24 / 70
第四章
4-2
しおりを挟む
渡辺の言動から、恐らく楓のことだろうと賢吾は察した。
「こんなに入社条件が厳しい中突破してきたのに、片や別件でたまたま訪れた人が片倉さんに熱望され、ヘッドハントをされる。入社一ヶ月ちょいの大学四年生に、抜群のプレゼンをされ企画会議で負ける。恥ずかしながら、今まであんまり挫折とか経験したことがなかったので、枯れるほど悔し泣きをしました」
言い終えた後、渡辺はコーヒーをグビッと飲む。腹の底から出したような息をし、再び笑顔に戻った。
「でも不思議ですよね。今では全く嫉妬や羨望という気持ちがないんです。楓ちゃんと仕事をしていると楽しいし、自分の力以上のものが出てくる。こんな感覚、初めてなんですよ。他の皆さんも、波多野さんが憑依してきたんじゃないかって言ってます。私、実際に波多野さんとは会ったことがないのでわかりませんけどね」
そう言った渡辺から嫉妬心は感じられない。本心だろうと賢吾は思った。
「渡辺さん、自分は他の人になることはできない。だから、自分自身を知ること、そしてそれをいかに表現できるかが大事だよ」
渡辺は賢吾と目を合わせ、コーヒーを飲もうとしていた手を止めた。
「デカがスカウトしたんだ、間違いなく守屋さんは優秀なんだろう。けれども、君もデカに認められて入社をした。経緯はどうであれ、君には君の良さがある。結局アプリ名は君が決めたし、底のない明るさは守屋さんにはないだろう。他人と競争するのはいいが、自分の価値を自分で決めて見誤らないで欲しいな」
賢吾は渡辺へ優しく言い聞かせた。
「ふひへへ」
渡辺は頬を赤く染め、変な声を出して笑った。
元気になったようで良かったと賢吾は思ったが、ふと危惧していたことが頭をよぎった。
「あ、そうだ。寺島には気を付けろよ。彼氏がいるから大丈夫だと思うけどさ」
そう、あの遊び人だ。
渡辺は一瞬びっくりしたような顔になったが、ニヤリとする。
「私、彼氏いませんよ」
「あれ? 寺島がいるって言っていたけど?」
「既婚者であんなチャラ男は絶対に嫌ですもん。言い訳です。言わないでくださいよ」
渡辺は澄まし顔で述べた。
見た目もゆるふわ系で軽そうなのに、案外ガードが堅いんだな。と賢吾は目を細めていたが、
「おっと、そんな目はやめてください。社長のことはさっきの話も含めそこそこ尊敬していますが、異性としては全く意識していないので惚れないでくださいねぇ」
と渡辺から両手で拒否のポーズをされた。
「一瞬見直したけど、一気に株が下がったわ。君、デカみたいだな」
賢吾が呆れた吐息を漏らした。
「え? 本当ですか。めちゃくちゃ嬉しい!」
……貶しているのに何で喜んでいるんだ……こいつ。
賢吾は更にわけがわからなくなり、だからだろうか頭の中がリセットされ、重要なことを伝え忘れるところだったと思い出した。
「あ、そうだ。守屋さんが優秀なのはわかったが、一つ訂正させてくれ」
「何です?」
「守屋さんにコウは憑依していないよ。コウ……波多野輝成は正真正銘の怪物、化け物だ。スマホアプリ開発運用のナレッジを一人で持ち込み、人材はヤンキーばかりで起業、そしてここまでのブランドへと昇華させた。君が崇拝しているデカが崇拝していた奴だぞ。次元が違いすぎる。コウと比較すると、守屋さんがかわいそうになるよ」
「うぇえええ? ますます才能の差に押し潰されそうです」
渡辺は愕然としていた。
「だからさっきも言った通り、自分を知り、いかに表現できるか。他人と競争するのも結構だが、己を見失わないようにね」
「さっきも凄く心に染みました。社長いいこと言いますねぇ」
尊敬の眼差しは心地良かったが、嘘はダメである。賢吾は自嘲的に笑った。
「この言葉、コウの受け売り」
「……あっ……なるほど……こりゃ波多野さんが神格化されるわけだ」
「その通り」
と淀みなく返す賢吾。二人はクスクスと笑い合った。
「あー、何か元気出ました。私は私のできることを精一杯やりますよ! もやもやしていたことも話せたし、案外社長って癒し系かもしれませんね?」
「……は?」
渡辺からの意外な評価に、賢吾は面を食らっていた。
「あっと、ダメですよ! 誤解しないで……」
「惚れねぇよ」
二回も言わせるかい!
