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4章 地球
#19 地球対戦
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レンがグレイの女性と話していた時、ツバサ、アルル、ベティ、ルークの4人はそれぞれ異性のバンパイアの魅力に釘付けになっていた。
「お兄さん達、魔術士? 2人ともイケメンなのね」
ツバサもルークも2人で顔を見合わせると、満更でもない顔で笑う。女バンパイアは2人に向かい合うような位置に座ると、頬杖をついて話す。
「私、お兄さん達と仲良くなりたいけど、1人をじっくり楽しみたいタイプなのよね~」
「俺かルークか、どっちかとしか遊んでくれないってこと?」
「そうそう。金髪の貴方は、ルークって言うのね。何だかミステリアスな感じ。凄いやばい秘密抱えてそー」
「俺のことは良いからあなたの事を聞かせてくれないか」
「私のこと……そうね。じゃあ私の好きなものはね、夜、それからお酒、あとお兄さん達みたいなイケメンの人、それからイケメンの人の……手」
女バンパイアはニコッと笑うと、両手を開いて伸ばした。ツバサとルークは操られるかのようにそれぞれ片手を差し出す。ツバサの左手と、ルークの右手をまとめるようにして女はぎゅっと握った。
「特に好きなのは、愛が詰まった薬指」
かっと女が口を開けた時、鋭い牙が見えた。2人の薬指にズブリとそれが刺さった。痛みは始めだけで、全身に鳥肌が立った。ゴクリゴクリと、バンパイアが血液を飲み込んでいく。体が熱い。はぁはぁ、と息が荒くなる。まるで、絶頂を迎える前の快感のようだった。
「やばい何これ」
ツバサが息を切らしながらそう言った時、女バンパイアの口から手が離れた。だらんと血と唾液にまみれた2人の手がテーブルに置かれる。女の様子がおかしい。苦しそうに首を抑えて呻いていた。ツバサは徐々に気が戻ってきて、周りをきょろきょろと見渡した。
レンが居ない、手からは血が流れている、ここはどこだ、地球だ、何をしにここへ来た? リッチェルを探しに。
行動はルークの方が数秒早かったようだ。
アルルとベティの元にいた男バンパイアが、ルークの影術に首元を締められ床に倒れたところだった。
「お前ら……血が、悪魔の……」
女バンパイアが呻きながら何か言っていたが、誰の耳にもその声は聞こえていなかった。アルルとベティはようやく洗脳が解けたようで、混乱した顔をしていた。
「レンはどこに――」
「あんたらにレンは渡さないよ」
「は? レンは元から俺のチームだ、訳わかんないこと言うな」
女は驚いたような顔をした後、薄ら笑いを浮かべた。
「それは……ますます生かしておくことはできないね」
ちょうどその時、レンがリッチェルをおぶって階段を降りているところだった。ツバサは何となく嫌な予感がして叫んだ。
「この女は俺とルークが相手する! レンは女子軍連れて逃げろ! いや、先に家に帰ってろ!」
レン達が退散した後、ルークが女性を睨みつけながら言った。
「貴様がリッチェルを誘拐したのか」
「フェアリーの生き残りの1人がただのアース人とはちょっと驚いたけど。バンパイアに吸血されてそのままイッちゃえば良かったのに。……お姉さん相手に2人でかかってくるわけ?」
女の挑発には動じずに、ルークは影と化して姿を消した。ツバサは真正面から立ち向かっていった。女は頑丈な氷のバリアを作り上げたと思うと、鋭い氷の破片をツバサに向けて飛ばした。
「くそっ、思ったように体が動かねえ」
「地球魔術士を舐めるんじゃないわよ」
