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ショック……アーサー様に怒られた……
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アーサー様が一歩一歩私に近づいてくる。
しかし! 私はその場から一歩も動けないでいた。身体が金縛りにあったように動かないということもあるが、動いていいのかわからないという心理的な要因もあった。何よりも、アーサー様の圧倒的なオーラが凄すぎる!
ゲームだと、図々しすぎるほど自分勝手に行動できていたが、いざ、実際に同じことをやってみろっていう状況になると、完全に無理。
でも、私はこのゲームの攻略法を完璧にマスターしている。絶対に失敗することなどあり得ないのだ。さあ、自信を持って、絶対に大丈夫だからと、私は自分自身を鼓舞する。
(アーサー様は確実に落とせる!)
私は、足を一歩踏み出した。
「ごきげんよう、アーサー様」
私は、多少ひきつっているかもしれないが、にっこりと微笑んでみせた。
ちなみに、このゲームの主人公は、お嬢様学校に通っているという設定なので、あいさつは『ごきげんよう』だ。
「この……香りは……?」
(やった! さっそく薔薇の香水の効果が表れた?)
このとき私は、勝利を確信していた。
(憧れのアーサー様と、早くもこんな関係になれるなんて……死んだ甲斐があった……!)
「これは、薔薇の香りか?」
(よし、ここから一気に攻める!)
「あ、気がつかれましたぁ? 薔薇の香水をつけてきたんですぅ。アーサー様は薔薇がお好きだって聞いてぇ」
私は、自分でもやり過ぎ! と突っ込みを入れたくなるようなしなを作り、ここぞとばかりにアーサー様にアピールした――実際にこんな女がいたら、ぶん殴ってやりたいところだが。
さあ、私を見て! 得意気にアーサー様のお顔を拝見すると……何だか右手を顎に当てて、ずっと押し黙ってる!
(アーサー様、一体、どうしちゃったの?)
「確かに、薔薇は私の好きな花だが……」
アーサー様がやっと口を開いてくれた。
私は、ホッと胸を撫で下ろしつつ、アーサー様の次の言葉を待つ。
「君は……」
「はい、アーサー様。何か?」
私は相変わらずのニコニコ顔だ。
「君は……一体、何をしにここへ来たのだ」
「え? 何って? アーサー様のお力をお借りしたいと思って……」
アーサー様は、あからさまに大きなため息を一つつくと、私に向かってこう言った。
「君は聖女になるためにここに来たんだろう? 何を勘違いしているのだ。 それに、その香水は君には全く似合っていない!」
しかし! 私はその場から一歩も動けないでいた。身体が金縛りにあったように動かないということもあるが、動いていいのかわからないという心理的な要因もあった。何よりも、アーサー様の圧倒的なオーラが凄すぎる!
ゲームだと、図々しすぎるほど自分勝手に行動できていたが、いざ、実際に同じことをやってみろっていう状況になると、完全に無理。
でも、私はこのゲームの攻略法を完璧にマスターしている。絶対に失敗することなどあり得ないのだ。さあ、自信を持って、絶対に大丈夫だからと、私は自分自身を鼓舞する。
(アーサー様は確実に落とせる!)
私は、足を一歩踏み出した。
「ごきげんよう、アーサー様」
私は、多少ひきつっているかもしれないが、にっこりと微笑んでみせた。
ちなみに、このゲームの主人公は、お嬢様学校に通っているという設定なので、あいさつは『ごきげんよう』だ。
「この……香りは……?」
(やった! さっそく薔薇の香水の効果が表れた?)
このとき私は、勝利を確信していた。
(憧れのアーサー様と、早くもこんな関係になれるなんて……死んだ甲斐があった……!)
「これは、薔薇の香りか?」
(よし、ここから一気に攻める!)
「あ、気がつかれましたぁ? 薔薇の香水をつけてきたんですぅ。アーサー様は薔薇がお好きだって聞いてぇ」
私は、自分でもやり過ぎ! と突っ込みを入れたくなるようなしなを作り、ここぞとばかりにアーサー様にアピールした――実際にこんな女がいたら、ぶん殴ってやりたいところだが。
さあ、私を見て! 得意気にアーサー様のお顔を拝見すると……何だか右手を顎に当てて、ずっと押し黙ってる!
(アーサー様、一体、どうしちゃったの?)
「確かに、薔薇は私の好きな花だが……」
アーサー様がやっと口を開いてくれた。
私は、ホッと胸を撫で下ろしつつ、アーサー様の次の言葉を待つ。
「君は……」
「はい、アーサー様。何か?」
私は相変わらずのニコニコ顔だ。
「君は……一体、何をしにここへ来たのだ」
「え? 何って? アーサー様のお力をお借りしたいと思って……」
アーサー様は、あからさまに大きなため息を一つつくと、私に向かってこう言った。
「君は聖女になるためにここに来たんだろう? 何を勘違いしているのだ。 それに、その香水は君には全く似合っていない!」
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