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8章 神界
#53 そんなに殺して欲しい?
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「わざわざ集まってくれてありがとう」
そうお礼を言ったのはリアだった。アルルの口から聞かされたのは古代別世界の天使と悪魔の許されざる恋の話、それから、一族にまつわる話だった。アルルは昔のツバサの想いについては触れず、自分が初めにレンと恋に落ちた、という風に話した。
大体の話が終わると、ベティは目をぱちくりさせ、レンは考え込むように俯き、ツバサは特に表情を変えなかった。アルルはツバサに元から知っていたのかと聞いた。
「古代の根源の話は似たような話を聞いたけど、そんなに詳しいこと知らなかった。でも、俺の一族とレンの一族、グレイが何か関係しているのは気づいていた。悪い意味でな」
「レンは?知ってた?」
「ツバサがサングスターで、そのサングスターが俺を狙っていることは知ってる。……なあ、アルルの話し方、何かアルルが全部悪いみたいなそんな感じがあるんだけどさ、それって違うんじゃないかな。アルル1人のせいじゃないっていうか」
「だけど、私が……私のせいなんだよ。私のせいで皆の命が狙われてるの」
「……俺はレンと戦う気はさらさらねーよ」
ツバサが頬杖をつきながらそう呟くと、アルルがはっとしてツバサのことを見た。予想外の答えだったのかもしれない。
「どうして、そんな、落ち着いていられるの?レンもだけど。だって知ってたんでしょ」
「そんなに殺してほしい?だったら殺してあげても良いよぉ別に」
アルルが首を振るとツバサの口の端が少し上がった。
「でしょ。だったら俺は殺さない。それにさ、レンは強いからチームの戦力になるだろ」
「だけどやっぱり俺とツバサが一緒に居ると方方から狙われて、アルルもだけどベティの身も危険なんじゃ」
「そん時はそん時だろ」
「本当にツバサって色々軽いっていうか、なんか」
レンが困ったように苦笑いしながら言った時、それまで黙って傍聴していたリアが叫んだ。アルルまでもがその声にびくっと驚いた。
「もっと真面目に考えたらどうなの!」
ツバサはその言葉に何故か無償に腹が立った。声を上げて怒鳴りたくなるのを抑えて、落ち着いた声でリアに言い返す。
「何だかグレイの一族がフェアリーのことを毛嫌いする気持ちがわかる気がするよ。俺は真面目に考えてる。カーティスがフェアリーと手を切った云々の話とは関係無く、俺は今まで通りレンをチームメンバーに入れたまま依頼に行く。俺は別にグレイと手を組んだ訳でも無いし、自分から殺しに行く気もないんだ。いくら母さん達を殺したのが、グレイの人間だとしてもレンはレンだ。レンを恨む理由は無いから。それにレンが居なくなるとアルルがぴいぴいうるさくなるに決まってる。鬱陶しいだろ」
「鬱陶しいって何よ」
「俺もツバサのことを殺すつもりは無いです。でも、アルルや皆に手を出してきたらその時は襲撃者のサングスターの人間を殺します。ツバサのことを狙ってグレイの奴らが来たら、俺はツバサのことを守ります」
アルルが目を拭った。リアがその様子を見て、また口を開いた。
「そんなことをしたら貴方達に味方は居なくなる。四方八方から狙われ続けることになる。関係の無いベティまで……」
「私だって関係者ですから。正直、アルルから聞かされた話には驚いてますけど……このチームに入ってから変なことばっか起きて、耐性が付いちゃったみたい。それに、味方は居なくなりませんよ。数より質、って言うじゃないですか」
「だけど、いつかは戦わなければいけない日が来るでしょう」
「リアおばさん。申し訳ないけど、少しの間席を外してもらってもいいかな?」
ツバサの提案にリアは目をまんまるくしたが、廊下で盗聴してるわよ、と睨みながら言った。首を縦に振りながら苦笑をするツバサ。ツバサ以外のメンバーはそれぞれ顔を見合わせていた。
