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第三章

第44話 第一王子

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 国王陛下はまず最初に、遠方からやってきた私に、ねぎらいの言葉をかけ、続いて、『息子の命を流行り病から救ってくれたことに感謝する』とおっしゃられた。
(息子……?)
 私には覚えがなかった。王の息子――つまりは王子と出会う機会があったのなら、必ず記憶に残っているはずだ。
 誰かを通じて私の薬を受け取ったのだろうか?
 王子が直接自分の口から礼を言いたいとのことで、急遽、王子とも謁見することとなった。


「あ……!」
 私は必死に声を抑えようとしたが、全部は抑えきれなかった。それほど私は驚かされた。 
 謁見の間に現れたのは、あの下級役人のフィリップだったのだ。
 〈第一王子のフィリップ〉と国王陛下に紹介されると、フィリップは私に向かって微笑んだ。
 他人の空似だろうか? それにしては似すぎている上に、名前までもが一緒だ。こんな偶然はあり得ない。
「ご無沙汰しております、魔女様。いや、マリアさん。第一王子のフィリップです」
 私の疑問に答えるかのように、フィリップは――フィリップ王子は挨拶をした。
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