そう言う女の背後にルークは現れると、女が気づく前に影術のエネルギー源を投げつけた。その直後、ルークは吹っ飛ばされて壁に背中から突撃する。
「ルーク! しっかりしろ!」
「……ああ、言われなくても。こんなんで倒れるほどやわじゃない」
「あら、良い男ねぇ」
女はルークの首を掴むと締め上げた。その手は氷で覆われ始め、ルークの頬も尖った氷で切れて血が出る。
「ああなんて汚らわしい血。この血を私の氷に垂らさないで。すぐに分かるのよ、この邪悪な魔力……それから魔術でね! あんた達がサングスターの人間ってこと」
ツバサは女の足を蹴りつけたが、途端にその足は凍った。ツバサは氷を思い切り蹴りつけたせいで、悲鳴をあげた。乱暴にルークを投げ捨てると、女はツバサの額を掴み上げて怒鳴った。
「何であんたみたいな呪われた魔術士がレンと一緒に居るのよ。レンはあんたと出会ったせいでおかしくなったに決まってる! あんたが悪いのよ! でも安心しなさい、あんた達の平和な日常はもうじき壊されるから。残念だけど、まずはあんたがここで終わりよ」
ツバサの黒い瞳がいきなり銀色に変化する。女が慌ててツバサを離した時は既に遅かった。女の右腕が切り落とされて血が辺りに飛び散る。ツバサとルークの顔にもその血が付着した。ルークが半分震える手でツバサの右腕を指さした。
「お前……腕が……」
ツバサの右腕は鋭い鉤爪が生え、皮膚が硬化していた。怪物の腕そのものである。その鉤爪から女の血がポタポタと垂れていた。
「うぐっ」
ツバサはしゃがみ込むと、口から血を吐き出した。右腕を失くした女はふらふらと立ち上がり、気味悪く笑った。すぐにルークはツバサの元へ駆け寄りその肩を抱いた。ツバサの腕がゆっくり元の腕へと戻っていく。
「やるじゃない、ガキ。でも、あんたも気の毒ね。魔術使う度にそんなゲロばっか吐いて」
ツバサは口についた血を腕で拭うと、自力で立ち上がった。そしてルークの目をしっかりと見て頼んだ。
「お前の力を貸してくれ。俺はもうだいぶ……いや結構……やばいんだ」
「分かった」
ツバサとルークは向き合うと、互いの手を握り合って目を閉じた。手を伝って、すーっと相手の魔力が入り込んでくる。ルークの魔術は、ツバサの黒術と少し似ている。そんな同志のような魔術を取り入れることで、心は徐々に落ち着いていく。体が熱くなっていく。2人の体から黒い光が輝きだした。舌打ちをしながら女は左腕で顔を守った。ツバサとルークが銀色の瞳を開いた。
「融合魔術! 黒疾風!!」
黒い竜巻が女の身体を簡単にさらい、そして窓を突き抜け外に放り投げた。右腕を失くした女は通りに落下し、後頭部を打ちつけた。
その頃、通りの隅から様子を伺っていたレン達は女が落ちてくるのを目の当たりにした。たちまち辺りに悲鳴が上がった。女の頭の回りに血溜まりが広がっていく。
「ワープの扉! できたよ!」
ベティが路地裏から叫び、レンはリッチェルをおぶり直して扉の元へ行った。ちょうどツバサとルークもよろよろと歩いてやってきた。
ワープの扉は内側から閉められ、パズルのピースが崩れるように消えて無くなった。
サークルの城にワープの扉が現れたのは、ツバサ達が出発した翌日の朝だった。ツバサ達は倒れるようにして別世界へ帰還した。
「お兄ちゃん! アルル! 皆!」
アスカがすぐに駆け寄ってきて、ぐったりとしている兄に肩を貸した。
すぐに全員医務室へ連れていかれた。地球があまりにも魔力が少なかったせいなのか、一同の回復は早かった。しかしツバサだけはなかなか完全回復とは言えなかった。もう大丈夫だ、と本人はずっと言っていたが、祈祷師が首を横に振った。
「全くよぉ、あの祈祷師俺に白湯みたいなおかゆしか食わせないんだよ」
