Bグループの少年

櫻井春輝

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第四章 Bグループの少年と夏休み

第四話 いくらなんでも

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 これは亮と千秋が心剣で対峙するほんの少し前のこと。
「ねえ、ハナ……?」
「なに、ユキ姉?」
 少し休憩しながら亮が男子部員達に稽古をつけているのを眺めていると、不意に雪奈が呼びかけてきて、恵梨花は返事をする。
「どうして、亮さんって息が切れないのかしら? 他の男の子達は次々と息切れして倒れていってるのに……」
 それについては恵梨花も不思議で仕方なかった。
「本当、何でなんだろうね?」
「ねえ。私達には想像もつかないようなスタミナしてるのね……」
「スタミナ――」
 その言葉から以前に、梓から聞いた話が脳裏に過った。
「あ……あ、そういうこと……?」
「どうしたの、ハナ?」
「あ、うん。亮くんの体力について前に梓が話してたことがあって――」
 そこまで言ったところで、座っている二人の頭上に影が差した。
「それ私も聞きたいなー」
 そう言ったのは、今日なにかと世話になっている女子部員の真央であった。
「真央ちゃん」
「うん。桜木くんのあの無尽蔵なスタミナについての話だよね? それもあの鈴木さんの考察? 是非聞きたいなー」
 ニカリと無邪気な笑みを見せられた恵梨花は一瞬だけ逡巡するも頷いて諾と返し、姉と真央へ向けて話し始めた。
「うん、えっとね、梓が言うにはだけど、亮くんって肺活量が多分、異常だと思うって」
「……肺活量?」
「肺活量って、あの――思いっきり息を吸って、思いっきり吐いた時のを測るやつよね」
 不思議そうな真央と、思い出しながら口にする雪奈。
「うん。その肺活量。これも梓から聞いた話だけど、私達ぐらいの年齢だと男子の平均で、3500~4000mlぐらい。女子の平均が2500~3000mlぐらいなんだって」
 恵梨花が思い出しながら話すと、雪奈が相槌を打った。
「そうね、私も高校で測定した時はそんなぐらいだったと思うわ」
「ふうん……? で、その肺活量が桜木くんは異常だって? でもさ、肺活量が高いとどういう効果があるものなんだろ?」
 真央とまったく同じ疑問を梓に返した恵梨花は苦笑しながら説明する。
「肺活量イコールスタミナなんだって。例えばだけど、私達は歩いてもそうそう息が切れたりしないよね? それこそ十分や二十分間、普通に歩いてたりしても」
 雪奈と真央が頷くのを見て、恵梨花は続ける。
「歩いて息が切れないのは、その歩くって動作が肺への負担になってないからなの。じゃあ、これがちょっと走ったりに変わると、肺が負担を感じて、息は切れていく。でも、普段から走ってる人にとっては、そうそう肺が負担を感じないから息が切れない。だよね?」
「そうね。だから普段運動してる人は鍛えられて肺活量が高くなっていく」
「うん。私とユキ姉は普段はそれほど運動してないから、平均的な肺活量だと思うけど、真央ちゃんなんかは私達より確実に高いよね」
「そりゃ、そうなるよね」
 そうでなければおかしいと言いたげに真央は頷いた。
「つまり肺活量っていうのは、どれぐらいの動きをするかで肺に負担を覚えるかって目安なの。私とユキ姉じゃ息が切れる練習でも、私とユキ姉より肺活量の高い真央ちゃんからしたら息が切れるほどでもないのはそれは真央ちゃんの肺活量が私達より高いから。これが真央ちゃんより肺活量の高い人になると、その人にとっては息が切れない動きでも、真央ちゃんにとっては息が切れる動きになる。だよね?」
 うんうんと頷く二人に、恵梨花は更に思い出しながら話す。
「――つまり、亮くんの息が切れないのは、亮くんにとってはその動きが息を乱すほどでもない――肺が負担を覚えない動きだからってことなんだけど――」
 そう言いながら恵梨花が亮の方へ視線を動かすと、つられて雪奈と真央も同じ方向を見る。
「おら、いつまでもその場で突っ立ってんじゃねえ! 案山子か、お前は!? 何度も言ってるだろ! 足を動かせ!!」
「……はあっ、はっ、こっの――!!」
 そこには相変わらず滅多打ちにする亮と、懸命に抗う男子部員という光景が拡がっていた。
 亮はやはり息が切れておらず、対して男子部員の息は絶え絶えだ。
 三人はゆっくりと視線を戻した。
「……つ、つまり、男子達の本気の動きは桜木くんにとっては……もしかして軽く駆け足してる程度ってこと?」
 若干引いた様子な真央に、恵梨花は苦笑しながら頷いた。
「そういうこと……なんだと思う」
「そんな亮さんの肺活量って一体……?」
 頬に手を当てて呟く雪奈に、恵梨花は更に記憶を掘り起こす。
「えっと……アスリートの人の肺活量だと、男の人だと大体、5000から6000mlは超えてくるんだって。オリンピックでメダルとる人なんかだと8000mlとかけっこういるみたいで」
「は、8000……平均の倍ぐらいか……」
 真央が感嘆したように言う。
 ここの男子部員だと恐らくは4000から6000mlといったところだろう。中にはもっとある者もいてもおかしくはない。
「それで女性のアスリートの平均となると4000とか5000mlとかだったかな? すごい人で6000とか7000ml超えるとかで」
「恐らくそうなるんでしょうね」
 雪奈が相槌を打つと、真央は怖いもの見たさな目を恵梨花に向けてきた。
「それで……桜木くんの肺活量って一体どれぐらい……?」
 その問いに対して恵梨花は首を横に振る。
「わからない。測ったことないし、亮くんに聞いても測った記憶無いって言ってるし」
「そ、そっか……」
 真央は安心したような、それでいて残念な思いを感じさせる声を出した。
「でも――」
 そんな真央と雪奈へ向けて、恵梨花は口を開いた。
「梓があくまで推定だけど、って言ってたんだよね。亮くんの肺活量――」
 それを聞いて雪奈と真央はゴクリと喉を鳴らした。
「梓の推測だと――最低でも10000ml。でも、多分12000mlは超えてるって……」
 雪奈と真央はあんぐりと口を開いた。
「……い、一万……――?」
「最低でも……?」
 頬を引き攣らせる真央に、驚き呆れなたような表情を浮かべる雪奈に、自分もまったく同じように驚いていたなと恵梨花は頷いた。
 次第に真央が驚きから立ち直ったのか、首を振りつつ呆れたように言った。
「鈴木さんの推測なら信憑性あるか……なるほどね、うちの男子達が揃って相手にならない訳だ。一体、どんなトレーニングしたらそんな体になるんだろ……?」
「確かに……あの時も……」
 雪奈は口に手を当てて、何やら思い出している様子。
(……あの日のことかな……? シルバー三十人ぐらい相手にしたって言ってたもんね……)
 恵梨花も亮が次から次へと襲い掛かってくるギャングを相手にしたのを見ている。
 その時も碌に息を切らした様子がなかったことから、てんで本気で無かったのだろう。
(あ、本気って言えば……)
 思い出したのは右拳を左の掌に打ちつける亮のあのルーティンだ。
(あれ、でも……)
 あのルーティンは亮が己に課している制限を外すものであって、本気を出すためとは言っていなかった筈だ。
(じゃあ――)
 本気を出すためのルーティンがあったりするのだろうかと、恵梨花はふと疑問に思った。