と真顔で言葉をかぶせる賢吾であった。渡辺はまた笑い、コーヒーを飲み干すと背伸びをした。
「じゃ、お先に失礼しまーす」
渡辺はスッキリした顔で帰っていった。
その様子に手を振りながら、輝成や片倉が採用する人材に間違いはないと思う反面、やはり癖が強いなと賢吾は感じるのであった。
賢吾はコーヒーを飲み終えると、カップをゴミ箱へ捨て休憩室を出た。
自分のデスクに向かっている途中、プロジェクトチームにいる片倉と楓が目に映った。片倉は座ったままだが、楓は帰り支度をしているようだった。
「二人共、お疲れ様。だけどデカ、まだマスターアップ前でもないのに、守屋さんと渡辺さんをこの時間まで残業させるなよ。残業代をだしているからいいって話じゃないぞ」
挨拶した後、賢吾がそう忠告した。片倉は口を開いたが、
「あの、私達がお願いしたんです。もう帰りますし、片倉さんは悪くありません」
と楓が謝ってきた。
「いや、守屋さん。責任者は僕なので、社長が言う通り悪いのは僕です」
片倉は楓に言い聞かせ、
「すみません。二人共興が乗っていたので、仕上がりそうなところまでやってもらっちゃいました。確かに、僕が自制して判断すべきでした」
賢吾へ頭を下げた。
悪気がないのは賢吾もわかっていたが、優秀な片倉だからこそ言っておくべきだと思い続ける。
「時間内で仕事を終わらせることが優秀だ、とコウが言っていたろ。俺は自分のことを無能だと自覚しているが、お前は違うだろ?」
「んー。社長の癖にぐうの音も出ないことを言って、やりますね」
輝成の言葉を引用したから、批判されているのに片倉は嬉しそうだった。
「ちらほら噂を聞きますが、波多野さんって相当凄い方だったんですね」
リュックを背負った楓は、賢吾と片倉の両方へと目を合わせた。
「僕の憧れであり、尊敬できる唯一無二の存在。キングオブキングスですよ」
「まぁ、人じゃない。化け物だな」
片倉は恍惚な表情で言い、賢吾は微笑みながらも淡白に評した。
「こんなに入社条件が厳しい中突破してきたのに、片や別件でたまたま訪れた人が片倉さんに熱望され、ヘッドハントをされる。入社一ヶ月ちょいの大学四年生に、抜群のプレゼンをされ企画会議で負ける。恥ずかしながら、今まであんまり挫折とか経験したことがなかったので、枯れるほど悔し泣きをしました」
言い終えた後、渡辺はコーヒーをグビッと飲む。腹の底から出したような息をし、再び笑顔に戻った。
「でも不思議ですよね。今では全く嫉妬や羨望という気持ちがないんです。楓ちゃんと仕事をしていると楽しいし、自分の力以上のものが出てくる。こんな感覚、初めてなんですよ。他の皆さんも、波多野さんが憑依してきたんじゃないかって言ってます。私、実際に波多野さんとは会ったことがないのでわかりませんけどね」
そう言った渡辺から嫉妬心は感じられない。本心だろうと賢吾は思った。
「渡辺さん、自分は他の人になることはできない。だから、自分自身を知ること、そしてそれをいかに表現できるかが大事だよ」
渡辺は賢吾と目を合わせ、コーヒーを飲もうとしていた手を止めた。