誰かが見舞いに行く度にツバサはそう文句をこぼした。ベティは苦笑いをして答えた。
「それ本当にただの白湯なんじゃないの」
「あー早く復活しないとそろそろ食費がなぁ」
「そうね。アスカちゃんが依頼をたくさん掛け持ちしてて大変そうだもの。早いうちに復活して、私達も働かなきゃ」
ベティが気合を入れるように力強く言うとツバサは笑った。
体調に問題は無かったが、リアが1つだけ心配していたのはリッチェルの事だった。リッチェルは精神的ショックからか、地球に誘拐されてからの記憶が全く無かったのだ。
「でも体には結構大きい痣があったし……かえって思い出さない方がリッチェルの為でもあるのかもしれないけどね……貴方は確か、リッチェルを始めに見つけたのよね?」
リアがそうレンに尋ねると、彼は黙ってうなずいた。
「俺が見つけた時は両手と両足を縛られていました……」
そう言うレンも何だかもやもやした気分でいた。自分はリッチェルに何かをしたような、何かを言ったような、そんな感じがしてならないのだ。しかしレンは誰にも相談できなかった。あの時レンはバンパイアのフェロモンにかからず、ツバサとルークが撃退した女と会話していたのだ。何でフェロモンにかかっていないのか説明するのもまたややこしくさせるだけだ。
「レン、大丈夫?」
心配そうに声をかけてくれるアルルに、レンは微笑んで大丈夫だよ、と答えた。そしてレンはお礼を言った。
「ありがとう、アルル」
「え?私何かしたっけ?」
「何だか、またアルルに助けられたような気がするんだ」
「……ふーん。変なの」
それから数日後、レンはツバサが復活したと聞いて宿舎を訪ねることにした。ツバサは女と戦っていた。ルークに聞くのも良かったが、やはりツバサの方が彼にとっては信頼できた。
レンは女が自分のことを話していないか、聞こうと思ったのだ。もし何か聞かれたら、少しずつ自分の立場というものを告白していこうと決めていた。
ツバサの部屋のドアは少し開いていた。ノックしようかと思った時、中にアスカも居ることにレンは気づいた。耳をすませると2人の話し声が聞こえた。
「お兄さん達、魔術士? 2人ともイケメンなのね」
ツバサもルークも2人で顔を見合わせると、満更でもない顔で笑う。女バンパイアは2人に向かい合うような位置に座ると、頬杖をついて話す。
「私、お兄さん達と仲良くなりたいけど、1人をじっくり楽しみたいタイプなのよね~」
「俺かルークか、どっちかとしか遊んでくれないってこと?」
「そうそう。金髪の貴方は、ルークって言うのね。何だかミステリアスな感じ。凄いやばい秘密抱えてそー」
「俺のことは良いからあなたの事を聞かせてくれないか」
「私のこと……そうね。じゃあ私の好きなものはね、夜、それからお酒、あとお兄さん達みたいなイケメンの人、それからイケメンの人の……手」
女バンパイアはニコッと笑うと、両手を開いて伸ばした。ツバサとルークは操られるかのようにそれぞれ片手を差し出す。ツバサの左手と、ルークの右手をまとめるようにして女はぎゅっと握った。
「特に好きなのは、愛が詰まった薬指」
かっと女が口を開けた時、鋭い牙が見えた。2人の薬指にズブリとそれが刺さった。痛みは始めだけで、全身に鳥肌が立った。ゴクリゴクリと、バンパイアが血液を飲み込んでいく。体が熱い。はぁはぁ、と息が荒くなる。まるで、絶頂を迎える前の快感のようだった。
「やばい何これ」
ツバサが息を切らしながらそう言った時、女バンパイアの口から手が離れた。だらんと血と唾液にまみれた2人の手がテーブルに置かれる。女の様子がおかしい。苦しそうに首を抑えて呻いていた。ツバサは徐々に気が戻ってきて、周りをきょろきょろと見渡した。