 暫くして、男子部員達を一掃した亮がこちらへと戻ってくるかと思いきや、千秋と何かを始める。
「あれ、何やってるんだろ?」
「ねえ? 何かしらね?」
 亮も千秋も何も持っていないにも関わらず、時代劇の殺陣を始めるかのように腰深く構え睨み合いながら対峙しているのだ。
「んん……?」
 亮に目を向けていると、目の錯覚か、亮の腰に鞘が見え始めた。
「あら……」
 姉も殆ど同時に声を上げた。
「もしかして、ユキ姉も……?」
「え、ええ、ハナも……?」
「うん、うっすらとだけど……」
「そう……不思議な現象ね」
「本当に……」
 これも梓から似たような話を聞いたことがある。
 絵画の贋作のようにフェイクと言えど、魂がこもっていると鑑定者の目も欺くことが出来るのだと。
 それは武道のフェイクでも同じことで、やると気迫を見せかけるだけで、相手はそれを受けたように錯覚してしまうと。
『あたしの先生がね、それをしょっちゅう仕掛けてきてはあたしが驚いてる隙にお尻触ってくるのよね……』
 そう梓は舌打ち混じりに盛大に愚痴っていたのだ。
 恐らくこれも同じようなことなのだろう。
「それにしても……亮さんの鞘、綺麗ね……」
 雪奈が感心したように言うが、恵梨花には訳がわからなかった。
「え、綺麗……?」
「ええ。亮さんの鞘、紅く彩られていて……あの千秋ちゃんって子の鞘も綺麗ね。まるであの子の純真さを表してるみたいな白で」
 そんなことを聞いて、恵梨花は目を凝らしてみた。
(紅……? ううん、そう言われたら見えて来たかも……千秋のもうっすら……)
 先ほどは千秋の鞘までは見えていなかったのだ。
 だとういうのに、この姉は亮のも千秋のも見えていたらしい。
(……うん、流石、ユキ姉!)
 それがどれほどすごいことかわからなかったが、とにかく雪奈はやはり自慢の姉だという思いを新たにする恵梨花だった。
 そうこうしていると、両者が動いた。
 そして亮の刀が千秋の首を斬り飛ばしたのを目にして、恵梨花と雪奈は叫んでしまった。
「千秋――!?」
「亮さん――!?」
 何てことをと思ったのも束の間、千秋がケロッとした顔で亮に笑いかけているのを見て、そうだ真剣なんて持っていなかったのだと安堵する。
「し、心臓に悪いわね……」
「本当に……」
 口にした通り、豊かな胸に手を当ててホッとしたように言う雪奈に恵梨花は相槌を打つ。
 そして今度こそ亮がこちらに戻って来る。
「お疲れ様、亮くん」
「お疲れ様です、亮さん」
 恵梨花が雪奈と一緒に労いの声をかけると、亮は苦笑を浮かべたかと思えば、体から力を失くしたかのように揺らめいて崩れ落ち、膝をついた。
「え、ちょっと亮くん!?」
「大丈夫ですか、亮さん!?」
 二人で慌てて亮に近寄ると、亮は腹に手を当てて苦しそうに唸った。
「……腹減った……」
 その言葉と同時に亮の腹から「ぐうううっ」と盛大な音が鳴る。
 途端、恵梨花は雪奈とホッと安堵の息を吐いた。
「うん、そうだよね。考えたらそうなるよね」
「お昼があれだけでしたものね……」
 普段なら亮の体がふらついた時点で気づいたが、今日は色々と状況が違うために焦ってしまったのだ。
 これは休憩が必要だと判断した恵梨花が亮に言う。
「ちょっと、待って――ううん、亮くん、隅っこの方行こ?」
「そうね。そっちで休憩しましょうか」
 そう言って恵梨花は雪奈と一緒に亮の腕を引っ張って、道場の隅へと導いた。