「これはチームリーダーから皆への提案。今から自己紹介をしないか」
そうお礼を言ったのはリアだった。アルルの口から聞かされたのは古代別世界の天使と悪魔の許されざる恋の話、それから、一族にまつわる話だった。アルルは昔のツバサの想いについては触れず、自分が初めにレンと恋に落ちた、という風に話した。
大体の話が終わると、ベティは目をぱちくりさせ、レンは考え込むように俯き、ツバサは特に表情を変えなかった。アルルはツバサに元から知っていたのかと聞いた。
「古代の根源の話は似たような話を聞いたけど、そんなに詳しいこと知らなかった。でも、俺の一族とレンの一族、グレイが何か関係しているのは気づいていた。悪い意味でな」
「レンは?知ってた?」
「ツバサがサングスターで、そのサングスターが俺を狙っていることは知ってる。……なあ、アルルの話し方、何かアルルが全部悪いみたいなそんな感じがあるんだけどさ、それって違うんじゃないかな。アルル1人のせいじゃないっていうか」
「だけど、私が……私のせいなんだよ。私のせいで皆の命が狙われてるの」
「……俺はレンと戦う気はさらさらねーよ」
ツバサが頬杖をつきながらそう呟くと、アルルがはっとしてツバサのことを見た。予想外の答えだったのかもしれない。
「どうして、そんな、落ち着いていられるの?レンもだけど。だって知ってたんでしょ」
「そんなに殺してほしい?だったら殺してあげても良いよぉ別に」
アルルが首を振るとツバサの口の端が少し上がった。
「でしょ。だったら俺は殺さない。それにさ、レンは強いからチームの戦力になるだろ」
「だけどやっぱり俺とツバサが一緒に居ると方方から狙われて、アルルもだけどベティの身も危険なんじゃ」
「そん時はそん時だろ」
「本当にツバサって色々軽いっていうか、なんか」
レンが困ったように苦笑いしながら言った時、それまで黙って傍聴していたリアが叫んだ。アルルまでもがその声にびくっと驚いた。
「もっと真面目に考えたらどうなの!」
ツバサはその言葉に何故か無償に腹が立った。声を上げて怒鳴りたくなるのを抑えて、落ち着いた声でリアに言い返す。
「何だかグレイの一族がフェアリーのことを毛嫌いする気持ちがわかる気がするよ。俺は真面目に考えてる。カーティスがフェアリーと手を切った云々の話とは関係無く、俺は今まで通りレンをチームメンバーに入れたまま依頼に行く。俺は別にグレイと手を組んだ訳でも無いし、自分から殺しに行く気もないんだ。いくら母さん達を殺したのが、グレイの人間だとしてもレンはレンだ。レンを恨む理由は無いから。それにレンが居なくなるとアルルがぴいぴいうるさくなるに決まってる。鬱陶しいだろ」
「鬱陶しいって何よ」
「俺もツバサのことを殺すつもりは無いです。でも、アルルや皆に手を出してきたらその時は襲撃者のサングスターの人間を殺します。ツバサのことを狙ってグレイの奴らが来たら、俺はツバサのことを守ります」
アルルが目を拭った。リアがその様子を見て、また口を開いた。
「そんなことをしたら貴方達に味方は居なくなる。四方八方から狙われ続けることになる。関係の無いベティまで……」
「私だって関係者ですから。正直、アルルから聞かされた話には驚いてますけど……このチームに入ってから変なことばっか起きて、耐性が付いちゃったみたい。それに、味方は居なくなりませんよ。数より質、って言うじゃないですか」
「だけど、いつかは戦わなければいけない日が来るでしょう」
「リアおばさん。申し訳ないけど、少しの間席を外してもらってもいいかな?」
ツバサの提案にリアは目をまんまるくしたが、廊下で盗聴してるわよ、と睨みながら言った。首を縦に振りながら苦笑をするツバサ。ツバサ以外のメンバーはそれぞれ顔を見合わせていた。
「これはチームリーダーから皆への提案。今から自己紹介をしないか」
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