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番外編 後日談

4. 人の住む町へ

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身体の調整や荷物の確認も終えていよいよ出発することになった。

「とりあえずいったん町に行ってみないと何も情報が入らないよな。」

「そうね。転移魔法はさすがに怖いからやっぱりルイサレムの町に行くのが一番いいかな?」

「そうだね。飛翔魔法もあるけど状況も分からないからやっぱり船かな。」

港に船を浮かべてから早速乗り込んで船の確認を行う。元の世界では取り出してはいなかったが、問題はなさそうだ。
港の中の水路を進み、港の扉を開けてから海に出る。もちろん扉を閉めておくのは忘れない。これで忘れてしまったらまた誰かが流れ着いて発見される可能性もあるからな。
天気は良いので数時間も走らせればルイサレムの港に到着できるだろう。

船の運転は地球にいたときと大きな差が無いので問題は無い。収納していたから当時から劣化しているわけでもないからね。
地球で使っていたクルーザーもあるけど、燃料が無くなってしまうからちょっと使えないんだよなあ。


今回はガイド本がないので書き写した地図とコンパスを頼りに進むしかない。元の世界に戻る前に写真に撮ったり、書き写したりしておいて良かったよ。

コンパスの魔道具はちゃんと機能しているようなので町が無くなっていると言うことはなさそうだ。もし町が無くなっていたら方向を示さないだろうからね。
このあたりの魔道具なども今のものと取り替えていかないとまずいだろうな。下手に古いものを使っていると変に思われてしまう。

水の中なので魔獣の気配は感じにくいが、特に強い気配は感じないので大丈夫だろう。海の魔獣の強さは当時とそんなに変わっている感じはなさそうだ。

途中で何艘かの漁船を見かけたので何か異変があったとかはなさそうだな。見た感じ船の形状も変わってないみたいだし。



徐々に町までの距離が近づいてきたんだが、やはり港に直接はいるのはやめておいた方がいいだろう。当時の港にはチェックするようなものはなかったが、今は分からないからな。まあもしもの時のいいわけは考えているけどね。

町から少し離れた断崖の方へと移動し、ある程度海岸が近くなったところで飛翔魔法で浮かんでから船を収納。ここから飛んで行って上陸を果たす。



植生は以前と特に変わった感じは無いが、索敵してみても魔獣の気配をほとんど感じない。前はこの辺りには並階位くらいの魔獣がいたように思うんだけどね。まあ動物はいるので生物が滅びているというわけではないみたいだけど・・・。

「なんか魔獣の気配をほとんど感じないけど、いないよな?」

「そうね。初階位の魔獣が少しいるくらいね。魔素の濃度が薄まったのかしら?」


ここから少し走ると大きな道路に出ることが出来た。道路は以前よりも整備が進んでいて、表面もかなりしっかり固められている。前は整備されているとは言え、簡素な感じだったからね。
走っている車のスピードも速くなっている印象だ。前は車の性能のこともあるが、魔獣が出てくるのでスピードはかなり抑えられていたんだが、走っている車は60km/hくらいは出ているんじゃないだろうか?

「走っているスピードも速くなっているけど、それ以前に車の数が多くなってるな。」

「確かにそうね。道路も広くなっているから車の所有者が増えているという事かしら。」

前は走っていても車とすれ違うのはまれな感じだったが、今は結構頻繁に車がやってくる。

「前は魔獣がでるからスピードをあまり出せないということがあったけど、魔獣もほとんど出なくなったと言うことなんだろうか?」

「道路脇の魔物除けの魔道具が変わっているみたいだから前のものよりも効果が大きいのかもしれないわよ。」

「ああ、その可能性もあるね。今は護衛依頼とか少なくなっていそうだなあ。」

走っている車は以前のような馬車の進化したようなものでは無く、地球の車に近い感じになっていた。自分たちが最後にデザインした車が大分革新的だったからそれに追随していった感じかな?車の性能的にはどう考えてもこっちの方がいいだろうしね。