「おお、おにぎり……まだあったのか!?」
 恵梨花と雪奈が鞄から出したラップで包んだおにぎりを見て亮が目を輝かす。
「民宿から出る前に、厨房の方に行ってご飯だけでもないかなって聞いてきたんだ」
「そしたら余ってる分があるって言うから、そこでおにぎりだけ作らせてもらったんです。きっとこうなるだろうなってハナと話していたから」
 恵梨花と雪奈は予想通りだと微苦笑を浮かべ合う。
「流石、恵梨花とユキ! ありがてえ!!」
 亮はオーバーなほどに喜びを露わにして、受け取ったおにぎりにかぶりついた。
 恵梨花と雪奈で二つずつ作れる分しかなかったので、合計四つある――されど特大のおにぎりであるが、これも夕飯までしか持たないだろう。
 文字通りの繋ぎである。
 そんな繋ぎのおにぎりは瞬く間に消えてしまった。
「――ごっそさん」
「相変わらず早い……」
「一瞬だったわね……」
「亮くん、ちゃんと噛んでって、いつも言ってるでしょ!!」
「そうですよ、亮さん。ちゃんと噛まないと満腹感だって……」
 恵梨花と雪奈にそう責められて、亮はいつものように誤魔化し笑いを浮かべる。
「ちゃんと噛んでるって」
 ヒラヒラと手を振るのもこれまたいつもの如く、だ。
 はあ、と恵梨花はため息を吐く。
「もう……」
「ふふ……そういえば、さっきの千秋ちゃんとのすごかったですね、亮さん」
 雪奈が話を変えるように言うと、亮はピクと片眉を吊り上げた。
「……やっぱり視えてたのか。恵梨花もか?」
 思いの外、真剣な目を向けられて驚きながら恵梨花は返事をする。
「え? うん、最初はうっすらだったけど、ユキ姉に言われてから色も見えてきて……」
「そうか……」
 そう言って亮は雪奈と目を合わせ、少ししてから眉をひそめて唸った。
「亮さん……? どうかしましたか?」
 小首を傾げていた雪奈が亮の様子を見て声をかけるが、亮は首を振って「なんでもない」と返した。
「――さて、二人とも受け身はもう大丈夫か?」
 意識を切り替えるように声を出した亮に、恵梨花と雪奈は自信を持って頷いた。
「もうバッチリだよ」
「大丈夫です」
 そんな答えに亮は面白がるような笑みを浮かべた。
「そう言うなら見せてもらおうか」
「はい!」
 二人の似通った耳に心地よい声が揃って道場に響いた。



