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86. 異世界1385日目 サビオニアの国の状況
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86. 異世界1385日目 サビオニアの国の状況
遺跡を出発してからしばらく走って移動した後、車に乗り換えて東へと進む。途中の町は通り過ぎてからタニアの町が近づいてきたんだけど、町に寄っていくか悩むところだ。
「どうする?そろそろタニアの町に着くけど・・・。」
「やっぱり治療した人達の状態が気になるのよね。たぶん誤解は解けて大丈夫だと思うけどちょっと心配ではあるわね。」
ちゃんと誤解が解けていればいいんだが、もしそのまま貴族への反抗心があおられたままだと怖いことになりかねないんだよなあ。そう思って走っていると、道の前に子供達が飛び出してきた。
「あぶなっ!!!」
まだ距離があったから良かったけど、車の前に飛び出すのはやめてくれ。
子供達が車の周りを囲んでしまったので動けないでいると、子供達が声をかけてきた。
「お兄ちゃん!お姉ちゃん!私のこと覚えてる?前は治療してくれてありがとう!!」
あれ、この子は確か顔にひどい傷を負った子供だったかな?隣の子供は足を怪我した子供だったような気もする。5人ほど子供達がいるんだが、全員が治療をした子供達か?
「この子達治療をした子供達だよね?お礼を言いたくて待っていたのかな?」
車を降りて子供達と話をすると、特に後遺症も無かったようだ。良かった、治療は成功していたみたいだ。
「よく自分たちだってわかったね?」
「治療しているときに必死に励ましてくれていたでしょ?体が動かなかったけど、神様が来たかと思って見ていたの。でも治療の後で起きたらいなくなっていたのでほんとに神様だったのかと思っちゃった。」
しばらく子供達と話していると、町から大勢の人達が近づいてきているのを察知する。これはまずいか?
「ジェン、やばそうな気もするから行くよ!!」
「えぇ!!」
「良くなっていてよかったよ。お礼はうれしかった!お兄ちゃん達は行くね!」
車は子供達に囲まれているので車を収納してから子供達の輪から飛び出して走って行こうとすると、やってきている人達が大きな声を上げてきた。
「待ってください!!お礼を言いたくてずっと待っていたんです!!」
何事かと思って振り返ると、みんなが膝をついて頭を下げていた。えっと、これは誤解が解けたと言うことなのかな?
「警戒はした方がいいけど、とりあえず話だけでも聞いて見るか?」
「そうね。今のところ悪意は感じないわ。」
向こうも警戒しているのがわかったのか、あのときのシスターが前に出てきて話をしてきた。
「あのときは申し訳ありませんでした。あのあと町の人達の誤解は解いておきました。みなさんもどうしてもお礼が言いたくて、ずっと待っていたです。お願いします、一度町に寄っていただけないでしょうか?あと他にも話しておかなければならないことがあるのです。」
さすがに町に入るのは怖かったので町のはずれで話をすることとなった。町の人達は中に戻ってもらい、この町の代表者という2名とあのときのシスターの3名で話すことになった。
「あのときはせっかく助けていただいたのに、勘違いから追い出すようなことをして申し訳ありません。暴言を吐いたもの達も反省してあなたたちへの感謝を伝えたいと言っています。」
代表者という40歳くらいの男性が話してきた。監督官とかではなく、町の世話役の夫婦という感じの人達だろうか?
「いえ、わかっていただけて何よりでした。ちゃんと治療できたか確認までしたかったのができなくて心残りだったんです。子供達は大丈夫でしたが、他の皆さんは大丈夫でしたか?」
「ええ、それは大丈夫です。怪我をする前よりも体の調子がいいと喜んでいました。さらにかなりの量の食べ物まで寄付いただいてほんとに助かりました。」
どうやらあのあと、車の跡を追って追いかけてきたらしいけど、魔獣が多くなってきたために追いかけるのは断念したようだ。他に行く道もないのでこの道を戻ってくることを期待して途中の町に伝言をお願いし、さらに子供達が見張りをしていたらしい。3ヶ月にもなるが、子供達は休むこともなく毎日朝から晩まで見張りを続けていたようだ。
「お礼についてはまたあとでさせていただくとして、これからお話しすることがあなた方にとって重要なことなのです。」
なにやら深刻そうな顔になった。
「この町のことについて何か変わった印象は受けませんでしたか?」
「ええっと、町の周りの壁や門がかなり頑丈になっている感じがしますね。前はもっと簡易的な造りだったと思うのですが、やはり魔獣に襲われたことが原因なんですか?あと町の入口に掲げている旗は何なのでしょうか?」
門の上に赤と黒の二つの旗のようなものが掲げられているのである。前はあんなものはなかったと思う。
「門などについては前の魔獣のこともあり、強化しました。もちろん魔獣のこともありますが、今はそれ意外にも警備をしなければならない状況となったのです。そして旗については順を追って説明します。」
思った以上に深刻そうな話みたいだな。
「まず数ヶ月前に国の東側の町で反乱が起きたことはご存じですか?」
「ええ、自分たちがまだこちらの町に来る前に反乱が広がっているとか鎮圧されたとか情報が交錯していました。」
「はい、その通りです。そのあとのことについての情報は得られていないと思います。実は反乱はまだ鎮圧されていません。それどころか拡大しています。」
「え?」
「反乱軍、いえ、今は革命軍と呼ばれています勢力は勢いを増し、多くの町の貴族が捕らえられたり殺されたりしている状況なのです。この町にいた貴族の管理官も恐れて逃げていきました。ここでは兵士も少ないためおそらくニンモニアの町に行ったのだと思います。
どうも平民の中で革命を起こそうとした組織があり、その組織が一斉蜂起したようなのです。そして反乱の一部は暴徒と化して町を襲っています。場所によっては貴族に限らず平民も略奪にあっているようなのです。」
「まさか、そんなことになっているとは・・・。」
たしかに反乱は収まっていないような感じだったけど、もう反乱が始まって4ヶ月近くにはなるはずだ。それで収まらなくて広がっていると言うことはかなり本格的に革命のようなことが起きているのかもしれないな。
「田舎のためにあまり情報は入りませんが、かなり革命軍の方が優位という話も聞いています。平民冒険者の多くも革命軍に加わっているようです。大きな町はすでに大規模な戦闘となっているみたいでニンモニアもすでに革命軍に落とされたという話でした。この町からも貴族を倒すと出て行ったもの達もいます。
そして町に掲げている旗ですが、これは貴族がこの町にはいないと言うことを示すためのものなのです。」
「そうなんですね。そういう状況ならもしかしたら革命は成功する流れかもしれませんね。」
「正直なところ、我々にとってはどちらが勝とうがあまり関係ないのです。今よりはいい生活が送れるようになればこれに勝るものはありません。」
こんな状況だと早めにこの国を出た方がいいかもしれないなあ。しばらく混乱も続くと思うしね。
「そしてここからが一番重要な話です。
あなた方二人はこの国の人ではなかったと聞いていますが、爵位を持っているので襲われる可能性が高いのです。もしかしたら途中で身分を確認されることもあるかと思います。そのときにペンダントの提示を求められると思いますが・・・。」
「たしかにそこで黄色のペンダントを出せば貴族として被害を受けるし、奴隷でもないのでペンダントを持っていないのもおかしいと言うことですね。」
「その通りです。出来るだけ早くこの国を出ていかれた方がいいと思うのですが、ここはこの国の外れです。北にある国境まではかなりの日数がかかりますのでその間ずっと誤魔化すことは難しいかと思います。
そこでこういうものを準備しましたのでこれを持っていってください。少しは安全になると思います。」
そう言って出してきたのは上位平民用の赤いペンダントだった。
「え?これは?」
「我々の準備したペンダントです。ペンダントは本物ですのであとは身分証明証で貴族に関わる内容を表示しなければ上位平民として過ごせるはずです。
聞いたところでは褒章による爵位と言うことでしたので、第一職業の冒険者以外は非表示にすることができたと思います。そうすれば正式な魔道具で確認をしない限りはわからないはずです。」
「でもこれがなければこれの持ち主が・・・。」
「それはかまいません。無くなったとしても再発行の方法はありますし、そもそもこんな状況だといくらでも言い訳できます。このくらいでしかお礼が思いつかないですしね。」
「・・・。」
「あと、車での移動は危ないと思います。この国では車に乗っている人は貴族と見なされます。ですので時間がかかると思いますが、歩いての移動を考えた方が良いかと思います。バスは一部ですが動いているという話がありますのでそのあたりをご検討ください。」
「ありがとうございます。いろいろな情報とこのようなことまでしていただいて感謝の言葉しかありません。
なんとか頑張って国から出ようと思いますが、またこの国が落ち着いときにまた寄らせてください。」
「いえ、あなた方のしてもらったことに対してはまだ足りないくらいです。もしこの国に再び訪れることがあればぜひ寄って下さい。その時はちゃんと歓迎しますよ。」