「さすがに自分たちの持っている車は目立つかなあ?」

「まだ同じくらいのデザインのものも走っているから大丈夫じゃないかな?」

「まあそこまで距離もないからルイサレムまでは歩いて行くか。」


道路の脇には人が歩くための通路も作られているが、他に歩いている人は見当たらない。まあ弱いとは言え、魔獣もでるのに気軽には歩けないよな。もう少し遅い時間だったら冒険者の人たちもいるかもしれないけどね。
って、それ以前に冒険者という職業はまだあるのかな?魔獣もあまりいなくなっているし、どうなっているか分からないな。

しばらく歩いて行くと、ルイサレムと思われる町の城壁が見えてきた。周りの畑も前よりも少し広がっている。
城壁は若干高くなっているが、それ以前に町のエリアが広くなっている感じがする。城壁の上にはわずかだが町の中の丘が見えていた。

「海側の城壁は古いままだけど、内陸側の城壁を拡張したみたいだな。」

「少なくとも町の大きさは2倍くらいにはなっていそうね。それだけ人口も増えたって事なのかしら。」

 時間は4時くらいなので人の数は少ないとは言え、特に行列は見当たらない。町の間の人の往来が少なくなっているのか?

「とりあえず町に入ってみるか?」

「前の身分証明証で大丈夫かしらね?」

「こればっかりは何とも言えないよなあ。年齢とか確認されるとまずいかな?まあ40歳くらいまで見た目があまり変わらないという人たちもいるみたいだから大丈夫かなあ?」


門は新しく作り替えられたみたいで、人が通り抜けるような小さな門が増えている。門の近くにはバス乗り場があり、結構な人数がバスの到着を待っていた。以前よりもバスの運行頻度が増えているのかもしれないな。
前はバス乗り場は町の中だったけど、外になったと言うことは安全になったと言うことなのかな?時刻表のようなものを見てみると結構な頻度でバスが出ているみたいだった。


入口では身分証明証の確認作業をしていると思うのだが、やはり町に入るための行列は無かった。門の前にある屋根の下に電車の改札のような感じで5つのゲートが並んでいる。入る人たちはそのゲートのようなものを通り抜けているようだ。
車は別のゲートがあるが、こちらもなにやら大きな機械を当てて確認はすぐに終わっているみたい。なんなんだろうな?まあもともと収納魔法や収納バッグがあるので荷物の中身の確認は建前だけどね。

ゲートを通っている人を見てみると、身分証明証を出してゲートの横の機械に当てているようだ。するとバーが開くようになっているようだ。
特に係の人がいるわけではないので確認作業が自動化されたのだろうか?

自分も身分証明証を取り出し、同じように機械の読み取りのところにカードを当ててみるが、機械から警告が表示されてバーが開かなかった。

「あれ?やっぱりまずかったか?」

後ろにいるジェンも不安そうに顔になり、その後ろで通ろうとしていた人はにらみながら隣のゲートに移った。申し訳ない。

どうすればいいのかと思っていると、すぐに係の人がやって来て声をかけてきた。

「どうしました?」

「いや、警告が出たので・・・。」

「ちょっと待ってください。

えっと、職業がないという認識になっているせいで警告が出たようです。冒険者に登録されていたようですが、期限が切れているみたいですね。」

登録の時に職業は冒険者にしていたので期限切れで引っかかったのかもしれない。

「ああ、そういうことなんですね。すみません、冒険者登録の更新忘れのようです。」

「たまにあることですよ。特に階位が低い方は移動の途中で切れてしまったと言うこともありますからね。」

「それでは町には入れないのですか?」

「いえ、職業で引っかかっただけで犯罪歴があるわけでもありませんので入ることは出来ます。ただ、このままだと毎回この警告が出ますので、出来ればこの町で冒険者の更新をするなりしていただければと思います。」

「分かりました。」

ジェンについても確認してもらい、なんとか町に入ることが出来た。
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