「――うん。言うだけあって、確かにもう修正するとこはねえかな」
 習った受け身を一通り披露したところで、亮が感心したように口にするのを聞いて、恵梨花は雪奈と手を取って喜び合った。
「やったね、ユキ姉!」
「嬉しいわね、ハナ」
 そうしていると、亮がわずかに頬を染めて視線を宙へ彷徨わせた。
「あー……じゃ、じゃあ、二人には次のことを教えようか」
 その言葉を受けて、二人は亮へと姿勢を改めた。
「はい!」
 うむ、と頷き返した亮は表情を改めて口を開く。
「二人には基本中の基本である突きと蹴りを練習してもらう――前に、構えを教える」
「構え……」
「ああ、基本的な中段の構え。そこから突きと蹴りの練習をしてもらうからな」
「はい!」
「じゃあ、俺がやって見せるからまずは真似てみな」
 そう言って亮は恵梨花と雪奈の前で横を向いてから、足を肩幅程度に開き、背筋を曲げずにスッと腰をわずかに落として、手を腰に添える。
「――こうだ」
「はい――」
 返事をしてから恵梨花と雪奈は見た通りに真似てみる。
「こ、こう――?」
「これで合ってますか――?」
 恵梨花と雪奈が確認してみると、亮はうんうんと頷いてから言った。
「二人共、悪くない。恵梨花は――体がちょっと前に倒れてるな。ユキは逆に体が少し後ろに倒れてる」
「前に……」
「後ろに……」
「うん。それと二人共、問題ねえけど、この構えで大事なのは足の向きだ」
「足の向き、ですか?」
「ああ。つま先がな、外に――体の中心でない方向だな。そこへ向かないようにする必要がある」
「? 外に向かないように、ですか?」
「ああ。足の向きが外に向かうと、その分だけ前へ向けたはずの力が外へ向かってしまう。だから気持ち内股にするぐらいでちょうどいい」
「――こうですか?」
「そう。それでいい……うん、綺麗なもんだ」
「! ありがとうございます!」
「亮くん、私は?」
「恵梨花も……それでいい。うん、二人とも変な癖がねえから修正も早いな」
 苦笑気味に褒める亮に、恵梨花と雪奈は顔を見合わせて喜んだ。
「それじゃ、その構えのまま、暫く立ってみな」
「はい!」
 そして一分も経つと――
「し、しんどいです、亮くん!」
「足がプルプルします、亮さん!」
 二人は揃って足を震わせながら悲鳴を上げ始めた。
「はは、まあ、慣れるまではそうなるよな。やめていいぞ」
 苦笑気味に噴き出して亮が言うと、二人はホッとしてから構えるのをやめる。
「うー……これ、明日絶対に筋肉痛なる……」
「そうね……」
 ボヤきながら二人は立ったりしゃがんだりして、足の張った筋肉を解す。
「まあな。こればっかりは慣れだからな。それに動かずにずっとあの姿勢ってのが一番きつくてな」
「あー……やっぱりそうだよね」
「上半身だけでも動いてるとまだマシな気がします」
「そういうこと。では、この構えからの突きを教える」
「は、はい!」
 亮は再び二人の前で横を向いて構える。
「ここから腰を少し捻り、捻った形から戻る時の勢いも乗せて――」
 言ったと同時、亮の体がブレたかと思えば――
「――一気に打ち出す。イメージとしては、腕で打つのでなく、腰で打ち出す形だ」
 次の瞬間には亮の姿勢は突き終えた形になっていた。
「……」
「……」
「……何か質問あるか?」
 亮のその言葉に、恵梨花と雪奈は一斉に手を挙げた。
「はい! 何やったか全然わかりません!」
「はい! さっき、何が起こったんですか!?」
 恵梨花と雪奈の目には亮がいつ突き始めたのかすらわからず、気づいたら突き終えていたのだ。
「あ、あー……す、すまん」
 うっかりしていたと言わんばかりに亮は誤魔化し笑いを浮かべながら頬を掻いた。
「じゃあ、今度はゆっくりやるから。いいか――」