レンが居ない、手からは血が流れている、ここはどこだ、地球だ、何をしにここへ来た? リッチェルを探しに。
行動はルークの方が数秒早かったようだ。
アルルとベティの元にいた男バンパイアが、ルークの影術に首元を締められ床に倒れたところだった。
「お前ら……血が、悪魔の……」
女バンパイアが呻きながら何か言っていたが、誰の耳にもその声は聞こえていなかった。アルルとベティはようやく洗脳が解けたようで、混乱した顔をしていた。
「レンはどこに――」
「あんたらにレンは渡さないよ」
「は? レンは元から俺のチームだ、訳わかんないこと言うな」
女は驚いたような顔をした後、薄ら笑いを浮かべた。
「それは……ますます生かしておくことはできないね」
ちょうどその時、レンがリッチェルをおぶって階段を降りているところだった。ツバサは何となく嫌な予感がして叫んだ。
「この女は俺とルークが相手する! レンは女子軍連れて逃げろ! いや、先に家に帰ってろ!」
レン達が退散した後、ルークが女性を睨みつけながら言った。
「貴様がリッチェルを誘拐したのか」
「フェアリーの生き残りの1人がただのアース人とはちょっと驚いたけど。バンパイアに吸血されてそのままイッちゃえば良かったのに。……お姉さん相手に2人でかかってくるわけ?」
女の挑発には動じずに、ルークは影と化して姿を消した。ツバサは真正面から立ち向かっていった。女は頑丈な氷のバリアを作り上げたと思うと、鋭い氷の破片をツバサに向けて飛ばした。
「くそっ、思ったように体が動かねえ」
「地球魔術士を舐めるんじゃないわよ」
そう言う女の背後にルークは現れると、女が気づく前に影術のエネルギー源を投げつけた。その直後、ルークは吹っ飛ばされて壁に背中から突撃する。
「ルーク! しっかりしろ!」
「……ああ、言われなくても。こんなんで倒れるほどやわじゃない」
「あら、良い男ねぇ」
女はルークの首を掴むと締め上げた。その手は氷で覆われ始め、ルークの頬も尖った氷で切れて血が出る。
「ああなんて汚らわしい血。この血を私の氷に垂らさないで。すぐに分かるのよ、この邪悪な魔力……それから魔術でね! あんた達がサングスターの人間ってこと」
ツバサは女の足を蹴りつけたが、途端にその足は凍った。ツバサは氷を思い切り蹴りつけたせいで、悲鳴をあげた。乱暴にルークを投げ捨てると、女はツバサの額を掴み上げて怒鳴った。
「何であんたみたいな呪われた魔術士がレンと一緒に居るのよ。レンはあんたと出会ったせいでおかしくなったに決まってる! あんたが悪いのよ! でも安心しなさい、あんた達の平和な日常はもうじき壊されるから。残念だけど、まずはあんたがここで終わりよ」
ツバサの黒い瞳がいきなり銀色に変化する。女が慌ててツバサを離した時は既に遅かった。女の右腕が切り落とされて血が辺りに飛び散る。ツバサとルークの顔にもその血が付着した。ルークが半分震える手でツバサの右腕を指さした。
「お前……腕が……」
ツバサの右腕は鋭い鉤爪が生え、皮膚が硬化していた。怪物の腕そのものである。その鉤爪から女の血がポタポタと垂れていた。
「うぐっ」
ツバサはしゃがみ込むと、口から血を吐き出した。右腕を失くした女はふらふらと立ち上がり、気味悪く笑った。すぐにルークはツバサの元へ駆け寄りその肩を抱いた。ツバサの腕がゆっくり元の腕へと戻っていく。
「やるじゃない、ガキ。でも、あんたも気の毒ね。魔術使う度にそんなゲロばっか吐いて」
ツバサは口についた血を腕で拭うと、自力で立ち上がった。そしてルークの目をしっかりと見て頼んだ。
「お前の力を貸してくれ。俺はもうだいぶ……いや結構……やばいんだ」
「分かった」