「デカがスカウトしたんだ、間違いなく守屋さんは優秀なんだろう。けれども、君もデカに認められて入社をした。経緯はどうであれ、君には君の良さがある。結局アプリ名は君が決めたし、底のない明るさは守屋さんにはないだろう。他人と競争するのはいいが、自分の価値を自分で決めて見誤らないで欲しいな」
賢吾は渡辺へ優しく言い聞かせた。
「ふひへへ」
渡辺は頬を赤く染め、変な声を出して笑った。
元気になったようで良かったと賢吾は思ったが、ふと危惧していたことが頭をよぎった。
「あ、そうだ。寺島には気を付けろよ。彼氏がいるから大丈夫だと思うけどさ」
そう、あの遊び人だ。
渡辺は一瞬びっくりしたような顔になったが、ニヤリとする。
「私、彼氏いませんよ」
「あれ? 寺島がいるって言っていたけど?」
「既婚者であんなチャラ男は絶対に嫌ですもん。言い訳です。言わないでくださいよ」
渡辺は澄まし顔で述べた。
見た目もゆるふわ系で軽そうなのに、案外ガードが堅いんだな。と賢吾は目を細めていたが、
「おっと、そんな目はやめてください。社長のことはさっきの話も含めそこそこ尊敬していますが、異性としては全く意識していないので惚れないでくださいねぇ」
と渡辺から両手で拒否のポーズをされた。
「一瞬見直したけど、一気に株が下がったわ。君、デカみたいだな」
賢吾が呆れた吐息を漏らした。
「え? 本当ですか。めちゃくちゃ嬉しい!」
……貶しているのに何で喜んでいるんだ……こいつ。
賢吾は更にわけがわからなくなり、だからだろうか頭の中がリセットされ、重要なことを伝え忘れるところだったと思い出した。
「あ、そうだ。守屋さんが優秀なのはわかったが、一つ訂正させてくれ」
「何です?」
「守屋さんにコウは憑依していないよ。コウ……波多野輝成は正真正銘の怪物、化け物だ。スマホアプリ開発運用のナレッジを一人で持ち込み、人材はヤンキーばかりで起業、そしてここまでのブランドへと昇華させた。君が崇拝しているデカが崇拝していた奴だぞ。次元が違いすぎる。コウと比較すると、守屋さんがかわいそうになるよ」
「うぇえええ? ますます才能の差に押し潰されそうです」
渡辺は愕然としていた。
「だからさっきも言った通り、自分を知り、いかに表現できるか。他人と競争するのも結構だが、己を見失わないようにね」
「さっきも凄く心に染みました。社長いいこと言いますねぇ」
尊敬の眼差しは心地良かったが、嘘はダメである。賢吾は自嘲的に笑った。
「この言葉、コウの受け売り」
「……あっ……なるほど……こりゃ波多野さんが神格化されるわけだ」
「その通り」
と淀みなく返す賢吾。二人はクスクスと笑い合った。
「あー、何か元気出ました。私は私のできることを精一杯やりますよ! もやもやしていたことも話せたし、案外社長って癒し系かもしれませんね?」
「……は?」
渡辺からの意外な評価に、賢吾は面を食らっていた。
「あっと、ダメですよ! 誤解しないで……」
「惚れねぇよ」
二回も言わせるかい!