「な、なあ、今の見たか……?」
「見たと言えば見たな。何が起こったのかについては、あの二人が言うのと同じくで見えんかったけど」
「途中の動作がサッパリ見えんかったぞ……」
「なんだ、あの突き……」
「いや、引くわ。あんなの」
「え、あいつ、蹴りが得意とかじゃねえの……?」
「いや、こないだ盛大に瓦割ってただろ」
「あ、そういえば……」
「あいつが剣持ってる方が弱いって言ってんの、誇張してんだと思ってたんだけど……」
「あ、俺も……」
「どうやらマジみてえだな」
「正面立ってたら多分、最後まで何されたかわからず終わりそうだな」
「……あいつ、手加減してるっての本気で言ってたんだな……」



「そうそう。それと力は今は入れなくていい。とにかく形を綺麗にすることだけ考えればいい」
「はい!」
「んで、後は気合の声だな。打つごとになんでもいい。自分が力を入れやすい声を出すこと」
「はい! ――や、やあ!」
「――え、えい! ……なんか違う?」
「――やあ!」
「――やあ! ……うん、しっくりくるわね」
「やあ!」
「やあ!」
「……」
「やあ! ……亮くん、どうしたの?」
「やあ! ……? 亮さん、どうしたんですか?」
「あ、いや、気にするな。続けてくれ」
「? はーい――やあ!」
「はい――やあ!」
「……」