ツバサとルークは向き合うと、互いの手を握り合って目を閉じた。手を伝って、すーっと相手の魔力が入り込んでくる。ルークの魔術は、ツバサの黒術と少し似ている。そんな同志のような魔術を取り入れることで、心は徐々に落ち着いていく。体が熱くなっていく。2人の体から黒い光が輝きだした。舌打ちをしながら女は左腕で顔を守った。ツバサとルークが銀色の瞳を開いた。
「融合魔術! 黒疾風!!」
黒い竜巻が女の身体を簡単にさらい、そして窓を突き抜け外に放り投げた。右腕を失くした女は通りに落下し、後頭部を打ちつけた。
その頃、通りの隅から様子を伺っていたレン達は女が落ちてくるのを目の当たりにした。たちまち辺りに悲鳴が上がった。女の頭の回りに血溜まりが広がっていく。
「ワープの扉! できたよ!」
ベティが路地裏から叫び、レンはリッチェルをおぶり直して扉の元へ行った。ちょうどツバサとルークもよろよろと歩いてやってきた。
ワープの扉は内側から閉められ、パズルのピースが崩れるように消えて無くなった。
サークルの城にワープの扉が現れたのは、ツバサ達が出発した翌日の朝だった。ツバサ達は倒れるようにして別世界へ帰還した。
「お兄ちゃん! アルル! 皆!」
アスカがすぐに駆け寄ってきて、ぐったりとしている兄に肩を貸した。
すぐに全員医務室へ連れていかれた。地球があまりにも魔力が少なかったせいなのか、一同の回復は早かった。しかしツバサだけはなかなか完全回復とは言えなかった。もう大丈夫だ、と本人はずっと言っていたが、祈祷師が首を横に振った。
「全くよぉ、あの祈祷師俺に白湯みたいなおかゆしか食わせないんだよ」
誰かが見舞いに行く度にツバサはそう文句をこぼした。ベティは苦笑いをして答えた。
「それ本当にただの白湯なんじゃないの」
「あー早く復活しないとそろそろ食費がなぁ」
「そうね。アスカちゃんが依頼をたくさん掛け持ちしてて大変そうだもの。早いうちに復活して、私達も働かなきゃ」
ベティが気合を入れるように力強く言うとツバサは笑った。
体調に問題は無かったが、リアが1つだけ心配していたのはリッチェルの事だった。リッチェルは精神的ショックからか、地球に誘拐されてからの記憶が全く無かったのだ。
「でも体には結構大きい痣があったし……かえって思い出さない方がリッチェルの為でもあるのかもしれないけどね……貴方は確か、リッチェルを始めに見つけたのよね?」
リアがそうレンに尋ねると、彼は黙ってうなずいた。
「俺が見つけた時は両手と両足を縛られていました……」
そう言うレンも何だかもやもやした気分でいた。自分はリッチェルに何かをしたような、何かを言ったような、そんな感じがしてならないのだ。しかしレンは誰にも相談できなかった。あの時レンはバンパイアのフェロモンにかからず、ツバサとルークが撃退した女と会話していたのだ。何でフェロモンにかかっていないのか説明するのもまたややこしくさせるだけだ。
「レン、大丈夫?」
心配そうに声をかけてくれるアルルに、レンは微笑んで大丈夫だよ、と答えた。そしてレンはお礼を言った。
「ありがとう、アルル」
「え?私何かしたっけ?」
「何だか、またアルルに助けられたような気がするんだ」
「……ふーん。変なの」
それから数日後、レンはツバサが復活したと聞いて宿舎を訪ねることにした。ツバサは女と戦っていた。ルークに聞くのも良かったが、やはりツバサの方が彼にとっては信頼できた。
レンは女が自分のことを話していないか、聞こうと思ったのだ。もし何か聞かれたら、少しずつ自分の立場というものを告白していこうと決めていた。
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