町の人たちから改めてお礼を言われ、みんなに見送られて出発する。せっかくなので魔獣の肉などを渡していくとかなり喜ばれた。良階位の魔獣の肉にはかなり驚かれたけどね。
「まさかこんなことになっているとはね。」
「ほんと。遺跡の調査をしていてよかったのかもしれないわね。そうでなかったら変に巻き込まれていた可能性もあるわ。」
「とりあえずニンモニアに行って状況を確認しよう。」
あたりを警戒しながら東へと延びる道を走っていく。
国の状態が不安定なときは治安も悪くなるので注意しながら走って行かないといけない。まあかなりの速度で走っているので、いきなり襲われるというのもないとは思うけどね。ただやはりこういうときのせいか歩いている人の姿はほとんど見かけない。
3日ほどでなんとかニンモニアの町が見えてきた。町の入口には赤と黒の旗が掲げられているのでこの町はすでに貴族はいないまたは処刑か捕獲されたと言うことだろう。
町の入口に行くと兵士ではなく冒険者のような感じの門番が立っていた。一応ここでも確認作業があるみたいだが、町を出入りする人の数はかなり少ないようだ。もらったペンダントと身分証明証を見せる。
「ヤーマン国民か。せっかくこんなところまで来たのにこんな状況になってすまんな。早いうちに国外に出た方がいいんだが、いまは難しいかもな。できるだけ戦火のないところで時が過ぎるのを待つしか無いかもな。」
「ええ、そのつもりなのですが、とりあえず国境の方へは向かってみようと思っています。ただどうやって行こうかと考えているところです。」
「一応バスは出ていると思うが、役場の方で確認してみてくれ。ある程度落ち着いていると思うので話は聞けるはずだ。」
町は思ったよりも落ち着いている印象だ。建物の状況を見ても本格的な戦闘があったようにも思えない感じなんだよな。とりあえず言われたとおり役場に行ってみよう。そのあと今の情報をできるだけ手に入れないとまずいな。この国で自分たちが貴族と言うことを知っている人間はかなり少ないというのが救いだ。
役場に行ってみると、思ったよりも普通の感じで驚いた。受付とかも普通に行っているし、正直革命が起きたとは思えない印象だ。冒険者用の窓口も普通に稼働している。お昼なので人が少ないので話は十分聞けそうだな。
「すみません。ヤーマンの冒険者なんですが、しばらく魔獣狩りに行っていて今の状況がわからないので少し教えていただいてもいいですか?」
「え・・・と、わ、わかりました。とりあえず簡単な状況を説明しますのでそのあと質問があれば言ってください。ただあまり細かなことは説明できませんのでご了承ください。
でも、また大変なときにやってきていましたね。まだよく分からない事もあるのであくまで参考として聞いて下さい。」
話を聞くと、1ヶ月ほど前にこのニンモニアにも革命軍がやってきたらしい。大きな戦闘は町の郊外で行われたようで、戦闘の間に別働隊がこの町を襲撃してあっさりと町は陥落したようだ。もともと町の中に革命軍が入り込んでいたらしく、平民の冒険者達も革命軍に協力したようだ。
大きな混乱もないまま貴族達は捕虜として捕まり、財産は没収されてしまったらしい。町は革命軍の指揮下に入り、今までと同じ形で運営されているようだ。貴族エリアは現在は封鎖されており、一部の建物に貴族達が収容されているらしい。ある程度落ち着くまでは処刑などは行われないみたいだ。
「ここからヤーマンに戻るにはどうすればいいでしょうか?」
「ヤーマンですか・・・。まずはモクニク国に行くしかありませんが、今のところ国の北東エリアはまだサビオニア軍、えっと従来の国の勢力が支配しているようです。このため国境の町のラルトニアまで行くのはかなり厳しいかもしれません。いくらヤーマン国民であっても平民がその勢力内に入るのは危ないと思われます。途中で戦闘に巻き込まれる可能性もありますしね。
とりあえずオカロニアまでは大丈夫と思いますのでそこまで行ってから状況を確認した方がいいかもしれません。ここよりは新しい情報が入りやすいかと思います。でも途中の安全までは保証できませんよ。
あと、現在国の出入りができなくなっているようですのでたとえ国境の町に着いたとしても素直に通れるとは保証できません。どうもモクニク国側でも入国を制限しているみたいなのです。」
国から出られないというのはつらいな。まあ最悪は隠密と飛翔を使って飛んでいく手もあるけど、そこに行くまでが問題だな。
「移動は歩いて行くしかないのでしょうか?」
「正規のバスの運行は現在止まっています。一応乗り合いのバスのようなものは出ていますが、安全は保証できないというのが正直なところですね。他には貴族が使っていた車を使っての移動となります。」
車を使っている人もいるのか?
「あの、車での移動でも大丈夫なのですか?車は貴族と見なされて攻撃を受けやすいと聞いていたのですが、大丈夫なら自分の持っている車で行きたいと思います。実はヤーマンにいたときに車は所有していたのですがここでは乗れなかったんですよ。」
「ああ、そうなのですね。町の付近ではやめた方が良いかと思いますが、郊外であればまだ大丈夫ではないかと思われます。最初の頃は車は貴族が乗っているものという認識でしたが、ここ最近はその認識がなくなってきていますので、貴族として襲われることは無いと思います。
ただ革命軍の方達も頑張って下さっていますが、魔獣や盗賊などの危険はあるかと思います。良階位の冒険者でしたら大丈夫とは思いますが・・・。」
「わかりました。ありがとうございます。」
とりあえず車で移動は問題ないかな?それだけでもかなり助かるよ。
町の中を歩いてみると、思ったよりも混乱もないし、商売も普通に行われている感じだ。商品についても前と比べても減った感じもないので特に物流が止まったというわけでもなさそう。
少し買い物をしながら店の人にいろいろ聞いていくが、今のところ特に混乱は無いらしい。商品の仕入れについても今のところ問題は起きていないようだ。貴族が営業を行うことができなくなっているけど、いくつかの商会は末端の運営は行っているみたいで物流は止まっていないようだ。
正直なところどっちでもいいから早く落ち着いてほしいというのが本音のようだ。というのも革命軍が勝ったとしても支配する人間が変わるだけで貴族社会が変わるとは思っていないみたい。ただ町の若者達はこれを機に成り上がると言って革命軍に入ったものも結構いたらしい。まあ戦争は成り上がりのチャンスではあるからね。
しかし今回思ったのは革命軍が思った以上にちゃんとした組織だと言うことだ。装備などはかなりちぐはぐだけど、ある程度組織だっての行動というのはわかる。革命軍の中枢はかなりしっかりと統制されているってことだろうな。
少なくとも各地域にある程度の人材を派遣していると思っていいだろう。この町も制圧されて1ヶ月で普通の生活が送れるようになっているくらいだしね。
戦争は勝つよりもその後の統治の方が大変だからなあ。おそらく経済などの動向についてもちゃんと理解しているのだろう。かなり前から準備されていたんだろうね。それに大きな商会のいくつかは事前に革命軍側に付いていたのかもしれないね。でなければこんなに物流がうまく流れていないよな。
それから車で移動ができたおかげで予定通りオカロニアに着いたんだけど、この町はかなりおちついた感じだった。途中の町も通り過ぎただけだけだけど、普段と変わらない様子だったので、大きな混乱は起きていないのかもしれない。とりあえず町に入ってみようと入口に並んでから、近くの人に話を聞いて見る。
どうもこの町は混乱の初期の頃に革命軍が鎮圧したこともあり、すでにかなりの日数が経過しているみたいで、現在はこの町が革命軍の活動の中心となっているらしい。まあここからだと国全体に行きやすいからわかるけどね。でも最初の反乱は東の方の町で起きたのにこっちが中心と言うことはやっぱり・・・。
すでに経済活動が安定しているせいか並んでいる人も多いせいで入るまでに時間がかかりそうだ。ただ人もそれなりにいるけど、どちらかというと入口での確認作業に時間がかかっている印象だ。列の動きが遅いからね。ちなみに貴族用の入口は閉鎖されているみたい。
列に並んでいると、近くを通りかかった人から声をかけられる。
「あれ?ジュンイチさんとジェニファーさんじゃないか?」
以前この町の近くで知り合った商人のハクさんだった。まずいな・・・彼は自分たちが貴族だったことを知っているんだよなあ。
「人違いではないですか?」
「この場で貴族と言うことをばらされたくなかったら黙って着いてきな。」
一応言ってみるが、だめだったみたい。小さな声でこう言われては素直に従うしかないか。ここでばらしたいわけではなさそうだし、変なことをしようという気もないと思う。
ここの門番には顔が利くといって正規の門の脇で簡単なチェックをしただけで通してもらうことができた。門を抜けた後、彼の商会というところに案内される。
町の中心近くにある結構大きな建物で、店にやって来ている人も多い。店は革命前からここにあった店みたいで結構な人気店だったようだ。たしかこの町に寄った時に少し店を覗いていった記憶がある。
彼と会ったのは前にオカロニアに寄ったすぐ後のことだ。まさかこんなところで再会するとは思っていなかった。商会の運営者と言う感じだったから貴族だと思っていたんだけど、他の国の貴族だったんだろうか?