「藤本姉妹が可愛過ぎる件」
「ヤバいって、あれは」
「二人の正面にいる桜木なんて目が泳いでたぞ」
「あれ、やっぱり照れてるよな」
「照れるなって言う方が無理だろ」
「真面目に突きの練習してるだけで可愛いって何だ、あれ」
「てか、本当に何で道着着てて可愛いんだろうな」
「なあ……」



「蹴りはつま先を上げるんじゃなくて、膝をまず上げる。その勢いのまま膝から下も上げる」
「――こう?」
「そう。その時に上体が後ろに逸れないようにする」
「――こう、ですか?」
「ああ。上手いぞ。やっぱり二人共、筋がいいな」
「えへへ……」
「……」
「? 亮くん?」
「あ、お、おう。そ、そのまま続けて」
「はい! ――やあ!」
「やあ!」



「桃源郷はあそこにある」
「でもそこまでが遠い」
「鬼が見張ってるからな……」
「さっき、藤本さん達眺めてたら桜木と目合って、その瞬間、自分の首が飛んだイメージ見えたんだけど」
「あいつ何気に独占欲強いよな」
「なあ……」
「いいじゃねえか、遠くから見るぐらい……」
「ほんそれだわ……」
「……でも、お姉さん見るのにあいつに遠慮する必要ないはずだよな……?」
「だよな!?」
「そうだよな!?」
「俺、この合宿終わったらお姉さんに告白するんだ……」
「おま、何てことを……」
「本当に。何てわかりやすいフラグを建てるんだ……」
「問題は何で死ぬかだな……」
「何で爆死すること前提なんだよ!? この合宿中に距離縮めたら少しは可能性あるかもしれないだろ!?」
「いやー……無いだろ」
「無いな」
「ちくしょうっ!!」



「――良し。それじゃ、二人でお互いを見ながら、突きと蹴りの練習しててくれるか?」
「はい! ――あっちに行くの?」
「ああ。見た感じ、あいつらもう元気いっぱいのようだからな」
「そ、そうですか……あの、怪我しないよう気をつけてください」
「? ああ、心配しなくても怪我させねえよ」
「えっ、あの――いえ、頑張ってください」
「おう」



「やべえ、鬼が来たぞ」
「あ、俺ちょっと腹痛がひどくて……」
「俺は頭痛が……」
「俺は古傷が……」
「お前ら……いいから、早く用意しろ……」
「しゅ、主将ー……」
 男子部員達の情けない声が空しく道場内に響くのであった。



