。
ここにいる奴らはファイナ・ルアイスレ・オーの一撃でも食らえば死ぬという。
ライラは受け止められる。ベカズは一撃だけ耐えられるという。他の全員は首をそろえて無理といった。
なお、騎士たちも同じだった。
俺のような戦いができるのは《クリエイターズ》ぐらいといわれた。
それには俺も同意した。
俺のルートはこのダンジョンが氾濫しそうになっていた原因を突き止めることができなかったを話した。
ライラ、ヒルロップとエリン以外の冒険者と騎士たちは頭を抱えてしまった。
そこでライラが、

「その原因なら私たちが潰しておいたわよ」

ここにいる誰もがライラの言ったことがに耳を疑った。

「それはどういことだ。ねぇちゃん」

ライラは地図に載っているルートを進み最奥へとたどり着いた。
そこには最奥にいるはずのBOSSモンスターはおらず、畑があり、隠し部屋にモンスターの増殖原因である増殖の魔法陣を見つけたという。
増殖の魔法陣はすでに破棄済みでこのダンジョンの異常な増殖はなくなった。
畑は潰さず、そのままにして帰ってきたようだ。畑で育てられていた毒草を持って帰ってきた。
俺はそれを見せられた。
それは毒草で間違いなかった。持って帰ってきた毒草はゲルプと言って強力な毒を持つ毒草だ。
さらにこの毒草と蒸留水を錬金術で混ぜると毒薬ゲルプリキッドができる。
このゲルプリキッド、モンスターには使えない。モンスターに使用するとモンスターを強力にしてしまう効果を発揮する。毒薬としては人にしか使えないというものである。

「じゃあ、誰かが毒草を育てて毒薬を作り誰かを殺そうとしたってことか」
「これだけだとそうなる」
「これだけだと?まるで他にもあるのですか」
「わからない。まだ情報が足りないから結論を出せない」
「なら他のダンジョンを探るしかないわね」
「ここから近いのは東のダンジョンか」

次に行くところは決まった。
しかし、今思い出したらライラの運転で東のダンジョンに行くことになるのか。
またヒルロップとエリンが吐くぞ。
どうしよう。
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