~~ジュンイチの回想~~
北の遺跡を出発してから南に向かっていた際、オカロニアを出発して2日ほど走ったところで前方に強い魔獣の存在を確認した。
「ジェン!前にかなり強い魔獣の気配がする。魔素の強さから考えると優階位の魔獣じゃないか?」
「ええ、間違いなく優階位みたいね。」
「こんなメインの街道に優階位の魔獣がでてくるとかまずくないか?」
「そうよねえ。とりあえず私達じゃ討伐は無理だからオカロニアに戻って連絡する?」
さすがに近寄れないと思ったんだけど、その魔獣はどうやら戦闘中のようだ。
「なんか戦闘中みたいだな。手助けした方がいいのかもしれないけど、さすがに優階位の魔獣だと自分たちは手助けになるのか?単に邪魔になるようだったら余計な手助けをしてもしょうが無いよな。」
「とりあえず近くまで行って状況を確認してからにしたらどう?何かあっても逃げることは出来ると思うわ。」
車を収納してから走って近くに行くと、優階位の突猪が2体襲いかかっているようだ。戦っているのは良~優階位くらいか?ただ数人が地面に倒れているのでもうやられてしまった人もいるのかもしれない。
「奇襲をかければ何とかなると思うから、攻撃の後は離脱しよう。
ジェンは右のやつをお願い。自分は左のやつを攻撃する。隠密を使って、魔力が貯まったところで一気に近づいて攻撃するよ。」
「わかったわ。」
この距離からでも攻撃することはできるが、距離が近い方が威力が大きいこと、ここからだと避けられる可能性が大きいことからできるだけ近くから攻撃した方がいい。
精神を集中して魔力をためていく。思ったよりも時間が長く感じるが、ここで焦ってはダメだ。限界近くまで魔力をためたところでジェンの方を見るとうなずいてくれた。
「行くよ!!」
一気に魔獣との距離を詰めて渾身の火矢をぶち込む。ジェンは水弾だ。隠密の魔道具まで付けていたので認識が遅れたのか、魔力を込めた火矢は魔獣の首筋に突き刺さった。ジェンの方も水弾が顔に命中して顔が半分へしゃげた状態になっていた。
「勝手ながら手助けします!!」
一瞬何が起きたのかわからなかった護衛達もすぐに対応して、一緒に魔獣に斬りかかりとどめを刺した。さすがにあそこまでのダメージを与えることができれば大分楽だったようだ。うまく奇襲できれば優階位の魔獣もなんとかなるかもしれないね。
「危なそうだったので手助けしただけなのであとの処理はお任せしますね。」
また変な疑いをかけられてもいやなのですぐに立ち去ろうと思ったんだけど、車の陰にいた男が大きな声を上げる。
「このまま立ち去るなら優階位の魔獣をけしかけた犯人として手配するぞ!」
「なっ!!さすがに助けてもらったのにそれはないだろう!!」
さすがに言い返すと、少し笑ってこちらに声をかけてきた。
「さすがにお礼くらい言わせろよ。犯人の心当たりはあるからお前達を疑ったりはしてないからよ。」
そう言われてはそのまま立ち去るのも悪いと思い、簡単な天幕にテーブルを出してくれたので少し話をしていくことにした。
彼はハクという名前でこの国で商売をしている人だった。どうやら移動途中で魔獣にいきなり襲いかかられたらしく、その車に乗っていた3人のうち一人が車から投げ出されて亡くなってしまったようだ。残り二人は治癒薬でなんとか回復したみたい。
車は横転していたが、駆動部分は無事だったみたいでなんとかなるようだが、修理するのに少し時間がかかるようなので、修理が終わるまでくらいは話をしようと言うことになった。
今回の魔獣はおそらく競合している商会の仕業だろうと言うことだった。しかし優階位の魔獣をけしかけてくるとは思っていなかったようだ。おそらくどこからかこの付近まで魔獣を連れてきていたのだろう。生きたまま捕まえるなんてかなりのリスクが大きいのによくやったものだ。
近くにそのような気配はなかったので魔獣をけしかけた後はすぐに立ち去ったのだろう。まあ近くにいて被害を受けてもまずいからね。しかし討伐されなかった場合、この魔獣はどうするつもりだったんだろう?
自分たちはヤーマンから来た冒険者で遺跡の調査を行っているというとかなり驚いていた。さすがに車を持っていることがわかったみたいだったので一応爵位を持っていることを伝えるしかなかった。
修理が終わったところで彼と別れることとなったが、何かあれば連絡をくれと連絡先だけは教えてもらえた。オカロニアに商会があるみたいなので、帰りに機会があれば寄ることにしよう。
~~~~~
商会の中の部屋に案内されるがさすがに警戒しなければならない。前に話したときの感じでは変なことをするとは思えないんだけどね。向こうも変に疑われたくないせいか、オープンスペースのような感じのところに通された。まあ防音処理はされているとは思うけどね。
「すまなかったな、あそこであまり長々話するわけにもいかなかったし、お前達も下手なことはしゃべられなかっただろう。でもどうやってそのペンダントを手に入れたのかは興味があるな?平民から奪ったのか?」
「そんなことはしていないですよ。ただこれを用意してくれた人のことはその人達の迷惑になるので言えません。」
「ふふ、まあいいさ。短い時間だったが、そんなことをする人間だとは思ってないよ。」
「なんの目的で自分たちを案内したのでしょうか?別に知っている人だからと言っても声をかける必要は無かったでしょう?」
「そこまでたいした目的はないさ。単に知った顔がいたから声をかけただけさ。」
ここに誘った目的は何なんだろう?とりあえずジェンとは今回の革命のことについて話もしているし、こういう交渉事はジェンにお願いしているからな。ジェンの方を見るとうなずいてくれた。
「ハクさんは革命軍の中では結構な地位を持っているのですか?爵位を持っていましたよね?それなのに革命軍に顔が利くというのは何かあるのですか?」
「まあ爵位はあるが、この国の貴族じゃなかったんでね。商売をしているといろいろとな。こう見えても顔は広いんだ。」
「先に断っておきますが、私たちは今回の革命について直接的にどちらかの味方をするつもりはありません。目の前に困っている人がいるなら助けることもあるかと思いますが、戦いに直接参加することはありません。」
「まだ何も言っていないのに先に断りを入れてくるか・・・。まあそこまで固執しているわけではないんだがな。優階位の魔獣を倒したときの能力が気になって、紹介できればと思っただけさ。」
単に革命軍への誘いだったのか?
「せっかくなのでこちらから少しお願いがあるのですが、それを聞いてもらうことはできますか?」
「内容次第だな。」
「この国を出るための許可証を出していただきたいのです。今は国から出るのは難しいようですが、許可証さえあれば通ることができるのでしょう?」
貴族ということもあるのでできれば早めにこの国を出ておきたいのが本音だ。別に出られないならどこかで拠点を決めて狩りをしながら決着が着くのを待つという手もあるけど、いつになるかもわからないからなあ。下手したら半年とかもっとかる可能性もある。ただそれ以外にもこの国のことを考えると話しておきたいことがあるんだよな。
「おいおい、モクニク国の許可証はこっちの国の都合だけでなく、モクニク国の都合もあるから簡単には下りないぞ。それ以前に俺にそんな権限があるわけはないだろう。」
「いえ、モクニク国への許可証ではなく、タイカン国への許可証です。それだったらなんとかなるんじゃないですか?」
「・・・どういうことだ?ここからタイカン国へ行くのは山を越えていくしかないが、いくら夏とは言え山越えはやめておいた方がいいぞ。しかも許可証の発行なんて俺ができるわけ無いだろう。」
周りの護衛と思われる人達の雰囲気が変わった。殺気と言うわけではないんだが、緊張しているという感じだ。
「ここまで来たらごまかさなくても大丈夫ですよ。あなたの商会はタイカン国との交易品を扱っているんでしょ。そして別に山を越えなくても通れるルートがあれば季節に関係なく行き来はできるでしょう。
前にお会いしたときに、あなたたちがタイカン国に関係があることは把握していますし、今回それを証明できる資料が見つかったので納得できたんです。
”古代遺跡の通路”を発見したんでしょ?」
さすがにハクさんの表情が少し変わった。
「証明できる資料というのは何のことだ?」
「私たちが遺跡の調査をするためにこの国に来たという話はしましたよね。そして遺跡の調査の中でこの大陸の中央を抜ける通路について書かれた資料を見つけました。その位置がこのオカロニアの西だったのでそこを使っているのだと思ったのです。
あなた方と初めて会ったときに、色々と会話をしましたよね?そのときに他の人とも少し話をしたんですが、多くの人がタイカン語を理解していました。会話の中で使っていたので気がつかれなかったかもしれませんが、おかしいと思っていたんです。」
「会ったときから違和感があったって訳か。まさかそんなところで疑っていたとは思わなかったよ。正直驚きだ。」
「もう一つ確信はありませんが理由があります。それがあなた方を信用する理由でもあります。」
「ほう。聞いてもいいのか?」
「タイラス・チャクシー。
そしてチャクシー商会のあなたならタイカン国への顔が利き、入国許可証を発行することはできるのではないでしょうか?」
ハクさんは手を上げて笑い出した。
「恐れ入ったよ。今までもいろいろと商売については疑われたことはあった。ただあの山を越えての商売というものがかなり難しい、割に合わないという認識のおかげでごまかせていたんだがな。
そしてその名前を知っているとは驚きだ。すべての公式の記録からは消されてしまったと思ったんだがな。他国でもちゃんとした話はほとんど記録にないはずだ。どこでその話を知ったんだか・・・。その口ぶりからすると、依頼書のことも気がついているんだろうな。
ただ許可証を用意するのは別の話だ。用意することで俺たちに何のメリットがあるんだ?今更このルートがばれてもたいして痛くはないさ。革命が成功したらこのルートは世間に公表するつもりだったからな。」
「ええ、もちろんその対価は考えていますよ。
おそらく今回の革命の援助の対価としてこの国の鉱物などの権利を差し出しているのでしょう?たとえ国力が落ちるとしても革命を成功させるにはどこかの国に援助をしてもらわなければうまくいくはずがないですからね。
そしてその代替えとなり得る話をお渡しすることができますが、いかがでしょう?」
「それはこの場で話してくれるのか?」
「ええ、詳細は私たちの要望を受けてくれた後と言うことになりますけどね。」
「わかった、一応話を聞こう。でもいいのか?ここまで話したら俺たちが拷問してでもその情報を得ようとするとは思わなかったのか?」
「あの英雄を尊敬していると言うあなたたちがそんなことをするとも思えません。それに最終的な利益を考えると通行許可証くらいは安いものだと考えるでしょう?そもそも私達を拷問したとしてもその利益を得ることは出来ませんしね。」
「彼を英雄というか・・・。まあそうだな。そこまで自信のあるものなのか?」
「ええ・・・。
先ほど言いましたよね。古代遺跡でこの大陸の中央の山脈を抜ける通路を示したものを発見したと。その通路は一つとは限りませんよね?」
「まさか・・・。」
「ええ、資料によると他にもルートがありました。もちろん遺跡がちゃんと使えるかどうかはわかりませんが、可能性は高いのではないかと思っています。その一つはタイカン国東部からモクニク国南部へと抜けるルートです。現在の輸送ルートを考えると、タイカン国にとってはかなり有益な話になると思いますよ。
もちろんこの話だけで私たちの力を借りずに遺跡を探すことはできるかもしれませんが、どのくらい時間がかかるかはわかりません。
もちろん許可がもらえないと言うことであればこの話はなかったことでかまいません。その場合は諦めてこの国に留まることでもいいですし、国を出るには他にも方法はありますので・・・。
ただ今の話は今後のこの国にとってはかなり大きな変換点になると思いますよ。」
「・・・わかった。少し考えさせてくれ。」
「ええ、さすがにあなたの一存では決められないと思いますのでご検討よろしくお願いします。しばらくはこの町に滞在しますので連絡をいただければと思います。」
さすがに交渉に関してはジェンに任せて良かったよ。自分だったらどういう風に話していいか分からなかったからな。
そのあとも少し情報交換を行い、商会を出る。
「あ~~~、よかった。緊張したわ。」
結構堂々としていたけどさすがに緊張していたようだ。店を出てから予想通り監視はつけられているみたいだけどまあそのくらいは仕方が無いだろう。
前に泊まった宿にチェックインしてから夕食を食べに行く。正直前の時よりも町の雰囲気が良くなっているのはいいことだ。食べ物も美味しくなっているしね。たしかタイカン国は農業国だったから食材については十分な量があるのだろう。おそらく余剰な農作物は輸出して外貨を稼ぎたいはずだ。
まさかヤーマン王家の秘蔵の書籍がここで役立つとは思わなかったな。普通の本にはほとんど載っていなかったし、載っていても反乱の一言で終わらせられていたからね。
ヤーマン国ではこの反乱についてちゃんと調査は行われていたみたいで詳細が書かれていたのだ。そのおかげでいろいろと確認することができたのでかなり助かったよ。ただ貴族社会が多いこの世界ではいろいろと国の関係もあってあまり表に出せないことだったんだろうな。
宿でも監視が付いているみたいだけど、のぞきに来るまではしていないようだ。まあさすがにそこまではできないだろうし、こちらの実力もある程度わかっているだろうからね。だけどやっぱり気になるので視界と音は遮断することにしたよ。見られながらするような趣味はないし、他の人に見せたくもないからね。
翌日はいろいろと町を見て回った。以前に比べて町に活気がある印象だ。町の管理者が変わったとしても普通の人達には大きな影響はないのだろう。その日の夜遅くになって明日の朝一で商会に来てほしいとの連絡が入った。
翌日の1時になったところで商会に行くと、すぐに前と同じ場所に案内された。そこにはハクさんの他に強面の男性が座っているんだけど、こっちをにらんできてちょっと怖い。冒険者かもしれないけど、実力的に優階位は十分にありそうな感じだ。自分たちを抑えるために用意したと言うことはないと信じたい。まあその場合は全力で逃げるけどね。
「おはよう。こっちにいるのは同士のカルバトスという。見た目は怖いが根はいいやつなので気にしないでくれ。今回一緒に話を聞きたいというので同席してもらうことになった。」
まあそう言われたら同席を断るわけにもいかないよな。
「「はじめまして。」」
「さっそく本題に入ろう。関係者と連絡を取り、入国許可証のことについて話をしたんだが、結論から言うと許可証を発行することになった。」
おお~~、よかった。
「ありがとうございます。」
「事前に話をしていたとおり、まずはタイカン国への出国を行い、そこで現在持っている情報を提出してもらう。そのあとそっちで遺跡の確認をしてから俺たちに追加情報を提供するという流れでいいんだよな。」
「はい、それで問題ありません。」
「わかった。許可証はお前達2名分でいいんだよな?」
「あ、あの、できれば一緒に出国させたい人達がいるのでその人達の分も用意してもらうことはできますか?」
「まあ数名くらいならなんとかするがどういう人間だ?」
「この国の貴族なんですが、かなりの善政を敷いて領民に慕われていた人で、数年後には他国に移ろうと考えていた家族なんです。もし今回の政変でひどい目に遭ってしまったらさすがにかわいそうだと思っていまして・・・。」
二人でいろいろと説明していると横に座っていたカルバトスさんが口を開いた。
「素性は隠しているが、もしかしてハーマン領の貴族のことじゃないのか?」
「え・・・えぇ。そうなんですが・・・。」
「あそこの領主は俺も会ったことがある。一度魔獣の討伐依頼を受けてそこに行ったんだが、平民冒険者の俺たちだったのにわざわざ来てくれたと歓待してくれた貴族だ。冒険者時代の話で盛り上がってな、いろいろとよくしてくれたんだよ。領民にもかなり慕われているところだったな。」
「カルバトスがそこまで言うのなら変な人間ではないのだろう。まあ準備はしてやってもいいが、まだ無事かどうかが問題だな。」
「ええ、それで今からハーマンまで行ってみようと思っています。それで往復で10日くらいと思うのですが、その間待ってもらうことはできますか?」
「わかった。どっちにしろ許可証の準備にも少し時間がかかるからな。もしこっちに戻ってきたときに俺がいなくても話が通るようにしておくから心配するな。」
ずっと気になっていた彼らのことも許可が下りるようでほっとした。
「でも自分たちで言っておいて何ですが、よく許可が下りましたね。」
「まあな。しかしこの革命でこの国が生まれ変わっても国力が無ければ結局やっていけない。今回の話が本当ならかなりの交渉材料となるからな。
正直なところ入国許可証くらいでは釣り合わないくらいなのにそんなものと引き換えでいいのか、だまされているんじゃないのかと逆にそこを疑われたさ。」
「まあそうでしょうね。でも自分たちにとっては必要の無いものですし、この国の人達のことを考えるとそれが一番いいのかなと思ったんですよ。
別に革命のことについては反論もありませんし、この国のことなのでそれを否定もしません。もちろん血を流さずに革命ができれば一番いいのでしょうけど、そこまで理想主義者でもありません。この国はかなり病んでいるのはこの目でも見ましたので国が変わるというのはいいことかもしれないと思っています。
タイカン国が後押ししてこの国の革命が進んだとしても、この国の人間が望むのであればそれはそれで仕方が無いことでしょう。他の国のように貴族社会が残る方法はいくらでもあったのに、この国が政策を失敗したのも間違いないことでしょうからね。」
「ああ、その通りだ。この国は生まれ変わらないといけない。そのために血が流れるのは仕方が無いと考えている。もちろん無駄な血を流す必要ないとは思っているがな。」
「でも、これだけは言わせてください。きれい事だけでは世の中は変わらないことは理解しています。でも市井の人達が少しでも今よりも良い生活ができるように尽力してください。上が変わっても結局生活が変わらなければ革命の意味がありません。」
「ああ、そのために俺たちは革命を起こしたんだ。今より悪くなっては本末転倒だ。その言葉忘れないように頑張るさ。」
約束は取り付けたのでまずはハーマン領に行くのが先決だな。すでに戦闘地域は王都周辺まで進んでいるようなので、ハーマン領まではおそらく大丈夫と言うことだったのですぐに出発することにした。
遺跡を出発してからしばらく走って移動した後、車に乗り換えて東へと進む。途中の町は通り過ぎてからタニアの町が近づいてきたんだけど、町に寄っていくか悩むところだ。
「どうする?そろそろタニアの町に着くけど・・・。」
「やっぱり治療した人達の状態が気になるのよね。たぶん誤解は解けて大丈夫だと思うけどちょっと心配ではあるわね。」
ちゃんと誤解が解けていればいいんだが、もしそのまま貴族への反抗心があおられたままだと怖いことになりかねないんだよなあ。そう思って走っていると、道の前に子供達が飛び出してきた。
「あぶなっ!!!」
まだ距離があったから良かったけど、車の前に飛び出すのはやめてくれ。
子供達が車の周りを囲んでしまったので動けないでいると、子供達が声をかけてきた。
「お兄ちゃん!お姉ちゃん!私のこと覚えてる?前は治療してくれてありがとう!!」
あれ、この子は確か顔にひどい傷を負った子供だったかな?隣の子供は足を怪我した子供だったような気もする。5人ほど子供達がいるんだが、全員が治療をした子供達か?
「この子達治療をした子供達だよね?お礼を言いたくて待っていたのかな?」
車を降りて子供達と話をすると、特に後遺症も無かったようだ。良かった、治療は成功していたみたいだ。
「よく自分たちだってわかったね?」
「治療しているときに必死に励ましてくれていたでしょ?体が動かなかったけど、神様が来たかと思って見ていたの。でも治療の後で起きたらいなくなっていたのでほんとに神様だったのかと思っちゃった。」
しばらく子供達と話していると、町から大勢の人達が近づいてきているのを察知する。これはまずいか?
「ジェン、やばそうな気もするから行くよ!!」
「えぇ!!」
「良くなっていてよかったよ。お礼はうれしかった!お兄ちゃん達は行くね!」
車は子供達に囲まれているので車を収納してから子供達の輪から飛び出して走って行こうとすると、やってきている人達が大きな声を上げてきた。
「待ってください!!お礼を言いたくてずっと待っていたんです!!」
何事かと思って振り返ると、みんなが膝をついて頭を下げていた。えっと、これは誤解が解けたと言うことなのかな?
「警戒はした方がいいけど、とりあえず話だけでも聞いて見るか?」
「そうね。今のところ悪意は感じないわ。」
向こうも警戒しているのがわかったのか、あのときのシスターが前に出てきて話をしてきた。
「あのときは申し訳ありませんでした。あのあと町の人達の誤解は解いておきました。みなさんもどうしてもお礼が言いたくて、ずっと待っていたです。お願いします、一度町に寄っていただけないでしょうか?あと他にも話しておかなければならないことがあるのです。」
さすがに町に入るのは怖かったので町のはずれで話をすることとなった。町の人達は中に戻ってもらい、この町の代表者という2名とあのときのシスターの3名で話すことになった。
「あのときはせっかく助けていただいたのに、勘違いから追い出すようなことをして申し訳ありません。暴言を吐いたもの達も反省してあなたたちへの感謝を伝えたいと言っています。」
代表者という40歳くらいの男性が話してきた。監督官とかではなく、町の世話役の夫婦という感じの人達だろうか?
「いえ、わかっていただけて何よりでした。ちゃんと治療できたか確認までしたかったのができなくて心残りだったんです。子供達は大丈夫でしたが、他の皆さんは大丈夫でしたか?」
「ええ、それは大丈夫です。怪我をする前よりも体の調子がいいと喜んでいました。さらにかなりの量の食べ物まで寄付いただいてほんとに助かりました。」
どうやらあのあと、車の跡を追って追いかけてきたらしいけど、魔獣が多くなってきたために追いかけるのは断念したようだ。他に行く道もないのでこの道を戻ってくることを期待して途中の町に伝言をお願いし、さらに子供達が見張りをしていたらしい。3ヶ月にもなるが、子供達は休むこともなく毎日朝から晩まで見張りを続けていたようだ。
「お礼についてはまたあとでさせていただくとして、これからお話しすることがあなた方にとって重要なことなのです。」
なにやら深刻そうな顔になった。
「この町のことについて何か変わった印象は受けませんでしたか?」
「ええっと、町の周りの壁や門がかなり頑丈になっている感じがしますね。前はもっと簡易的な造りだったと思うのですが、やはり魔獣に襲われたことが原因なんですか?あと町の入口に掲げている旗は何なのでしょうか?」
門の上に赤と黒の二つの旗のようなものが掲げられているのである。前はあんなものはなかったと思う。
「門などについては前の魔獣のこともあり、強化しました。もちろん魔獣のこともありますが、今はそれ意外にも警備をしなければならない状況となったのです。そして旗については順を追って説明します。」
思った以上に深刻そうな話みたいだな。
「まず数ヶ月前に国の東側の町で反乱が起きたことはご存じですか?」
「ええ、自分たちがまだこちらの町に来る前に反乱が広がっているとか鎮圧されたとか情報が交錯していました。」
「はい、その通りです。そのあとのことについての情報は得られていないと思います。実は反乱はまだ鎮圧されていません。それどころか拡大しています。」
「え?」
「反乱軍、いえ、今は革命軍と呼ばれています勢力は勢いを増し、多くの町の貴族が捕らえられたり殺されたりしている状況なのです。この町にいた貴族の管理官も恐れて逃げていきました。ここでは兵士も少ないためおそらくニンモニアの町に行ったのだと思います。
どうも平民の中で革命を起こそうとした組織があり、その組織が一斉蜂起したようなのです。そして反乱の一部は暴徒と化して町を襲っています。場所によっては貴族に限らず平民も略奪にあっているようなのです。」
「まさか、そんなことになっているとは・・・。」
たしかに反乱は収まっていないような感じだったけど、もう反乱が始まって4ヶ月近くにはなるはずだ。それで収まらなくて広がっていると言うことはかなり本格的に革命のようなことが起きているのかもしれないな。
「田舎のためにあまり情報は入りませんが、かなり革命軍の方が優位という話も聞いています。平民冒険者の多くも革命軍に加わっているようです。大きな町はすでに大規模な戦闘となっているみたいでニンモニアもすでに革命軍に落とされたという話でした。この町からも貴族を倒すと出て行ったもの達もいます。
そして町に掲げている旗ですが、これは貴族がこの町にはいないと言うことを示すためのものなのです。」
「そうなんですね。そういう状況ならもしかしたら革命は成功する流れかもしれませんね。」
「正直なところ、我々にとってはどちらが勝とうがあまり関係ないのです。今よりはいい生活が送れるようになればこれに勝るものはありません。」
こんな状況だと早めにこの国を出た方がいいかもしれないなあ。しばらく混乱も続くと思うしね。
「そしてここからが一番重要な話です。
あなた方二人はこの国の人ではなかったと聞いていますが、爵位を持っているので襲われる可能性が高いのです。もしかしたら途中で身分を確認されることもあるかと思います。そのときにペンダントの提示を求められると思いますが・・・。」
「たしかにそこで黄色のペンダントを出せば貴族として被害を受けるし、奴隷でもないのでペンダントを持っていないのもおかしいと言うことですね。」
「その通りです。出来るだけ早くこの国を出ていかれた方がいいと思うのですが、ここはこの国の外れです。北にある国境まではかなりの日数がかかりますのでその間ずっと誤魔化すことは難しいかと思います。
そこでこういうものを準備しましたのでこれを持っていってください。少しは安全になると思います。」
そう言って出してきたのは上位平民用の赤いペンダントだった。
「え?これは?」
「我々の準備したペンダントです。ペンダントは本物ですのであとは身分証明証で貴族に関わる内容を表示しなければ上位平民として過ごせるはずです。
聞いたところでは褒章による爵位と言うことでしたので、第一職業の冒険者以外は非表示にすることができたと思います。そうすれば正式な魔道具で確認をしない限りはわからないはずです。」
「でもこれがなければこれの持ち主が・・・。」
「それはかまいません。無くなったとしても再発行の方法はありますし、そもそもこんな状況だといくらでも言い訳できます。このくらいでしかお礼が思いつかないですしね。」
「・・・。」
「あと、車での移動は危ないと思います。この国では車に乗っている人は貴族と見なされます。ですので時間がかかると思いますが、歩いての移動を考えた方が良いかと思います。バスは一部ですが動いているという話がありますのでそのあたりをご検討ください。」
「ありがとうございます。いろいろな情報とこのようなことまでしていただいて感謝の言葉しかありません。
なんとか頑張って国から出ようと思いますが、またこの国が落ち着いときにまた寄らせてください。」
「いえ、あなた方のしてもらったことに対してはまだ足りないくらいです。もしこの国に再び訪れることがあればぜひ寄って下さい。その時はちゃんと歓迎しますよ。」
町の人たちから改めてお礼を言われ、みんなに見送られて出発する。せっかくなので魔獣の肉などを渡していくとかなり喜ばれた。良階位の魔獣の肉にはかなり驚かれたけどね。
「まさかこんなことになっているとはね。」
「ほんと。遺跡の調査をしていてよかったのかもしれないわね。そうでなかったら変に巻き込まれていた可能性もあるわ。」
「とりあえずニンモニアに行って状況を確認しよう。」
あたりを警戒しながら東へと延びる道を走っていく。
国の状態が不安定なときは治安も悪くなるので注意しながら走って行かないといけない。まあかなりの速度で走っているので、いきなり襲われるというのもないとは思うけどね。ただやはりこういうときのせいか歩いている人の姿はほとんど見かけない。
3日ほどでなんとかニンモニアの町が見えてきた。町の入口には赤と黒の旗が掲げられているのでこの町はすでに貴族はいないまたは処刑か捕獲されたと言うことだろう。
町の入口に行くと兵士ではなく冒険者のような感じの門番が立っていた。一応ここでも確認作業があるみたいだが、町を出入りする人の数はかなり少ないようだ。もらったペンダントと身分証明証を見せる。
「ヤーマン国民か。せっかくこんなところまで来たのにこんな状況になってすまんな。早いうちに国外に出た方がいいんだが、いまは難しいかもな。できるだけ戦火のないところで時が過ぎるのを待つしか無いかもな。」
「ええ、そのつもりなのですが、とりあえず国境の方へは向かってみようと思っています。ただどうやって行こうかと考えているところです。」
「一応バスは出ていると思うが、役場の方で確認してみてくれ。ある程度落ち着いていると思うので話は聞けるはずだ。」
町は思ったよりも落ち着いている印象だ。建物の状況を見ても本格的な戦闘があったようにも思えない感じなんだよな。とりあえず言われたとおり役場に行ってみよう。そのあと今の情報をできるだけ手に入れないとまずいな。この国で自分たちが貴族と言うことを知っている人間はかなり少ないというのが救いだ。
役場に行ってみると、思ったよりも普通の感じで驚いた。受付とかも普通に行っているし、正直革命が起きたとは思えない印象だ。冒険者用の窓口も普通に稼働している。お昼なので人が少ないので話は十分聞けそうだな。
「すみません。ヤーマンの冒険者なんですが、しばらく魔獣狩りに行っていて今の状況がわからないので少し教えていただいてもいいですか?」
「え・・・と、わ、わかりました。とりあえず簡単な状況を説明しますのでそのあと質問があれば言ってください。ただあまり細かなことは説明できませんのでご了承ください。
でも、また大変なときにやってきていましたね。まだよく分からない事もあるのであくまで参考として聞いて下さい。」
話を聞くと、1ヶ月ほど前にこのニンモニアにも革命軍がやってきたらしい。大きな戦闘は町の郊外で行われたようで、戦闘の間に別働隊がこの町を襲撃してあっさりと町は陥落したようだ。もともと町の中に革命軍が入り込んでいたらしく、平民の冒険者達も革命軍に協力したようだ。
大きな混乱もないまま貴族達は捕虜として捕まり、財産は没収されてしまったらしい。町は革命軍の指揮下に入り、今までと同じ形で運営されているようだ。貴族エリアは現在は封鎖されており、一部の建物に貴族達が収容されているらしい。ある程度落ち着くまでは処刑などは行われないみたいだ。
「ここからヤーマンに戻るにはどうすればいいでしょうか?」
「ヤーマンですか・・・。まずはモクニク国に行くしかありませんが、今のところ国の北東エリアはまだサビオニア軍、えっと従来の国の勢力が支配しているようです。このため国境の町のラルトニアまで行くのはかなり厳しいかもしれません。いくらヤーマン国民であっても平民がその勢力内に入るのは危ないと思われます。途中で戦闘に巻き込まれる可能性もありますしね。
とりあえずオカロニアまでは大丈夫と思いますのでそこまで行ってから状況を確認した方がいいかもしれません。ここよりは新しい情報が入りやすいかと思います。でも途中の安全までは保証できませんよ。
あと、現在国の出入りができなくなっているようですのでたとえ国境の町に着いたとしても素直に通れるとは保証できません。どうもモクニク国側でも入国を制限しているみたいなのです。」
国から出られないというのはつらいな。まあ最悪は隠密と飛翔を使って飛んでいく手もあるけど、そこに行くまでが問題だな。
「移動は歩いて行くしかないのでしょうか?」
「正規のバスの運行は現在止まっています。一応乗り合いのバスのようなものは出ていますが、安全は保証できないというのが正直なところですね。他には貴族が使っていた車を使っての移動となります。」
車を使っている人もいるのか?
「あの、車での移動でも大丈夫なのですか?車は貴族と見なされて攻撃を受けやすいと聞いていたのですが、大丈夫なら自分の持っている車で行きたいと思います。実はヤーマンにいたときに車は所有していたのですがここでは乗れなかったんですよ。」
「ああ、そうなのですね。町の付近ではやめた方が良いかと思いますが、郊外であればまだ大丈夫ではないかと思われます。最初の頃は車は貴族が乗っているものという認識でしたが、ここ最近はその認識がなくなってきていますので、貴族として襲われることは無いと思います。
ただ革命軍の方達も頑張って下さっていますが、魔獣や盗賊などの危険はあるかと思います。良階位の冒険者でしたら大丈夫とは思いますが・・・。」
「わかりました。ありがとうございます。」
とりあえず車で移動は問題ないかな?それだけでもかなり助かるよ。
町の中を歩いてみると、思ったよりも混乱もないし、商売も普通に行われている感じだ。商品についても前と比べても減った感じもないので特に物流が止まったというわけでもなさそう。
少し買い物をしながら店の人にいろいろ聞いていくが、今のところ特に混乱は無いらしい。商品の仕入れについても今のところ問題は起きていないようだ。貴族が営業を行うことができなくなっているけど、いくつかの商会は末端の運営は行っているみたいで物流は止まっていないようだ。
正直なところどっちでもいいから早く落ち着いてほしいというのが本音のようだ。というのも革命軍が勝ったとしても支配する人間が変わるだけで貴族社会が変わるとは思っていないみたい。ただ町の若者達はこれを機に成り上がると言って革命軍に入ったものも結構いたらしい。まあ戦争は成り上がりのチャンスではあるからね。
しかし今回思ったのは革命軍が思った以上にちゃんとした組織だと言うことだ。装備などはかなりちぐはぐだけど、ある程度組織だっての行動というのはわかる。革命軍の中枢はかなりしっかりと統制されているってことだろうな。
少なくとも各地域にある程度の人材を派遣していると思っていいだろう。この町も制圧されて1ヶ月で普通の生活が送れるようになっているくらいだしね。
戦争は勝つよりもその後の統治の方が大変だからなあ。おそらく経済などの動向についてもちゃんと理解しているのだろう。かなり前から準備されていたんだろうね。それに大きな商会のいくつかは事前に革命軍側に付いていたのかもしれないね。でなければこんなに物流がうまく流れていないよな。
それから車で移動ができたおかげで予定通りオカロニアに着いたんだけど、この町はかなりおちついた感じだった。途中の町も通り過ぎただけだけだけど、普段と変わらない様子だったので、大きな混乱は起きていないのかもしれない。とりあえず町に入ってみようと入口に並んでから、近くの人に話を聞いて見る。
どうもこの町は混乱の初期の頃に革命軍が鎮圧したこともあり、すでにかなりの日数が経過しているみたいで、現在はこの町が革命軍の活動の中心となっているらしい。まあここからだと国全体に行きやすいからわかるけどね。でも最初の反乱は東の方の町で起きたのにこっちが中心と言うことはやっぱり・・・。
すでに経済活動が安定しているせいか並んでいる人も多いせいで入るまでに時間がかかりそうだ。ただ人もそれなりにいるけど、どちらかというと入口での確認作業に時間がかかっている印象だ。列の動きが遅いからね。ちなみに貴族用の入口は閉鎖されているみたい。
列に並んでいると、近くを通りかかった人から声をかけられる。
「あれ?ジュンイチさんとジェニファーさんじゃないか?」
以前この町の近くで知り合った商人のハクさんだった。まずいな・・・彼は自分たちが貴族だったことを知っているんだよなあ。
「人違いではないですか?」
「この場で貴族と言うことをばらされたくなかったら黙って着いてきな。」
一応言ってみるが、だめだったみたい。小さな声でこう言われては素直に従うしかないか。ここでばらしたいわけではなさそうだし、変なことをしようという気もないと思う。
ここの門番には顔が利くといって正規の門の脇で簡単なチェックをしただけで通してもらうことができた。門を抜けた後、彼の商会というところに案内される。
町の中心近くにある結構大きな建物で、店にやって来ている人も多い。店は革命前からここにあった店みたいで結構な人気店だったようだ。たしかこの町に寄った時に少し店を覗いていった記憶がある。
彼と会ったのは前にオカロニアに寄ったすぐ後のことだ。まさかこんなところで再会するとは思っていなかった。商会の運営者と言う感じだったから貴族だと思っていたんだけど、他の国の貴族だったんだろうか?
~~ジュンイチの回想~~
北の遺跡を出発してから南に向かっていた際、オカロニアを出発して2日ほど走ったところで前方に強い魔獣の存在を確認した。
「ジェン!前にかなり強い魔獣の気配がする。魔素の強さから考えると優階位の魔獣じゃないか?」
「ええ、間違いなく優階位みたいね。」
「こんなメインの街道に優階位の魔獣がでてくるとかまずくないか?」
「そうよねえ。とりあえず私達じゃ討伐は無理だからオカロニアに戻って連絡する?」
さすがに近寄れないと思ったんだけど、その魔獣はどうやら戦闘中のようだ。
「なんか戦闘中みたいだな。手助けした方がいいのかもしれないけど、さすがに優階位の魔獣だと自分たちは手助けになるのか?単に邪魔になるようだったら余計な手助けをしてもしょうが無いよな。」
「とりあえず近くまで行って状況を確認してからにしたらどう?何かあっても逃げることは出来ると思うわ。」
車を収納してから走って近くに行くと、優階位の突猪が2体襲いかかっているようだ。戦っているのは良~優階位くらいか?ただ数人が地面に倒れているのでもうやられてしまった人もいるのかもしれない。
「奇襲をかければ何とかなると思うから、攻撃の後は離脱しよう。
ジェンは右のやつをお願い。自分は左のやつを攻撃する。隠密を使って、魔力が貯まったところで一気に近づいて攻撃するよ。」
「わかったわ。」
この距離からでも攻撃することはできるが、距離が近い方が威力が大きいこと、ここからだと避けられる可能性が大きいことからできるだけ近くから攻撃した方がいい。
精神を集中して魔力をためていく。思ったよりも時間が長く感じるが、ここで焦ってはダメだ。限界近くまで魔力をためたところでジェンの方を見るとうなずいてくれた。
「行くよ!!」
一気に魔獣との距離を詰めて渾身の火矢をぶち込む。ジェンは水弾だ。隠密の魔道具まで付けていたので認識が遅れたのか、魔力を込めた火矢は魔獣の首筋に突き刺さった。ジェンの方も水弾が顔に命中して顔が半分へしゃげた状態になっていた。
「勝手ながら手助けします!!」
一瞬何が起きたのかわからなかった護衛達もすぐに対応して、一緒に魔獣に斬りかかりとどめを刺した。さすがにあそこまでのダメージを与えることができれば大分楽だったようだ。うまく奇襲できれば優階位の魔獣もなんとかなるかもしれないね。
「危なそうだったので手助けしただけなのであとの処理はお任せしますね。」
また変な疑いをかけられてもいやなのですぐに立ち去ろうと思ったんだけど、車の陰にいた男が大きな声を上げる。
「このまま立ち去るなら優階位の魔獣をけしかけた犯人として手配するぞ!」
「なっ!!さすがに助けてもらったのにそれはないだろう!!」
さすがに言い返すと、少し笑ってこちらに声をかけてきた。
「さすがにお礼くらい言わせろよ。犯人の心当たりはあるからお前達を疑ったりはしてないからよ。」
そう言われてはそのまま立ち去るのも悪いと思い、簡単な天幕にテーブルを出してくれたので少し話をしていくことにした。
彼はハクという名前でこの国で商売をしている人だった。どうやら移動途中で魔獣にいきなり襲いかかられたらしく、その車に乗っていた3人のうち一人が車から投げ出されて亡くなってしまったようだ。残り二人は治癒薬でなんとか回復したみたい。
車は横転していたが、駆動部分は無事だったみたいでなんとかなるようだが、修理するのに少し時間がかかるようなので、修理が終わるまでくらいは話をしようと言うことになった。
今回の魔獣はおそらく競合している商会の仕業だろうと言うことだった。しかし優階位の魔獣をけしかけてくるとは思っていなかったようだ。おそらくどこからかこの付近まで魔獣を連れてきていたのだろう。生きたまま捕まえるなんてかなりのリスクが大きいのによくやったものだ。
近くにそのような気配はなかったので魔獣をけしかけた後はすぐに立ち去ったのだろう。まあ近くにいて被害を受けてもまずいからね。しかし討伐されなかった場合、この魔獣はどうするつもりだったんだろう?
自分たちはヤーマンから来た冒険者で遺跡の調査を行っているというとかなり驚いていた。さすがに車を持っていることがわかったみたいだったので一応爵位を持っていることを伝えるしかなかった。
修理が終わったところで彼と別れることとなったが、何かあれば連絡をくれと連絡先だけは教えてもらえた。オカロニアに商会があるみたいなので、帰りに機会があれば寄ることにしよう。
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商会の中の部屋に案内されるがさすがに警戒しなければならない。前に話したときの感じでは変なことをするとは思えないんだけどね。向こうも変に疑われたくないせいか、オープンスペースのような感じのところに通された。まあ防音処理はされているとは思うけどね。
「すまなかったな、あそこであまり長々話するわけにもいかなかったし、お前達も下手なことはしゃべられなかっただろう。でもどうやってそのペンダントを手に入れたのかは興味があるな?平民から奪ったのか?」
「そんなことはしていないですよ。ただこれを用意してくれた人のことはその人達の迷惑になるので言えません。」
「ふふ、まあいいさ。短い時間だったが、そんなことをする人間だとは思ってないよ。」
「なんの目的で自分たちを案内したのでしょうか?別に知っている人だからと言っても声をかける必要は無かったでしょう?」
「そこまでたいした目的はないさ。単に知った顔がいたから声をかけただけさ。」
ここに誘った目的は何なんだろう?とりあえずジェンとは今回の革命のことについて話もしているし、こういう交渉事はジェンにお願いしているからな。ジェンの方を見るとうなずいてくれた。
「ハクさんは革命軍の中では結構な地位を持っているのですか?爵位を持っていましたよね?それなのに革命軍に顔が利くというのは何かあるのですか?」
「まあ爵位はあるが、この国の貴族じゃなかったんでね。商売をしているといろいろとな。こう見えても顔は広いんだ。」
「先に断っておきますが、私たちは今回の革命について直接的にどちらかの味方をするつもりはありません。目の前に困っている人がいるなら助けることもあるかと思いますが、戦いに直接参加することはありません。」
「まだ何も言っていないのに先に断りを入れてくるか・・・。まあそこまで固執しているわけではないんだがな。優階位の魔獣を倒したときの能力が気になって、紹介できればと思っただけさ。」
単に革命軍への誘いだったのか?
「せっかくなのでこちらから少しお願いがあるのですが、それを聞いてもらうことはできますか?」
「内容次第だな。」
「この国を出るための許可証を出していただきたいのです。今は国から出るのは難しいようですが、許可証さえあれば通ることができるのでしょう?」
貴族ということもあるのでできれば早めにこの国を出ておきたいのが本音だ。別に出られないならどこかで拠点を決めて狩りをしながら決着が着くのを待つという手もあるけど、いつになるかもわからないからなあ。下手したら半年とかもっとかる可能性もある。ただそれ以外にもこの国のことを考えると話しておきたいことがあるんだよな。
「おいおい、モクニク国の許可証はこっちの国の都合だけでなく、モクニク国の都合もあるから簡単には下りないぞ。それ以前に俺にそんな権限があるわけはないだろう。」
「いえ、モクニク国への許可証ではなく、タイカン国への許可証です。それだったらなんとかなるんじゃないですか?」
「・・・どういうことだ?ここからタイカン国へ行くのは山を越えていくしかないが、いくら夏とは言え山越えはやめておいた方がいいぞ。しかも許可証の発行なんて俺ができるわけ無いだろう。」
周りの護衛と思われる人達の雰囲気が変わった。殺気と言うわけではないんだが、緊張しているという感じだ。
「ここまで来たらごまかさなくても大丈夫ですよ。あなたの商会はタイカン国との交易品を扱っているんでしょ。そして別に山を越えなくても通れるルートがあれば季節に関係なく行き来はできるでしょう。
前にお会いしたときに、あなたたちがタイカン国に関係があることは把握していますし、今回それを証明できる資料が見つかったので納得できたんです。
”古代遺跡の通路”を発見したんでしょ?」
さすがにハクさんの表情が少し変わった。
「証明できる資料というのは何のことだ?」
「私たちが遺跡の調査をするためにこの国に来たという話はしましたよね。そして遺跡の調査の中でこの大陸の中央を抜ける通路について書かれた資料を見つけました。その位置がこのオカロニアの西だったのでそこを使っているのだと思ったのです。
あなた方と初めて会ったときに、色々と会話をしましたよね?そのときに他の人とも少し話をしたんですが、多くの人がタイカン語を理解していました。会話の中で使っていたので気がつかれなかったかもしれませんが、おかしいと思っていたんです。」
「会ったときから違和感があったって訳か。まさかそんなところで疑っていたとは思わなかったよ。正直驚きだ。」
「もう一つ確信はありませんが理由があります。それがあなた方を信用する理由でもあります。」
「ほう。聞いてもいいのか?」
「タイラス・チャクシー。
そしてチャクシー商会のあなたならタイカン国への顔が利き、入国許可証を発行することはできるのではないでしょうか?」
ハクさんは手を上げて笑い出した。
「恐れ入ったよ。今までもいろいろと商売については疑われたことはあった。ただあの山を越えての商売というものがかなり難しい、割に合わないという認識のおかげでごまかせていたんだがな。
そしてその名前を知っているとは驚きだ。すべての公式の記録からは消されてしまったと思ったんだがな。他国でもちゃんとした話はほとんど記録にないはずだ。どこでその話を知ったんだか・・・。その口ぶりからすると、依頼書のことも気がついているんだろうな。
ただ許可証を用意するのは別の話だ。用意することで俺たちに何のメリットがあるんだ?今更このルートがばれてもたいして痛くはないさ。革命が成功したらこのルートは世間に公表するつもりだったからな。」
「ええ、もちろんその対価は考えていますよ。
おそらく今回の革命の援助の対価としてこの国の鉱物などの権利を差し出しているのでしょう?たとえ国力が落ちるとしても革命を成功させるにはどこかの国に援助をしてもらわなければうまくいくはずがないですからね。
そしてその代替えとなり得る話をお渡しすることができますが、いかがでしょう?」
「それはこの場で話してくれるのか?」
「ええ、詳細は私たちの要望を受けてくれた後と言うことになりますけどね。」
「わかった、一応話を聞こう。でもいいのか?ここまで話したら俺たちが拷問してでもその情報を得ようとするとは思わなかったのか?」
「あの英雄を尊敬していると言うあなたたちがそんなことをするとも思えません。それに最終的な利益を考えると通行許可証くらいは安いものだと考えるでしょう?そもそも私達を拷問したとしてもその利益を得ることは出来ませんしね。」
「彼を英雄というか・・・。まあそうだな。そこまで自信のあるものなのか?」
「ええ・・・。
先ほど言いましたよね。古代遺跡でこの大陸の中央の山脈を抜ける通路を示したものを発見したと。その通路は一つとは限りませんよね?」
「まさか・・・。」
「ええ、資料によると他にもルートがありました。もちろん遺跡がちゃんと使えるかどうかはわかりませんが、可能性は高いのではないかと思っています。その一つはタイカン国東部からモクニク国南部へと抜けるルートです。現在の輸送ルートを考えると、タイカン国にとってはかなり有益な話になると思いますよ。
もちろんこの話だけで私たちの力を借りずに遺跡を探すことはできるかもしれませんが、どのくらい時間がかかるかはわかりません。
もちろん許可がもらえないと言うことであればこの話はなかったことでかまいません。その場合は諦めてこの国に留まることでもいいですし、国を出るには他にも方法はありますので・・・。
ただ今の話は今後のこの国にとってはかなり大きな変換点になると思いますよ。」
「・・・わかった。少し考えさせてくれ。」
「ええ、さすがにあなたの一存では決められないと思いますのでご検討よろしくお願いします。しばらくはこの町に滞在しますので連絡をいただければと思います。」
さすがに交渉に関してはジェンに任せて良かったよ。自分だったらどういう風に話していいか分からなかったからな。
そのあとも少し情報交換を行い、商会を出る。
「あ~~~、よかった。緊張したわ。」
結構堂々としていたけどさすがに緊張していたようだ。店を出てから予想通り監視はつけられているみたいだけどまあそのくらいは仕方が無いだろう。
前に泊まった宿にチェックインしてから夕食を食べに行く。正直前の時よりも町の雰囲気が良くなっているのはいいことだ。食べ物も美味しくなっているしね。たしかタイカン国は農業国だったから食材については十分な量があるのだろう。おそらく余剰な農作物は輸出して外貨を稼ぎたいはずだ。
まさかヤーマン王家の秘蔵の書籍がここで役立つとは思わなかったな。普通の本にはほとんど載っていなかったし、載っていても反乱の一言で終わらせられていたからね。
ヤーマン国ではこの反乱についてちゃんと調査は行われていたみたいで詳細が書かれていたのだ。そのおかげでいろいろと確認することができたのでかなり助かったよ。ただ貴族社会が多いこの世界ではいろいろと国の関係もあってあまり表に出せないことだったんだろうな。
宿でも監視が付いているみたいだけど、のぞきに来るまではしていないようだ。まあさすがにそこまではできないだろうし、こちらの実力もある程度わかっているだろうからね。だけどやっぱり気になるので視界と音は遮断することにしたよ。見られながらするような趣味はないし、他の人に見せたくもないからね。
翌日はいろいろと町を見て回った。以前に比べて町に活気がある印象だ。町の管理者が変わったとしても普通の人達には大きな影響はないのだろう。その日の夜遅くになって明日の朝一で商会に来てほしいとの連絡が入った。
翌日の1時になったところで商会に行くと、すぐに前と同じ場所に案内された。そこにはハクさんの他に強面の男性が座っているんだけど、こっちをにらんできてちょっと怖い。冒険者かもしれないけど、実力的に優階位は十分にありそうな感じだ。自分たちを抑えるために用意したと言うことはないと信じたい。まあその場合は全力で逃げるけどね。
「おはよう。こっちにいるのは同士のカルバトスという。見た目は怖いが根はいいやつなので気にしないでくれ。今回一緒に話を聞きたいというので同席してもらうことになった。」
まあそう言われたら同席を断るわけにもいかないよな。
「「はじめまして。」」
「さっそく本題に入ろう。関係者と連絡を取り、入国許可証のことについて話をしたんだが、結論から言うと許可証を発行することになった。」
おお~~、よかった。
「ありがとうございます。」
「事前に話をしていたとおり、まずはタイカン国への出国を行い、そこで現在持っている情報を提出してもらう。そのあとそっちで遺跡の確認をしてから俺たちに追加情報を提供するという流れでいいんだよな。」
「はい、それで問題ありません。」
「わかった。許可証はお前達2名分でいいんだよな?」
「あ、あの、できれば一緒に出国させたい人達がいるのでその人達の分も用意してもらうことはできますか?」
「まあ数名くらいならなんとかするがどういう人間だ?」
「この国の貴族なんですが、かなりの善政を敷いて領民に慕われていた人で、数年後には他国に移ろうと考えていた家族なんです。もし今回の政変でひどい目に遭ってしまったらさすがにかわいそうだと思っていまして・・・。」
二人でいろいろと説明していると横に座っていたカルバトスさんが口を開いた。
「素性は隠しているが、もしかしてハーマン領の貴族のことじゃないのか?」
「え・・・えぇ。そうなんですが・・・。」
「あそこの領主は俺も会ったことがある。一度魔獣の討伐依頼を受けてそこに行ったんだが、平民冒険者の俺たちだったのにわざわざ来てくれたと歓待してくれた貴族だ。冒険者時代の話で盛り上がってな、いろいろとよくしてくれたんだよ。領民にもかなり慕われているところだったな。」
「カルバトスがそこまで言うのなら変な人間ではないのだろう。まあ準備はしてやってもいいが、まだ無事かどうかが問題だな。」
「ええ、それで今からハーマンまで行ってみようと思っています。それで往復で10日くらいと思うのですが、その間待ってもらうことはできますか?」
「わかった。どっちにしろ許可証の準備にも少し時間がかかるからな。もしこっちに戻ってきたときに俺がいなくても話が通るようにしておくから心配するな。」
ずっと気になっていた彼らのことも許可が下りるようでほっとした。
「でも自分たちで言っておいて何ですが、よく許可が下りましたね。」
「まあな。しかしこの革命でこの国が生まれ変わっても国力が無ければ結局やっていけない。今回の話が本当ならかなりの交渉材料となるからな。
正直なところ入国許可証くらいでは釣り合わないくらいなのにそんなものと引き換えでいいのか、だまされているんじゃないのかと逆にそこを疑われたさ。」
「まあそうでしょうね。でも自分たちにとっては必要の無いものですし、この国の人達のことを考えるとそれが一番いいのかなと思ったんですよ。
別に革命のことについては反論もありませんし、この国のことなのでそれを否定もしません。もちろん血を流さずに革命ができれば一番いいのでしょうけど、そこまで理想主義者でもありません。この国はかなり病んでいるのはこの目でも見ましたので国が変わるというのはいいことかもしれないと思っています。
タイカン国が後押ししてこの国の革命が進んだとしても、この国の人間が望むのであればそれはそれで仕方が無いことでしょう。他の国のように貴族社会が残る方法はいくらでもあったのに、この国が政策を失敗したのも間違いないことでしょうからね。」
「ああ、その通りだ。この国は生まれ変わらないといけない。そのために血が流れるのは仕方が無いと考えている。もちろん無駄な血を流す必要ないとは思っているがな。」
「でも、これだけは言わせてください。きれい事だけでは世の中は変わらないことは理解しています。でも市井の人達が少しでも今よりも良い生活ができるように尽力してください。上が変わっても結局生活が変わらなければ革命の意味がありません。」
「ああ、そのために俺たちは革命を起こしたんだ。今より悪くなっては本末転倒だ。その言葉忘れないように頑張るさ。」
約束は取り付けたのでまずはハーマン領に行くのが先決だな。すでに戦闘地域は王都周辺まで進んでいるようなので、ハーマン領まではおそらく大丈夫と言うことだったのですぐに出発することにした。
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