【完結】次期聖女として育てられてきましたが、異父妹の出現で全てが終わりました。史上最高の聖女を追放した代償は高くつきます!

林 真帆

文字の大きさ
上 下
58 / 65
第三章

第58話 暴動

しおりを挟む
「マリアを追放した時点で、貴女とマリアは親子ではなくなったのです。したがって――」
「だから父親の方から許しをもらったってことね……」
  母は、結婚許可証に書かれている父のサインを、忌々しげに見つめていた。
「話が早くて助かります」
「何て憎たらしい……!」
 勝ち誇った笑みを浮かべるフィリップの姿は、母にとって屈辱的だったに違いない。 
 それにもう母には、私たちの結婚に反対する理由を見つけられなかった。


「大変です! 町で暴動が起きました! 現在、宮殿に向かっています!」
「何ですって……!」
 突然、勢いよく扉が開かれ、私たちは弾かれたように、声がした方向へ視線を向けた。
 恐れていたことが起きてしまった。
「さっさと軍を向かわせなさい!」
 フィリップとのやり取りで、相当、怒りが蓄積していたのだろう。母はかなり苛立っていた。
「あの……」
 報せを持ってきた者が、立ち去ろうとしている母を止めた。
「まだ何かあるの?」
 ますます不機嫌さを増した母に躊躇しながら、
「民衆は、薬をタダで寄越せと口々に叫んでいるそうです……」
 と声を震わせながら伝えた。
「薬……?」
「ええ、何でもある町で薬が無料で配られたようで――」
 そこまで聞いくと、母はものすごい勢いで私の前にやってきて、私の胸倉を掴み、そのまま激しく揺さぶった。
「マリア! お前という子は、余計なことばかりして!」
 フィリップが止めに入ると、母は私を突き飛ばすようにして手を放し、その反動で私は床に叩きつけられた。
「私が暴動を止めに行きます!」
 思わず口を突いて出た言葉だった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

「聖女は2人もいらない」と追放された聖女、王国最強のイケメン騎士と偽装結婚して溺愛される

沙寺絃
恋愛
女子高生のエリカは異世界に召喚された。聖女と呼ばれるエリカだが、王子の本命は一緒に召喚されたもう一人の女の子だった。「 聖女は二人もいらない」と城を追放され、魔族に命を狙われたエリカを助けたのは、銀髪のイケメン騎士フレイ。 圧倒的な強さで魔王の手下を倒したフレイは言う。 「あなたこそが聖女です」 「あなたは俺の領地で保護します」 「身柄を預かるにあたり、俺の婚約者ということにしましょう」 こうしてエリカの偽装結婚異世界ライフが始まった。 やがてエリカはイケメン騎士に溺愛されながら、秘められていた聖女の力を開花させていく。 ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

【完結】浅い眠りのなかで

ここ
ファンタジー
次代の聖女として教育されていたカティアだが、実は聖女ではなかったことがわかる。暮らしていたお城から出て冒険者になった。 しかし、婚約者だった第一王子は納得してなくて??

聖女じゃないと追い出されたので、敵対国で錬金術師として生きていきます!

ぽっちゃりおっさん
恋愛
『お前は聖女ではない』と家族共々追い出された私達一家。 ほうほうの体で追い出され、逃げるようにして敵対していた国家に辿り着いた。 そこで私は重要な事に気が付いた。 私は聖女ではなく、錬金術師であった。 悔しさにまみれた、私は敵対国で力をつけ、私を追い出した国家に復讐を誓う!

私はあなたたちがお求めの聖女ではないので

黒木メイ
恋愛
今までガルディーニ王国で偽の聖女だとして酷い扱われ方をしてきたマリー・フィッツェ。自分でも自分のことを偽の聖女だとずっと思い込んでいた。周りからそう言われ続けてきたから。けれど、この世界の唯一神であるニュクス様の力によって前世の記憶を取り戻した時、その洗脳は解けた。そして、真実を知る。真実を知ったマリーの決断とは……。 ※設定はふわふわ。 ※予告なく修正、加筆する場合があります。 ※小説家になろう様からの転載。他サイトにも随時転載中。

【完結】無能な聖女はいらないと婚約破棄され、追放されたので自由に生きようと思います

黒幸
恋愛
辺境伯令嬢レイチェルは学園の卒業パーティーでイラリオ王子から、婚約破棄を告げられ、国外追放を言い渡されてしまう。 レイチェルは一言も言い返さないまま、パーティー会場から姿を消した。 邪魔者がいなくなったと我が世の春を謳歌するイラリオと新たな婚約者ヒメナ。 しかし、レイチェルが国からいなくなり、不可解な事態が起き始めるのだった。 章を分けるとかえって、ややこしいとの御指摘を受け、章分けを基に戻しました。 どうやら、作者がメダパニ状態だったようです。 表紙イラストはイラストAC様から、お借りしています。

聖女でなくなったので婚約破棄されましたが、幸せになります。

ユウ
恋愛
四人の聖女が守る大国にて北の聖女として祈りを捧げるジュリエット。 他の聖女の筆頭聖女だったが、若い聖女が修行を怠け祈らなくななった事から一人で結界を敷くことになったが、一人では維持できなくなった。 その所為で西の地方に瘴気が流れ出す。 聖女としての役目を怠った責任を他の聖女に責められ王太子殿下から責任を取るように命じられる。 「お前には聖女の資格はない!聖女を名乗るな」 「承知しました。すべての責任を取り、王宮を去ります」 「は…何を」 「祈り力が弱まった私の所為です」 貴族令嬢としても聖女としても完璧だったジュリエットだが完璧すぎるジュリエットを面白くおもわなかった王太子殿下はしおらしくなると思ったが。 「皆の聖女でなくなったのなら私だけの聖女になってください」 「なっ…」 「王太子殿下と婚約破棄されたのなら私と婚約してください」 大胆にも元聖女に婚約を申し込む貴族が現れた。

姉の陰謀で国を追放された第二王女は、隣国を発展させる聖女となる【完結】

小平ニコ
ファンタジー
幼少期から魔法の才能に溢れ、百年に一度の天才と呼ばれたリーリエル。だが、その才能を妬んだ姉により、無実の罪を着せられ、隣国へと追放されてしまう。 しかしリーリエルはくじけなかった。持ち前の根性と、常識を遥かに超えた魔法能力で、まともな建物すら存在しなかった隣国を、たちまちのうちに強国へと成長させる。 そして、リーリエルは戻って来た。 政治の実権を握り、やりたい放題の振る舞いで国を乱す姉を打ち倒すために……

処理中です...