と真顔で言葉をかぶせる賢吾であった。渡辺はまた笑い、コーヒーを飲み干すと背伸びをした。
「じゃ、お先に失礼しまーす」
渡辺はスッキリした顔で帰っていった。
その様子に手を振りながら、輝成や片倉が採用する人材に間違いはないと思う反面、やはり癖が強いなと賢吾は感じるのであった。
賢吾はコーヒーを飲み終えると、カップをゴミ箱へ捨て休憩室を出た。
自分のデスクに向かっている途中、プロジェクトチームにいる片倉と楓が目に映った。片倉は座ったままだが、楓は帰り支度をしているようだった。
「二人共、お疲れ様。だけどデカ、まだマスターアップ前でもないのに、守屋さんと渡辺さんをこの時間まで残業させるなよ。残業代をだしているからいいって話じゃないぞ」
挨拶した後、賢吾がそう忠告した。片倉は口を開いたが、
「あの、私達がお願いしたんです。もう帰りますし、片倉さんは悪くありません」
と楓が謝ってきた。
「いや、守屋さん。責任者は僕なので、社長が言う通り悪いのは僕です」
片倉は楓に言い聞かせ、
「すみません。二人共興が乗っていたので、仕上がりそうなところまでやってもらっちゃいました。確かに、僕が自制して判断すべきでした」
賢吾へ頭を下げた。
悪気がないのは賢吾もわかっていたが、優秀な片倉だからこそ言っておくべきだと思い続ける。
「時間内で仕事を終わらせることが優秀だ、とコウが言っていたろ。俺は自分のことを無能だと自覚しているが、お前は違うだろ?」
「んー。社長の癖にぐうの音も出ないことを言って、やりますね」
輝成の言葉を引用したから、批判されているのに片倉は嬉しそうだった。
「ちらほら噂を聞きますが、波多野さんって相当凄い方だったんですね」
リュックを背負った楓は、賢吾と片倉の両方へと目を合わせた。
「僕の憧れであり、尊敬できる唯一無二の存在。キングオブキングスですよ」
「まぁ、人じゃない。化け物だな」
片倉は恍惚な表情で言い、賢吾は微笑みながらも淡白に評した。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
マキノのカフェ開業奮闘記 ~Café Le Repos~
Repos
ライト文芸
カフェ開業を夢見たマキノが、田舎の古民家を改装して開業する物語。
おいしいご飯がたくさん出てきます。
いろんな人に出会って、気づきがあったり、迷ったり、泣いたり。
助けられたり、恋をしたり。
愛とやさしさののあふれるお話です。
なろうにも投降中
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
古屋さんバイト辞めるって
四宮 あか
ライト文芸
ライト文芸大賞で奨励賞いただきました~。
読んでくださりありがとうございました。
「古屋さんバイト辞めるって」
おしゃれで、明るくて、話しも面白くて、仕事もすぐに覚えた。これからバイトの中心人物にだんだんなっていくのかな? と思った古屋さんはバイトをやめるらしい。
学部は違うけれど同じ大学に通っているからって理由で、石井ミクは古屋さんにバイトを辞めないように説得してと店長に頼まれてしまった。
バイト先でちょろっとしか話したことがないのに、辞めないように説得を頼まれたことで困ってしまった私は……
こういう嫌なタイプが貴方の職場にもいることがあるのではないでしょうか?