◇◆◇◆◇◆◇



「――はあっ、はあっ、はあっ……あ、ありが、とう、ござい、ました――!」
 郷田が息を絶え絶えにしながら頭を下げる。
「ありがとうございました」
 亮も頭を下げて返礼すると、途端に郷田は力尽きたように床に倒れて大の字を形作る。
 そんな郷田を見向きもせず、亮は手で自身を扇ぎながら億劫そうに言う。
「――ふうっ、流石に二周目終えると、そこそこ疲れるな……つーか、暑い……」
 口にするほど疲れた様子もない亮に、部員達から呆れの視線が集まる。
 中には未だ息を切らして倒れたままの者が何名かいる。
 将志はやはり二周目もトップバッターを務めたので、もう息は回復している。
 そう、今はあのしごきの二周目が終わったところである。
(ほんと、どーいうスタミナしてるんだよ……)
 多少、息は切れているがそれは長い間動き続けたからってだけのような息の切れ方だ。掻いている汗も暑いから汗が出ただけのように見える。
 亮は恵梨花と雪奈の元へ戻って水分補給をしているが、亮のしごきから復活した男子部員が貪るように水分を摂るのと比べるとほんの少量だろう。
「おっさん、あと十分も休めば動けるか……?」
 口を拭いながら亮がまたこちらに戻ってきて、古橋に介抱されている郷田へ問いかけた。
 その内容に郷田へ同情的な視線が向かう。
「あと十分、か……はあっ……まあ、動けはするだろう……はあ……」
 先ほどよりは回復した様子で答えた郷田に、亮は頷いた。
「そうか。それなら、おっさん以外も全員動けるな?」
 確認するようなその問いに、今度は男子部員全員がドキリとする。
 まさかの三周目が始まるのかと戦々恐々だ。
「じゃあ、十分経ったら、俺の稽古に付き合ってくれよ――全員」
 亮がそう言うとけっこうな人数が何の話かと首を傾げ、亮は眉をひそめた。
「いや、俺の稽古にも付き合うって話だったんじゃねえのか?」
 主に郷田に向けられたその言葉に、郷田は息を整えながら頷いた。
「はー……ああ、問題ない。お前らにも話してたはずだぞ、俺達が桜木の稽古に付き合うと」
 すると、そういえばと言いたげに部員達が思い出した顔になる。
「いや、でも桜木の稽古に付き合うって言ってもな……?」
「俺達じゃ相手にならないのはわかりきってるし……」
「俺達があいつに剣術教えられる訳もなければ――」
「――素手でのなんて、もっと無理だろ……」
「鬼と思えど、あいつが俺達相手に骨折ってくれたのは確かだからやぶさかではないが……」
 一体何をしたらいいのかと、困惑を隠しきれない様子の部員達へ、亮は肩を竦めた。
「だから、全員で相手してくれたらいいって……とりあえず、あと十分ほど休憩してから、な。あ、防具はいらねえから付けてなくていいぞ」
 それだけ言うと、亮は再び恵梨花と雪奈の元へと向かって、二人に何かアドバイスらしきことを話しているように見える。
(……俺達全員を相手? …………まさか……)
 いや、その無茶をするのが亮だろうと将志は頬を引き攣らせながら確信を抱いた。



◇◆◇◆◇◆◇



「亮さん、何するつもりなのかしら……?」
「何だろうね。亮くんのことだから、何かとんでもないこと始めそうなんだけど……」
 少し心配そうな声を出す雪奈に対し、恵梨花は小首を傾げる。
 こちらに来て恵梨花と雪奈に対し、少し助言を残していった亮は今道場の中心に立っている。そして周りには亮を中心として男子部員全員が道場内のあちこちに散らばっている。
 それを見た亮がおもむろに頷いて部員達へ向けて言った。
「やってもらいたいことは簡単だ――全員で俺に襲い掛かってくれ」
 その言葉を受けて、「やっぱり」と額に手を当てている将志と千秋以外がポカンとなった。
「あー……、桜木? ひとつ聞いていいか……?」
 なんとか亮の言ったことを消化しようとして、でも失敗して顔を難しくしている郷田が手を挙げた。
「なんだ?」
「その――襲い掛かる、というのは、なんだ……お前に対して次から次へと――が、全員で襲い掛かればいいのか……?」
 噛み砕くように質問された郷田の言葉に、部員達が「なるほど」と頷いた。
 されど、亮は「何言ってんだ?」と言わんばかりに眉をひそめた。
「違う。全員で俺に襲い掛かって来いって言ってんだ」
 その言葉に唖然、呆然とする部員達。恵梨花と雪奈もだ。
「……やっぱり、そういうことだったのか……一応聞くが、これはどういう稽古なんだ……?」
 頭痛がするかのように額に手を当てている郷田の問いに、亮は楽しげに笑った。
「どういうも何も、多対一の訓練じゃねえか。しかも、これだけの数の得物持ち相手だぜ? 折角の機会なんだからやるしかねえだろ」
 その物言いが本当に楽しそうで更には期待しているように見えて、ますます唖然とする部員達。
「ま、マジで言ってんのか、あいつ……」
「つまり、何だ? 竹刀持って俺達全員で襲い掛かる……んだよな?」
「ああ……俺達で袋叩きにしろってことだよな……?」
「……そういうこと、だよな……?」
「……いやいや、いくら何でも……」
 そう部員達が言い合うのを見て、郷田も頷いた。
「桜木、それはいくらなんでも危ないと思うのだが……」
 郷田の言葉に同意するように頷いたのは、この場にいるほぼ全員と言えるだろう。
 対して亮は少し悩ましげ眉を寄せる。
「あー、そうだな、何人も竹刀振ったら危ねえよな、確かに。俺もその辺は気にかけて避けるようにするから、何とか同士討ちはしないよう気つけてくれ」
 部員達はそんな亮の返答を消化するのに暫しの時間を要した。
 呆れ故か静まり返る道場内を、怪訝に見渡した亮は思い出したように言った。
「ああ、そうだ。俺からは攻撃しないから、その辺は安心していいぞ。俺は避けるか受けるだけで、防御しかしねえから。だから怪我の心配は、しなくて――いや、さっき言った同士討ちだけだな」
 安心したか? と、にこりとしながら告げられた言葉に、全員が察し驚愕し始めた。
 『こいつ、マジで言ってる……』と。
 今までは冗談の延長のように聞いていた彼らだが、ここでようやく亮が本気で全員を一斉に相手するつもりなのだと理解に至り驚愕したのだ。
 そしてそうなると、次に彼らの心中に沸き起こるのは必然にして当然か――
「お前……いくらなんでも、それは俺達を舐め過ぎだろ……?」
「ああ……お前がべらぼうに強いのは認める。が――」
「――いくらなんでも、俺達全員を一斉に相手なんて、ふざけてるだろ……」
 ――怒りを抱き、男子部員達はギラついた目で亮を睨み始める。
 そうやって四方八方から睨まれた亮は、言われたことがわからないと言わんばかりに首を傾げた。
「俺が? お前達を舐めてる……?」
 そう呟いて周囲を見渡したかと思えば――
「はっははははっ――!」
 一人で爆笑し始めた。
 その様子に毒気が抜かれたような顔になった部員達が戸惑いを露わにする。
「俺がお前達を舐めてる、ねえ……――」
 独り言ちた亮は、頬を吊り上げながら続けて言った。
「――果たして、舐めてるのはどっちなんだか……」
 静かに呟かれたそれは、されど全員の耳に届いた。が、それが怒りを煽ることにはならず、それどころか、部員達に我知らず一歩退かせる結果となった。
 ゴクリとした音が誰かの喉から響くような静寂が降りた中で、亮は周囲を見回してからふっと笑った。
「まあ、とりあえず、やってみようぜ? いいじゃねえか、俺がやってくれって言ってんだから。それで俺が怪我したら俺の責任だしな? お前達が怪我する心配も少ねえし」
 更に毒気を抜くように気軽にそう言われて、部員達は顔を見合わせる。そして最後に視線が集まった郷田が仕方なさそうに口を開く。
「……いいんだな? 俺達全員で一斉に、お前に襲い掛かる――それでいいんだな?」
「ああ、俺は防御しかしない。攻撃はしない。だから安心しな」
 その物言いに郷田は呆れたようにため息を吐いた。
「わかった。皆、それが桜木の望みのようだ――行くぞ」
 そう言って、郷田が竹刀を構えたのを皮切りに男子部員達が戸惑いを顔に浮かべながら続いていく。
 それを見て亮はにっこりと笑い――
「お願いします――!」
 と、それはもう楽しそうに頭を下げたのであった。
 
 
 
***********************************************
励みになるので、感想いただけると嬉しいです!
練習パートの駆け足……? 多分、次回ぐらいからじゃないですかね……

次の更新はもう少し早めの予定です。今回は遅くなって申し訳ありません。。

GW入った!
はずなのに、そんな気に全然なれないのは私だけではないでしょう。
こうなったなら徹底的にインドア生活を楽しみましょう!
インドアで楽しむことといえば、そう読書!
おっと、こんなところに今週発売されたばかりの私の別作品の書籍が……

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是非ともこのGWのお供に……



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