表紙の画像はフリー素材サイトの
https://activephotostyle.biz/さまからお借りしました。
サドガシマ作戦、2025年初冬、ロシア共和国は突如として佐渡ヶ島に侵攻した。
セキトネリ
ライト文芸
2025年初冬、ウクライナ戦役が膠着状態の中、ロシア連邦東部軍管区(旧極東軍管区)は突如北海道北部と佐渡ヶ島に侵攻。総責任者は東部軍管区ジトコ大将だった。北海道はダミーで狙いは佐渡ヶ島のガメラレーダーであった。これは中国の南西諸島侵攻と台湾侵攻を援助するための密約のためだった。同時に北朝鮮は38度線を越え、ソウルを占拠した。在韓米軍に対しては戦術核の電磁パルス攻撃で米軍を朝鮮半島から駆逐、日本に退避させた。
その中、欧州ロシアに対して、東部軍管区ジトコ大将はロシア連邦からの離脱を決断、中央軍管区と図ってオビ川以東の領土を東ロシア共和国として独立を宣言、日本との相互安保条約を結んだ。
佐渡ヶ島侵攻(通称サドガシマ作戦、Operation Sadogashima)の副指揮官はジトコ大将の娘エレーナ少佐だ。エレーナ少佐率いる東ロシア共和国軍女性部隊二千人は、北朝鮮のホバークラフトによる上陸作戦を陸自水陸機動団と阻止する。
※このシリーズはカクヨム版「サドガシマ作戦(https://kakuyomu.jp/works/16818093092605918428)」と重複しています。ただし、カクヨムではできない説明用の軍事地図、武器詳細はこちらで掲載しております。
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
すこやか食堂のゆかいな人々
山いい奈
ライト文芸
貧血体質で悩まされている、常盤みのり。
母親が栄養学の本を読みながらごはんを作ってくれているのを見て、みのりも興味を持った。
心を癒し、食べるもので健康になれる様な食堂を開きたい。それがみのりの目標になっていた。
短大で栄養学を学び、専門学校でお料理を学び、体調を見ながら日本料理店でのアルバイトに励み、お料理教室で技を鍛えて来た。
そしてみのりは、両親や幼なじみ、お料理教室の先生、テナントビルのオーナーの力を借りて、すこやか食堂をオープンする。
一癖も二癖もある周りの人々やお客さまに囲まれて、みのりは奮闘する。
やがて、それはみのりの家族の問題に繋がっていく。
じんわりと、だがほっこりと心暖まる物語。
マキノのカフェで、ヒトヤスミ ~Café Le Repos~
Repos
ライト文芸
田舎の古民家を改装し、カフェを開いたマキノの奮闘記。
やさしい旦那様と綴る幸せな結婚生活。
試行錯誤しながら少しずつ充実していくお店。
カフェスタッフ達の喜怒哀楽の出来事。
自分自身も迷ったり戸惑ったりいろんなことがあるけれど、
ごはんをおいしく食べることが幸せの原点だとマキノは信じています。
お店の名前は 『Cafe Le Repos』
“Repos”るぽ とは フランス語で『ひとやすみ』という意味。
ここに訪れた人が、ホッと一息ついて、小さな元気の芽が出るように。
それがマキノの願いなのです。
- - - - - - - - - - - -
このお話は、『Café Le Repos ~マキノのカフェ開業奮闘記~』の続きのお話です。
<なろうに投稿したものを、こちらでリライトしています。>
月は夜をかき抱く ―Alkaid―
深山瀬怜
ライト文芸
地球に七つの隕石が降り注いでから半世紀。隕石の影響で生まれた特殊能力の持ち主たち《ブルーム》と、特殊能力を持たない無能力者《ノーマ》たちは衝突を繰り返しながらも日常生活を送っていた。喫茶〈アルカイド〉は表向きは喫茶店だが、能力者絡みの事件を解決する調停者《トラブルシューター》の仕事もしていた。
アルカイドに新人バイトとしてやってきた瀧口星音は、そこでさまざまな事情を抱えた人たちに出会う。
狗神巡礼ものがたり
唄うたい
ライト文芸
「早苗さん、これだけは信じていて。
俺達は“何があっても貴女を護る”。」
ーーー
「犬居家」は先祖代々続く風習として
守り神である「狗神様」に
十年に一度、生贄を献げてきました。
犬居家の血を引きながら
女中として冷遇されていた娘・早苗は、
本家の娘の身代わりとして
狗神様への生贄に選ばれます。
早苗の前に現れた山犬の神使・仁雷と義嵐は、
生贄の試練として、
三つの聖地を巡礼するよう命じます。
早苗は神使達に導かれるまま、
狗神様の守る広い山々を巡る
旅に出ることとなりました。
●他サイトでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる